自動車製造業・造船業のどちらでも使われている専門用語に 「艤装(ぎそう)」 という言葉があります。 これは内装(船室)の工事などを意味します。 だからという訳ではありませんが、自動車を作るのって、(特に内装部分は)船と共通する部分が多いのではないでしょうか。 フィアット500の小物入れを眺めていて 、ふと、そんな気がしました。
隠し戸棚 (秘密の物入れ)
写真下: グローブボックス内の「隠し小箱」
上の写真は、知らない人には絶対気付かれないような場所にあるフィアット500の小物入れです。 グローブボックスの内側(上面)に、まるで隠すように取り付けられています。 サチがチンクエチェントを中古車として購入したお店の方も、この存在は知らない様子でした。 フィアット500の小物入れの中で一番特徴的なものだと思います。 あまり大きなものではないので、どのように使うか迷うところですが、ディーラーの整備課長殿によると、ETC装置(純正品でない本体とアンテナが別体のタイプ)の装置をこの中に設置しているオーナーの方も多いそうです。
どうして(コストをかけてまで)秘密の小箱みたいなものを作るのかな?
サチが思い出したのは、子供の頃に読んだ『岩窟王』という本でした。 主人公であるモンテクリスト伯爵(本名=ダンテス)が、ジェノアで自分の船を作らせた時に、船内に隠し金庫を作らせる場面があったのです。 貴方様もご記憶されていらっしゃいますでしょうか?
以下引用:
「船大工は、ダンテスに、自分の手で乗組員を揃えることを申し出た。 だが彼は、自分はいつも一人で船に乗る習慣なのだといってことわった。 そして、ただ一つ頼みたいことがあると言って、船室のなかの、ベッドの枕もとのところに、秘密の手箪笥といったようなものをこしらえ、それに誰も気が付かないような三つの仕切りをつけてもらいたいと言いながら、その仕切りの寸法を与えた。 (中略) ダンテスのほうでも、心のなかに、ジェノワ人はたしかに世界きっての船大工の名に値すると考えていた。 (中略) 翌日、ヨットの上には莫大な財産が運ばれ、そこにあった秘密箪笥の三つの仕切りのなかにおさめられた。」(岩波文庫32-533-2『モンテ・クリスト伯(二)』山内義雄訳 P.97)
ジェノワ(ジェノバ)はトリノ(=フィアットの本拠地)から少し南東に位置する、リグリア海に面したイタリア最大の港町と言われています。 昔から造船業も盛んだったみたいです。
フィアットの設計者も、伯爵のヨットを作った船大工のようにチンクエチェントにも「隠し小箱」をそっと作ってみたのかもしれません。 イタリア船の伝統? いえ、全然そんなことはないのかもしれませんけど、そう考えると何ともロマンチックですにゃ? サチは自分に都合の良いことは信じることにしているので、勝手にこんな思いつきを信じ込んで楽しんでいます。
そういえば、有名な車種名には船の名称がよく使われていますね。 米シボレーの「コルベット」(Corvette)は軍艦の1カテゴリー、日産「クリッパー」(Clipper)は大型帆船だったりします。 サチの好きなフィアット「バルケッタ」(Barchetta )はイタリア語で「小舟」という意味なのだそうです。
補足:
艤装という言葉は全ての国内自動車メーカーが使っているわけでは必ずしもありませんが、確かに使っている会社はあります。
その他の小物入れ達
写真下: 運転席の右前
キー穴のすぐ隣にある小物入れ。
サチは小さな懐中電灯を入れています。 高速料金はETC、電話は携帯電話になってしまって、クルマに小銭を用意しておくことがなくなりました。
写真下: 運転席の左前
ドライバーの左ひざのあたりにある小物入れです。
さてさて、何を入れるのかなー? サチはドライブレコーダー用のSDカードやガソリンスタンドのポイントカード、iPhone の充電用コードを入れたりするのに使っています。
蓋 (ふた) の指をかける突起部分がドライバーの脚にぶつかって邪魔だという方もいらっしゃいます。 ちょっと大きすぎるのかもしれませんね。
写真下: シフトレバー直下の小物入れ
カップホルダーの前にある小物入れ。
自作の中敷き(赤)を入れています。
小さいけど、いろいろ便利に使えるスペースですよん。 USBチャージャーやドライビンググローブを一時的に置いたりしています。 カップホルダーにはガムを入れています。
写真下: 助手席の前(グローブボックス)
結構深いです。 棚のように平らではなく、海水浴場で砂浜から海へ入る時みたいに、斜めにどんどん深くなっていく感じです。 また、全体的に湾曲(わんきょく)した形をしているので、正直あまり使い勝手は良くありません。 でも車内の物入れの中で一番大きいので、ティッシュボックス、ウェットティッシュなどを入れて便利に使っています。
このグローブボックスの上面に前述の隠し小箱が、奥にはヒューズボックスがあります。
写真下: 発炎筒を取り外した後
発炎筒があると邪魔に思えたので、ホルダー(取り付け金具)ごと発炎筒を取り外してしまいました。 見た目はスッキリしましたが、使い勝手が「劇的に改善」されるには至りませんでした。
写真下: 両ドアの小物入れ
ロードマップ(地図)などを入れるポケット。 あると便利なんだけど、どのクルマも掃除がしにくいんです、深いので。
写真下: 1.2 POP 助手席シート下の小物入れ
まず助手席シートの座面の前側を上へ持ち上げるようにします。
写真下:
つぎに座面の後ろ側(背もたれとの境目)に手を入れ、こちらを上へ持ち上げます。
写真下:
そのまま座面を前方&上へ「よいしょっ」と回転させるように開きます。
写真下:
じゃ~ん!
でも形が歪(いびつ)なので、あまりモノが入らないのです。 助手席に人が座っていたり、荷物が置かれていると開閉できません。 だから比較的利用頻度の少ないものをしまうのに適した場所だと思うのですが、車検証ケースは大きすぎて入らないのであります。 残念!
むむむっ?
大山鳴動して鼠一匹、じゃないけど、苦労の割りには大したことない物入れだぞ? 何に使えば良いのかにゃー。 サチは、車内で飲食する時に備えて割り箸とか入れています。
物入れに収まらないものは、ラゲッジルームに置いています。 貴方様は、どのように物入れをご活用されていらっしゃいますでしょうか?
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モンテ・クリスト伯
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