W杯予選の「裏話」。 ⑤ コスタリカの崩壊。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

W杯予選の「裏話」。 ⑤ コスタリカの崩壊。


W杯予選の「裏話」。 ④ えっ!?まさかの、ライバル国と同じ…の続きです。



 前回ブログ(上のリンク先
↑)に書いたように、今回のU-20W杯中米予選(エルサルバドル開催)は、「ライバル国と同じホテルに宿泊」でした(我々はコスタリカ、グアテマラと同じホテルだった)。

 そして、「ライバル国と同じホテルに宿泊」だったからこそ見えた、様々な状況がありました。


 その1つが…「コスタリカの崩壊」です。



 今年のブラジルW杯で「死の組」を首位通過し、見事に初の「ベスト8」に輝く快挙を成し遂げたコスタリカ。中米の中では言わずと知れた強豪中の強豪で、今回のU-20W杯中米予選も、当然ながら「優勝候補」の一角と見られていました。まさか誰も、コスタリカが中米予選で敗退するだなんて、想像だにしていなかった…。

 しかし蓋を開けてみると、コスタリカは初戦のグアテマラ戦に「0-1」とショッキングな完封負けを喫して最悪なスタートを切ると、続く我々ホンジュラスとの試合ではPKを外して「1-1」引き分け、さらに第3節はパナマに「2-3」の敗北を喫し、これで3試合が終わって「0勝2敗1分」…。信じられない低迷に陥り、第3節の終了直後に監督が解任されました。

 「おい、聞いたか?コスタリカの監督、解任されたらしいぞ?」…同ホテルに宿泊するライバル国の情報は、すぐにホンジュラス側にも入ってきました。


 そして、コスタリカの監督が解任された当日…。我々ホンジュラスは、驚くべき光景を目の当たりにする事となります。


 プールや廊下で、狂ったかのように馬鹿騒ぎをする、コスタリカの選手たち…。その光景を見て、我々ホンジュラスは、唖然としました。


 3戦未勝利という信じられない低迷…。監督解任…。もちろんこのような状況の中では「開き直る」事も大事です。けど僕の目には、このコスタリカの選手たちの馬鹿騒ぎっぷりは、開き直ったと言うよりも「完全に気持ちが切れた」ようにしか見えませんでした。また、厳格な監督が上から押さえ付けて何とか規律を保っていたチームが、その監督が解任されて誰も規律を正す者が居なくなり、一気に無法地帯と化してしまったようにも見えました(この監督は厳しいので有名だった)。


 僕はこのコスタリカの異様な光景に、「チームの崩壊」を感じました。


 案の定、コスタリカは、監督解任後も全くチーム状態は良くならず、その後も低調な試合を繰り返します。内容が悪いだけではなく、その「無気力」ぶりが目に付きました。まだ予選突破の可能性はあったのに…。

 結局、コスタリカは、4位で突破を決めたグアテマラと勝ち点では並んだものの、得失点差で予選敗退…。無気力な戦いぶりで格下ベリーズ、ニカラグアからほとんど得点できなかった事が大きく敗退に影響しました。



 一方の、我々ホンジュラス。

 コスタリカ同様、初戦に痛恨の敗北を喫すると、その後の2試合も勝てず、3試合を終えて「0勝1敗2分」で未勝利と低迷…。内容も非常に悪く、置かれた状況は敗退したコスタリカと、ほとんど変わりませんでした。


 しかし、ホンジュラスがコスタリカと違った事…。決定的な「違い」…。それは…。



 気持ちが切れなかった」事。絶対に「崩壊しなかった」事。



 この「差」が、後に大きな「差」(予選突破と敗退)となって表れる事となりました。

 全く同じような状況(3戦未勝利)で低迷するコスタリカが、監督解任を契機に突然、馬鹿騒ぎを始めるなど完全崩壊…。その光景を横で見せられたホンジュラス…。まだ若いホンジュラスの選手たち…。コスタリカの酷い雰囲気に流されて自分たちも気持ちが切れてしまわないか…コーチとして凄く心配でした。

 それでもそうならないよう、チーム全員で事あるごとにミーティングを開き、自分たちの「目標=W杯出場」を決して最後まで見失う事なく、気持ちも切れる事なく、全力で戦い抜きました。その結果…敗退したコスタリカと「勝ち点1差」という、正にギリギリかつ紙一重ではありましたが、何とか中米予選突破を果たしました。

 我々ホンジュラスは、今予選の開幕直前にコスタリカに強化遠征に行き、そこで対戦した時は「2-3」「3-5」と2試合で8失点を喫して2連敗…。ボコボコにされています(確かにアウェーではありましたが)。この結果からも分かるように、予選を突破したホンジュラスが敗退したコスタリカよりも強かったかと言うと、必ずしもそうではないのです。


 予選「突破」と「敗退」を決めた、僅か「勝ち点1差」…。


 それは途中で気持ちが切れたか、切れなかったか…本当にそれだけの「でした。


 いかに最後まで諦めず可能性を信じて戦い抜く」事が大切か…。今回の予選を通じてチーム全員が改めて学ばされました



※コーチングスタッフ、協会スタッフたちと。苦しい戦いでしたが、全員が協力して最高の仕事をして予選を突破しました。ちなみに向かって一番左のサングラスをかけた黒人が「レジェンド」カルロス・パボン(予選後、フル代表のコーチに就任)。

パボンなどと!中米予選!



※練習前の1コマ。この後、僕はGKグローブを付けて選手としてプレーしました。

中米予選、練習!



① 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第1節。VSパナマ

② 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第2節。VSコスタリカ

③ 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第3節。VSエルサルバドル

④ 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第4節。VSグアテマラ

⑤ 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第5節。VSベリーズ

⑥ 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、最終節。VSニカラグア






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