『W杯予選の「裏話」。 ④ えっ！？まさかの、ライバル国と同じ…。』

【W杯予選の「裏話」。　③　現役復帰！？】の続きです。

　今回の「U-２０W杯中米予選」で、非常に驚いた事がありました。

　それは…。

　
　「まさかの、ライバル国と同じホテルに宿泊」

　ええええええええええええええええええええ！！！？？？

　嘘でしょ！！！！！！！！！！？？？？？？？？？？

　これには本当に、驚きましたね。普通、同じホテルにするかぁあ…！？（これは中米サッカー連盟の決定であり、参加国にはホテルの決定権はありません）。

　最初は、当然、メチャクチャ嫌でしたよ…。だって、この予選で人生を懸けて戦わなければならない…蹴落とさなければならないライバル国の選手やコーチたちと、毎日、同じホテルで顔を合わせなければならないのです。しかも、狭いホテルにも関わらず全チームが１階の部屋に押し込まれたため、何をする時にもニアミス…。遭遇率は、半端ではありませんでした。

　さぞかし険悪なムード、凄まじいピリピリムードが漂っている…と思いますよね？

　
　それが…。実は、そうでもないんです（汗）。他国の選手やコーチングスタッフたちと、意外とフレンドリーな「アミーゴ」ムード。他チームとすれ違えば笑顔で挨拶をし、食事をしていれば「Buen provecho！（どうぞ、召し上がれ）」と声をかける…。そもそも今回、同じホテルだったグアテマラとコスタリカの２ヶ国には、予選前の強化遠征でも行っており、両国の選手やコーチングスタッフたちともすでに顔見知りで、ちょっとしたアミーゴ…。彼らとの間には、およそ「W杯予選」を戦っているとは思えないほどの、和やかなムードが漂っていました。

　が、しかし…。この「フレンドリー」で「和やかなムード」が、実はとても危険。絶対に、このムードに流されては駄目なのです。

　ホテル内でどんなにフレンドリーで和やかなムードに包まれていても、ピッチに入れば紛れもない「ライバル国」であり「倒す対象」でしかありません。ところがホンジュラス人は【以前のブログ】でも書きましたが、「オン」と「オフ」の切り替えができるメンタリティーをもっていません。ホテルでのライバル国との間に流れるフレンドリーで和やかなムードを、選手たちが試合のピッチにも持ち込んでしまわないか…心配で心配で仕方ありませんでしたね。
　
　幸い、そこら辺を監督を含むコーチングスタッフ全員でしっかりアプローチをしたおかげで、どんなにホテルではライバル国との間にフレンドリーで和やかなムードが流れていても、ピッチでは１００％「相手を倒す」モードで試合に臨み、しっかりと「中米予選突破」という結果を出す事ができました。

　「W杯予選」と言うとどうしてもピッチ内の試合にばかり目がいきがちですが、このようにピッチ外…ホテルの中でも、いろいろな駆け引きがあるのです。そして、この「ピッチ外」をいかに過ごすかが、「勝負の分かれ目」になります。

　そう言えばあの「ドーハの悲劇」の時も今回の中米予選同様「中立国開催」で、日本と韓国は同じホテルだったようですね。そのホテル内で日本は食事が合わず苦しい思いをしていた中で、たまらずJリーグでプレーしているライバル国・韓国のノ・ジュンユンに頼んだら、「大した食事がとれてないと、力が出ないでしょ。これ食べなよ」とキムチや焼肉を分けてもらって本当に助かった…というエピソードをネットで見た事があります。味方（韓国）にバレたら「裏切り者」と言われかねない中で、それでも「互いにベストを尽くして戦おう」と日本代表選手に韓国料理を分け与えたノ・ジュンユンの人間性には感動させられました。本当に素晴らしい話。現代の日本人、韓国人に必要な「大切な精神」が、このノ・ジュンユンの行動から学べる気がします。→【ドーハの悲劇、２０年後に出てきたエピソード。日本を活気づけた、韓国代表ノ・ジュンユンからの贈り物】

　

　最後に…。今回の予選が「中１日で６連戦」という考えられない過密日程になったのは、一体なぜなのか？その「驚愕の理由」を風の噂で耳にし、絶句しました。

　果たして、その「驚愕の理由」とは…？

　「中１日にしてできるだけ早く短く予選を終わらせないと、ホテルの宿泊費、食費などの運営費が高くつくから」

　何と…「運営費をケチりたい」…そんな事のために、選手を酷使しまくる「中１日で６連戦」というありえない過密日程になっていたというのです！！

　エエかげんにせい！！！！！！！

　選手が壊れず、無事に予選突破できて本当に良かったです…。
　

※ホテルのプールで心身の疲れを癒す…。当然ながらこのプールもライバル国と共用で、時にはプールでのリカバリーが同時刻に重なった日もあり、半分半分で使用していました。…って、それも、たいがい、ありえんじゃろ…（汗）。