中米予選突破!! ~ 「W杯出場」の夢は続く ~ | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

中米予選突破!! ~ 「W杯出場」の夢は続く ~



 ホンジュラス、最終節のニカラグア戦に「3-1」で勝利!!


 中米予選突破!!



 北中米カリブ海地区最終予選進出決定!!




 苦しみに苦しんだ今予選を象徴するかのような、厳しい試合となりました。

 「勝利以外は予選敗退」となってしまうこの試合…。開始10分で2点を奪う最高のスタートを切りますが、その後はチャンスに決めきれない展開が続き、前半終了間際には3試合ぶりとなる失点を喫して、1点差…。これまでの試合同様「あと1点でも決められたら、予選敗退」という窮地に追い込まれます…。

 それでも後半にCKからヘディングを決めて「3-1」。内容的には最悪ながら、何とか予選突破の絶対条件だった「勝利」をものにし、「北中米カリブ海地区最終予選進出」の切符を掴み取りました!!

 GKは目標としていた「4試合連続無失点」こそなりませんでしたが、後半の終盤にはDFのミスから招いたゴール付近の決定的な1対1のピンチを右足1本で防ぐファインセーブ(下のハイライト動画の最後のプレー)を見せるなど、勝利に貢献。難しい試合によく対応して力を発揮し、チームを救ってくれました。


※試合ハイライト動画。白がホンジュラス。





 本当に…本当に、苦しい予選だった。

 昨年の「U-17UAE W杯」でホンジュラス史上初の「ベスト8」に輝いた選手が登録メンバー18人中10人を占める、今回のU-20ホンジュラス代表。協会、そして国民の期待は非常に大きく、誰もが「中米予選は楽に突破するだろう」と思っていました(僕たち当事者は、当然そんな事は思っていなかったが…)。

 しかし蓋を開けてみると、パナマ戦で前半に退場者を出して大逆転負けを喫すると、その後は「負けたら、終わり」「引き分けさえ許されない。勝利以外は予選敗退」という極限状態の戦いを強いられる事となります。
 
 納得いくサッカーができた試合は、1試合もありません。内容は全試合、良くなかった。このチームが持っている力の60%以下しか発揮できなかったかもしれない。ホンジュラス国内では、我々の不甲斐ない戦いぶりに批判が殺到しました。


 第2節のコスタリカ戦…。もし「あのPK」が決まっていたら、我々は予選敗退していました。

 第3節のエルサルバドル戦…。初戦のパナマ戦でミスしたGKが覚醒していなければ、我々は予選敗退していました。

 第4節のグアテマラ戦…。前半にあの際どいゴールが決まっていなければ…後半の相手の決定的ヘディングシュートをGKが神懸り的スーパーセーブで止めていなければ…我々は予選敗退していました。

 第5節のベリーズ戦、第6節のニカラグア戦…。どちらか1試合でも得点できなくて引き分けていたら、我々は予選敗退していました。

 ブラジルW杯で「死の組」を無敗で首位通過し、史上初のベスト8に輝く快挙を成し遂げたあの強豪コスタリカが、今予選では突破圏内の4位以内に入る事ができず(5位だった)、まさかの敗退…。強豪コスタリカの敗退が、いかに今回の中米予選が過酷で厳しく難しい戦いであったかを、物語っています。


※U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、最終順位表。優勝したパナマが勝ち点15で頭一つ抜けた以外は、2位~5位までが僅か「勝ち点1差」。前述したように、コスタリカが我々との試合でPKを外していなければ…敗退していたのはコスタリカではなく、ホンジュラスの方でした。第4節のグアテマラ戦から最終節までの3連勝した3試合、どれか1試合でも勝てずに引き分けていたら…我々は敗退していました。

U-20W杯中米予選2014順位表



 
 正に、紙一重の予選突破…。何か1つでも欠けていたらアウト(敗退)…今の我々は存在していませんでした。突破できたからこそ見れる、「W杯出場」の夢の続き…。もし敗退していたらと思うと、心底ゾッとします。こうして引き続き「W杯出場」の夢を追い続ける事ができる事に、心からの幸せを感じずにはいられません。本当に良かった…。

 ギリギリの極限状態の死闘を制して北中米カリブ海地区最終予選に駒を進めた事…その事はみんな、自信にして良い。確かに内容的には決して褒められたものではありませんでしたが、あの強豪コスタリカですら突破できなかった予選を我々は突破したのですから(初戦に敗れて突破したのは、ホンジュラスだけ)。前回のU-20代表がホーム開催でも突破できなかった中米予選を我々は突破したのですから。



 GKコーチとしても、未だかつて経験した事がないほどの修羅場の連続でした。

 初戦のパナマ戦でいきなりGKが痛恨のミスで失点して敗北の戦犯になった時は、「終わった」と思いました。それでも彼の代わりに第2節のコスタリカ戦に出場したGKが好プレーを連発して危機を何とか乗り越えた…と思ったら、そのGKが試合で全治3週間の怪我を負い、僅か1試合で離脱…。中1日で6連戦を戦う超過密日程で、パナマ戦でミスしたGKを立て直す充分な時間もない…。この時も、「終わった」と思いましたよ。

 それでも…何度となく「終わった」という絶体絶命の危機を迎えても、決して「終わらなかった」。そこからパナマ戦でミスしたGKが奇跡とも言える急成長を遂げ、神懸り的プレーの連発で「3試合連続無失点」。チームを予選敗退から救うだけでなく、GKコーチとしての信頼と評価の失墜の窮地に陥っていた僕の人生も救ってくれました。

 今予選において、ミスを乗り越えてGKが覚醒してくれた事、1人だけじゃなく2人のGKの活躍で勝ち点を獲得して「予選突破」という結果を出せた事は、GKコーチである自分にとって大きな自信になりました。今予選の修羅場を乗り越えた事で、GKコーチとしてまた一歩成長できた実感があります。



 それでも…。1つだけハッキリしているのは、チームもGKもGKコーチである自分も…「今のままでは最終予選は勝ち抜けない。W杯には出場できない」…という事。

 最終予選では、世代別代表で世界最強クラスの実力を誇るメキシコ(U-20W杯3位1回、U-17W杯ここ2大会で優勝と準優勝(優勝は過去2回)、オリンピック優勝1回)、言わずと知れた世界的強豪アメリカなどと戦わなければなりません。今回の苦しんだ中米予選よりも何倍も難しい最終予選を勝ち抜くためには、全てにおけるレベルアップが必要不可欠です。


 今回の中米予選を苦しくしたのは、他でもない「自分たち」でした。

 例えば、「退場」。今回の中米予選で退場者を出したのはホンジュラスを含めて2チームしかないのですが、2人も退場者を出したのは全チーム中、ホンジュラスのみ。やらなくて良い無駄な行為を行って退場し、試合を自ら難しくする…。実は全く同じ事が、ブラジルW杯でも起こっていました(初戦のフランス戦でウィルソン・パラシオスが前半終了間際に退場&PK献上。それまで良い内容で戦って0-0で試合が進んでいたのに、これで台無しになり0-3敗北。そして結果的にこの敗北がホンジュラスのブラジルW杯グループリーグの流れを決定付けた事から、ウィルソン・パラシオスの行為はホンジュラスのブラジルW杯全てをブチ壊したと言っても過言ではなかった。また、ロンドン五輪の決勝トーナメント1回戦のブラジル戦でも、先制しながら前半に退場者を出して逆転負けした)。

 これ(いつも退場者が出る)は決して偶然じゃない。感情をコントロールできずキレてしまうホンジュラス人のメンタリティーに問題がある。この問題を「偶然」で片付けず、しっかり「国」として課題意識をもって改善していかなければ、ホンジュラスはまたどの世代の代表においても、同じ過ちを繰り返すでしょう。現在、我々U-20代表では、この課題の改善に向けて全力で取り組んでいます。最終予選までに、必ず改善します。

 

 第2節のコスタリカ戦に出場したGKが好プレーを連発し、初戦でミスしたGKが第3節から立ち直って急成長して神懸り的プレーで予選突破に導いてくれた事で、GKコーチとして一定の信頼と評価を得る事ができました。2人のGKには、本当に感謝の気持ちで一杯です。

 しかし…。それでも僕の中では「パナマ戦のGKのミス」が頭から離れない。腑に落ちない。心がスッキリしない。悔しい。もどかしい…。

 なぜ、あんなミスが起こってしまったのか?どうすれば良かったのか?もし仮に最終予選であんなミスが起こったらW杯には出場できないだろう。確かに今回の中米予選でGK2人は活躍したが、まだまだGKとしての能力の「絶対値」は自分の理想にはほど遠い。最終予選までにもっともっと絶対値を高め、二度とあんなミスが起こらないようにせねばならない。


 「運命の最終予選」は、来年1月自分にとって因縁のあるジャマイカの地で行われます。


 決戦まで、あと5ヶ月…。戦いはすでに始まっています。


 チームもGKもGKコーチである自分も、この5ヶ月間でしっかりとレベルアップし、必ず最終予選を突破して「W杯出場」を果たします。夢を実現します。




 ~ 「W杯出場」の夢は続く ~





① 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第1節。VSパナマ

② 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第2節。VSコスタリカ

③ 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第3節。VSエルサルバドル

④ 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第4節。VSグアテマラ

⑤ 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第5節。VSベリーズ





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