W杯予選の「裏話」。 ③ 現役復帰!? | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

W杯予選の「裏話」。 ③ 現役復帰!?


W杯予選の「裏話」。 ② まさかの…
の続きです。


 
 何が起こるか分からない…。これが「W杯予選」というものなのか…。思わぬアクシデントに見舞われる事となりました。

 第2節のコスタリカ戦に出場したGKが全治3週間の怪我を負って離脱…。2人しか居ないGKの内の1人がプレー不可能となり、残されたGKはたったの「1人」となってしまいました(そもそも「中1日で6連戦」という超過密日程にも関わらず登録可能性選手が僅か18人という中米サッカー連盟の規定に、各国から不満の声が噴出。これではGKは2人しか登録できない)。予選中に他のライバル国に「GKが1人、負傷離脱」と知られるのは非常に危険なので(GKが試合中に狙われて潰される可能性がある)、予選が終わるまでいかなるメディアにも一切、情報は流しませんでした。おかげで最後まで「GKの負傷離脱」は第3者にバレませんでした(ホンジュラスのメディアも協会幹部も、誰も知らなかった)。

 予選の残り4試合は何とか「残った1人のGK」で戦い抜きましたが、困ったのは「練習」でした。「中1日で6連戦」という超過密日程のため、出場を続けているGKに練習で無理をさせる訳にはいきません。しかし試合翌日の練習では、スタメン以外のメンバーにシュートやクロスなどの「GKを使う練習」も行わなければなりません。これを試合に出続けているGK1人にやらせるのは、負荷が高過ぎる…。


 そこで、僕に白羽の矢が立ちました。


 僕が、「GK」(選手)として練習でプレーする事となったのです。

 
 …って、おいおい。「GK」(選手)としてGKグローブを付けてプレーするのなんて「GKコーチ兼選手」だったアルビレックス新潟シンガポール時代以来、2年半ぶり…。しかもこの2年半、「GK」(選手)としての練習は一切、行っていません。一体、体は動くのか…?

 それでも普段「GKコーチ」として選手に偉そうな事を言っている立場上、下手なプレーは見せられません。これで僕のプレーがヘボいと、僕の言ってる事全ての説得力がなくなり、信頼を失ってしまいます。

 よって、かなりの気合いと集中力、魂でプレーしました!!!!!


U-20代表でGK!①


U-20代表でGK!②



U-20代表でGK!③



U-20代表でGK!⑤



U-20代表でGK!⑥



 
 結果、思った以上に体が動いてシュートを止める事ができ、何とか「GKコーチ」としての面子を保つ事ができました。ホッ…。とある日の練習後には、子供が親と共に僕のもとにやって来て「一緒に写真を撮って下さい!」と言われたので、「俺、選手じゃないよ。コーチだよ」と言うと「えっ?」と驚いていました。エルサルバドルの子供に僕の「魂」が少しでも伝わり、本当に嬉しかったです。

 それにしても…。まさか、この歳(34歳)になって、またこうして再び「GK」としてピッチに立つ日がくるなんて、思いもよりませんでした。しかも、U-20代表の練習で。俺「U-35」だぞ(笑)。人生って、本当に何が起こるか分からないですね(特にホンジュラスは)。

 久しぶりにプレーして思ったのは、確かに2年半も練習していないので体は以前よりは動きませんが、「反射神経」などはあまり落ちないものなんだな…という事。

 それと「GKコーチ」として6年近くずっとGKのプレーを客観的に外から見て分析してきたので、それが自然とプレーにも生きましたね。そこから分かるのは、「いかに選手自身も客観的に外からGKのプレーを見て分析する事が大事か」という事。コーチから言われる事をただやるだけじゃなく、「自分の目」で自分のプレーや他のGKのプレーを見て分析し、それを自分のプレーに生かす事が、本当に大事。「これができる選手は凄く成長できるんだろうな」と改めて感じました。こういう作業をホンジュラスのGKたちが行えるよう、今後もGKコーチとしてアプローチしていきます!!久々に「GK」(選手)としてプレーし、たくさんの事を学ぶ事ができました!!

 …てか、久々に「GK」(選手)としてプレーすると、最高に楽しい!!あと、何か凄く「懐かしい」気持ちがして、原点に帰れたような気がしました。予選期間中はずっとこうしてGKコーチ業だけではなく「GK」(選手)としても練習でプレーしていたので、予選が終わってもうプレーできなくなると「もっとプレーしたかったな…」と感じ、ちょっと寂しかったですね(笑)。

 けど、不思議と「また選手として本格的にプレーしたい」という気持ちは沸いてきませんでした。それはおそらく、今、GKコーチ」としての人生に、最高の「充実感」と「幸せ」を感じているからだと思います。

 僕たち「プロ」は、「結果」で生きています。今回の中米予選も、もし敗退していたら(契約条件上)クビになり、すでに「U-20ホンジュラス代表GKコーチ」の肩書きは失っていました。僅か「勝ち点1差」で、首が繋がったんです。正に「紙一重」…。そういう厳しい世界で生きているのです。

 最高の「充実感」と「幸せ」を感じれる今の仕事をこれからも続けられるよう…さらに大きな「充実感」と「幸せ」を得られるよう…これからも魂で結果を出し続けていきます。

 

U-20代表でGK!④





① 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第1節。VSパナマ

② 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第2節。VSコスタリカ

③ 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第3節。VSエルサルバドル

④ 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第4節。VSグアテマラ

⑤ 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、第5節。VSベリーズ

⑥ 【U-20ニュージーランドW杯2015中米予選、最終節。VSニカラグア





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