NOTE/大野輝之&レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える」・・・(5)
*本ブログ管理者2008.8.31撮影
★書誌情報・・・
大野輝之、レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える-アメリカと日本」
(1992年、岩波書店/岩波新書・新赤版215)
:
林立する高層オフィスビル、遠くのマイホーム、破壊される景観・自然・・・。
日本の都市開発は、なぜ生活の質の向上に結びつかないのだろうか。
サンフランシスコなどアメリカ各地の具体例を通して、
徹底した市民参加の手法、
「成長管理」という新しい発想を紹介し、人間の暮らす場を目指した
都市づくりへの指針を明らかにする。。。。。(表紙カバーより引用)
★「開発許可」…日本とアメリカの違い、、、【p.185】
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日本では開発許可を必要とするのは、「土地の区画形質の変更」を行う場合のみ。
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「区画形質の変更」とは?
道路のつけかえや宅地造成のことであり、
直接的な建物の建設ではなく、建物の建設を目的とした宅地造成。
したがって、
宅地造成が行われない限り、日本では
どんな大規模な開発でも開発許可を取る必要は無い。
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すなわち、現状の日本では・・・・・
その建築物が地域にふさわしいか、環境を悪化させないかなどの
裁量的な検討を行うことが出来ない、、、
(だから、「低層の街並みに、突然、高層マンション」みたいな話になる↑冒頭写真)
★「真の住民参加」とは、、、【p.193】
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住民が住みたいと思い、
こうあるべきだと考える都市を創ってゆくという目標を
実行する力が与えられている状態・・・
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アメリカにおいて「住民参加」が盛んな理由は・・・【p.205】
世の中を変えるために、(今、)できることを、
たとえ小さなことでも無駄と思わないできちんとやろうという意識を住民が持つ
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「住民参加」を育む為の具体的手法とは、、、【p.207】
①
動機は何であれ、最終的に公共のために良い効果が得られる行為ならば奨励
②
ある程度の教育を受け、人並みの生活をしている住民に対して
「良き住民」として社会において認め、彼らに非常に大きな満足感を与える
③
退職したお年寄りに
ボランティア活動を通じて社会のために貢献する機会を積極的に活用し、
70歳でも80歳でも生き生きと顔が輝き、
自分の意見をしっかり述べる頭脳の明晰さを維持させる
*
とくにこれからは、
行政や民間ディベロッパーの提案に単に反対するのではなく、
積極的で建設的な対案を提示する力量を持つことが期待される。
市民運動が単なる紋切り型の反対キャンペーンに終わらず、
実現可能性のある代替案を提示するようになれば、
日本の都市づくりの水準は大きく向上するだろう。。。【p.227】
*
県道79号線沿道および神宮町駅南口については
絶対高さ制限解除(商業地域・近隣商業地域)=高層OK!
■但し、地区計画により高層・大型店の立地適否場所・条件を指定(関連記事参照)
↑
架空/御礼野市「マスタープラン(原案の粗いイメージ図)
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歴史的市街地を真ん中に、
隣接する駅前の高容積指定地域に対し、
「高度規制」を設けて、
『新』と『旧』との「調和」のとれた街づくりを目指しているのが特徴。
・・・・・
あとは、
「基幹バスレーン」の設定や、
「武蔵野(台地)の杜」の再現による観光資源(都市観光の「舞台」)化も、
CAMMIYA流まちづくり(架空・妄想都市模型)の『目玉』のひとつである。
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*参考資料リンク
■(街づくり構想)『聖地』+『美味しい国(街)』=「神の国」論
★中央集権制度の「規制緩和」が必要…【p.217】
↓
日本の都市も、それぞれ各々の状況は様々(千差万別)・・・・・
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東京を代表とするような集中問題や過密の弊害に直面する都市もあれば、
経済衰退や過疎に悩む都市もある。
それぞれの状況に応じて、
都市の生活と質の向上
と
地域活性化を両立させる都市づくりを行うためには
自治体の都市づくり権利の確立が不可欠。。。
↓
必要なのは「アメとムチのバランス」・・・
(すなわち)
適切な規制と
誘導の組み合わせ
により望ましい都市開発を実現すること・・・・・
*
1980年代の末から、効率優先の価値規範に疑問をいだかせる事態が広がってきた。
株や不動産のマネーゲームは、
たまたまうまく立ちまわったものが大金を手にすることもあるが、
本質的にはある程度のリスクを担保できる資力があるものだけが参加できるもの…
(結果として、国民の間の資産と所得の格差を著しく拡大)
:
分割・民営化の優等生NTTを巻き込んだリクルート事件や
その後の損失補填問題は、
現実の市場を動かす「神の見えざる手」が決して神聖なものではなく、
実際にはずいぶん汚れたものであることをショッキングに示してしまった・・・・・【p.230】
★都市は誰のためにあるのか?・・・【p.232】
↓
個々の市民が、人間らしい豊かな生活環境を築いていく権利は、
大手の開発業者や大土地所有者のみにあるのではなく、
1人1人の住民にあるはずではないか、、、、、
*本ブログ内関連記事
↓
■NOTE/大野輝之&レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える」・・・(1)
■NOTE/大野輝之&レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える」・・・(2)
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■NOTE/大野輝之&レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える」・・・(4)
■NOTE/大野輝之&レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える」・・・(5)