NOTE/大野輝之&レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える」・・・(1)
かつて、低層長屋タイプだった頃は、月額数千円で借りられた?・・・・・
(仙台市四郎丸市営住宅/本ブログ管理者撮影 ■本ブログ内関連記事参照 )
都市開発を考える―アメリカと日本
林立する高層オフィスビル、遠くのマイホーム、破壊される景観・自然…。
日本の都市開発は、なぜ生活の向上に結びつかないのだろうか。
サンフランシスコなどアメリカ各地の具体例を通じて、
徹底した市民参加の手法、
「成長管理」という新しい発想を紹介し、
人間の暮らす場をめざした都市づくりへの指針を明らかにする。。。
(表紙カバーより、、、)
- 都市開発を考える―アメリカと日本 (岩波新書)/大野 輝之
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★サンフランシスコ「ミッションベイ開発」における賃貸住宅【p.29】
↓
平均所得の8割までの所得層の世帯が払える家賃に設定・・・
↑
東京都庁より初台方向を眺める・・・(本ブログ管理者2009年撮影)
★超高層オフィスを作っても地元の雇用は一向に増加しない。。。
↓
むしろ減少?【pp..34-49】
*
新しい高層ビルの開発が盛んになるにつれ、地価や家賃が高騰し、
小さな街角の安い食料品店、雑貨屋、パン屋や気取らないカフェなどが消え…
:
こうした商店が住民にとって都市生活の重要な要素なのだ。。。
↓
都市開発を市場のルールにゆだね、
なすがままに任せてしまえば、
高い家賃や税金を払える者、収益性の高い事業だけが残り、
「耐えられない者は出ていく」
*
(例)
チャイナタウン=低所得者が住む低家賃住宅が集まるコミュニティにおける
高級高層マンションの建設
↓
その建設の結果、周辺の家賃が上昇し
「2次的な住民の追い出し」が発生する恐れがある…
(1986年NY最高裁判決)
★日本とアメリカの環境アセスメント項目の比較【pp..48-57】
↓
(項目) 日本 アメリカ
大気............................................○....................○
水質............................................○....................○
騒音............................................○....................○
振動............................................○....................△
地盤沈下................................○....................△
悪臭............................................○....................△
土壌汚染................................○....................△
日照............................................○....................○
電波障害................................○....................△
風害............................................○....................△
低周波空気振動..............○....................△
地形・地質.............................○....................○
植物............................................○....................○
動物............................................○....................○
景観............................................○....................○
文化・歴史資源.................○....................○
土地利用................................×....................○
天然資源................................△....................○
災害............................................△....................○
住民移転人口....................×....................○
人口密度増加率..............×....................○
既存住宅への影響........△....................○
新しい住宅需要................×....................○
低所得者向け住宅.........×....................○
住宅の取り壊し.................△....................○
住宅の要改造....................△....................○
住宅の再配置....................△....................○
職住バランス......................×.....................○
交通と駐車場.....................△....................○
消防への負担増..............×....................○
警察への負担増..............×....................○
学校への負担増..............×....................○
公園への負荷....................×....................○
エネルギー負荷...............×....................○
利便性......................................×....................○
健康............................................△....................○
レクリエーション................×...................○
(例)
カリフォルニア州北部フェアフィールド(人口7万人の郊外都市)における
1320戸の分譲集宅開発
↓
・10年以内に4,269人の人口増加
・小学生298人、中学生84人、高校生114人が増加転入
・警察官の必要雇用増8人(24.5万ドルの治安関係予算増)
・下水道処理量増1万トン/日(維持費68万ドル増)
・約18Kmの新道建設必要(4400ドルの維持費増)
・消防署分署の新設必要(50万ドル)
・市の年間消防予算増(14万ドル)
・公園増設費(103.6万ドル)
・レクリエーションおよび事務管理費増(2.7万ドル)
・公園維持費増(5.9万ドル)
・その他費用増加額(約19万ドル)
↓
結局、これらの経費の増加は
開発事業のもたらす税収などの増加を上回り、
差し引き自治体負担8万ドル/年も純増することが明らかになる…
商業(歴史的街並み、駅ビル)、オフィス、住宅(マンション、1戸建て)、緑地(公園)…
:
そして、
基幹交通機関(高規格鉄道、快速バス)・・・
を
併せて配置した、■本ブログ流?駅前開発(妄想模型)
★アメリカで行われている「影響緩和措置」・・・【p.63】
↓
最近、日本に最もよく紹介されているのは「住宅リンケージ」
:
これはサンフランシスコやボストンなどの市が採用しているもので、
オフィス開発を行う際には一定数の低廉な家賃の住宅供給を義務付ける制度。
*
オフィス開発が従業者を増やし、住宅需要を増加させて
住宅価格・家賃を上昇させることへの緩和措置と位置づけられている。。。
↓
一歩突っ込んで、、
その経済振興で地元の誰が得するのか?
:
増大するといわれる雇用機会とは誰のためのものなのか??
:
低学歴で技術を持たない住民が雇ってもらえるのか???
:
それとも郊外からの通勤者向けの仕事なのか????
↑
これらをハッキリさせないと、
(この開発事業が損か?得か?の…)本当の答えは出てこない。。。
【p.66】
*本ブログ内関連記事
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■NOTE/大野輝之&レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える」・・・(1)
■NOTE/大野輝之&レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える」・・・(2)
■NOTE/大野輝之&レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える」・・・(3)
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■NOTE/大野輝之&レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える」・・・(5)