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【書評】大事なことはすべて記録しなさい

ノート術や手帳術などの本を読み、そうした書籍の中で紹介されている方法論などを断片的に取り入れて、自分の必要としていることを「記録」しているような気になったりしていた。

けれど、本書のような「記録」にフォーカスした本を読んで、「あれ? 実は全然「記録」してきていなかったのではないだろか……」という焦りに近い感情を抱いた。


本書の著者である鹿田さんは、「読むが価値」 という人気書評ブログを運営し、アルファブロガーのお一人として有名な方。

また、主宰されている「聞くが価値」などの勉強会も盛況で、その活躍ぶりはメディアでも取り上げられている。

個人的には、「読むが価値」の一読者であり、「聞くが価値」の一参加者として、懇親会などでもお話させていただいたことがあるが、その若さに似合わない(失礼)落ち着き振りが印象的な方で、「元国会議員公設秘書」という肩書きが似合い、「記録」をテーマにした本をお書きになると聞いたときも、もの凄く納得できた。



そんな鹿田さんのデビュー作である本書、一読してまず思ったことが、「お、使っている道具(ノート系)結構似ているなあ」ということ。

全然本質的じゃないところなのが何だけど(汗)。


例えば、鹿田さんが勝負用のメモ帳として使っているのは、



なんだけれど、僕もこれの方眼バージョンを使っている。


だから何だと言われてしまうと、何でもないわけだけれど、こうした角度から親近感を持ちつつ、鹿田さんの提唱する「記録」の世界に入り込んでいくことも悪くはないだろう。


ただ、同じような道具を使っていたとしても、その使い込み度合いというか「記録」の徹底度合いには雲泥の差があり、見習うべき点が非常に多かった。


まず鹿田さんの「成果につながる、記録の5つのルール(原則・方法」をご紹介。

ルール1 【大事】 大事なことはすべて記録する

ルール2 【時系列】 日付と時間を書く&整理・分類しない

ルール3 【シンプル】 「箇条書き」&「単語」(キーワード)で書く

ルール4 【1×1】 1つのページに、1つのコンテンツ

ルール5 【読み返す】 1日5分、記録を読み返す

この原則を押さえた上で、紙のメモ帳やら携帯メール、パソコン、音声データなど、色々なツールを駆使しながらとにかく「記録」していくことを実践している。


僕は、紙のメモ帳もすべて「記録」されているとは言い難いし、当ブログも当初は自分自身の読書の「記録」の為に始めたけれど、やはり読者の目を意識するようになると、自分の為だけの「記録」とは多少趣が異なってこざるを得ない。

そもそも、僕のブログは読んだ順の時系列になっていないし、シンプルですらないし、そういえば、自分自身の書いたことを読み返すということもあまりないなあと…… ダメじゃんorz


どうせブログに書くんだから読書ノートなんて書かなくてもいいやとか思っていたのだけれど、本書を読んで先に書いたような事実を再認識させられると同時に、読書ノートの必要性を感じた。

特に、ブログは、「隙間時間に見返す」という観点からするとあまり便利ではないと感じていて、ブログと読書ノートの両用の必要性はそんなところが大きい。

今メモに書いているブログの構成案なんかと併せていくと、両者の連携が取れていい感じになるかもしれないと思っているので、ちょっとこれからは私的な「読書ノート」も「記録」に主眼を置いて作ることにする。


その際に役立てたいフレームワークが「PEマーキング読書術」。

PREP法

「P」……ポイント(Point)

「R」……理由(Reason)

「E」……エピソード(Episode) たとえ話(Example)

「P」……ポイント(Point)

ビジネス書というのは、大抵この要素で成り立っているので、メモの上では特に「P」や「R」に気をつけたいところ。

「E」は事例として今後も他のところでも引用したい面白いものに絞っていく。

これが、鹿田さんも本書で言っているし、小飼弾さんや佐藤優さんも言っている「差分読書」のベース知識として蓄積されていくものになる。

ちなみに、鹿田さんはビジネス書ならば1冊15分程度で読めてしまうとのこと。

それでいてあれだけの書評記事をお書きになれるということが、「記録」の力が発揮されている一例としては、十分すぎるほどの効果を具現化している。

参考: 【書評】空気を読むな、本を読め。  [記事] 時間を圧縮した本の読み方



また、「記録することで得られる、6つのメリット(RECORD効果)」は、是非知っておきたいポイント。

効果1 【Remind(再現)】 読み返せる、マニュアル化できる

効果2 【Evidence(証拠)】 トラブル回避&実績を示す

効果3 【Consider(熟考)】 書きながら書くことで、自然と深く考える

効果4 【Overlook(俯瞰)】 続けることで違いが見え、そして速くなる

効果5 【Report(伝達)】 正しく速く伝えることができる

効果6 【Database(蓄積)】 保存・記憶から解放される

自分がいかに「記録」というものをしている「つもり」であり、そのメリットを享受できていなかったかを思い知らされる。


特に、効果2の【Evidence】としては、そのつもりで当初から書いていないと僕の場合は役に立たないことが多い。

本書で鹿田さんが例として『社長をだせ! 』の川田さんの言を紹介しているのだが(こういった引用の豊富さは「記録」のメリットの発揮だと思う)、「人の発言よりも、自分の言ったことを記録しておくこと(p.200)がコツなのだそうで。

この本、僕も読んだはずなのに全く印象に残っていないなあなどと思いつつ(汗)、メモを取るときに自分の発言をメモすることってほとんどなかったことに気づく。

(質問しようと思ったことはその時にメモをしておくので、メモ帳に残っているがそれはまた別の観点。)

これも小さなことかもしれないけれど、取り入れておくだけで随分と再現性に違いが出てくるだろう。



ほんの一部だけ紹介させていただいたけれど(これも僕が読書ノートを必要とする理由。何せ全部紹介しているとブログ執筆にかかる時間が膨大になるので、本来書籍から得られたことの一部しか書けないことが多い。)、まずは「記録」を始めてみることが何にも代えて大切。

本書で提示されている内容は、仕事だけではなく、他のいろいろなことに活かせる考え方なので、ビジネスパーソンに限らず、多くの人に本書を読んでもらいたいと思う。

「記録」が人生の突破口の足がかりを築いてくれるという考えに、きっとなる。



追伸:

いつもよりも「PREP法」を意識してエントリー記事を書いてみたけれど、どうだろう…。



【関連リンク】

著者ブログ: 鹿田尚樹の「読むが価値」


【基礎データ】

著者: 鹿田尚樹

出版社: ダイヤモンド社 2009年11月

ページ数: 219頁

紹介文:

あらゆるツールを使ってただ記録するだけ

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整理しない! 分類しない! ファイリングしない!


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