知的体育会系の3つの掟 - 書評 - 「見える化」勉強法
テーマ:仕事術ビジネスパーソンが取り組む自己啓発において人気が高いものの一つに、有名戦略コンサルタントファーム出身者などが駆使するメソッドがあります。
「ロジカル・シンキング」や「MECE」、「仮説思考」など、当ブログの読者層の多くは関連書籍を読んだことがあるのではないでしょうか。
そうしたメソッドを使いこなすコンサルタントの思考法や発想法、勉強法なども大変人気のある分野であり、僕ら非コンサルタントであるビジネスパーソンが、いかに憧憬を抱いているかということの表れだと言えそうです。
本書も、外資系戦略コンサルティングファームであるローランド・ベルガー日本法人において会長を務められている遠藤功さんによる「勉強法」です。
そもそもコンサルタントもの好きな僕ですが、特に遠藤さんについては『現場力を鍛える 「強い現場」をつくる7つの条件』や『見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み』などを読んだ際、こんな人の下で働いてみたい、と思ったことがあるくらいの方です。
一も二もなく入手しましたが、意外さから始まりながらも、納得の「勉強法」でした。
ドキッ!!(笑)戦略コンサルタントの「武器」であるかのように思われている論理思考や仮説思考はけっして万能ではなく、かえって本当に大切なものを見失わせているのではないかと、私は危惧の念を抱いています。(p.6)
自己啓発書に触発されて、下手な理屈をこねくり回したり、質の低い仮説を振り回しても、ものごとは何も変わりません。薄っぺらい論理や底の浅い仮説には、何の価値もないのです。(p.7)
言われてみればごもっともな話ですが、身に覚えがないとは言い切れません……。
特に、20代で今よりももう少しだけ若かりし頃、自己啓発ブームの走りの中で、色々と読み漁っていた自分の姿がフラッシュバックしてきます。
知識として不要だとまでは思いませんが、そんなことよりももっと大切なことがあるわけです。
僕らが「戦略コンサルタント」にある種の憧憬の念を抱くのは、そこに「プロフェッショナル」のイメージが重なりやすいからだと思います。私は日頃、戦略コンサルタントは「知的体育会系」だと言っています。頭脳はもちろん大切ですが、体力、馬力がなければ、せっかくの頭脳を活かすことはできません。(p.45)
常に新しいことを勉強し、自分の力を高める努力を続けなければなりません。頭の良さや、天性の思い付きの良さ、直感力などだけで勝負できるほど甘くはありません。常に勉強し続けることが当たり前であり、その努力を怠れば、プロとしては失格の烙印を押されてしまいます。(p.89)
当たり前のことではありますが、その裏側には「体育会系」という名に相応しいくらい、不断の努力が求められているのです。
僕は戦略コンサルタントではありませんが、「知的体育会系」には自分も入りたいと思います。
「知磨き」くらいでは優しすぎるかもしれませんが(笑)
そこで、遠藤さん流の知的体育会系の掟ともいうべき、勉強法のキーワードを簡単にまとめて、実践の一助にしたいと思います。
1. 「現場」で動け!
コンサルタントと現場(クライアント会社)の関係は、本社部門と現業部門の関係に似ています。机にしがみついて、仮説をひねり出そうと悩むぐらいなら、まず「動く」べきです。現場に行き、自分の眼で現場を見て、人の話を聞き、肌で感じることを何より優先すべきです。(p.43)
ビジネスとは「人を動かす」ことです。人を動かすためには、まずこちらが汗をかかないといけません。理屈だけで人を動かすことは困難です。労をいとわない活動量の多さ、瞬発力、持久力、そしてそこから生まれてくる現場感という圧倒的な価値。それに突き動かされて、人は動き始めるのです。(p.46)
僕はずっと本社部門にいますが、実は、当初「企画部門」で働きたいと思っていたときには、そういう「現場」で汗をかくということは想像していませんでした。
しかし、実際に働いてみて思ったことは、プロジェクトで一緒に現場で汗をかいた経験を経たからこそ、相互に信頼感を築いて仕事を進めることができるようになったということです。
一時期、「会社で一番働いている人」という認識をされるくらいの働き方をしていたこともあります。
当時は必死でしたので、それによる効果など考える余裕はありませんでしたが、そういうものが現在も含めて後々まで効いているのだろうなとも思います。
2. 「見える」化して考えろ!
個人的には、ライフログノートやスマートフォンの導入など、他の人の目に触れるか触れないか関係なく、アウトプット(=「見える化」)を行いやすい環境は整ってきました。勉強・学習という過程において、自分の頭の中を吐き出して、常に「見える」状態にする。生煮えの考えや稚拙なアイデアでもまず書き出してみる。そして、そこからさらに考えを深めていく。それが私のやり方です。(p.11)
自分独自のフィルターを通して、「加工-編集-創造」を実践することが、発信型の勉強です。この「知の創造」プロセスこそが発信型の勉強の核心であり、あなたの思考力や論理力を鍛えてくれるのです。(p.99)
「思う」は、頭の中に思い浮かぶことですが、それを頭の中に閉じ込めておかないで、言葉にして吐き出す作業が必要です。私にとって、この作業こそが「考える」ということなのです。(p.121)
ただ、ライフログノートを見返したりしていると、まだまだ生煮えの考えなどを「見える」状態にする、という点においては足りていないなあと思わざるを得ません。
頭の中にあることを意識的にノートに落としていくということを、一度無理やりにでも義務付けて、習慣化するようにしないといけないかもしれません。
3. 「器」と「引き出し」を大きくしろ!
これは、今年の僕の中の大きなテーマです。一流のビジネスパーソンになるためには、より広い領域にアンテナを張り巡らせ、自分にとっては異質な情報や知識にも目を光らせることが大切です。(中略)自分にとっては異質な情報や知識を取り入れる努力を積み重ねていくことにより、ビジネスパーソンとしての「器」が作られていくのだと思います。(p.97)
「引き出し」とは単に手法や方法論を参考にすることではありません。「お手本」となる好事例の背景にある考え方や物の見方、すなわち、原理原則を学び、活かすことが大切なのです。(p.172)
読書の幅を大きく広げていこうというのもその一つですし、単なるベストプラクティスの模倣ではない、「論理」「ストーリー」を軸とした体系化もそうです。
※ 『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)』
一流のビジネスパーソンというよりも、一人のプロフェッショナルとしての価値を高めたい、と思ったときに、こうした取り組みはせざるを得ないだろうとも思っています。
いずれも、目新しい「掟」ではないと思います。
しかし、肝心なことは、「体育会系」のクラブに入った新人の如く、ただひたすらに耐え、やり抜くことができるかどうかということです。
「体育会系」の教えは厳しいですが、それを乗り越えた先にあるものの素晴らしさもまた格別なはずです。
是非、ともに「知的体育会系」の一人として、自分自身を鍛えていきましょう。
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著者サイト: - Isao Endo 遠藤 功
■ 第78回書評ブロガー達が勝手にインパク本レビュー
本レビューは本魂!(ホンダマ)が企画するイベントで、同じく参加されているブロガーの方々のレビューは以下のとおりです。
是非、それぞれのブロガー独自の視点を比べて楽しんでもらいたいと思いますが、さらに、本書をお読みいただき感想を聞かせていただけたら、非常に嬉しいです。
本魂!~読み手が主役の出版を目指す、著者・出版社が無視できない本好き集団~
【営業のコトバ屋】本の抜粋書評使えるコトバをあなたに!
知磨き倶楽部~読書で「知」のトレーニングを!~
人が好き!本が好き!運動が好き!
■ 基礎データ
著者: 遠藤功
出版社: 日経BP社 2010年7月
ページ数: 316頁
紹介文: 「MBA」でも「難関資格」でもない、ビジネスリーダーが本当にやるべき「頭と身体の鍛錬」。外資系戦略コンサルタントの第一人者がその独自の手法をすべて公開。
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■書評■ 未来のスケッチ (2010年3月20日)
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