アドベンチャーゲーム研究処アワード2009 | アドベンチャーゲーム研究処

アドベンチャーゲーム研究処

アドベンチャーゲーム(AVG・ADV)の旧作から新作まで、レビュー+紹介を主として取り上げるブログ。(更新は不定期)
取り上げる範囲は家庭用のみです。

【概要】
2009年にリリースされた私がプレイした作品を独断と偏見で優秀作品を選出。
対象となる作品は、2009年発売の“新作”ADVであること。

アドベンチャーゲーム研究処アワード2008

【Best DS Adventure Game】

有罪×無罪
DS『有罪×無罪』
販売・開発 NAMCO

今年はこの『有罪×無罪』を筆頭に昨年と比べるとDSでの良心作が多かった。
だがその反面、良心作止まりで1年を代表する傑作と呼べるタイトルは不在という印象で、
このDS部門は良作があるからこそ「該当作なし」も避けられないため選考はかなり難航。
『極限脱出 9時間9人9の扉』『逆転検事』なども候補として拮抗したところにあったが、
ゲームデザインの上手さ、その完成度の高さからこの『有罪×無罪』を選出。
はっきり言えばゲームとしてもビジュアルとしてもかなり地味な作品ではあるし、
真実ルート外になった場合のはまりポイントや
ストーリーの起承転結の固定化など、気になる部分も多いのだが、
“推理させる”というコンセプトを一貫する作品はDSでは珍しいのでそこを評価。

DS『有罪×無罪』(レビュー)

(候補作 『極限脱出 9時間9人9の扉』『名探偵コナン&金田一少年の事件簿 めぐりあう2人の名探偵』など)

【Best PSP Adventure Game】

銃声とダイヤモンド
PSP『銃声とダイヤモンド』
販売 SCE 開発 ZenerWorks

2009年は『流行り神』『神宮寺三郎』などのシリーズタイトルや、
『おおかみかくし』『遠隔捜査』などの新規作品もかなりの数が発売され、
恐らくPSP史上では最もADVが盛り上がった年かと思うのだが、
移植の『428 ~封鎖された渋谷で~』を除いた場合は、
質的にはDSと同じくそれほど目立つタイトルはなかった。

その中でもコレは。という作品を選考していった結果、
麻野一哉が監修した交渉ノベルADV『銃声とダイヤモンド』を選出。
アドベンチャーの肝であるシナリオと演出の能力が高く、
キャラクターの掛け合いも楽しく、快適にテキストを読むことが出来る、
ストーリー周りはとても良心的な内容となっている。
最大の短所は、交渉のゲーム部分が全くといって良いほど面白くないこと。
そこがとても残念であり、この作品の限界でもある。

PSP『銃声とダイヤモンド』(レビュー)

(候補作 『探偵神宮寺三郎 灰とダイヤモンド』『遠隔捜査 -真実への23日間-』など)

【Best Video Adventure Game】

該当作なし。

(候補 Wii『アナザーコード;R 記憶の扉』など)

【Best Character Adventure Game】

名探偵コナン&金田一少年の事件簿 めぐりあう2人の名探偵
DS『名探偵コナン&金田一少年の事件簿 めぐりあう2人の名探偵』
販売 BANDAI 開発 SPIKE

今年もキャラクターゲームはかなりの数が発売されたものの、
一昨年からの作家ブーム、そしてアニメのメディアミックスからなのか、
相変わらず大方は“原作つき”の領域からはでていない作品が多かったが、
この『名探偵コナン&金田一少年の事件簿』は、
有名原作同士のコラボレーションということもあってか、
他の企画倒れな作品と比べて、良心的なシナリオや世界観とファンサービスが出来ており、
09年に発売されたキャラクターゲームでは頭1つ2つ出た完成度だった。
ただし、単体のゲームとして見るとやさしすぎる嫌いもある。

キャラクターゲームとしては『相棒DS』も良かったのだが、
如何せんあちらはファンアイテムという趣の強い作品なので落選。

DS『名探偵コナン&金田一少年の事件簿 めぐりあう2人の探偵』(レビュー)

(候補 『相棒DS』など)

【Good Graphics Game】

逆転検事(通常版)
DS『逆転検事』
販売・開発 CAPCOM

今年のグラフィック面では、この『逆転検事』を評価。
バストアップの人物がアニメーションするのは『逆転裁判』と変わりないものの、
複数の登場人物を携帯機の狭い画面上に表示しつつアニメーションさせるため、
これまでの正面ではなくやや斜めからの方向にキャラクターを映すことで
キャラクターのアニメーションに使う面積を軽減させる工夫。
全体像のキャラクターを操作するパートでのアニメーションが、
格闘ゲームにノウハウのあるアークシステムワークスを招いただけあって、
かなり豊富なパターンがあり眺めるだけでも楽しい仕掛け。
内容こそは『逆転』シリーズとしては物足りなさが残るものの、
ビジュアル面では携帯機の中ではかなりの頑張りを感じさせる作品だった。

DS『逆転検事』(レビュー)

(候補 DS『ナナシノゲエム 目』『AGAIN FBI超心理捜査官』)

【Good Sales Game】

スローンとマクヘールの謎の物語
DS『スローンとマクヘールの謎の物語』
販売・開発 LEVEL5

09年のグッドセールスは間違いなくこれでしょう。
有名な「ウミガメのスープ」などで知られる平行思考パズルをDSでゲーム化という、
ストーリー性を推した既存のアドベンチャーとはかなり違う方向性に進みながら、
初週から好セールスを記録して3ヶ月ほどロングランしており、
昔ほどではないが初動型の多いアドベンチャーというタイトルでは異彩を放った。
今年はシリーズタイトルこそ数字を出した作品が目立ったものの、
新規タイトルは、ほぼ壊滅的だったことから考えても、
2009年という時代の象徴ともいうべき商品であり、
アドベンチャーゲームだったのではないだろうか。

(候補 DS『逆転検事』『レイトン教授と魔神の笛』PSP『おおかみかくし』など)

【新人賞】

極限脱出 9時間9人9の扉
DS『極限脱出 9時間9人9の扉』
販売 SPIKE 開発 CHUNSOFT

『EVER17』の脚本で知られる打越鋼太郎を脚本・ディレクターに招いた、
チュンソフトのアドベンチャーでは初の携帯機オリジナルだった作品。

脱出ゲームを題材としたかなりクラシカルな設定の作品だが、
難易度自体はそれほど高くないため敷居は低めに設定されている。
分岐ものにありがちな「次にすべき行動」がはっきりしないという状況も、
「部屋の順序」という形で可視化しており、非常に遊びやすい。
密室からの脱出劇という面では打越の代表作である
『EVER17』などで有名なinfinityシリーズを髣髴とさせるものの、
根は美少女ゲームだったinfinityよりも雑音は少なく万人受けはできる内容で、
周回プレイへの不満や、シナリオの不整合や食い足りなさなど、
粗となる部分がはっきりとしているぶん“伸び代”も感じるため、
今年の新人賞は迷いなしでこの『極限脱出 9時間9人9の扉』だ。

(候補 なし)

【ADVENTURE KENKYUDOKORO Award 2009】

該当作なし。

(候補 DS『極限脱出9時間9人9の扉』PSP『銃声とダイヤモンド』など)

【総括】

ということで、今年はアワード作品は「該当なし」となった。
その理由は「凡作が多かった」というよりも、
冒頭から言ってる気がするが、「良心作どまり」の作品が多かったのが原因なのだが、
一番話題を呼んだXBOX360の『Steins;Gate』をハードを持ってないために
私がプレイすることができなかったため選考外にしているのて、
これを今年の評価としてしまうのも疑問の余地あり。
なんというか『Steins;Gate』は私にとって今年最大の失策であり遣り残しとなってしまった。

とはえい今年は携帯機の主要タイトルはほぼカバーしていると思うので、
この結果を選ばざるを得なかったのは私としては素直に残念。
来年のソフトには話題作も既に予定されているので、
それらの作品の質と2010年と言う時代の顔を持った個性に期待したい。
また昨年は据置き機もハード別に選考していたのだが、
今回は「Video Game」に一まとめになっている。
話題作が出たものの、据置き機の衰退は昨年より一途。悲しいというか、嘆かわしい。

Steins;Gate(シュタインズ・ゲート)(通常版)
XBOX360『Steins;Gate』
販売 5pb. 開発 NITRO PLUS/5pb.

【コメント】
09年は選考にはかなり迷いがあった年かな。
最初から決まってたのは新人賞・Good sales・BestPSPの三つのみだ。



最終更新間近ということで!
…あえてコメントは控えておこう!