福岡市の福祉乗車証制度の変更について話題になっているので、今回は運賃の障害者割引について考えてみたいと思います。
福祉乗車証というのは、障害者の外出支援ということで市町村が行っている運賃の補助制度です。
福岡市を含め、東京、大阪、名古屋など、多くの主要都市で同様の制度が設けられています。
僕の住んでいる大阪市でも、市内在住の障害者に、身体障害なら1~4級を対象に無料乗車証というのを交付しています。これを提示すると、大阪メトロの地下鉄とバス(旧・大阪市営地下鉄・バス)を無料で利用できます。1人でも利用できますし、あわせて介助者1名分も利用できます。
車やバイクの免許を取れず、自転車も運転できない弱視の僕としては、1駅でも気兼ねなく利用できるこの無料乗車証はとてもありがたい存在です。
一方、財政負担から、いずれ制度が縮小・廃止されるかもしれないなぁ、とも危惧しています。
今回の福岡市の例がまさにそうですね。
ところで、電車やバスの障害者割引には、市町村が行なう福祉乗車証制度のほかに、各鉄道会社が独自に設けている制度もあります。これは、「障害者が単独で利用する場合」「障害者が介助者と一緒に利用する場合」に分けて考えるとわかりやすいでしょう。
■障害者が単独で利用する場合
1.バスは、ほとんどが半額となります。高速バスは、路線によって適用される場合とそうでない場合があるようで、格安路線は適用外になるケースが多いようです。
2.101キロメートル以上利用する場合は、半額となります。これは、ほとんどJRでの話ですね。例えば東京から大阪へ新幹線で行く場合、新幹線特急券の料金は割引されませんが、乗車券は8,750円が半額の4,380円となります。
3.101キロメートル未満の場合は、ほとんどの鉄道会社では割引はありません。ただし、ゆりかもめや名古屋市営地下鉄などごく一部の鉄道会社では単独でも半額となるそうです。この点が一番紛らわしく、勘違いされている方も多いようです。
■障害者が介助者と一緒に利用する場合
基本的に半額となります。つまり、1人分の料金で2人利用できるということですね。
「障害者が介助者と一緒に利用する場合」は簡単に理解できますね。要は、本来は1人で移動するところを、障害を理由に介助者をお願いするのだから、その場合は1人分の料金でいいことにしましょう――という考えです。
一方、「障害者が単独で利用する場合」は複雑です。なぜこのような仕組みになっているのか、僕にもわかりません。
そもそも、1人で移動するのに割引や補助は必要か、という議論もあると思います。
僕の場合は、「車やバイク、自転車が利用できない代償として与えられているものだ」と理解しています。ただ、東京から大阪など長距離の移動での障害者割引は、それでは説明がつかないかもしれません。
また、障害にはいろんな種類があります。車椅子利用者なら、車を運転できる人もいます。そういった方は、なぜ障害者割引を受けられることになっているのか…。
できるだけ公平で、負担を平等にするような制度が必要だと思います。
既存の制度に甘えず、かと言って何でも叩くのではなく、どういった制度が必要なのか、障害者と健常者が一緒に考えていくべきではないでしょうか。そんなことを感じています。