共同通信は5月31日、JR東日本社長インタビューを掲載し、JR東日本がこの秋にも運賃値上げを国へ申請する予定であることを報じました。今回はこれについて考察します。

 

1.運賃改定の内容について

 先日JR西日本も運賃改定を行う旨を公表しましたが、こちらは運賃体系の整理がメインで、値上げを目的としたものではありませんでした。

 

 

 運賃改定の内容について、考えられることを挙げてみます。あくまでも当局の推測ですので、予めご了承ください。

 

(1)「東京山手線内運賃」の廃止

 東京近郊では、通常運賃より割安な「電車特定区間」という運賃体系が導入されています。さらに、山手線内についてはそれよりも割安な「東京山手線内」という運賃体系が導入されています。

 ※電車特定区間の範囲(JRホームページから引用)

 JR西日本の京阪神エリアでも、長年通常運賃のほかに「電車特定区間」と「大阪環状線内」運賃という体系が運用されてきましたが、来春でもって「大阪環状線内」運賃は廃止されることになりました。

 それも参考に、「東京山手線内」運賃も廃止されるものと思われます。

 

(2)「電車特定区間」のエリア見直しはあるのか?

 続いて気になるのは、「電車特定区間」の見直しです。東京の電車特定区間も、国鉄時代から変化はなく、近年の利用実態に合っていないのではないかという意見も上がっています。

 また、横須賀線や中央線系統は電車特定区間が広くとられている一方、埼玉方面は大宮までしか電車特定区間に含まれておらず、「不公平だ」との声もあがったことがあります。

 こうした電車特定区間の見直しが行われるのかは分かりませんが、不公平感の解消のために、一度電車特定区間を見直すほうがよいのではないかと考えます。

 

(3)「特定区間」はどうなる?

 京阪神エリアにも言えることですが、実際のところ首都圏においても、上の運賃表によらず、指定された区間については「特定区間」として、別に運賃が定められています。

 例えば、品川~横浜間(22.0km)の運賃は、本来であれば電車特定区間の運賃が適用されて410円となりますが、実際は「特定区間」として別に決められており、310円となっています。並行私鉄との競合のために設定されていることが多いです。

 JR西日本の運賃改定では、この「特定区間」の運賃は原則変更なしということになりますが、JR東日本は値上げを目的とした運賃改定を企図しているため、この特定区間の運賃も変更される可能性があります。

 

〇まとめ

 いかがでしたでしょうか。このインタビュー記事から確実に言えるのは、JR東日本の首都圏エリアにおいても、運賃体系の見直しがかなり具体的なレベルまで検討が進められているということです。

 恐らくJR西日本の京阪神エリアと足並みをそろえて、来春に運賃改定がなされるものと思われます。また詳細が分かり次第、解説記事をアップしたいと思います。