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ルパン三世の心理学。(感動の正体)

こんばんは。ゆうきゆうです。

突然ですが、「ケアレスミス」って、なんか名前みたいに感じませんか?

アダム・スミス。
ウィル・スミス。
エアロ・スミス。
ケアレ・スミス。

そんなことを考えているあいだに今日も一日が過ぎました。最悪です。

こういう風に、何かの言葉が全体的な意味を失い、別な意味に感じられたりす
ることを、「ゲシュタルト崩壊」と言います。

たとえば「ぬ」や「尋」などの文字をずーーーーーーっと見ていると、なんか
言葉とかではなく、ヘンな記号や形みたいに見えてくるようなものですね。

うん。
ゲシュタルト崩壊で過ごした一日。

そう表現すると、なんか荘厳な一日みたいです。
世界の終末みたいな。


………。


    世界が終わるとき、君は、何を想う…。

       『ゲシュタルト崩壊の日』 今夏ついに公開――――。




一瞬で映画の予告編まで浮かびました。

主演はもちろん、ケアレ・スミスです。

自分でも危険だと思います。自分の大脳。


………。

三度のメシより妄想大好き!(←キャッチコピー)
ゆうきゆう、ゆうきゆうでございます!

予定調和のようにやるせない気持ちになりつつも、今夜もセクシー心理学の世
界をお届けいたします。


◆ ルパン三世の心理学。

あなたは、「ルパン三世」というマンガをご存じでしょうか。

たぶんこれにNOと答える方は少ないのではないでしょうか。
何度も映画化・テレビ化された、ルパンの孫であるルパン三世を主人公にした、
モンキーパンチ原作のマンガです。

今日は、このマンガの中のエピソードから、人の心理について学んでみましょ
う。


◆ 幼稚園児は何を見る?

僕が最初にルパン三世をテレビで見たのは、小学生のころでした。

しかし見始めて半年くらい経った時です。
ルパンが、自分のことをこう言ったのです。

「俺は天下の大泥棒、ルパン三世だ!」

僕はこのときに、はじめて知りました。

「あぁ、このルパンという人の仕事は、泥棒だったんだ」と。

というか、半年に渡って、お前は何を見ていたんだ、と。
どれだけ気がつかない期間が長いのか。

そのときから、鈍い子供だったんだと思います。

また、

「五ェ門」は刀の名人、「次元」は銃の名人という特徴があります。

でも。
ルパンは、銃を使ってます。

これを知って、小さい頃の僕は思いました。

「次元と、かぶってるじゃないでちゅか!」

うん。
さすがにそこまで赤ちゃん言葉ではありませんでしたけど。小学生ですし。

いずれにしても、ツッコミたい気持ちで満載でした。

「それに次元ほど射撃がうまくないなら、ルパン、いらないじゃん!」

そんな風にも思っていました。


実際に幼稚園児の子供に、
「君の友達ってどういうコ?」
と聞くと、たいていは「●●を持っている子」というように、「持ち物」など
で判断します。

能力・内面などの要素は、ほとんど目に入らないわけですね。

五ェ門は刀、次元とルパンは銃、というのは、まさにその考え方。

その考えで行くと、幼稚園児には、ルパンの特徴はつかめないわけです。

うん。小学生になってもそこから脱せなかった自分は微妙ですが。


今から考えると、彼の最大の特徴は「知性」で、その頭脳によって、さまざま
なトリックやお宝をゲットしていく過程こそが見せ場。
彼がいないと、ドラマはほとんど何も始まらないわけです。

◆ 奇跡の、正体とは。

さて、このルパン三世には、さまざまなエピソードがありますが。
ここでは、個人的にもっとも心動かされた話を紹介します。


それこそが「開かれる千年の輝き」という回。

ある神社には、数百年に一回、「奇跡」が舞い降りると言われていました。

その奇跡が舞い降りた直後は、いつも人類が飛躍的な発展を遂げる…。
そんな伝説がありました。

よってルパンたちは、その奇跡の正体を盗もうとして、神社に忍び込むわけで
す。

そこには神社の跡取り娘がいて、巫女として働いています。

ルパンを見つけた彼女は、
「こんな生活はイヤ! ルパンさん、私をここから連れ出して!」と頼みます。

ルパンはそれを断ります。

まぁ、このへんはあまり重要ではありません。

メインは、奇跡の正体です。


そんなこんなのうちに、その「奇跡」を一目見ようと、たくさんの参拝客たち
が訪れます。
みんな、毎日に疲れて、希望をなくした人たちばかり。


そんなとき。
その「奇跡」が起こるのです。

奇跡の正体とは、その神社の中からしか見えない「神々しい朝日」。

その風景こそが、奇跡であるというわけです。

輝くばかりの朝日を見て、参拝客たちは全員、涙し、希望を思い出します。
その結果、明日からもう一度頑張ろう…という気持ちになります。

そのため、今までも「奇跡」の直後には、文明が発展していたわけです。


そしてその巫女も、自分は単に逃げていただけということに気がつき、今の日
々を一生懸命生きることが重要だと思い直しました。


そして、奇跡の正体を知ったルパンは、それが盗めないと分かると、神社から
立ち去ろうとします。

それにたいして、巫女は言います。

「ルパンさん!? あなたは何も感じなかったんですか? あなたは、あの風
景に、何が見えたんですか?」

すると、彼は答えます。

「みんなと同じさ。あえて言うなら、『未来への希望』かな?」

そして彼は、言葉を続けます。

「でも、そんなのはさ。もともと持ってて当たり前のモンじゃないか?」




◆ 感動するのは…?

これは、自分にとって衝撃的なセリフでした。


参拝客たちは、感動した。
しかしルパンだけは、感動しなかった。

何かを見て、感動するというのは、それを忘れていた証拠。

でも、ルパンは、自由奔放に生きている。
希望を常に持って、毎日を過ごしている。

だから、あらためて希望を思い出して、感動することはない…。

このエピソードが、個人的にかなり強烈に記憶に残っています。
読んだのはずっと昔ですが、いまだ色あせることはありません。

◆ 感動は、飢えた人への水。

人は「落差」にこそ感動します。
これを心理学では「ゲイン・ロス効果」と言います。

ノドが渇ききった人間に水を与えられたら、その相手は感激し、感謝するはず。
逆に普段から水を飲んでいる人なら、そこまで感激することはありません。

感動も、それと同じです。

そして自分自身、このエピソードで感動してしまったということは、そのとき
に希望を忘れていた可能性が高かったわけです。うん。負けてたまるか。

そしてもしあなた自身が今回の話を読んで、もし少しでも心動かされたのなら、
やはり希望を忘れていた可能性が大です。

逆に「そうかぁ。でも希望って、当然のことじゃない?」と思うのなら、あな
た自身、希望を持って生きているのかもしれません。素敵。

うん。まぁ。
単に説明のせいでうまく伝わっていないだけでしたら申し訳ありません。

いずれにしても、ルパン三世という作品がいまだに続いているのも、
「ワクというものがなく、そして持ち前の才能で自由に生きている、ルパンみ
たいな生き様」に憧れる人間が多いからかもしれません。

◆ 純愛好きには、理由がある。

というわけで、あなた自身、いかがでしたでしょうか?

人は、自分にないものを求めて、物語などを読みます。
もしくは、自分の気持ちを代弁してくれるのを求めて、フィクションの世界に
接しようとします。

自分の抱えた気持ちや理想を、キャラクタが行動にしてくれるのを見て、気持
ちが穏やかになるわけです。
これを心理学では「浄化」や「同一化」と言います。

たとえばちょっと前から「純愛モノ」が流行っていますが、その主なファンは、
家庭を持った奥様層でした。

女性が結婚すると、男性は愛の言葉をささやかなくなるもの。

言ってみれば、もっとも愛に飢えた層とも言えるわけです。

またよく、スポーツ選手が苦労を重ねて勝ったりメダルを取ったりしたときに、
同じく「感動」する人も多いものです。

「よく頑張った!」
「苦労を重ねて努力したのね! すごい!」

こう感動するのは、それだけ「努力」や「苦労」に飢えているから。
努力を忘れかけていたり、苦労しても虚しいのでは…なんて考えかけていた人
ほど感動します。いえ、別に悪い意味ではありません。自分も結構感動します
し。

しかし逆に「苦労して当然だ!」「自分はいつも努力してる」と思っている人
は、あまり感動しないわけです。

◆ 万能の感動は…?

すなわち繰り返しになりますが。
「その人が感動するドラマ」にこそ、その人がもっとも飢えているものが隠れ
ているわけです。

「あの映画、絶対見てよ! 泣けるから!」
「この本、読んでみてよ! すっごく感動するから!」

そんな風に、何かの作品を熱く勧める人は多いのですが、その感動は決して万
能ではありません。注意してください。

-----------------------------------
◆ 今回のまとめ
-----------------------------------

○ 人が感動するのは、それを忘れているから。

○ 自分や誰かの好きな話・感動したドラマを知れば、その飢えた方向が分か
る。



というわけで、ルパン三世から心理学の話。
いかがでしたでしょうか。

あなたが好きなマンガや小説は何でしょうか?
そして好きなキャラクタは、どんな人でしょうか?

そこにこそ、あなたの強く飢えた気持ちが隠れているかもしれません。


………。

ちなみにルパンと言えば、「何度不二子ちゃんに挑んでも手玉に取られる」と
いう、もう一つ重要な個性もあります。


………。

自分自身も、無意識にそういう状態を望んでいるのかもしれません。


かなりやるせない気持ちになりつつも、ここまで読んでくださって、本当にあ
りがとうございました。

(完)



追記

「努力や苦労に飢えている」の部分ですが、
「努力や苦労の結果」や「その結果の成功」も含めて飢えている場合もありますね。
メールでのご指摘本当にありがとうございました!



というわけで、ウラ話です。





◆ キャラクタさえ確立すれば。

このマンガ、スタートした時点では、作者であるモンキーパンチが絵を描いていました。

ただまぁ、何て言うんでしょう。
やや、絵柄が古い感じといいますか。

よく、昔のマンガにあるような、少し描き殴ったような、荒いタッチが特徴のマンガでした。

ですので数年前からは、彼は単に原作を作るだけにとどめて、実際の作画は、現代風にマッチした漫画家が描いています。
また、原作も他の人間が考えることもあります。

それでも自分自身、変わらず楽しめるのは、
「ルパン」「次元」「五ェ門(五右衛門)」「不二子」
という4人のキャラクタが、まさに原型とも言えるほどハッキリと確立されているからに他ならないと思います。

実際にドラえもんも、作者はなくなっていますが、マンガもアニメも、変わらず新作が生み出されています。

「確立したキャラクタ」と「設定」さえあれば、そのあとの世界は、比較的生み出していくのはカンタンなのかもしれません。

自分自身、このメルマガを書き始めてから数年になりますが、書いているうちに、自分の中に潜むM性をハッキリと自覚しはじめました。

「自分は実はMである」。

このパーソナリティに気がついてからは、面白いように筆が進みます。

うん。それもまた微妙だと思います。


………。

エンドレスでやるせない気持ちになりつつも、ここまで遊びに来てくださって本当にありがとうございました。




ちなみにその回の収録はこちら。


モンキー・パンチ, 山上 正月
ルパン三世Y (7)


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重ねていつも読んでくださって本当にありがとうございます。

ママが教える結婚相手。   刷り込み




こんばんは。ゆうきゆうです。

あなたは、「イベリコ豚」というものをご存じでしょうか。

スペインの特産で、普通の食事を食べて太らせたブタに、さらにドングリを食べさせることでもっと太らせたブタのことです。

なんでもドングリだけに健康に良く、さらにおいしいとか。

ユウ「一度食べてみたいなぁ…」

そんなことを医局でつぶやいたところ、マヤ先生が言いました。

マヤ「今日の昼、食べてみる?」

ユウ「………」

ありえない。マヤ先生が料理をしてくれるなんて、ありえない。
僕はそう思いましたが、先生はにこやかに微笑んで言いました。

マヤ「たまには、女らしいこともしてみないとね」

先生はそう言うと、当直室のフライパンとコンロを使って料理を始めました。
微妙に不安でしたが、とにかく待ちました。

そして。
しばらくのあと、先生が料理を運んできました。

マヤ「はい」

ユウ「………」

そこにあるのは、何の変哲もない、普通のブタの焼き肉でした。

ユウ「………これ、イベリコ豚、ですか?」

マヤ「ううん。普通のブタ肉だけど」

ユウ「えー!」

マヤ「これと一緒に食べればいいのよ」

ユウ「は?」

そして先生が出した皿。
そこには、たくさんのドングリが並んでいました。

ユウ「………」

マヤ「お腹の中で、イベリコ豚に」


なりません。
僕は心から泣きながら、豚肉を口の中に入れました。


ではでは、今夜もメルマガから、セクシー心理学の世界をお楽しみください。



◆ モテモテ二択。答えはどちら?

さて、今夜はこんな話を。

今のあなたは女性。
そしてあなたは、突然に二人の男性に告白されました。

片方は、どことなく、あなたの父親に似ているところのある人。
もう片方は、似ている要素がほとんどない人。

こんなとき、最終的にどちらを選んだ方が、イイと思いますか?


A「父親に似ている人」
B「父親に似ていない人」


あなたが男性なら、男女逆。母親に似ている人か似ていない人か。
選んでから、続きを読んでくださいね。


◆ 男はいつでも、探している?

さて、解説です。

人間には、一生に1回だけ、鬼のようにモテる時期があるそうです。
僕は幼稚園のときに、一瞬だけモテたと思われる時期がありました。

個人的には、「えー! そこで来ちゃったの!?」みたいな気分です。

心から泣きたくなります。
もっと後になって欲しかった。
とはいえ、遅すぎるのもイヤですが。(百歳とか)

まぁ、あなたがそんなモテ時期に入ったとき。

たくさんの恋人、もしくは好きな人がいて、一人には絞れない…なんて状況だってあるはずです。

これが恋愛なら、やり直しだって効くでしょうから、話は簡単です。
しかし結婚など、長期的な付き合いになってくると、また複雑になってきます。

以前に「ロシアン・ドールズ」という映画を見たことがあります。

ロシアン・ドールズというのは、ロシアの人形のこと。
マトリョーシカという、開けても開けても人形が出てくる、あの存在意義のよく分からない民芸品のことです。

主人公である男が、たくさんの女性と恋愛をし、でもいつまでたっても「これだ!」という理想の女性と出会えない…。

そんな嘆きを、マトリョーシカにたとえているわけですね。
不幸っぽく描いてますが、ある意味、次から次へと出てくる状態はうらやましいです。

まぁ、理想の相手と出会いたくても出会えない…というのは、男にとって、そ
してもちろん女性にとっても、大きな悩みの一つではないでしょうか。

実際、すべての人には、いいところもあれば、悪いところもあります。
顔はいいけど、性格は悪い。頭はいいけど、料理がヘタ。

すべてにおいてパーフェクトな存在というのは、フィクションの中にしか存在しません。

いえ、万が一億が一、現実にもいるかもしれませんが、それをゲットしたいのであれば、あなた自身がパーフェクトな人である必要があります。

あなたは、パーフェクトでしょうか?
おそらく、その答えはNOのはず。(YESの場合は、うん。さようなら。)

その場合、あなたが選ぶべきパートナーに、短所・長所があるのは当然。
パーフェクトを目指してしまうと、気がつくとあなたも老人です。

では、数ある長所・短所から、何を判断基準にすればいいのでしょうか?




◆ パートナーに似ている実験。

前置きが恐ろしく長くなりましたが、ハッキリ言いましょう。

あなたの「異性の親」に一番近い相手を選べばいいのです。

あなたが女性なら「父親」。
あなたが男性なら「母親」です。

いえ、マザコン・ファザコンと言ってはいけません。

実は、こんな実験があります。

実験者は、多数の「長くつきあって、関係がうまくいっているカップル」を対象にして、「異性の親」との関係について調べました。

分かりやすくするため、このカップルを、A子さんとB男くんとします。

このとき、

「A子さんのパパ」と「B男くん」は非常に似ていて、
「B子さんのママ」と「A子さん」も非常に似ていました。

ランダムに選んだ人との類似点よりも、ずっと高い一致度を見たのです。

この理由は、シンプルにこう考えられます。

人間にとって、パパ・ママというのは、はじめて見る異性。

前々回も「エディプス・コンプレックス」というものについて触れましたが、
人は無意識に異性の親を愛するものです。

そのため、無意識にそういう人と接することで安心するわけですね。

幼児の時の記憶は強烈。
最終的に、それこそがもっとも安らぎ、あとあとまで後悔する可能性が少なくなるわけです。

実際にアルコール中毒の父親を持った娘は、つい結婚相手としても、やはりアルコール中毒の相手を選んでしまうことが多いそうです。

たとえ悪い要素であっても、本人の幼児期からの刷り込みは強烈なのです。


ちなみに、時に「嫁姑戦争」なんて言いますが、この考えで行くと、「嫁と姑は、非常に似ている」ということ。
相手と近いからこそ「近親憎悪」を抱き、そして同レベルでケンカするのかもしれません。




◆ そして、正解は。

というわけで、心理学的にベストなのは、

A「父親に似ている人」

の方。

とはいえ、当然ですが、

B「父親に似ていない人」

という選択を否定するわけではありません。
もしその際に、強烈にそちらの相手を望むのであれば、それはそれで、あなた
の遺伝子の強烈な命令なのかもしれません。

であれば、その選択をした方が、後悔は少ないでしょう。

また、「うちのオカンと同じはちょっと…」という理由で選んだ方は、うん。
まぁ。
ガンバです。




◆ 逆利用するなら…?

また逆に考えるなら、相手の異性の親を見れば、その人の好みのタイプも分かるかもしれません。

たとえば好きな男性のお母さんが料理が上手なら、あなたも料理が好きなことをアピール

好きな女性の父親がスポーツマンなら、自分もスポーツが好きだとアピール。

これだけで、相手は安心感を抱いて、より親しくなりやすくなるかもしれません。
まぁ、あまりにやり過ぎも、媚びているようで微妙ですので、適度なバランスで。




◆ 露骨なアピールは。

ちなみに、

「俺は母親が嫌いなんだ!」
「私、パパがイヤなの!」

と、露骨にアピールする人も時にいますが、これは好意の裏返しかもしれません。
また、大人になっても親にたいする好き・嫌いをわざわざ外にまで話すからには、いまだに幼さが残る可能性も大です。

いずれにしても、強い依存があることは確かです。

こんなとき、あなたも「本当にヒドい親だね…」なんて言ってしまうと、
「あなたに何が分かるの!?」とキレますので注意してください。




-----------------------------------
◆ 今回のまとめ
-----------------------------------

○ 「迷ったときは、パパ・ママと同じ男・女を!」


というわけで、いかがでしたでしょうか。

人はどんなに大人になったように見えても、最後に思い出すのは「親」なのか
もしれません。
何かに迷ったとき、一つの参考として覚えておいてくださいね。


(完)

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

セクシーな料理マンガ




中華一番の精神科医。


これは、4人のドクターたちの日常を描いた愛と情熱の日記です。



みなさまおはようございます。ゆうきゆうです。
あなたは、「中華一番」というマンガをご存じでしょうか。



小川 悦司
真・中華一番! (1)
ちょっぴり前に週刊少年マガジンで連載されていた、料理マンガです。

主人公であるマオシンという少年が、中華料理を作っていき、
さまざまな敵と戦っていく、という、まさに「少年漫画の王道」+「料理」とも言える作品です。

実際に料理マンガ、特に料理で勝負をするマンガにおいて一番のポイントは、

「どちらの方がおいしいか」

ということを、分かりやすく読者に伝えるということ。

たとえばマンガの勝負内容が、「芸術」とか「特殊なスポーツ」などなら、我々読者は、普段からあまり接する機会もないはずですので,どちらが勝っても、

「まぁ、そういうもんか」

と思うもの。


しかし食事は普段から食べているわけですので、結果によっては、かなり好みが分かれてきます。

たとえば自分自身の大好物は、ツナとマヨネーズをご飯に混ぜた「ツナご飯」です。
そんじょそこらのフランス料理とかよりずっとオイシイと信じています。

究極VS至高みたいな料理対決で、なんか片方が何らかのフランス料理、

そしてもう片方がツナご飯だったら、間違いなくツナに軍配をあげます。
たとえ世界中の他のすべての人が、もう一方をオイシイと判断しても、そこは譲れません。

こんな風に食事には、個々人のこだわり・好みが大きく関わってきます。
ですので料理マンガで勝敗を納得させるのは、実はかなり難しいことなのです。


「なぜ片方の勝ちか。どうおいしいか」
というのを、明確に説明し、「そういうものだ」と理解させなければいけません。

では、この中華一番はどうなのでしょうか?



このマンガではとにかく「料理のスケールの大きい方が勝ち」という、

きわめて分かりやすい法則があります。


たとえば、



  



豚一頭を丸ごと包んだ、超ビッグ・シューマイ。



個人的にはものすごい大味になると思うんですが、それでもマンガの中では

絶賛されていました。




さらに、







牛の丸焼きの中に子豚の丸焼きを入れる。
なんだか、とにかくダブルなら2倍おいしいだろう的な発想の料理。



自分はこれを読んで、ハンバーグをステーキで挟んで食べてみたんですがなんだか個別に食べた方がおいしいということを痛感しました。



そして、この料理。


  





万里の長城で転がして作る、ボール状のチャーハン。
小さい頃、食べ物で遊ぶなと怒られたのを思い出しました。

スケールがデカいことは確かにデカいんですが、個人的には食べたくありません。


そして、さらにこちら。






黒い豆腐と白い豆腐でパンダを作った、パンダ豆腐という料理。

個人的には、お母さんが子供に作るお弁当みたいな感じだと思うんですが、これもマンガの中で絶賛されていました。



とにかくこのマンガの料理勝負を決めるのは、料理のスケール(とかわいさ)です。



調味料の配分とか、熱し方とか、そういう細かい話はほとんど出てきません。


僕もこのマンガを読んで、


「クジラのお腹の中に地球上の全種類の動物を入れて焼き上げる」



という、その名も「ノアの箱船」という料理を考えたんですが、

このマンガの理論で言うと、この料理は究極の味になると思います。


いずれにしても、このマンガの基本は、

論理よりもスケール。大きければ勝つ。



男です。
これが中華。


これこそが中華一番です。




もちろん、それだけでは納得できない読者も出てくることでしょう。


それを強引に納得させるのが、食べた人間のリアクションです。



テレビではレポーターが、食事を口に入れた瞬間に

「ご主人、これはすばらしい!」とか「まいう~~~」とか「味のビックバンやーーー!」

みたいな言葉を連発し、それによって視聴者は「そんなもんか」と思うものです。


食べた人間のリアクションこそが、間接的に味を理解する、重大な要素なのです。



そしてこの中華一番では、テレビレポーターなど比較にならないリアクションが連発されます。


たとえば。






食べた瞬間、汗かきすぎ。





食べた瞬間、竜巻に巻き込まれる。

 

食べた瞬間、なんかヤバいことしてるんじゃないか的エクスタシー顔になる。
微妙にエロティックですが、男ですから泣けてきます。

個人的に思うのですが。
食欲と性欲って、もしかして通じるものがあるのかもしれません。

ですので、
「性的に満たされた顔をさせれば、食欲を満たされた顔と同じイメージになるのではないか」
ということに気がついちゃっ日本ではじめてのマンガ家さんなのかもしれません。



もちろん女性でも同じです。






食べた瞬間、なぜか胸をはだける。






食べた瞬間、セクシー全開。

もちろんこれはイメージの中での映像なのですが、
いつかこんなグルメレポーターさんに街のラーメンとかを食べて欲しいです。


「と、とろける………!」



みたいなことを言いつつ脱ぐ。ぜひ見たい。



さらに、おいしい表現は続きます。






なんだか、おいしいとかマズいとか以前に、「汚い」と思いました。


そして、極めつけはこちらです。






「もう、息もできない!」

「重力にさえ逆らえない!」



いや、そこは逆らおうよ。



心からそう思いました。



というわけで、料理のスケールと、この試食者たちの圧倒的なリアクション。


このダブルの効果で、読者は強引にでも納得してしまいます。



余談ですが(というかここに限らずすべて余談なんですが)、
このマンガ、おいしいものを食べた人間を表現するのもウマイですが、
マズイものを食べた人間の表情も素敵です。


たとえば、こちら。






手料理を作ったときに、こんな顔されたら、自殺します。


そしてこちら。


  




なんだか、「お前に言われたくない」という感じです。
いや、なんか雰囲気的に。




もちろんこんなマンガですから、登場する料理人たちも、激しい変態人たちが出てきます。


例を挙げるとキリがないのですが、特筆すべきは、料理の際に、なぜか脱ぐキャラクタ






個人的には、裸の料理人の料理って、
汗とかが入ってきそうですごくイヤです。

女性の料理人も、料理をする前に、なぜか水浴びシーンなどがでてきます。






うん。
こっちの料理人の料理なら、ぜひ食べたい。




というわけで、素敵な中華料理マンガ、中華一番。


お時間ある方は、読んでみてください。


マンガ的にはストーリーもしっかりしていて、とても面白い作品です。ぜひ。


ちなみにいつかお時間あれば、ツナご飯を食べてみてください。
味は保証します。たぶん。






↑ ツナご飯を食べているときの自分。




小川 悦司
真・中華一番! (1)

男と女、どっちが美しい?後編  反動形成

こんばんは。ゆうきゆうです。

ワールドカップを「Wカップ」と書いたら「そんなに大きいの!?」と思えて
しまいますが、「W杯」と書いたら書いたで「だぶるぱい!?」と読んでしま
う自分がいる今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

なんていうか、飛ぶ鳥を落とす勢いでダメになってます。

さて、この流れで紹介していいのか分かりませんが、ニュースです。

7月9日の日曜日、午後1時半から学生さん向けのミニオフを開催します。

中・高・大学・大学院・短大・専門学校など、学割が効く方ならどなたでもOKです。

「心理学テクニック紹介 …人間を見抜く技術編」
「ゆうきゆうなんでも質問箱」
「心理ゲーム」

などの予定。
今回の費用も、学割ということで、たった2000円。

興味のある方は、こちらから!

⇒ http://sinri.net/event/gin-off.htm

心よりお待ちしております!


ではでは、今夜もメルマガから、セクシー心理学の世界をお楽しみください。


◆ 前回のあらすじ。

それはアラビアンナイトの話。

ある国にいた、とても美形だが女嫌いのカマル王子。
そして同じく、とても美しいが男嫌いのブドゥル姫。

二人の魔神は、「どちらが美しいか」を決めるために、二人を同じ場所に寝かせた。

順番に起きて相手を発見したとき、より惚れるのは、男と女、どちらだったのか?



◆ 心が反動しているとき。

「じゃ、王子から起こすわね」
「良かろう」

女魔神は、先にカマル王子を目覚めさせました。

彼は横に寝ている姫を見て、驚きました。

「…な、なんだ、この女は!?」


夜中に突然起きたら、隣に見たこともない女性がいる。

この驚きは、子供には分かりません。
経験した大人でないと分からないことですよね。

僕は経験したことがないので分かりません。


いずれにしても、王子は慌てます。
しかし彼女を見ているうちに、つい生唾を飲み込んでしまいました。

「な、なんて…。なんて美しいんだ…」

うん。
女嫌いだったはずなのに。

心理学では「反動形成」というものがあります。

ものすごい攻撃心を持った人間が、それを隠すために不自然なほど敬語で話したり。
好きな人に、つい「あんたなんか嫌い!」と言ってしまったり。

ある方向の気持ちが強すぎるときに、あえて反対の行動を取ってしまうことを言います。

よく「俺は絶対に浮気しない!」「浮気するヤツなんて最低だ!」と、誰も聞いていないのに主張をする人がいますが、これも結構、それに近いと思います。

個人的には、スーパーの店内で、「僕は絶対に万引きしません!」と大声で宣言する人と同じようなものだと思うんですが。なぜ、わざわざ言う。


何にしても、この王子の「女嫌い」というのも、一種の反動形成と同じ心理なのかもしれません。

そう考えると、この王子は、ある意味お父さんにそっくりです。
うん、妃の浮気などの線が消えて一安心です。



◆ 男は女に触れていく。

はい。とにかく話を戻します。

王子は、寝ているブドゥル姫を、あらためて見つめます。

なんて。
なんて美しい。


理知的な目と眉。長い長いまつげ。
スーッと通った鼻。

ピンク色で、つるんぷるんとした唇。


その美しさに圧倒されますが、それ以上に、はじめて目にする女の体です。


腰はキュウゥッと蜂のように引き締まり、胸は日の光を一杯に浴びて育ったマ
ンゴーのようにふくらんでいます。


彼は無意識に、その肌に触れてしまいます。
男として当然です。

男100人中、101人がそうするはずです。僕は一人で二人分触ります。


「うわ…」

女の肌は極上のシルクのような質感に、テンピュール枕のような柔らかさ。
触れているだけで、体中が満たされていくようなフィット感。

まるで人間工学に基づいて設計されたかのような、まさに理想の造形。

それこそが、この女の体でした。


彼は、胸から腰、そして足の方にまで手を伸ばします。

もっと、もっと触れたい…。
そして………!

彼の中に、マグマのような衝動が湧き上がります。


しかし。

しかし、です。

彼はそこで思い止まります。

これは、父である王が、私のところに寄こした女に違いない…。
もしここで彼女を抱いてしまえば、「絶対に結婚しない」と言っておきながら、
フラフラと誘惑に負けた男だとして笑われるに違いない…。

とにかく今夜はガマンして、また明日、あらためて父に、この女を妻にしてくれるように願おう…。


そして、彼は猛り狂った気持ちを何とか静め、再び眠ったのです。



◆ 女は男に触れていく。

魔神はそれを見て、言いました。

「なるほど…。しかしこの男が惚れてしまったのは確かなようだ。まさかこの姫は、そう簡単に惚れたりはするまい…」

そして今度は、姫の目を覚まさせました。

「………あら? こ、ここは…?」

姫は周りを見渡します。

すると隣には、男がいるではありませんか。

「や、やだっ! 男!」

慌てる姫ですが、しかし彼が寝入っているのを知ると、少しだけ安心して、彼のことを見つめました。

「………」

彼女は、つい息をのみます。

「な、なんて…。なんて美しい男なの…?」

たくましい体。
美しい顔。

まさに理想の造形の男です。

………。
男と女で描写に差があるのは自分の責任です。申し訳ありません。

いずれにしても、彼女も美しい王子を見て、彼と同じように惚れてしまいました。

そして、です。
彼女は、彼の体に思わず触れてしまいます。

胸、腰。
そしてその手はさらに下の方に。

足と足のあいだにあるふくらみが、彼女の手に触れました。

最初はこわごわと。
しかし次第に包み込むように。

するとそこは、少しずつ形を変えていきます。

「………!!」

相手が寝ているからこそ大胆になるのでしょうか。
彼女は彼の衣をゆっくりと開き、はじめて見るそれを、目を丸くして凝視しました。

「す、すごい…」

彼女は、そこから目を離すことができませんでした。

侍女たちが言っていたのは、これのことに違いない…。

それを見ているうちに、姫の中に、どうしようもない気持ちが湧き上がってきました。

彼女はもう一度深呼吸をします。

そして意を決すると、彼の上に体を乗せました。

「………んっ………」


そう。
彼女は、自ら、彼と交わったのです。


「ま、まぁっ!」
「え、ええー!」

驚いたのは魔神たちです。
男がガマンしたのにもかかわらず、何と女の方が、寝ている男に抱かれてしまった。
いえ、この場合、「抱いた」というのが正解でしょうか。

「…なるほどぉ…。これはどう考えても、私の勝ちね」

王子を推した女魔神は微笑みます。

「う、ううっ…!」

悔しがる魔神。

そして姫が事を終え、再び寝入ったのを待つと、魔神は彼女を自分の国まで送り届け、そのまま逃げていきました。



◆ 御徒町と神田のあいだに。

このあとのドラマは、とてもシンプルです。

朝、王子が目を覚ますと、あれだけ恋した姫がいない。
彼は父である王に聞きますが、もちろん王も、そんな女のことは知らないと言います。

しかたなく彼は、姫を求めて旅をする……。

そんな話です。

でも個人的に、その後の展開は、この冒頭のエピソードの味わいに比べたら、大したことはありません。


この話のポイントはたった一つ。

男はしなかったのに、女はした」ということ。

うん。

現実的に、ありえますでしょうか。

ある女性にこのエピソードを話したところ、
「ありえない!」と一刀両断にされました。ありえないそうです。

また別の女性に話したところ、
「え、何!? 大人の女って、そういうものなの!?」と言いました。

「そういうものだよ」
と洗脳してみたかったんですが、さすがにそれはしませんでした。


実際、これ、現実的にはかなり実現可能性が低い話だと思います。

いったい、どれだけ男に都合がいいんだ、と。

自分自身は女を寄せ付けない。
女のために自ら動こうという気持ちはない。

そして寝ている間に、女魔神に惚れられる。
その上、その女魔神に美女を連れてきてもらう。

その美女を好きになるが、その最大のチャンスでも、自らは何もしない。
しかし自分が寝ている間に、その美女が自分を好きになってくれて、そして勝手に…。


何ですか、これは。

特に「萌え」なマンガやドラマでは、

「自分はあまりその気がないのに、突然にパソコンや本の中から現れた美少女
が自分のことを愛してくれている」

という状態がありますが、非常にそれに近いものがあるかと思います。

たとえるなら、「ボーイズビー」と「いちご100%」と「りりむキッス」を足して3をかけたような。マニアックな選定で申し訳ありません。


ある意味この話って、最古の萌え萌えストーリーかもしれません。

アキバアンナイト。
うん。うまくない。


実際にアラブの世界では、イスラム教の影響で、一夫多妻制。
男は4人の妻を持つことが許されています。

これはウラを返すなら、単純計算で、4分の3の男が、相手を見つけられないことになります。

一夫一妻制である国であってもパートナーにあぶれる男は多いわけですから、
その世界では、それ以上に男たちが悶々とした気持ちを抱えていたことは、想
像に難くありません。

その結果生まれたのが、この話と考えることもできるかもしれません。

フロイトは、たまった性欲を芸術などの面に向けて成功することを「昇華」と言いました。
現在のアキバ系な世界も、このアラビアンナイトの話も、まさに昇華の代表格なのかもしれません。




◆ さいごに。

そんなわけで、アラビアンナイトからカマル王子のエピソード。
いかがでしたでしょうか。


「愛は自ら与えるべき」。
「自分から相手にプラスの気持ちを与えること」。

そんな言葉はずっと昔から存在していますが、それでも人は、心の奥底では、
つい自分の方に惜しみなく与えられる愛を求めてしまうようです。

しかしそれは現実的に、かなり困難でしょう。

ですので。

フィクションの世界でそういうエネルギーを充電しながら、現実ではその分、
人に自らプラスを与える。

そんな過ごし方こそが、理想なのかもしれません。


いちご100%のサントラを聞きながら、あなたの幸せを心より願っております。

(完)

-----------------------------------













というわけで、ウラ話です。

今夜のクイズはこちら。


濃 舞 椿 歌 寵 白 雪 親 指 家 具


この漢字の共通点を答えなさい。






………。

はい。
解答はいつもながら、恐ろしくシンプルです。


「姫」ですね。


濃姫
舞姫
椿姫
歌姫
寵姫(ちょうき)。


そしてあとは、

白雪姫
親指姫

です。

最後は「かぐや姫」。
うん。最初だけ強引に漢字にして分けました。家具。


みなさまここまで遊びに来てくださって本当にありがとうございます。


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今回の内容は、
「アラビアンナイトを楽しむために」 阿刀田高 (新潮文庫)
「アラビアンナイト」(東洋文庫)
いちご100%
「いちご100%」 河下水希 (集英社)


などを参考にしました。

男と女、どっちが美しい?

こんばんは。ゆうきゆうです。

ある広告のコピーに、こんなのがありました。

「接吻たい」。



………。

せっぷんたい?

いったいどこの方言でしょうか。
そう思っていたら、「くちづけたい」と読み仮名が振ってありました。

絶対に読めるわけがないと思った今日この頃、みなさまいかがお過ごしですたい。


さて前回は、ちょっぴり重い話になってしまったので、今回は軽めなモノをお届けいたします。

アラビアンナイトから「男と女、どっちが美しい?」というお話。

どうかゆっくりとお楽しみくださいね。


◆ 子供のできない、王様。

ある国に、王様がいました。
その王は、おじいさんになっても、なぜか子供に恵まれませんでした。

彼は毎夜のごとく、4人の妃と、数十人の側女たちと交わっていましたが、それでもなぜか子供はできなかったのです。

まぁ、この話から普通に考えれば、原因は夫側ですね。

そこで彼は、占い師にお告げを求めました。
すると、こんな答えが返ってきました。

「しばらくガマンしなさい」


恐ろしいほどシンプルな答えです。
そういうのをガマンするだけで子供ができるなら、今頃僕は1000人の子宝に恵まれていそうです。

日本中がゆうきゆう。
たぶん瞬時に他の国に占領されます。

しかし、占い師の予言は当たっていました。

しばらくのガマンの後に王が妃と交わったところ、なんと本当に男の子が生まれたのです。

すばらしいです。

作家である阿刀田高の考えによると、
「数日休むことで精子の濃度が高まったと考えられる」そうです。

ただまぁ、今までずっと生まれなかったわけですので、単にガマンしているあいだに、妃の誰かがこっそり浮気をした可能性も0ではないと思うのですが。
この発想はネガティブすぎでしょうか。

実際にアラビアンナイトでは、浮気の話は数限りなくありますので、決して不自然な話ではないと思います。

まぁ、いずれにしても、王はやっと男の子を授かったわけです。
彼は王子を、カマル・アル・ザマンと名付けました。

一言で言えば「月」くらいな意味です。
夜神月とはまったく関係ありません。前回の話を引きずっていてすみません。


さて、ここからが問題。

この王子、ものすごく美形でした。
当然、たくさんの女たちにモテます。

しかし成人しても、いっこうに妻をめとろうとはしませんでした。

王が理由を聞くも、「女は嫌いです」の一点張り。

それ以上、何も言おうとはしませんでした。


………。
うん。まぁ。

お父さんは好色なのに、息子は女嫌い。

微妙に、さっきの自分の説を裏付けるような気もするのですが。

それでも強引に、理由付けしてみます。

心理学では「エディプス・コンプレックス」というものがあります。
一言で言えば、「男の子は、父親に反発する」というもの。

あなたが男性なら、少しは思い当たることもあるのではないでしょうか。

そのため、たくさんの妃を持つ父親にたいする反発心があったため、そういう性格になった…と考えることもできます。はい。

「このコは俺に似てないなぁ…?」

そんな奥様の万が一の事態の言い訳には、エディプス・コンプレックス。
便利な理論です。

◆ 女魔神は、それを見つける。

いずれにしても、彼は父親の再三のすすめにも従わず、決して結婚しようとは思いません。

しかたなく父親は彼を反省させようと、塔の中に幽閉してしまいました。

そして。
そんな王子を、マイムナーという女の魔神が見つけました。

女の魔神ですから、女魔神でしょうか。微妙にセクシーです。おんなまじん。

彼女は王子を見て、言いました。

「うぁー、イイ男!」

彼女は王子の美しさに見とれ、王子が寝静まるたびに、その顔を見るために通いました。

そんなときです。

マイムナーは、友人である魔神、ダーナッシュと会いました。

「ねぇねぇ、聞いて! すごいイイ男、見つけちゃったの!」

するとダーナッシュも、ほぼ同時に言います。

「いやいや、聞いてくれよ! すごい美女、見つけたんだよ!」

「…え?」

「…は?」

話を聞くと、魔神ダーナッシュも、隣の国で、同じように美しい女を見つけていました。
彼女の名前は、ブドゥル姫。

彼女も、ものすごく美しいのにもかかわらず、大の男嫌いで、決して結婚しようとはしなかったのです。まさに、女版・カマル王子です。

「いや、うちのカマル王子の方が美しい!」
「いやいや! ブドゥル姫の方が綺麗だってば!」

いくら言い合っても、決して決着はつきません。

ある意味、当然といえば当然です。
そもそも男と女で比較すること自体ムリがありますし、何より単なる話だけでは比べようがありません。

ぜんぜん関係ないんですが、ある友人が、

「女の『かわいい』は一段階増しの法則」というものを提唱していました。

「私の友達にかわいいコがいてね」と言われたら、それは「普通のコ」である。
「私の友達にすごくかわいいコがいてね」と言われたら、それは「かわいいコ」である。

それが、彼の主張です。
女性の思う「かわいい女性」と、男性の感じる「かわいい女性」の好みは結構違うようです。うん。

同じように、男性にとって「あいつはイイ男だ」という人も、女性にとっては、「えー…?」ということも、結構多いようです。

ある意味、人間にとって同性はライバル。
本当にかわいい・かっこいい同性の場合、悔しくて認めることはできません。

逆に「あ、この人には負けない」と思う相手だからこそ、その安心感から、「かわいい」と認めることもできるのかもしれません。

ちなみに自分は、男性の同僚・女性の同僚ともに「ミトコンドリア」だと言われていますが、これはどれだけの安心感からかは分かりません。


うん。恐ろしいほど関係ない話を挿入してしまいました。
申し訳ありません。

いずれにしても、いくら話してもラチが開かないため、マイムナーは言いました。

「よし! じゃあ、二人並べて、比べてみましょう!」

「望むところだ!」


魔神は、ブドゥル姫が寝ている間にこっそりと彼女を運びます。
そして、やはり眠っているカマル王子の隣に寝かせました。

さりげなく拉致監禁ですが、アラビアンナイトの世界ですので、細かいツッコミをする人はいません。

そして魔神たちは、二人の顔を見比べました。

「………」

しかし。

目の前にして比べても、やはり決着はつきません。


普通なら、ここで「引き分けだな」で済むはずです。

しかし、魔神というのは、ものすごく負けず嫌いなのでしょうか。

マイムナーはこんな提案をしたのです。

「じゃあ、片方ずつ、順番に起こしましょう。そして、寝ている相手のことを見させて、どちらの方が惚れるかを見るの。より惚れちゃった方が負けっていうのはどう?」

「…面白そうだな。いいだろう」



さぁっ!
この直後に起こった、恐るべき展開とは!?


そうっ! あなたの期待こそが、ズバリ正解です。

夜に寝ている美男・美女を前にして、人間はいかなる行動を取るのか!?

そしてこの物語に隠されたメッセージとは!?


次号、「御徒町と神田のあいだに」をお待ちください!


(つづく)





そして今回のクイズです。

じく しん ぱい さま ぼう でなし ながれ のす ●●


さて、●●にハマるのは何でしょうか。



うん。


はい。
いつもながらすごくシンプルです。答えは。

ヒント。
すべての言葉は、左に何かがつきます。


はい。

ここまで言えば、おかわりになる方も多いかもしれません。



いちじく(イチジク)

にしん(魚の)

さんぱい(参拝)

よんさま(ヨン様)

ごぼう(野菜)

ろくでなし(どうしようもない人)

しちながれ(質流れ)

はちのす(蜂の巣)



もう、お分かりですね。数字です。

すなわち最後は、9ですので、

「きゅうさい(救済)」とか「くじら(鯨)」とか、ハマる言葉なら、何でもOKです。はい。

ちなみに「6」でものすごく苦しみました。
「ぽんぎ」とかにしたら、一発でバレるでしょうし。

ていうか途中で「ヨン様」が出てる時点で、クイズとして成り立っているのか分かりません。

考えてくださったみなさま、本当にありがとうございました。




そして次回の先取りです。


まず、先に目を覚ますのは、カマル王子です。
彼は横に寝ている姫を見て、驚きました。

「…な、なんだ、この女は!?」


夜中に突然起きたら、隣に見たこともない女性がいる。

この驚きは、子供には分かりません。
経験した大人でないと分からないことですよね。

僕は経験したことがないので分かりません。


いずれにしても、王子は慌てます。
しかし彼女を見ているうちに、つい生唾を飲み込んでしまいました。

「な、なんて…。なんて美しいんだ…」

うん。
女嫌いだったはずなのに。

心理学では「反動形成」というものがあります。

ものすごい攻撃心を持った人間が、それを隠すために不自然なほど敬語で話したり。
好きな人に、つい「あんたなんか嫌い!」と言ってしまったり。

ある方向の気持ちが強すぎるときに、あえて反対の行動を取ってしまうことを言います。

よく「俺は絶対に浮気しない!」「浮気するヤツなんて最低だ!」と、誰も聞いていないのに主張をする人がいますが、これも結構、それに近いと思います。


この王子の「女嫌い」というのも、それと同じ心理なのかもしれません。

そう考えると、この王子は、ある意味お父さんにそっくりです。
うん、一安心。

そして…!
そんな王子が、ついしてしまった行動とは…?


さらに、そのあとに姫がした行動とは…?

ある意味、予想外な方向に話が進みます。

その答えは次号をお待ちください!

ここまで遊びに来てくださって、本当にありがとうございました。


(完)

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戦闘マンガの法則(改訂)

(色々と『分かりにくい』などのごツッコミいただいたので改訂。
分析くわえ、範囲を広げました。)

こんばんは。ゆうきゆうです。
戦闘マンガの法則を考えましたので、よろしければ、聞いてください。


◆ 敵の登場編

味方「あー、さっきの敵は本当に恐ろしいやつだった…」

主人公「そうだな…。………ん? それはなんだ?」

味方「え?」

ドドドドドドドド

味方「お、俺の指がぁーーー!」

主人公「いったい何が起こったんだ!? ワケが分からない!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

敵「フン…。気がついたときは、もう遅いぜぇ…?」

主人公「これは敵の攻撃だあああああ!」



◆ 敵との戦い決着編

主人公「ここであいつにたたき込んでやる! …今だ!」

敵「ククク…! 甘いぃ!」

主人公「な、なにぃ!?」

敵「お前の行動は読んで、すでに●●していたんだぁ!」

主人公「ぐぁっ!」

敵「死ねえええええええええ!」

主人公「………」

敵「………!? な、なんだこれは!?」

ゴゴゴゴゴゴゴ

主人公「今頃気がついたのか?」

敵「な、なんだって!?」

ドドドドドドド

主人公「俺が、すでに●●していたことに!」

敵「な、なぁにィィィィィィ!?」

主人公「オラア!」

敵「ぐぴばああああああああああ!」

主人公「……ふう……恐ろしい敵だった……」




(敵の登場編に続く。以下エンドレス)



そんな感じだと思いました。

個人的に、

 「安心した日常」☆
⇒「唐突に攻撃される」★
⇒「最後は、主人公の思惑が小さく外れたように見える」
⇒「敵、勝利を確信」★
⇒「主人公の狙いは別のことだった」
⇒「敵『なぁにぃ!?』でやられる」☆

という流れが中心かと思います。

これは人間が、総量よりも落差に強く反応するからで、
これを心理学ではゲイン・ロス効果と言います。

警戒しているときに腕を一本持っていかれるより、
安心したときに指を一本持っていかれた方が、
より強い恐怖になるわけです。


そう考えると、

☆がいいこと
★が悪いこと

とするなら、☆⇒★ で気持ちを否応なく盛り上げ、
★⇒☆ でドキッとさせ勝利の快感を強く味わわせようとするわけですね。

かなり多くのマンガがこの流れにハマっている気がします。


同じようにホラー映画の場合、

 「ここは安心だよ、お嬢さん」
⇒「ありがとう!刑事さん!」☆
⇒「キャー、敵だ!」★
⇒「た、助けて、刑事さん!」☆
⇒「刑事というのは…。これのことかな?」★
⇒「ギャー!」★★

みたいな。
セリフだけで書いたんですが、何が起こっているかは、だいたいご想像ください。



まぁ、いかにその流れをマンネリ化させず、独自のものを作るかが
その作家・監督のポイントだと思うわけですが。


………。

 「ゆうきゆう、いったん法則を書く。一安心」☆
⇒「分かりにくい! そのマンガはそんな流れだけじゃない!とごツッコミ」★
⇒「ギャー!」★★


みなさま今後ともよろしくお願いいたします。

デスノート最期の心理学・完全版

(完全版…前編・後編セットで更新しました)


こんばんは。ゆうきゆうです。


今夜もメルマガから、こんな話を。


「ここ最近、セクシー心理学が届かなくなった! 廃刊したんですか?」
というメールを、時にいただきます。

その場合、おそらく「セクシー」とかそういう単語で、スパムフィルタなどに区分けされている可能性が大だと思います。

伝書鳩があまりに真っ黒な色をしてるので、カラスと間違えられて撃たれた、みたいなものと考えていただければ幸いです。

あの。ここで自分自身、宣言しますが。

「死んだ」
「入院してる」
「ユウが突然、ミトコンドリアからさらに無機物まで退化」

などのことでもない限り、何の宣言などもナシにセクシー心理学を休刊・廃刊することはありえません。はい。

もし、ある時を境に1ヶ月近く届かなくなった場合、ほぼ100%スパムフィルタに引っかかってるかメールサーバーの障害などがあると考えて間違いありません。

今後のために覚えておいていただければ幸いです。

まぁ、すでにスパムフィルタに引っかかってる方の場合、ここでいくら言っても意味ないんですけど。撃たれた伝書鳩の断末魔みたいな。

色々とやるせない気持ちになりつつも、今夜もセクシー心理学の世界をお届けいたします。

今夜は軽いお話。
マンガを通して、人の気持ちを探っていきましょう。


◆ 突然の心理テスト。

では、心理テストです。

あなたは突然、事故で死にました。

こんなとき、神様があらわれて、4つの選択肢を言いました。

このうちあなたがもっとも望むのは、どれですか?

1「生き返らせてやろう」
2「望む人生に生まれ変わらせてやろう」
3「天国に行かせてやろう」

4「地獄に行かせてやろう」


考えてから、続きを読んでくださいね。


◆ デスノート、最終分析。

では、解説の前にこんな話を。
さて、以前に「デスノート」というマンガについて心理分析しました。

「名前を書いただけで相手を殺すことができるノート」を中心としたドラマです。

ご存じの通り、自分の予想はハズレたわけですが。
起死回生を狙ってブログでもう一回予想をしたら、そちらは何とか当たりました。

そう。
そのデスノートが、ついに第2部で完結したのです。

ここから先、まだ最後まで読んでいない方にはネタバレなどを含むので、それでもいい方のみ、お読みください。















はい。

最終的に、主人公である月が負けたわけですが。

なんていうか、第1部のラストに引き続き、よく分からない結末でした。

「月が、自分の忠実な部下の男に色々とやらせたけど、なんかそれがうまく行かなかったらしくて、負けた」という状態です。

そのときの流れが、確かに説明されれば意味は分かったような気がしたんですが、今、記憶としてほとんど残っていません。そんなレベルです。

武蔵と小次郎にたとえるなら、

「武蔵が友達に頼んで、こっそり小次郎のご飯に下剤を混ぜようとしたら、なんか相手はそのことに気づいてご飯をすり替えたから、武蔵は自分で下剤飲んで負けちゃったらしいよ」

みたいな終わり方でした。

なんていうか、本当にそれでいいのか、と。
第1部の終わりと同じくらい、やるせない感じになりました。

それならせめてデスノートを2冊用意して、「相手の名前を早く書いた方が勝ち」みたいなシンプルな勝負にしてほしかった。ガンマンの早撃ちみたいに。

まぁ、名前書かれても若干タイムラグがあるので二人とも死ぬと思いますが。
いずれにしても、それくらいシンプルだったら分かりやすかったのに。

その上、主人公が負けた後の行動もインパクトがありました。
たとえるなら、下剤を飲んじゃった武蔵が、

「こ、小次郎、卑怯だぞぉ! ぐへぇあ、苦しい…。ううう、トイレ…!」

みたいにかなり見苦しく暴れて死んだ、みたいな。(下剤で死にませんが)
そんなラストでした。

なんていうか、いまだかつて、主人公とも言える男が敗北し、さらにここまで悪意的と思えるほどネガティブな状態にさせられるマンガって、なかったような気がします。

◆ 死後の世界は、存在しない?

さらに何よりも衝撃的だったのが、月の死んだ後の描写。

誌面が真っ暗闇になり、
「人間は、いつか必ず死ぬ。死んだ後に行くところは無である。」
という文字が。

すなわち、天国や地獄などの死後の世界など存在せず、
「人間が死んだ瞬間、すべてが消えてなくなる」
と言い切っているわけです。

新しい。
一周して新しいです。

いや、当たり前といえば当たり前なことなのかもしれませんが、少年マンガの世界であらためてこう言われると、かえってすごく新鮮な考えのような気がします。

たとえばドラゴンボールでは、
「死んでもドラゴンボールで生き返ればいい」
と言うようなセリフが平気で飛び出しますし、

「キン肉マン」や「聖闘士星矢」、また「幽遊白書」などの歴代の人気マンガでは、死んだキャラクタは当然のごとく生き返ります。

「地獄の鬼と戦って勝った」とか、
「神が許可した」とか、
「致命傷に近かったが、本当は死んでなかった」とか。

理由はさまざまですが、それでもほとんどのキャラクタが、ちょっと地方に出張に行ってきたくらいの気軽さで帰ってきます。

生き返れないとしたなら、それは人気がなかったというだけです。

このように死んでも何度でも復活できる、というのが当たり前な少年マンガの世界で、この「死んだら何もない」という言い切りは劇的でした。

くわえてデスノートの中でどのキャラクタが死んでも、ネットでは必ずと言っていいほど、
「実はあの人は生きている!」
という説が飛び交いました。

もちろんどのキャラクタも、生きて再び出てくることはありませんでした。

当然生き返ることを期待する読者に、冷たいまでにそれを拒否する作者。
この死生観に、大きな隔たりがあったことが特徴的です。

まぁ、でも、デスノートの中には「死神」や「死神界」が存在しているのにもかかわらず、天国がないという、この中途半端なところがまた素敵なのですが。

というわけで、デスノートの中では完全に否定された「死後の世界」。

では、そもそも我々の中に確実に存在するこの考えは、いったいどうして起こったのか考えてみましょう。

◆ 逆転逆転、大逆転。

人間は、誰でも「逆転」したいと思っています。

「年末ジャンボ3億円!」みたいな宝クジを、何度ハズレても買い続けてしまうのも、ギャンブルをするのも、すべて「逆転」したいからです。

またホリエモンなどの会社社長が失脚したり、また有名人のスキャンダルなどが大々的なニュースになるのも、やはり同じ心理。

上の人が落ちることで、相対的に自分が逆転したような気分に浸れるからです。


さて、ここからがポイント。

自分が思うに、「死後の世界」というのは、「究極の逆転」のような気がします。

今からどんなに頑張っても、どんなに状況が好転しようとも、ここからでは、とうてい逆転が難しそうだ…。

でも、死んだ後にいくらでも幸せになれる。
来世では、こんな幸せな生活になれる。

この思考は、限りなく人の気持ちを安らがせます。

この「天国」や「来世」が、本当に存在するかどうか、科学的な根拠はありません。

でも人間、ピンチになればなるほど、色々なものにすがりたくなるものです。

おぼれかけたら、たとえワラであってもつかみたくなるでしょう。
砂漠で干からびそうになったら、どんな色をした液体であっても、水っぽいものなら無我夢中で口に入れるはずです。

そう言う意味で、この「死後の世界」という考えが生まれたと考えられます。

◆ お金を払うから、信じられる。

くわえて。
この「死後の世界」という発想に、「お金」や「苦労」などを結びつけた人って、本当に天才だと思います。

たとえば中世の教会は、「免罪符」を売り出しました。
どんな罪を犯しても、それを買いさえすれば罪が許され、天国に行ける…というわけです。
この発想、心から天才的だな、と思うのです。

いえ、皮肉とかではなく、純粋に。

たとえば想像してみてください。
誰でも、「君は死んだらすぐにでも天国に行ける」と言われたら、とても信用はできません。

しかしあえてお金や労働をさせることで、
「これだけのお金(苦労)を払ったんだから、天国に行けるに違いない」
と思いこみやすくなるわけです。

この思考を、心理学では「認知的不協和理論」と言います。
苦労すればするほど、得たものが優れたものである、と考える心理のことですね。

お金を受け取る側は、財政的に潤う。
お金を払う側は、払うことによって、その内容をより信じる。

信じたら、もちろん「逆転できる…」という甘いキモチに浸ることができて、幸せに生活することができる。

誰も損しません。

だからこそ、宗教って発展したのかな、と。
心理学的に、心から理にかなっていると思います。

◆ 心理テストの答えとは。

というわけで、「死後の世界」や「来世」に目を向けて考えるのは、ちょっとだけ現在の生活に疲れている証なのかもしれません。

それをふまえて、心理テストの答えを見てみましょう。

○ 1「生き返らせてやろう」

⇒疲れ具合10%。
現在の自分に満足している可能性が高いと思います。

天国や来世の存在を、あまり信じない人かと考えられます。

○ 2「望む人生に生まれ変わらせてやろう」

⇒疲れ具合50%。
今の人生に少し飽きている可能性大。
とはいえ、「こういう人生になってみたい…」というビジョンがある分、気持ちが上向きかもしれません。

○ 3「天国に行かせてやろう」

⇒疲れ具合90%。
それがどんな人生であろうと、とにかく生きることそのものに多少疲れている可能性大です。うん。たまには休んでみてはいかがでしょうか。


○ 4「地獄に行かせてやろう」

⇒疲れ具合測定不可能
あらゆる意味で危険です。何より思い切り自罰的な思考をしています。
なんていうか、無理されないでください。とにかく。


ちなみに自分は、地獄の鬼がお姉さんの場合に限って4番、みたいな答えでし
た。こういう場合は、M具合120%です。


というわけで、あなたの考えは、いかがでしたでしょうか?


―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆ ここまでのまとめ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

○ 天国や来世は、究極の逆転。





◆ それは、究極の麻薬。

実際に自分自身、天国や来世という考えを完全に否定するわけではありません。

たとえばもう完全に八方ふさがりな状態や、間違いなく死ぬ直前なら、天国や来世を願うのは、人にとってごくごく当然のことだと思います。

たとえば悪性の病気で苦しんで、死ぬ直前。
織田信長でたとえるなら、本能寺の変のあたり。
項羽でたとえるなら、四面楚歌のあたりでしょうか。

こんなときにまで「現実を見ろ!」「今やれることをやれ!」なんていうのは、少々かわいそうな気がします。

こんな状態で「天国はある」「来世はある」と言うのは、手術前の麻酔薬のように必要なことではないでしょうか。

おそらく僕自身、たぶん死ぬ直前には、
「神様仏様!」とか平気で叫んでるような気がします。

◆ エネルギーを、補充しよう。

もちろん絶体絶命のとき以外にも、ピンチや疲れたときに、想像の世界で、
「天国があるさぁ」
「来世は楽しいかも」
なんて風に考えて、ちょっとだけ気持ちがラクになるのも重要かな、と思います。

人間にとって何より大切なのは、たった今この瞬間、気持ちが幸せに包まれること。
これによって気持ちが楽になれば、明日への活力だって湧いてくる可能性もあります。

ですので、生き返りとか死後の世界を描くマンガや小説というのも、それと同じではないかと思います。

人は実際に体験せずとも、人の話を聞いたり、フィクションに接したりすることで、それを体験したのと近い心理状態になることが分かっています。

ある意味、「活力のための逃避」かもしれません。

◆ デスノートの原作者さんは?

さて、このデスノート。
悪事のない平和な世界を作りたいと考え、犯罪者の殺人を繰り返した主人公は、最終的にライバルに負け、殺されてしまいました。

個人的にこの作品のテーマは、

『どんな理屈をこねようが、どんな理想を掲げようが、
 最終的に負けたら悲惨。死んだら終わり』

ということなのではないかと思います。
いえ、作中では多少の救いはあったんですけど。それでも大筋として。

もちろん物語というものは、受け取る人ひとりひとりによって読み取るコトは違って当然なのですが、少なくとも僕自身が受け取ったのは、そんなテーマでした。

特に今までの少年マンガは、

「たとえ実力で負けても、友情パワーでうやむやに」とか、
「負けても死んでも、根性と正義の気持ちさえあれば復活するし大丈夫」
というものばかりだったので、そういう意味で、とてつもなく新鮮だったと思います。

いずれにしても、「天国や来世」を本気で信じ、願う人というのは、現時点で多少疲れている可能性は大。

そう考えると、それらの世界を完全に否定したこのマンガ。
原作者さん、このデスノートという作品での大成功を通して、かなり現在の自分に満足しているのではないでしょうか。

ついそんな風に考えてしまいました。

◆ それは大人に許された。

ちなみにこの、

「天国はない!」
「来世はない!」

という考え。

個人的に、子どもに対して示す世界観として、決して悪くないような気がします。

たとえばあなたに子どもがいたとして、その子が、

「天国で幸せになれればそれでいいよね」
「まぁ、今何があっても来世があるし」

と言い出したら、かなりイヤではないでしょうか。

さすがに「生き返るマンガがあるから子どもがそれを本気にして自殺する…」みたいなコトを言うつもりはありません。

たとえ催眠をかけても、人を自殺させることはできません。
暗示くらいで死んでしまうほど、人の生への本能は弱くないのです。

ただ自殺などは別として、個人的に、
「いや、その考え(天国・来世)はまだ早いだろ」と思います。

「天国」や「来世」、そして「生き返り」というのは、ちょっぴり疲れた大人にだけ許された、タバコやお酒みたいな清涼剤かもしれません。


◆ さいごに。

あなたは、藤子不二雄をご存じでしょうか。

これにたいして「知らない」という方はいないはず。
ドラえもんなど、多くの子どもマンガを描いたマンガ家です。
以前にも話しましたが、彼は子ども向けの作品以外に、たくさんの大人向けのSF短編を描きました。

それを見てみますと。

ドラえもんやパーマンなどの子ども向けマンガの中では、生き返りや来世などの話はほとんどでてきません。

逆に大人向けの短編集では、生き返り・来世・天国などのエピソードが満載です。

少し疲れた大人には、そんな世界の想像を。
逆に夢にあふれた子どもたちには、あえてそういう世界を描かなかった、先生なりの哲学なのかもしれません。

僕の頭が、いえ記憶が確かなら、子ども向けマンガの中での「唯一の例外」こそが、「しずかちゃんの飼っていたイヌが死ぬ」というエピソードです。
その中でドラえもんは、「どんな道具を使っても、死んだ命はもう戻せない」と言っています。

しかし結果的にタイムマシンを使って、まだイヌが生きているときに戻り、薬を飲ませて病気を治してあげます。

子どもであっても、ペットが死んだときの悲しみほどつらいものはありません。

その悲しみを、フィクションの話で、少しでもラクにしてあげたい。

ある意味、神である彼が、唯一認めてあげた「生き返り」こそが、そのエピソードなのではないでしょうか。
そう思うと、少しだけ味わいが増す気がします。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆ 今回のまとめ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

○ 天国や来世は、究極の逆転で、究極の麻薬。




というわけでお送りしました、デスノートから藤子不二雄までの死生観。
いかがでしたでしょうか。

疲れたときは、復活や生き返りのあるマンガや小説。
逆にさらにやる気を湧かせたいときは、危機感をあおるために、リアルに死ぬマンガや小説。

そんな風に自分の精神状態を見ながら、それに合った作品を取捨選択していくと、気持ちの回復なども早いかもしれません。


ちなみに、もし来世が本当にあるとするなら。
自分自身は、カマキリのオスとかに生まれるのもいいかもしれません。

生殖と引き替えに食べられる。
なんていうか、Mの真骨頂という気がします。


………。

こんな自分自身を心から微妙に思いつつ、今回のセクシーが何か少しでも参考になることがあれば幸いです。






(完)


クイズの答え




そして今回のクイズです。


天■ 海■ ■史 ■手 五■



■に入る文字は?



はい。


■性 少■ 熟■ 美■



などもあります。はい。




………。

そうですね。


「女」ですね。


うん。おそろしくシンプル。



………。


五■ は、「五女」です。五番目に生まれた女の子。


うん。本当にすみません。たまにはバリエーションを。



ちなみにここ最近のクイズはすべて自分で考えているんですが、

なんていうか、もしかして自分の潜在意識とか表しているのかもしれません。うん。

ヤバいです。僕の頭が。


あらゆる意味で頑張ります。



ここまで遊びに来てくださって本当にありがとうございました。



(前回のクイズ)


     愛■ 人■ 幼■ 悪■ 新■ 若■ 良■

■にはすべて同じ漢字が入り、7つの二字熟語になります。
さぁ、その文字とは!?


というクイズ。

………。

はい。

他にもヒントとして。

稲■ 夫■

とかもあります。

はい。

答えは、「妻」ですね。

ちなみにこのクイズ、リオ先生に出したら「愛人」とだけつぶやいて消えました。

愛■ 人■

ここからの連想のようです。

うん。間違っても妻は出てこなかったようです。


ここまで遊びに来てくださって、本当にありがとうございました。

サイトはこちら。 ⇒ http://sinri.net/

お姉さんの苦労。

みなさまこんばんは。ゆうきゆうです。


ジョージ針損さんにメールでお教えいただいた、こんなネタを。


「絵描き歌」


http://www.youtube.com/watch?v=R-fjqo3dNhg



動画が見られない方のためにカンタンに説明を。


一言で言えば、「お兄さんとお姉さんで明らかに完成度が違う絵描き歌」というものです。





こんなん。





なんていうかもう、笑うしかないお兄さん。



お姉さん「良かった、描けて」


描けてない! 描けてないよ、お姉さん!


心からそうツッコミしてしまいました。



このお姉さんとお兄さんの話し方を聞いていて思ったのですが。



お兄さんの幼児性は、子ども向けに作ったキャラクタだと思います。


しかしお姉さんの幼児性は、なんていうか、天然というか、

生来のものという気がします。


たぶんこの仕事、天職ではないかと。



また、こんな画像も見つけました。


お姉さんとお兄さんが輪を作って、その中を子どもが回る、

というコーナーなんですが。







動けないのをいいことに、攻撃する子ども。


末恐ろしい。


右の子どもの呆然とした顔もまた味わいがあります。



くわえてさらに、こんな動画も。


http://www.youtube.com/watch?v=59fLZ95PrYg




やはり動けないのをいいことに、セクハラしている子どもです。

うん。なんていうか、セクハラとかいうレベルじゃない。

大人がやったら即逮捕です。


動画をずっと見ていると、なんていうか、

もう一周してきます。


またお前かー!


みたいな。

なんか、ホラー映画とかにありがちなパターンです。



まぁ、何よりかわいそうなのは、この子どものお母さんだと思います。


まさか子どもが、こんな全国区でこういう行動をするとは。



いずれにしても、お姉さんの仕事って本当に大変なんだな、と思いました。


みなさま今後ともよろしくお願いいたします。

長生きの心理実験

こんばんは。ゆうきゆうです。


ズボンのボタン(チャックのかわりになっているボタン)が取れたので、病棟にいたナースの方に縫っていただいた今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

当直衣にはきかえて、ズボンを渡したときの情けなさがまた。はい。
縫ってくれたナースさま、本当にありがとうございました。


それはそれとして、
kumikoさん
にこんなメールをいただきました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
こんにちは。
以前、先生はこんな話をされていましたよね?

-----------------------------------
「バストを見続けると寿命が延びる」という心理実験の話を聞いたとき、僕は
ズバリその気持ちになりました。
うん。まぁ。その話は、都市伝説だったっぽいんですが。
-----------------------------------

丁度、主人の友人が主人に送ってきた添付画像を見て、ゆうさんが以前言っていたことを思い出した矢先!
これはもう、送らない手はないかと・・・・
―――――――――――――――――――――――――――――――――――


そして画像が添付されていました。

見ました。



うん。
前の都市伝説の心理実験が、こんな写真入りで。


あー。
なんていうか、もう、心理実験の真偽なんてどうでもいい。
もう、寿命伸びました。この瞬間。100年くらい。

そんな気持ちになりました。

メールは続きます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ちなみに私の主人は、しっかり実践してます。
いや、本当はそれ以上なんですが・・・・・・、とても書けません。(^_^;)

まぁ、私たちは本当に夫婦円満です。\(^o^)/
―――――――――――――――――――――――――――――――――――


ありがとうございました。
ご主人によろしくお伝え下さい。


冗談抜きで、この心理実験、本当にやってみたいです。うん。

バストを5年間毎日見続けた人が健康的になり、5年間一瞬たりとも見なかった人が、不健康になる。


………。


一番の問題は、後者の被験者をどうやって集めるか、ということです。
少なくとも僕は絶対にイヤです。

前者は瞬時に100人以上集まる気がしますが。自分含めて。


こんな自分ですが、みなさまどうか今後ともよろしくお願いいたします。



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バリで落ちる女医。14

バリで落ちる女医。14

これは、4人のドクターたちの日常を描いた愛と情熱の日記です。


<前回のあらすじ>

バリに来たマヤ・ユウ・リオ・エリ。
ユウたちは、マヤの提案でバンジージャンプをすることになる。
最後にユウはエリと共に飛び降りるが、二人はなぜか水の中に落ちる…!

どうなるユウとエリ!?

果たしてユウが最後に見たモノは!?

<本編>


このときの気持ちは、言葉にすることはできません。
予想外のまま、水の中に沈む。

その直後です。
ゴムの勢いが増し、僕たちは再び上に持ち上げられました。





ユウ「………」

エリ「………」


もう、茫然自失。
言葉を発することもできません。


状況を、まだ飲み込むことができませんでした。

ゴムは伸び、また再び、水に入ります。
でも2回目は、さっきより浅く。頭のてっぺんが濡れるだけで済みました。

隣のエリさんは、ただ目をつぶって、それに耐えています。

そのまま、ゴムはまた、単振動を続けます。
3回目の落下では、水にまでは届きませんでした。

安心するまもなく、ゴムの揺れは続きます。


来た。

なんかもう、また来た。
あの、なつかしい、そしてもう二度と味わいたくない感触が来ました。


ユウ「………うっぷ………」


僕の気持ちが、少しずつ揺れていきました。




隣のエリさんは、今どんな表情をしているのか。
それを確認する気力も、ありませんでした。










気がつくと、僕は地面に横たえられていました。

………まさか。

まさかこれは、夢だったのでは。

そんなことを思いますが、濡れている上半身が、すべてが現実であることを、ハッキリと証明していました。

そのときです。

「OK?」

係員のおじさんが、僕に聞いてきました。


ユウ「………み、水………! 水が………!

僕はあわてて主張します。
ここで一発言わないと、男ではありません。

おそらく、ゴムの長さのミスに違いない。
僕は勇気を出して、声を振り絞りました。

すると、彼は言ったのです。


もし水につかりたくなかったなら、上で『NO WATER』って言うんだよ


いま、はじめて聞きました。

何ですか、そのコース設定は。





僕は心からそう叫びたかったのですが、そんな気力はどこにも残っていませんでした。


僕はあらためて、自分の体勢を見ます。
横たえられる、というより、とりあえず転がされた、という感じです。

近くを見ると、リオ先生も頭にタオルを当てて、苦しみつつ横になっていました。





何でしょうか。
ここは遺体安置所でしょうか。


僕の気持ちはずんずん盛り下がっていきます。


でも、とにかく最悪の状態からは抜け出したんだ。
そして今、命もちゃんとある。

僕はそう思いながら、自分の幸せをかみしめようとしました。


………。

待て。

そういえば、エリさんは!?
彼女は大丈夫なのか!?




そして、そう!

僕は彼女と高い位置で恐怖を分かち合った!
そして二人で危機を乗り越えた!

心理学的に言えば、今の彼女は、僕のことで頭がいっぱいのはずだ!


僕は急いでエリさんを探しました。


………。

え。


エリ「恐かった………! 恐かったんです………!!」

マヤ「よしよし」



マヤ先生が、エリさんの頭をなでていました。

マヤ「恐かったわねぇ

ある意味、姉が妹のことをいくつしんでいるような。
そんな光景が、そこにありました。


いや、すべての元凶は、マヤ先生ですから。
僕は心からそう言いたくてたまりませんでした。

しかし人は、不安や恐怖を感じたときに優しくしてくれた人間には、無条件で親近感を感じてしまうものです。


このバンジージャンプは、不安や恐怖を与えるという意味では恰好のアトラクションなんですが。
共に体験した瞬間、足腰が立たなくなるというデメリットもあります。



まさに、諸刃の剣です。


「時間を止められるけど自分も動けなくなる」
みたいな、役に立たない超能力を思い出しました。


マヤ「よしよし、いいコねぇ」

エリ「マヤぁ~!」




そこにいるのは、僕だったはずなのに。

僕は心からそう思いました。



マヤ「あら、ユウ先生、気がついたの?」

マヤ先生は、僕に視線を向けました。


マヤ「楽しかったわよ

それは良かったです。


少女が、アリに水を掛けるような。

そんな残酷な快感を抱いているような微笑みでした。


そんなときです。
エリさんも、僕の方に向きました。

ユウ「エ、エリさん…」

エリ「ユウさん…」


その瞬間、エリさんは僕の顔を見て、ほんのちょっとだけ、眉毛をつりあげました。

そして目がヒクつき、そのままぎこちない微笑みをしました。


人間が自然に笑った場合、口⇒目の順番で笑うと言われています。

逆に目⇒口という順番で笑う場合は、困惑の笑いだと言われています。



まさに、後者でした。
キング・オブ・困惑という感じでした。


エリ「………あ、さっきはありがとうございます………」

ユウ「………」






心理学では、ある感情とある要素がミックスして記憶されることがあると言われいてます。
これをアンカリングと言います。


たとえばある音楽を聴きながら失恋したら、その音楽を聴いただけで、悲しい気持ちになったり。
いいニオイのする場所で告白が成功したら、そのニオイをかぐだけで幸せな気分になったり。

………。



では、ここで問題です。

エリさんは、僕の顔を見ながら恐怖を感じました。


答えは、いったい何でしょう?



正解。

「僕の顔」=「恐怖」。


適度な恐怖や不安は恋愛の気持ちを高めますが、
ここまで極度なモノだと、関係が壊れる可能性がありますので、注意してください。



エリ「ありがとうございました…」

ユウ「………」


エリさんは、すぐに僕の顔から、目をそらしました。

ユウ「ど、どういたしまして…」

僕は心の底から絞り出すように言葉を発しました。




「恋はデジャブ」という映画があります。
マヤ先生が「これイイから、絶対見て!」と医局にDVDを置いていったので、
うちの医局員は(ほぼ強制的に)全員知っている映画なんですが。

あるテレビレポーターが、同じ日を何度も繰り返してしまう、という話です。

男はそのことを悲しみながら言います。

「若いときに女と過ごした海…。あの日だったら、何度だって繰り返した良かったのに…。何度でも…。何度でも…」


女。海。

要素的には同じなんですが、今日みたいな日は、もう二度と味わいたくないと思いました。





<エピローグ>

帰りの飛行機の中。

一人、たそがれている僕の隣の席に、突然に座ってきた人がいました。
エリさんでした。



エリ「あ、あの…」

ユウ「………え?」

相変わらず、彼女は僕の方を見てくれません。
ただまっすぐに前の方を見つめながら、ゆっくりと話しました。


エリ「あの、これ…」

ユウ「………」


手渡されたのは、小さなチョコレートでした。


エリ「………あの、本当に………」

ユウ「えっ!?」


エリ「本当に、ありがとうございました…







神様。

僕はこれだけで、生きていて良かったと思えます。



エリ「つまらないものですけど…」

つまります。
つまりまくります。


心の中でそんな言葉を連呼します。


ユウ「………あ、ありがとうございま…!」


僕が喜びと共に叫んだ瞬間。

そのチョコが、手から落ちました。


ヒュー。


………ぽとん。

そんな擬音が聞こえるくらい、僕たちの目には、スローモーションで床に吸い込まれていくチョコレート。


落ちる。

僕の脳裏には、あのときの瞬間が、再び強烈に思い出されました。





エリ「………」

おそらくエリさんも同じことを考えているに違いありません。


エリ「じゃ、じゃあまた…」


エリさんはそうつぶやきながら、自分の席に帰って行きました。



僕はたった一人残されつつ、自分の運命と今回のできごとをかみしめました。

………。







みなさまも、いつかぜひ、
バンジージャンプをオススメします。




(完)

ここまでおつきあいくださって、本当にありがとうございました。


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素敵イラストはソラさん (女神)

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