日本韓国スワップ、あえて「日本のメリット」を考えてみる
https://shinjukuacc.com/20200327-01/
 

ドルル不足深刻..韓国日本通貨(Cross Currency)スワップも切実!

(withキム・テジョン教授)|チェ・ヤン奥義経済トーク

2020/03/24

字幕ー設定ー字幕(1)ー自動翻訳ー言語

 

 

ここ数日、韓国側で日本韓国通貨(Cross Currency)スワップ待望論が高まっています。

昨日は韓国ウォンの為替相場はやや落ち着きを取り戻しているようですが、小康状態がいつまで続くかはわかりません。

 

こうしたなか、『【資料】2014年4月16日の日本韓国(Cross Currency)スワップの議事録録』という記事を当ウェブサイトに掲載した目的は、本稿を執筆するためです。

というのも、韓国側で最近、やたらと「日本韓国通貨(Cross Currency)スワップ待望論」が高まっているからです。

 

今から6年前の議事録

 

昨日の

[Source] OnApril16,2014MinutesOfJapan-KoreaSwap1
[자료] 2014 년 4 월 16 일 한일 스왑의 회의록1』では、当ウェブサイトにしては珍しく、国会の元資料をほぼそのまま転載しただけの記事でした。
(+それらのコメントを要約した箇条書きを列挙しただけ)
 

これは、今から約6年前、2014年4月16日に、当時の衆議院議員だった三木圭恵(みき・けえ)氏(「日本維新の会」所属)が日本韓国通貨(Cross Currency)スワップについて質問を行い、麻生太郎(Taro Aso)総理(副総理兼財相)や山崎達雄(Tatsuo Yamazaki)・財務省国際局長(当時)が答弁した発言録を収録したものです。

 

具体的なやりとりについては『衆議院のウェブサイト』で現在でも確認することができるのですが、リンク先が少々長いため、昨日の『【資料】2014年4月16日の日本韓国スワップの議事録』で該当する箇所をノーカットで転載したうえで、箇条書きで要約をまとめた次第です。

 

これについては当初、原文が少々長すぎることから、「原文をすべて掲載するのではなく、勝手に原文を箇条書きで要約して紹介するだけで良いかな?」とも思ったのですが、結局、ノーカットで原文をそのまま掲載することにしました。

やはり、議論の「トレーサビリティ」を確保するうえで必要だと思ったからです。

 

正確な事実認識

日本韓国通貨(Cross Currency)スワップは韓国への支援である

 

さて、議事録に掲載されている、三木議員(当時)、麻生太郎総理(※安倍政権下での正式な役職は財相ですが、本稿では「麻生総理」と呼びます)、山崎局長(当時)の3者の発言について、表現を整え、言葉を補ったうえで、再構成しておくと、かなり興味深いことが判明します。

 

まず重要なのは、三木議員の次の指摘です。

 

日本韓国通貨(Cross Currency)スワップは、豊富な外貨準備を持つ日本が、外貨準備が少なく満期1年未満の短期対外債務が多い韓国通貨の暴落リスクを低減させ、欧米の資金が韓国経済へ流入することの後押しになっていると指摘する経済人もいる

 

この「日本韓国通貨(Cross Currency)スワップは韓国への支援である」という指摘は、正鵠を射ています。

というのも、日本韓国通貨(Cross Currency)スワップは、世界でもなかなか例がない、「米国ドルでの引出が可能な二国間通貨(Cross Currency)スワップ」だからです。

 

現在、韓国が保有している米国ドル建てのスワップといえば、引き出すためのハードルが高い「多国間通貨スワップ」であるCMIMと、資金使途が民間金融機関への流動性供給に限られている「為替スワップ」しかなく、いわゆる「米国ドル建て二国間通貨(Cross Currency)スワップ」は1本もありません(図表1)。

 

図表1 現時点で韓国が外国と締結しているスワップ協定(※「自称」も含む)

 

相手国と失効日

金額とドル換算額

韓国ウォンとドル換算額

中国(2020/10/13?)

3600億元≒ 509億ドル

64兆ウォン≒526.3億ドル

スイス(2021/2/20

100億フラン≒ 103.3億ドル

11.2兆ウォン≒92.1億ドル

UAE(2022/4/13

200億ディルハム≒ 54.4億ドル

6.1兆ウォン≒50.2億ドル

マレーシア(2023/2/2

150億リンギット≒ 34.6億ドル

5兆ウォン≒41.1億ドル

オーストラリア(2023/2/22

120億豪州ドル≒ 72.5億ドル

9.6兆ウォン≒78.9億ドル

インドネシア(2023/3/5

115兆ルピア≒ 70.5億ドル

10.7兆ウォン≒88.0億ドル

二国間通貨(Cross Currency)スワップ

小計 844.3億ドル

106.6兆ウォン≒876.6億ドル

多国間通貨(Cross Currency)スワップ(CMIM

384.0億ドル

通貨(Cross Currency)スワップ

合計 1,228.3億ドル

カナダ(期間無期限)

金額無制限

米国(2020/09/19

600億ドル

 

(【出所】各国中央銀行等の報道発表などをもとに著者作成。

なお、米国ドル換算額は昨日夜時点でWSJマーケット欄に表示されていた為替相場を参考に試算。

 

なお、中国との通貨(Cross Currency)スワップについては実在性は不明。

また、※印で示したカナダ、米国とのスワップは、通貨(Cross Currency)スワップではなく為替(Foreign Exchange)スワップ)

 

韓国の資金調達構造の特徴

 

では、なぜ韓国は米国ドル建てのスワップを必要としているのでしょうか。

 

これについては、さっそく、麻生総理の次の発言が参考になります。

 

日本側から見ると、韓国は長期的・安定的な調達手段ではなく、短期的な調達手段で外貨を調達しており、かつ、国際的な大規模銀行も存在しないことから、国際的な金融危機の影響で資金繰りが不安定化しやすいという特徴を有している

 

これについては、普段から当ウェブサイトでも言及している内容とも整合しています。

 

というのも、韓国は外国の金融機関から3300億ドル前後のカネを調達しており(図表2)、そのうち「1年以内に満期が到来する外貨建ての債務」の額は1000億ドル前後に達している(図表3)からです。

 

図表2 

韓国がカネを借りている外国金融機関の所在地(2019年9月末、最終リスクベース)

 

相手国

金額

比率

米国

883.3億ドル

26.78%

英国

811.0億ドル

24.59%

日本

539.9億ドル

16.37%

フランス

270.9億ドル

8.22%

ドイツ

152.7億ドル

4.63%

台湾

103.6億ドル

3.14%

その他

536.3億ドル

16.26%

合計

3297.6億ドル

100.00%

 

(【出所】BISのCBSデータ『B4-S』より著者作成)