【資料】2014年4月16日の日韓スワップの議事録
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日韓通貨スワップ わかりやすく解説

2018/03/30

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本稿は珍しく、過去の公表物をそのまま転載し、そのうえで要約する、というものです。

現在、別途執筆している記事で、2014年4月16日付の国会の「衆議院財務金融委員会」における質疑が非常におもしろかったので、本稿ではこれについてノーカットでそのまま読みやすく編集して転載するとともに、末尾でやりとりを要約したものを同時に掲載することで、「日韓通貨スワップの経緯」を知るための「資料集」として参考にしていただこうという企画です。

 

「資料編」の転載に当たって

本稿は、「資料編」です。

 

衆議院『第186回国会 財務金融委員会 第8号(平成26416日(水曜日))』から、日韓通貨スワップに関する質疑の部分を、そのまま転載しておきたいと思います(原則として、肩書は当時のもの)。

 

転載するのは、当時の「日本維新の会」所属の衆議院議員だった三木圭恵(みき・けえ)氏が、麻生太郎総理(※役職は副総理兼財相)と山崎達雄・財務省国際局長(※当時)に、日韓通貨スワップについて質問をしている部分です。

 

なお、転載に当たっては、発言者を小見出しに変えた点と、漢数字をひととおりアラビア数字に置き換えた点を除くと、基本的には原文のままであり、明らかな誤りと思われる記載(たとえば「1ドル=12ウォン」、など)についてもそのまま転載しています。

 

具体的な質疑内容

 

林田委員長

 

次に、三木圭恵君。

 

三木委員

 

日本維新の会の三木圭恵でございます。

きょうも質問させていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

麻生大臣、G20御出席、お疲れさまでございました。

ありがとうございます。

私の方からは、日韓スワップ協定の件と、配偶者控除の件についてお伺いしたいと思います。

 

ことしの2月18日に、韓国の方の新聞なんでございますけれども、財務省の山崎達雄国際局長が、日韓スワップを検討するよ、向こうから要請があれば前向きに検討してもいいよというような記事が載っておりましたので、ちょっと日韓スワップのことについてお伺いしておきたいなと思って、きょうは質問をさせていただきます。

 

日韓スワップの時限的な増額部分というのは20121031日に、またチェンマイ・イニシアチブの100億ドル分以外の30億ドル分についても、昨年、2013年7月3日をもって失効されました。

 

日韓スワップの所期の目的についてお伺いすると同時に、当時、協定が延長されなかったことについて、当時の政府なんでございますけれども、韓国からの要請がなかったためとされていますが、具体的にどのような理由により判断、決定が行われたのか。

そのことについて、二点、お伺いをいたします。

 

麻生国務大臣

 

まず、最初の通貨スワップの取り決めは、2011年の10月に、これは1年間限りで、総額130億ドルから700億ドルに拡充したと記憶します。

 

これは、当時、欧州情勢というのが甚だしく不透明という状況にありまして、韓国政府の要請がありましたので、私どもとしては、為替市場を含めて金融市場の安定化のためにということで、これで韓国経済が安定しませんと、あそこはいわゆる長期資金というのは余り使われなくて短期で金を回しておられますので、そういったことを考えてやらせていただいたのがそのときの経緯であります。

 

それが延長されなかったのは、1年後の2012年に予定どおりこれは全部終了したんですが、金融市場が安定して、日韓両国で日韓スワップの増額部分の延長は必要ないということに至ったんですが、2013年の7月3日を期限とする30億ドル相当の通貨スワップにつきましては、日韓両国でお話をさせていただいて、本当に大丈夫ですかということも私どもの方の山崎なりほかのところからも先方に確認をしておりますけれども、借りてくれと言ったら借りてやらぬこともないみたいな言い方をされると、そんな義理はない、当然そういった雰囲気にもなりますので、期限を延長する必要はないという結論に達しております。

 

三木委員

 

まさにおっしゃるとおりでございまして、私は、日韓スワップというのは、韓国市場の安定のために日本が手を差し伸べた支援策ではなかったかなというふうに思っております。

 

そこで、一つ。

 

今、外交上の問題とかいろいろ韓国と日本は難しい間にあるというふうに言われておりますけれども、韓国からの要請がなければ延長しないという、判断基準がそれだけでいいのかな。

協定が発動された場合は、まさに外為特会からの支出であり国民の税金が使われるわけでございますし、国民に対しても説明責任というのがやはり日本側としても生まれてくるというふうに思っております。

 

要請されれば貸すけれども、要請されなかったら貸さないよというのでは、なかなか一筋縄ではいかない、ある意味善意の通じにくい国ですので、外交的な配慮等を見ても、それだけではちょっと外交的戦略として欠けるのではないかなというふうに思っているんですけれども、経済政策と外交政策をリンクさせて行うことについて、麻生大臣はどのようにお考えでしょうか。

 

麻生国務大臣

 

中央銀行とか財務省という間のレベルの話ですと、今言われましたように、この種の話は、韓国の場合、短期で回している部分が非常に多い経済でもありますので、こういったスワップみたいなものをきちんと持っておかないとということで、私どもは外から見ていてそう思って話をするんですけれども、これに政治が入ってきますと、なかなか話が込み入ります。

 

今回、マクロ経済の状況というのは健全だということで、日韓両国は、スワップの増額分の延長は必要ないという結論にあのときは至ったんです。今後とも、この種の話は、外貨準備が極端に払底した一九九七年のときとかああいったようなことが起きないようにしてみたり、また2008年も似たような状況が起きつつあったんですけれども、そういったようなことが起きたときのことを考えてある程度手を打っていくべきものなんだ、国際金融というものはそういうものなんだと思っておかなきゃいかぬと思います。

 

韓国中央銀行と韓国の財務省と話が合わなかったり、財務大臣と財務省と話が合わなかったり、いろいろIMFやG20でしゃべっていても、個別に話していても、話が通じるところと通じないところが極端なので、同じ国の人かよと言いたくなるほど話が通じなくなりますので、なかなか難しい交渉だとは正直思いました。

 

三木委員

 

確かにそういう面は多々ある国なんじゃないかなというのは、本当にいろいろな面で私もそういうふうに思っております。隣国として、非常に大変な対応をいろいろな面で迫られている。

 

余りに地理的に近いのでどうしようもないんですけれども、仲よくやっていかなければいけないということはわかるんですけれども、余りにも、報道を見ておりますと、何でここまで言われなくちゃいけないのかというような報道も目立ちますし、私としては、日韓スワップはこれ以上本当にやらなくてもいいんじゃないかなというふうに感じておりますし、多くの国民がそのような感情を今持ってきているんじゃないかなというふうに考えております。

 

あと、近年、韓国の方は大幅な通貨安定策をとってきておりまして、ゴールドマン・サックスの2012年の調査によれば、ウォンの対円相場の下落というのは、その下落率以上に日本の電機産業や鉄鋼などの株価を押し下げる結果につながるという分析結果が示されています。

 

また、電機産業においては、韓国製品の品質が向上しており、日韓間での品質に大きな違いがなくなってきておりますので、そうした中で、国際競争の優劣の重要なファクターは、消費者の購買意欲というのは価格に絞られてきます。

すなわち、ウォンの対円相場は、株価と業界の業績に大きな影響を与えると思われます。

 

また、日韓スワップは、豊富な外貨準備を持つ日本によって、外貨準備高が少なくて、先ほど麻生大臣がおっしゃった満期1年未満の短期対外債務が多い韓国通貨の暴落リスクを低減させて、欧米の資金が韓国経済へと流入することの後押しになっているのではないかという観測も見られております。

 

すなわち、我が国との厳しい競合関係にある韓国のファイナンスに対して日本政府が円で信用を供与することにより、日本の電機産業等のビハインドになっているのではないか、一部、そういうふうに言われる経済人もいらっしゃるんですけれども、麻生大臣はその点についてはどのようにお考えでしょうか。

 

山崎政府参考人

 

日韓通貨スワップを初めとする地域の金融協力は、為替市場を含む金融市場の安定を通じまして、相手国、日韓の場合は韓国だけじゃなくて、日本にとってもメリットはあります。

 

というのも、日本と韓国との間の貿易・投資、あるいは日本企業も多数韓国に進出して活動しているわけでありまして、その国の経済の安定というのは双方にメリットがある面、それからまた通貨という面でいうと、むしろ通貨を安定させるという面、ウォンを安定させるという面もあるわけであります。

 

そういうことで、私どもとしては、当時、日韓通貨スワップを拡大したのは、むしろ、韓国のためだけというよりも、日本のため、地域の経済の安定のためということがあったということだけ申し上げたいと思います。