日本韓国スワップ、あえて「日本のメリット」を考えてみる
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韓国日本通貨(Cross Currency)スワップ14年ぶりに完全終了

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また、201110月には、いずれも当時の野田佳彦首相と李明博(LeeMyung-bak,이명박,イ・ミョンバク)大統領の合意により、日本韓国通貨(Cross Currency)スワップを130億ドルから700億ドルに増額する措置が講じられました。

(いわゆる野田スワップ、うち円建て30億ドルから300億ドル、ドル建てを100億ドルから400億ドルに増額)

 

これにより、当時の欧州債務危機の混乱にもかかわらず、韓国ウォンは暴落しないで済んだ格好です。

では、この「700億ドル野田スワップ」が締結されて以降、韓国は日本に対し、一言でも感謝を述べたのでしょうか?

 

全然違います。

というのも、韓国側は、次のような不法行為を日本に仕掛けて来たからです。

(※文中敬称略)

 

1.1214日…

ソウルにある日本大使館前の公道上に、いわゆる「慰安婦 (위안부,Comfort woman = Sex Slaves = Prostitute)像」が設置される

(※以降、日本政府が撤去を求めるも韓国政府はこの要請を一切無視している)

 

2.1218日…

京都で行われた日本韓国首脳会談で李明博(LeeMyung-bak,이명박)が野田佳彦に対し、いきなり慰安婦 (위안부,Comfort woman = Sex Slaves = Prostitute)問題を蒸し返す

 

3.8月10日…

李明博(LeeMyung-bak,이명박)がわが国日本固有の領土である島根県竹島に不法上陸する

 

4.8月14日…

李明博(LeeMyung-bak,이명박)が天皇陛下(HisMajesty the Emperor)(※現在の上皇陛下(TheEmperor Emeritus))を侮辱する発言を行う

「日王Japan King)が韓国を訪問したいなら、 独立運動で犠牲になった人々に、謝りに来い」

 

スワップを締結してあげても感謝してもらえないというのは、本当に悲しい話ですね。

 

ちなみに、韓国政府はその後、野田前首相が送った親書を書留郵便で送り返すという、とんでもない無礼を働いているのも付記しておきましょう。

 

韓国、野田首相親書を書留で郵送 返却拒否受け

2012/8/2320:27付 日本経済新聞電子版より)

 

財務省の滅茶苦茶なロジック

 

以上を踏まえたうえで、日本韓国通貨(Cross Currency)スワップの700億ドルへの大幅増額措置について、当時の山崎達雄・財務省国際局長の説明を確認しておきましょう。

 

山崎参考人の発言(※便宜上、番号を付している)

 

①日本韓国通貨(Cross Currency)スワップを初めとする地域の金融協力は、為替市場を含む金融市場の安定を通じ、相手国(韓国)だけでなく、日本にとってもメリットはある

 

②日本と韓国との間の貿易・投資関係、とりわけ日本企業も多数韓国に進出して活動しているという事情を踏まえると、その国の経済の安定というのは双方にメリットがあり、通貨という面では、むしろ通貨ウォンを安定させるという面もある

 

③財務省が当時、日本韓国通貨(Cross Currency)スワップの規模を拡大した理由としては、韓国のためだけというよりも、むしろ日本のため、ひいてはアジア地域の経済安定のためという側面があった

 

このうち①と③については麻生総理の発言とあまり変わるところはありません。

 

日本が通貨スワップを提供することで、韓国の金融市場・為替市場が安定すれば、アジア地域全体の経済が安定する、という効果を、当時の財務省は期待していた、ということです。

今ほど日本韓国関係が悪化していなかった当時であれば、こうした「屁理屈」も、それなりに説得力はあったかもしれません。

 

しかし、②については、明らかに数字を見ていない、「机上の空論」と言わざるを得ません(上記図表2、図表3等参照)。

さらに、私たちにとってはまことに残念なことに、韓国は支援をして感謝してくれる国でもなければ、反日感情がなくなる国でもありません

 

麻生総理「話が通じない国」

 

さて、こうした財務省の滅茶苦茶なロジックはともかくとして、もうひとつ紹介しておきたいのが、副総理兼財相である麻生太郎総理の、次のような発言です。

 

201110月に日本韓国通貨(Cross Currency)スワップを総額130億ドルから700億ドルに拡充したのは、欧州債務危機による金融市場の混乱を受け、韓国政府の要請に基づいた行われた措置だが、増額措置が2012年に終了した理由は、日本韓国両国でスワップ増額部分の延長は必要ないとの結論に至ったためである

 

まず、先ほどの「700億ドルの野田スワップ」については、韓国側の要請に基づいて行われた措置である、という趣旨のことを明言しています。

(※このあたり、山崎局長の「日韓通貨(Cross Currency)スワップには日本韓国双方にメリットがある」、とする見解と微妙に整合していないように思えます)

 

そのうえで、野田スワップが終了した理由を、(欧州債務危機が一巡するなど)「スワップ増額措置の必要性がなくなったためだ」、などとしているのですが、自然に考えて野田スワップ終了措置の判断に竹島上陸、天皇陛下(His Majesty the Emperor)陛侮辱、親書返送などの無礼行為の数々がまったく影響しなかったと見るのは無理があります。

 

ただ、麻生発言のなかで興味深いのは、次のような「内情の暴露」でしょう。

 

1.日本韓国両国が通貨(Cross Currency)スワップ増額措置の延長は必要ないとの結論に至った時点では、マクロ経済の状況は健全だったが、1997年のアジア通貨危機に際しては韓国の外貨準備は極端に払底し、また、2008年にも似たような状況が生じつつあった

 

2.「短期の外貨借入で経済を運営している」という韓国経済の構造を踏まえ、日本側から「韓国経済のためには安全弁としての日本韓国通貨(Cross Currency)スワップのような協定が必要ではないか」と話すにしても、中央銀行や企画財政部などの事務レベルと政治レベルでは話の複雑さが異なる

 

3.わが国日本では、そもそも国際金融においては、1997年や2008年のような状況に備え、ある程度は手を打っておかねばならないものだと考えているが、IMFやG20などの場で韓国側と話をしても、中央銀行や企画財政部など、話が通じる相手と通じない相手の違いが極端であり、交渉は難航する

 

つまり、日本の立場からすれば、国を挙げて、安定的な長期借入金ではなく、不安定な短期借入金に頼っているという韓国の資金調達構造は危なっかしくてならないのですが、それは事務方レベルでは理解できても、政治家レベルでは感情的になって話が通じない、ということです。

 

そのうえで、決定的なのは、次の趣旨の発言でしょう。

 

2013年7月3日に30億ドル相当の通貨(Cross Currency)スワップが失効した理由のひとつは、日本側から「本当に大丈夫か」と問い合わせたところ、韓国側から借りてくれと言われたら借りてやらないことはない」、といった言い方をされ、日本側で「そんな義理はない」という雰囲気になったこともある

 

そりゃそうですね(笑)

 

教訓

 

さて、日本がアジア諸国などとの間で通貨(Cross Currency)スワップや為替(Foreign Exchange  )スワップを推進する意味としては、思いつくまま列挙しても、次のようなものがあります。

 

1.アジア諸国の金融を安定させることで、アジア諸国の経済成長を支援し、ゆくゆくは日本にとっても多大な恩恵をもたらすこと

 

2.アジア諸国に対して通貨の安全弁を提供することで、日本に対し感謝の念を持ってもらうことなどを通じ、親日国がアジア全体に広がること

 

3.日本円の国際化がさらに進展すること

 

実際、日本は自国通貨自体が国際的に通用度の高い「ハード・カレンシー」でもありますし、また、米ドルなどを中心に巨額の外貨準備を保有しています。

こうした事情に照らせば、アジア諸国と通貨(Cross Currency)スワップなり、為替(Foreign Exchange)スワップなりを推進する価値はあります。

 

(※もっとも、財務省が「国の借金を減らす」と騙り、増税に邁進しているほどですから、外貨準備高が実際に必要な金額と比べて多すぎるという問題点はありますが…。)

 

ただし、日本がこれらのスワップを推進する価値があるとしたら、少なくとも

日本経済と日本企業にとっても恩恵があること

日本の貢献が相手国から正当に評価されること

などが必要です。

 

韓国に対して日本韓国通貨(Cross Currency)スワップを提供したら、韓国の当局は日本韓国通貨(Cross Currency)スワップを「バックストップ」として、安心して為替介入を常態化させ、結果的に日本企業の国際的な競争力が削がれるという意味で、まず日本経済と日本企業にとってメリットがあるのかどうかは疑問です。

 

また、日本が過去に韓国を助けても、「支援が遅かった」と逆恨みされたり、大使館前に変な銅像を設置されたり、私たち日本人が尊敬している天皇陛下(His Majesty the Emperor)が侮辱されたり、親書を郵便で送り返されたり、といった侮辱を全力で受けるのが関の山(Seki-no-yama)だ、というのが、これまでの歴史が教える教訓です。

 

関の山(Seki-no-yama)

The limit that you can not do any more.
Well, or that's up to that estimate.

No matter how hard I try, I could only that.

 

日本政府が韓国との間で通貨(Cross Currency)スワップを再開するかどうかを決断するに当たっては、以上を踏まえて判断していただきたいと思う次第です。

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

さて、日韓通貨(Cross Currency)スワップを再開すべきかどうかを巡っては、先日も紹介したとおり、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史(Takabu-miSuzu-oki)氏が『デイリー新潮』に数日前に寄稿した、次の記事が参考になります。

 

新型肺炎発の韓国の通貨危機 米国の助けも不発で日本にスワップ要求

…23年前のデジャブ

한국 외환 위기 미국의 도움도 불발로 일본에 스왑 요청

2020324日付 デイリー新潮より)

 

同記事では当ウェブサイトへのリンクが張られているため、当ウェブサイトが同記事を紹介してしまうと「循環参照」のようになってしまうという悩みがありますが(笑)、ただ、正直申し上げれば、日本国民であれば必ず読んでおくべきというレベルの優れた記事でもあります。

 

まだの方は、是非、ご一読下さい。

 

※本文は以上です(That's it for the text)