韓国パッピンス変遷史 | ゆうきの韓国スケッチブログ

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ソウルに住んで16年目の日韓夫婦。韓国の日常をつれづれなるままに文字や写真やイラストでスケッチしていきます。

韓国の夏のスイーツの定番といえば
なんといっても韓国式かき氷
パッピンス(팥빙수)

最近では韓国ファンの日本人の間でもすっかりおなじみですね。
パッピンスを食べるために、わざわざ夏の韓国を訪れる人もいるとかいないとか...。

今回は韓国のパッピンスの変遷史を簡単にまとめてみました。



氷を細かくかいたものに甘みを添えて食べるスイーツが韓国に登場したのは日本の統治時代だそうです。
当時のビンスは氷に甘いシロップをかけるだけのいたってシンプルなものだったとか。
縁日などで見かける日本のかき氷スタイルですね。
この段階ではまだ「パッ(小豆)」がないため「パッピンス」とは呼びません。

それが1970~80年代に
氷の上に小豆をのせて食べるスタイルが主流になります。

これぞ元祖「パッピンス」
今よりものの少なかった時代。
具は缶詰の小豆だけというシンプルなスタイルでした。
釜山の国際市場の「パッピンス通り」では、今でも
昔とかわらぬ手回しのかき機で作られるこのスタイルのパッピンスを食べる事ができます。




さて、時代が下り、韓国がだんだん豊かになるについれ、パッピンスの姿も変わっていきます。


1990年代、
フルーツや餅、チョコレートにきな粉など、
溢れる物質文明を象徴するかのように、ビンスのトッピングもどんどん豪華に。
ちなみにトマトは長らく果物としての扱いを受けてきたため、
このころのビンスには欠かせない、メジャーな具でした。



そして、2000年代
ビンス界に彗星のごとく登場した
「アイスベリー」スタイル!


このスタイルの特徴は何と言ってもビンスの上にそびえる
ソフトクリームタワー。
これをビビンバのようにぐっちゃぐちゃにかき混ぜて
大人数で食べるという、ある意味非常に韓国チックな食べ方が醍醐味でした。



アイスベリー系ビンスが我が夜の春を謳歌していたそのころ
淑明女子大前の小さなお店からビンス界に新たな潮流が生まれます。

フルーツオンリーのビンス、
クァイルビンス(과일빙수)の誕生です。

とくに淑大前の「ストロベリービンス」は
ワッフルと一緒に食べるというスタイルが新鮮でした。
ビンスが「オシャレさ」を追求し出した時期でもあったわけです。
しかし、これもやはりぐっちゃぐちゃにかき混ぜて食べるスタイルであったことには変わりありませんでした。



そして2010年代
ビンスに大きな転換点が訪れます。
それを象徴する出来事は何と言っても"옥루몽スタイル"の大ブレイク

涼しげな真鍮の器に上品に盛られた氷はあくまでもきめ細かく柔らかく
そしてトッピングはひたすら派手さを追求してきた歴史を否定するかのように
上質の小豆と餅だけというシンプルさ。
なんといっても、ぐっちゃぐちゃにかき混ぜることのはばかられる高級感。
パッピンスが庶民向けの「間食」から高級な「デザート」へと変貌したわけです。



そして今も、
パッピンスはさらなる進化の途上にあります。
옥루몽スタイルがビンス界の「高級化」、「原点回帰」であったとするなら、
2014年はそれと과일빙수の伝統との融合がキーワードと言えるかもしれません。

↑「설빙(雪氷)」スタイル。
옥루몽系統の高級感を残しつつも
과일빙수のスタイルを取り入れ、トッピングの多様化を図っている。


その他にも
メロンビンス

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マンゴービンスなど

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これからもパッピンスは年々その姿を変えながら
我々を楽しませてくれることでしょう。

しかし、時代が移ろっても変わらないピンス哲学
それは
「みんなで食べると美味しいね」
ということなのかもしれません。

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