春節と蛇の神話：世界に息づく神秘の霊力

もうひとつの新年ともいわれる「春節」。

中国や韓国では、この時期に新たな「巳年」の幕開けを盛大に祝います。

今年は巳年ということで、世界中の蛇にまつわる不思議なお話をご紹介します。

古代中国には天地開闢（かいびゃく）の神話があり、多くの神々が登場します。

その中には、蛇の姿をした「燭竜（しょくりゅう）」という神は、人の顔を持ち、体は長さ千里にも及ぶ巨大な蛇だったといわれています。

燭竜が目を開けると昼になり、閉じると夜になる。

また、息を吐くと黒い雲が生まれ、大雪を降らせて冬をもたらし、息を吸うと強烈な太陽が照りつけ、夏になると伝えられています。

その壮大な力に、古代の人々は大いなる畏敬の念を抱いたのでしょう。

また、中国の三皇五帝（さんこうごてい）に数えられる「伏羲（ふくぎ）」と「女媧（じょか）」も蛇の姿を持つ神々です。

彼らは夫婦や兄妹とされ、人類の祖と語られています。

彼らが生み出した肉の塊が切り刻まれ、それが人間になったという神話はとてもユニークですね。

日本でも、縄文時代の土器には蛇のモチーフが数多く見られます。

さらには、頭に蛇を載せた土偶も発見されています。

蛇は脱皮を繰り返し成長することから、古代人は「再生」や「生命の力」を感じていたのかもしれません。

日本の神話にも、蛇の神が多く登場します。

たとえば、「宇賀神（うがじん）」は人の顔と蛇の体を持ち、福を招く神として信仰されています。

また、蛇の姿に似ている樹木も神聖視されてきました。

たとえば、幹がまっすぐで、枝がなく、葉が上部に茂るヤシ科の「蒲葵（びろう）」は、その姿が蛇を連想させることから、天皇即位の仮屋や高貴な人の乗り物「檳榔毛車（びろうけのくるま）」の屋根に使われていたそうです。

蛇に対する信仰は日本だけでなく、世界各地で見られます。

古代エジプトでは王の象徴としてコブラが描かれ、インドでは「ナーガ」と呼ばれる蛇神が崇拝されてきました。

メキシコでは、羽毛を持つ蛇の神「ケツアルコアトル」が天地をつなぐ神として信じられています。

ギリシャ神話でも蛇は特別な意味を持ちます。

神々の使者ヘルメスが持つ「カドゥケウス（ケリュケイオン）」の杖は、二匹の蛇が絡みついた形をしており、調和や平和、医療の象徴とされています。
この杖は現代の医療シンボルにもなっています。

さらに、タロットカードの大アルカナ10番「運命の輪」にも蛇のモチーフが登場します。

このカードの蛇は運命の流れや変化を示し、再生や進化を象徴するとされています。

蛇が古来より、知恵や変容、生命力の象徴とされてきたことがよくわかります。

どの国の神話を見ても、蛇は特別な力を持つ存在として語り継がれています。

そんな蛇が象徴となる「巳（み）」の年は、何か新しいエネルギーを秘めた特別な年なのかもしれません。

春節の機会に、神社やお寺にお参りし、蛇の霊力にあやかって、素敵な一年をスタートさせてみてはいかがでしょうか＾ー＾