先月3月1日(金)お台場にオープンした「イマーシブ・フォート東京」

 

しかし、このパークで一番高評価&話題のアトラクション「江戸花魁奇譚」(えど おいらん きたん)はお金がな

チケット売り切れの日が続いて残念ながらなかなか体験できませんでしたが、先日お金の工面がつ
なんとか予約と休みが取れたので、ようやく体験してきました。

 

この「江戸花魁奇譚」こそ、パークのキャッピコピーにある「人生、全とっかえ。」となるような、自分以外の何かになれる凄い経験が待っているのでしょうか・・・!?

 

私の目利きは甘くありません。忌憚(きたん)ないレビューをさせていただきます。花魁奇譚(きたん)だけに。

奇譚(きたん):世にも珍しく不思議な物語や伝説。

忌憚(きたん):忌みはばかること。遠慮すること。

 

ハイレベルなダジャレに世界一有名なキャラクターも思わず駆けつけたようで、彼から壮大なツッコミを貰ったところで、いよいよレビューを書いていきましょう。

 

・「江戸花魁奇譚」アトラクションの流れ

皆さんご存知のように、このアトラクションは入る前に(要約すると)"ネタバレ厳禁"「誓約書」を書かされます。どこまでがネタバレになるのか正直分かりませんが、怒られなさそうな範囲で書いていきます。

※2025年3月1日以降は基本的に体験談の投稿が自由になりました

 

物語最初の舞台はヨーロッパのとあるホテル「オールド・ドリーム・イン」。

 

そこでは密かに闇オークションが開催されており、この日のオークション目玉商品は妖刀「藤烏」(ふじがらす 「鳥(とり)」 ではなく横棒が1つ少ない「烏(からす)」)。

 

藤烏は藤の木で作られた鞘、そしてカラスの如く真っ黒な刃をもつ珍しく、そして曰く付きの妖刀・・・。

オークションの前に、映像にてこの刀に纏わる詳しいストーリーを見ます。

江戸時代、少年「次郎吉(じろきち)」と両親がいなく次郎吉の家に引き取られた少女「紫珠(しず)」は兄弟のように共に育った。刀鍛冶であった次郎吉の父は、生活のため神の使いである烏(カラス)の生き血を吸わせて鍛錬した究極の刀、「藤烏」を完成させる。だが、父はその刀で自ら妻を切り殺した。

 

次郎吉は紫珠を連れて逃げ、当てもなく街を彷徨っていたところ、紫珠は遊郭の主人に拾われる。次郎吉は紫珠の幸せを信じ、それを見届けた・・・。

 

月日は流れ、紫珠は「夕紫花魁」として美しく成長。次郎吉はいつも傍で紫珠を見守っており、いつしか2人は互いに恋焦がれるように・・・。
だが、遊郭で連続辻切事件が発生、紫珠もその犠牲になった。

 

全ては手にした者は刀に操られ、人斬りの衝動が抑えられなくなるという呪われた妖刀「藤烏」がもたらした事なのか? 刀を手にした者は不死となり、200年以上経った今も彷徨い続けているという・・・。

 

 

物語本編、オークションがスタート。妖刀「藤烏」は、とある男が5億円という破格の値段で落札しました。男は競り落としたその刀で、自らを斬

「よすのだ!」

「なぜ止める・・・。まだ俺を苦しめるのか・・・。」

 
そなたの人生を、やり直したくはないか? 参ろう、あの花魁道中の日へ・・・。」

 

 

約200年前の「江戸の花街」へタイムスリップ、目の前に花魁道中の世界が広がります。

 
最初にとある男が「もうすぐここに辻斬りが来る!」と騒ぎを起こし、その後は参加者達はアクター演じるキャラクター達の案内でそれぞれ全く違う個別の体験ができます。 
 
手持ち太鼓の演奏をしたり、鞠で一緒に遊んだり、時には「花魁」がいる座敷で過ごしたり・・・。

 

物語の根底に関わる重要な話を体験できる場合もあれば、ただキャラクター達と戯れるだけもあるなど、当り外れが大きいのが難点ではあります。

 

私も1回目と2回目は大した体験ではありませんでしたが、3回目にして夕紫花魁がいる立花屋に案内され、彼女を拾い育てた義父から紫珠の生い立ちが聞けるなど貴重な体験ができました。

 

ただし、あくまで個別ルートは物語の大筋に関係はないサイドストーリーではあり、大筋の重要なシーンの時は全員で共通して見る形になるので、人によって全体の印象が大きく異なるって事にはならないと思います。ただし、サイドストーリーの行動次第でエンディングが変わるようです。決められた(案内された)事以外の行動を起こすのは難しいと思いますが・・・。

 

そして中盤、夕紫花魁の花魁道中が行われます。するとその最中、本当に辻斬りが現れ・・・。

 

この辻斬りのシーンは過激な描写が多く、本作がR-18の理由はこれだと思われます(花魁の性的な描写は控えめである)。残酷で直接的な殺害、悪趣味で猟奇的な展開もあります。

 

その中で、治郎吉と紫珠は再開する。「忘れた事など、一度もなかった。もう離れたくない。」という紫玉に対し、「自分はまだやるべき事がある」とその場を去る治郎吉。

一先ず、参加者達は近くの建物内に一時避難します。この時も、建物及び案内されるキャラクターによって個別の体験となります。

 

この女衒(せげん、女性を遊廓などに斡旋する仲介業者)のルートでは、彼から秘められた過去を聞いたり、

 

吉松のルートでは重要なサイドストーリーが聞けます。彼は紫珠がこの遊郭に来た時からの幼馴染で、彼女に惹かれていた。紫珠には既に心に決めた人(治郎吉)がいると気付いていながらも、諦めることができなかったと涙ながらに語ります。

 

その後、みんなで固まり、遊郭の近くある治郎吉が隠れ住んでいた家まで避難する事に。そこで明かされる、驚愕の事実とは・・・。

 

この先のエンディングは流石に記載を控えますが、確かに感動的なものでした。いや、1回目は割と冷めた目で見ていたのですが、3回も見ると流石に登場人物達に感情移入してしまい、ちょっと泣きそうになりましたね。

 

アニメ「フルーツバスケット」にて『ただ泣きたくなるの』が流れた時並の衝撃だったかな。

アニメ「フルーツバスケット」(2001年に放送されたもの)では、最終回前後の重要なシーンにて中山美穂の『ただ泣きたくなるの』(1994年)のインストゥルメンタルが使われ、非常に感動的な演出で話題となりました。同時に、アニメの主題歌でも挿入歌でもなく、特に作品(原作)とも何の関係もないこの曲が使用されたことは、当時多くの視聴者を驚かせました(※この曲を作曲した「岩本正樹」さんがアニメの音楽を担当されていた関係とのこと)。

 

2024年12月6日、中山美穂さんは不慮の事故でお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。

 

そして、参加者たちは現代に戻ります。ラストの展開は含みがある終わり方に留まるため、人によって解釈が分かれると思います。妖刀「藤烏」の呪いを受けていたのは治郎吉で、紫珠は治郎吉と共に自害をする。時が現代に戻り、オークションに現れたのは治郎吉の代わりに呪いを受けることになった紫珠で(毬を落とすのがその伏線)、治郎吉と同じく競り落とした藤烏で自害しようとしたところ、再び過去のやり直しを… というのが広く知られている解釈ですが、その後現れるホテルのオーナーの言葉も気になるんですよね。

「おや?皆さんオークションはもう終わっていますよ。ああ、夢を見られていたのですね・・・。

 ここはオールド・ドリーム・イン。またのお越しを、お待ちしております・・・。」

本作は確かにマルチエンディングなのですが、通常エンディングになる事が殆どであり、特殊な行動をした時のみ展開が変わるようです。エンディング数は結構あるみたいですが、どれも似たり寄ったりではあって、大きく印象の異なるハッピーエンドは無いみたい。

キャラクターの1人に(夕紫花魁のいる)立花屋に「禿」(遊女見習いの幼女)がいますが、その子は通常の流れだと終盤に離脱してしまうところ、何らかの方法で離脱を阻止できれば、エンディングが変わるというのが有力な説です。なお、この禿はどうやら次郎吉と紫珠の子供みたいなんですよね…?治郎吉は紫珠を"傍で見守っていた"ので、普通に考えれば当然そんな筈ではないのですが、もしかしたらその前提が実は違うのか・・・?

 

体験終了後は、エスカレーターで1階に降りて、このラウンジ?にてジュースが貰えます。ここで余韻に浸りながら物語について語り合うのが正しい流れなのでしょう・・・。※2025年3月1日以降はこの部屋は廃止になりました。

 

 

・所感
体験料金を考えなければ、テーマパークのアトラクションとして、イマーシブシアターとして素晴らしいコンテンツです。没入的に体験できるお芝居としては申し分のない、素晴らしいものでした。単体料金9000円(入場チケットとセットだと8000円)※2025年3月1日以降は14,800円 に見合うかと言われれば、たぶんこの手のコンテンツが好き(或いは興味のある)人に限った話ではあると思います。

 

初回見たときは正直、良かったけど特別凄い!って印象ではなく、典型的な 声の大きいオタク・マニアが騒いでるだけ と思いましたが、それでも何回も体験する(体験したくなる)事で、だんだんと物語の深みに嵌まっていくのが、凄いということかな。


〇2025年3月~ アップデート

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2025年3月1日以降、イマーシブ・フォート東京全体のリニューアルに合わせて、このアトラクションもアップデートが行われました。

 

結論から言うと、基本的な構成や演出は変わっていなく、それほど大きな変化はありません。いくつかあるエンディングのうち、新たなエンディングが追加されているとのことですが、自分は遭遇できませんでした(なお、新エンディングでも結局は似たような結末で、大きく物語が変わる感じではないらしい)。


ただし、音響等の演出がより濃厚になって感情移入しやすくなった、気がします。

 

 

〇おまけ:「イマーシブ・フォート東京(2回目)」

2回目の訪問となるイマーシブ・フォート東京。「江戸花魁奇譚」の時間前後に、改めて他のアトラクションやショーも再度体験してきました。今回は仕事終わり、午後からの訪問でした。なお平日とは言え4月上旬、世間は春休みの真っ盛りです。
でもパーク内はガラガラ

というかガラガラ過ぎません⁉︎

 

中央広場で行われるショーに人が集中して、その他は閑散としていました。春休みでこれって、ちょっと心配になるレベル。

 

アトラクションもショーの最中は人が誰もいないレベルで空いていて、ショーがやってないタイミングだと人が流れてきて一気に混雑する感じでした(なのでアトラクションの待ち時間にはかなり波がある)。

 

前回演技がお世辞にも上手くはなかった 「ジャック・ザ・リッパー」のジャックの演技が格段に上手くなっていたり、「推しの子」にリアル「ぴえヨン」が登場するようになったりと、ここ1ヶ月の間だけでも変化が多かったです(詳細は下記の記事に追記)。