俳句の「使用文体の拡張」
について実作とともに探っています。
文語体俳句、口語体俳句、会話体俳句
の各作品をあつめました。
各文体で同じ季語を
使用して比較できるようにしました。
楽しんでご覧いただければ幸いです。
*作品はすべて既発表句です
『秋の題詠』
多文体俳句集
第一部
〜口語体俳句〜
むすぶ手よすでに吹かれて七夕竹
遠近よただなかに見てあまのがわ
来ては立つこころのおくの夕花野
翔つ鳩のひとかたまりよ涼あらた
鎌よそらさくと落として芭蕉の葉
老一人おもいでに住むあかとんぼ
ちんもくよよいじんせいを星月夜
灯のままで夜のままでよし霧の街
あれば雲なければ月のむしのこえ
あおぎみてあらゆる歴史十五夜よ
口語体・現代仮名遣い・現代的切れ字
(基本)
第二部
〜文語体俳句〜
たなばたやせかいへいわの拙き字
天の川なすすべもなく老ひにけり
風ふきて向きのかはりし花野かな
新涼やみづを揉みつつ手をあらひ
葉たがひに影揺らしあふ芭蕉かな
赤とんぼ郷土史けふにつづきけり
そこに富士さだかなりけり星月夜
歩とめれば山霧四方をながれけり
山に野に草にいのちやむしのこゑ
十五夜やそなへてかげの萩すすき
文語体・歴史的仮名遣い・古典的切れ字
(基本)
第三部
〜会話体俳句〜
平和さよ飾りおもたくたなばた竹
あるがままです心とはあまのがわ
花野道じぶんのなかへつづきます
ほしつぶの灯ふえゆく都市新涼だ
そうぞうがむね駆け廻る芭蕉の葉
つぶやくよ色褪せた句を赤とんぼ
走りまわるよ探査車はほしづき夜
霧の路地しろくろの夜のガス燈だ
見当がつかないのですむしのこえ
灯はふえません十五夜の瀬戸の島
会話体・現代仮名遣い
(基本)
終わり
◇ 前回までの作品集 ◇
『三春』
多文体俳句集
『三夏』
多文体俳句集
『四季自選』
多文体俳句集
◯詠んでみた感想
多文体俳句集として、
今回で10作品目になりました。
今回まで詠みまとめてきて、
俳句は文語体、
歴史的仮名遣いを基本に詠むもの
といった前時代の思考から、
俳句は文語体、口語体、会話体等や
歴史的仮名遣い、現代仮名遣い
を基本に詠むこともできる
といった現時代の思考への移り変わりを、実際の作品を通して多少は比較・検証・実証できたようにも感じています。
また各文体の俳句の「特徴」「特性」「秀でた点」「型の種類」「各技法」「切れ(切れ字)」「表現法」「主題の新旧」「可能性と限界」などの理解も個人的に少しずつですが進んできました。
今後の取り組みとして、各文体の俳句の形式や内容の独自性をより前面に押し出した多文体俳句集づくりにも挑戦できればと思っています。
今回は各文体で同じ季語を
使用して比較できるようにしました
◇今回のテーマ等
・同一季語での詠み分けとその比較
・自然詠と人事詠
・俳句、一行詩の両側面を探る
・切れ字、切れ、季語の活用
・格調、機知、余情、間、深みなど
◯作者の個人的な考え、見解
◇その目的
多文体での俳句づくりの目的は、単なるパフォーマンスや他との競争ではなく、
自分自身の俳句やそれぞれの文体表現の可能性をさぐり、深化させていくことだと捉えています
俳句をより学び、より楽しむことを大切にしています
◯多文体俳句の主な目的
1、俳句で使われる文体の整理
各文体と各仮名遣いがごちゃまぜに使用されている俳句の現状について整理を行う提案
2、俳句同士の対立の緩和
伝統的な俳句と現代的な俳句の対立等をその両方に取り組むことで緩和すること
3、各文体の俳句の共存
文語体俳句、口語体俳句、会話体俳句等を同等の俳句として扱い、取り組んでいくこと
4、各文体の俳句を互いに高めあうこと
各文体の俳句の特徴や強み、技法などを理解し、互いに高めあうこと
5、俳句の歴史と現在、未来をつなぐこと
伝統的な俳句と現代的な俳句に同時に取り組むことで俳句の歴史と現在、未来をつなぐこと
等々
現在の試みとして、
文語体俳句、口語体俳句、会話体俳句
の3つ方向性を
順次探究しています
◇文語体俳句
「古典語・歴史的仮名遣い・古典的切れ字」を基本にした俳句
◇口語体俳句
「現代語・現代仮名遣い」「現代的切れ字」を基本にした俳句
◇会話体俳句
「現代の話し言葉」やそのフレーズ、会話、対話、独話、セリフ、つぶやき等を活かした句
など、個人的に大まかに分けて取り組んでいます
切れ字について短くまとめます
◯文語体が基本の俳句
◇文語体
古典語法に基づく伝統的で格調高い文体
◇歴史的仮名遣い
古典的な仮名遣いのこと
・言ふ、けふ、ゐた、てふてふなど
◇古典的切れ字18字
や、かな、けり、よ、か、ぞ、に、へ、せ、
ず、れ、け、ぬ、つ、し、じ、らむ、もがな等
◯口語体が基本の俳句
◇口語体
現代語法に基づく日常的で自然な文体
◇現代仮名遣い
現代的な仮名遣いのこと
・言う、きょう、いた、ちょうちょなど
◇現代的切れ字 の候補
よ、か、ぞ、と、に、へ、せ、で、まで、
ず、れ、け、た、が、て、は、な、こそ等
◯会話体が基本の俳句
◇会話体
話し言葉をそのままに再現した文体
◇現代仮名遣い
現代的な仮名遣いのこと
・言う、きょう、いた、ちょうちょなど
◇主な語尾の候補(要検証)
です、ます、でした、〜だ、
だった、〜ません、〜の、〜ね、〜さ等
*仮名遣いについてなど一部例外もあるようです
◯文語・口語の大まかな図
下記は、俳句における
文語・口語の大まかな図です
◇文語=文語体=古典語=古い時代の文体
◇口語=口語体=現代語=書き言葉
∟==話し言葉
◇仮名づかい 歴史的仮名遣い 現代仮名遣い
下記は
現代的な切れ字の候補についての記事です
「現代切れ字 十八字(推奨)」
よ・か・ぞ・と・に・へ・せ・で・まで
ず・れ・け・た・が・て・は・な・こそ
これらは「現代の言葉」で俳句を詠む際に切れ字のような役割を果たす語はないのか
「間」を生み出すために必要な「句を区切るための語」が現代の語にはないのかを探ったものです
俳句の「詩性」「思想性」
などについて作品を中心に探究しています
下記について、毎日の投稿などで
月日をかけて探っていければと思っています
「表現の新と万象の真」「驚きと感動の詩」
「一新一真」「都市詠の探求」「一句新世界」
「ものごとの花」「沈黙の美」「内的宇宙」
「三物一句」「風情の継承」「平明深遠の詩」
現代語・現代仮名遣い・現代的切れ字
を基本にして俳句を詠んでいます
① 現代俳句
俳句の「現代化」「現代文学化」
について実作を通して模索しています
② 多文体俳句
俳句の「使用文体の拡張」
について実作とともに探究しています
③ 俳詩 (旧 一行詩的俳句)
俳詩として、俳句の基本を母体に
「詩性」「現代性」なども探っています
④ AI共作俳句
生成AIを「制作助手」とした
俳句集づくりについて探究しています
個人的な
俳句の探究を楽しんでいます
*解説について至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください
*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります
◇関連記事◇


















