一行詩的俳句集『春の自選』
俳句の一行詩としての
側面を探った作品集です
今回は春の自選作品を集めました
主に口語体、現代仮名遣いで書いています
俳句の575の型・季語・切れの基礎とともに、一行詩の特徴・技法などもわかる範囲で取り入れました
楽しんでご覧いただければ幸いです
*作品はすべて既発表句です
『春の自選』
一行詩的俳句集
羽根しんとうつるよ蝶の水飲み場
ボートレース川はすべてを輝かす
流し雛手はなすことのうつくしく
億年の地球、鳴き出すひばりの巣
みずうみのみずにも記憶蝌蚪泳ぐ
カーテンが吹かれるように春愁は
とおぞらに浮く残雪のアルプスが
そらからの視点よ街のゆきのはて
一点の自我がほぐれておぼろの夜
みなむねのかいだんのぼり春の星
◇
鍵盤を弾きだすようにはつざくら
あのひとがむねにいる鳥雲に入る
一生を吹きひろげた陽しゃぼん玉
太陽信仰きっと麗らにしはじめた
揚げひばりいま意識してする呼吸
風船は未来、飛ばせばなおのこと
むねを張るはるいちばんの風見鶏
春よ命泣いてゆがんでピカソの絵
ものおもうだからはるかに春夕焼
落ちつばきあかいかげ得て水の上
◇
なにができるよ永別の夜のさくら
春ショール肩に月日を掛けながす
だれも皆わすれなぐさとして一人
目━━心━━無意識世界━━朧月
うごかないじかんがながれ春炬燵
もずくあらう黒い星雲手のくぼに
いっせいに走りだす自我野焼の火
かげろうの街感情がどこにもない
残る鴨水尾きえてゆくゆうぐれよ
生きかわるために花種蒔いていた
◇
目のなかのすいしょうたいよ朝桜
おおぞらにたゆんで凧のいと一本
屋根のうえの鳩羽ばたかす卒業歌
桜ちるたとえばかぜがやんだとき
多言語が仰ぐ空一面SAKURA
花の宴だれがだれだか笑んでいた
突きあげるデモ舞いおりるおそ桜
スマホからスマホへ散りふぶく桜
はなふぶき━━基本的人権の尊重
春祭りぼんぼりが夜を呼びこんだ
◇
年々歳々舞うなかをゆく花へんろ
手それゆく花びらばかり幹を仰ぐ
天守閣、二之丸、花のくものなか
むねにただ花ひらくのみ桜湯飲み
舞い舞ってまことの花かたきぎ能
ひとはみな桜老いてもはらはらと
桜ちるそらにひらがなかくように
島のそら瀬戸内のそら飛花のそら
花はさくらとおく見上げて月は望
いにしえのおかに枝垂れて花月夜
終
◇ これまでの作品集 ◇
『雲雀の巣』
一行詩的俳句集
『花種蒔く』
一行詩的俳句集
『花月夜』
一行詩的俳句集
◇書いてみた感想
575の型、季語、切れ字(切れ)を用いて、
伝統的な俳句や様々な文体の俳句を詠むほかに、詩的な作品を書くことも可能だと個人的にわかりました。
◇詩の解説
詩は、ものごとの表現の仕方や方法を作者・読者がともに楽しみ味わい、
また読者がその詩を自分なりに解釈して楽しむという側面を持った文学であるといえる。
詩の定義を広くとらえれば、俳句・川柳・一行詩も詩的表現の一種。
形式や目的の違いはあるものの、言葉による表現を通じて「詩的な感動」を生み出す点で共通している。
解説文:ChatGPT
◇俳句、川柳、一行詩の大まかな特徴
俳句は発句。季語、切れ字、切れを常用して四季折々の自然とその暮らし、風雅さ、余情、感動などをより突き詰めて「詠む」傾向があるそうです。
川柳は平句。季語、切れ字、切れは常用せず人情や滑稽さ、機知、風刺などをより突き詰めて「吐く」傾向があるそうです。
一行詩は詩。575の型、季語を用いる場合でも詩的な側面が重視され自己性、社会性、思想性、比喩性などを突き詰めて「書く」傾向があるそうです。
*試験的な取り組みをまとめた記事です
*解説について至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください
*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります
いつも
ご覧いただき
ありがとうございます
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