俳句の「使用文体の拡張」
について実作とともに探っています。
文語体俳句、口語体俳句、会話体俳句
の各作品をまとめました。
どの文体を「基本」にして
俳句を詠むかで、詠みわけています
楽しんでご覧いただければ幸いです。
*作品はすべて既発表句です
『三秋』
多文体俳句集
第一部
〜口語体俳句〜
うみ見えてすこぶるさびし大花野
秋へんろ死よりも生のせつじつよ
田ごとによ黄ふかみやまず豊の秋
雲という雲つらぬくかいなびかり
あいさつよにわ石に尾をふる小鳥
すじいっぽんとおしてかぜの花芒
海光よかがやいて穂のすすきはら
波は浜あらいつづけてあきのくれ
尾をひいて降るねがいこそ星月夜
岐阜に観ておおきなことよ望の月
月見して和の灯をともす二之丸が
こんとんといえば国生みにごり酒
スケッチよ絵の具をぬれば菊日和
つゆくさは妖精として飛びまわれ
十六夜よ遅れ出て観るひともまた
世が正気とりもどすまで萩揺れる
曼珠沙華白いほのおはかげ持たず
胡麻の実よしぜん真実おもしろく
だまらすかラジオいがいを大台風
あさがおのたねとさいごの一輪と
仲秋の作品
口語体・現代仮名遣い・現代的切れ字
(基本)
第二部
〜文語体俳句〜
秋立つやつくばひに空うつくしき
ゆく傘に木もれ日の秋立ちにけり
さいせんの納まるおとや涼あらた
ゆつくりと神事の所作を相撲かな
ものがたり島ごとにありあまの川
七夕やをみなは秘めしねがひごと
またそらの落ちてくるなり桐一葉
雲もまたかぜにしたがふ花野かな
片雲のかぜにさそはればせをかな
身に入むや五重の塔のまこと寂び
むかへ火の暮れのこりけり門前町
いちぞくに地のつながりや墓参り
まはるなりこの世かの世を踊の輪
みづかがみあはき燈籠ながしかな
ひらくたび舟あらはるる花火かな
そしてまた欠けはじめけり盆の月
鈴虫やひびきてこの世あの世へと
跳ねはねて脚握られしいなごかな
邯鄲のこゑやゆめともうつつとも
ほしぞらとともに夜顔明けにけり
初秋の作品
文語体・歴史的仮名遣い・古典的切れ字
(基本)
第三部
〜会話体俳句〜
みずのうえでした銀閣もみじして
ああ揺れて飛び飛ぶひかり花野風
光の輪千々に生みますレモン切る
金木犀手を引いて来るべきでした
紙垂吹かれるよ町じゅうが秋祭り
見てごらんこころのわざを松手入
かたちにはかたちがないね雁渡る
黄落のそらだろう富士五湖もまた
影と暮れます追う声もあかとんぼ
そらほどにはるかな竿だ鯊を釣る
秋夕焼変わるほかにはない都市だ
消えのこります過疎村の夜学の灯
生きてきた生きてゆく黙草絮ふく
光るきみ黄まとうでしょう菊人形
じだいとはながい四季です柿の秋
果たせましたかやくそくを秋の虹
なんだろうそらを聴くとき鳶の秋
くちをつく「たかが俳句か」鰯雲
文化の日ひろ場につどいます鳩が
行けるかのようですね沖秋のほて
晩秋の作品
会話体・現代仮名遣い
(基本)
終わり
◇ 前回までの作品集 ◇
『三春』
多文体俳句集
『三夏』
多文体俳句集
『四季自選』
多文体俳句集
◯詠んでみた感想
今回は作品を
初秋・仲秋・晩秋で詠みわけました
◇今回のテーマ等
・初秋・仲秋・晩秋で作品を詠みわける
・自然詠と人事詠
・俳句、一行詩の両側面を探る
・切れ字、切れ、季語の活用
・格調、機知、余情、間、深みなど
◯作者の個人的な考え、見解
◇その目的
多文体での俳句づくりの目的は、単なるパフォーマンスや他との競争ではなく、
自分自身の俳句やそれぞれの文体表現の可能性をさぐり、深化させていくことだと捉えています
俳句をより学び、より楽しむことを大切にしています
◯多文体俳句の主な目的
1、俳句で使われる文体の整理
各文体と各仮名遣いがごちゃまぜに使用されている俳句の現状について整理を行う提案
2、俳句同士の対立の緩和
伝統的な俳句と現代的な俳句の対立等をその両方に取り組むことで緩和すること
3、各文体の俳句の共存
文語体俳句、口語体俳句、会話体俳句等を同等の俳句として扱い、取り組んでいくこと
4、各文体の俳句を互いに高めあうこと
各文体の俳句の特徴や強み、技法などを理解し、互いに高めあうこと
5、俳句の歴史と現在、未来をつなぐこと
伝統的な俳句と現代的な俳句に同時に取り組むことで俳句の歴史と現在、未来をつなぐこと
等々
現在の試みとして、
文語体俳句、口語体俳句、会話体俳句
の3つ方向性を
順次探究しています
◇文語体俳句
「古典語・歴史的仮名遣い・古典的切れ字」を基本にした俳句
◇口語体俳句
「現代語・現代仮名遣い」「現代的切れ字」を基本にした俳句
◇会話体俳句
「現代の話し言葉」やそのフレーズ、会話、対話、独話、セリフ、つぶやき等を活かした句
など、個人的に大まかに分けて取り組んでいます
切れ字について短くまとめます
◯文語体が基本の俳句
◇文語体
古典語法に基づく伝統的で格調高い文体
◇歴史的仮名遣い
古典的な仮名遣いのこと
・言ふ、けふ、ゐた、てふてふなど
◇古典的切れ字18字
や、かな、けり、よ、か、ぞ、に、へ、せ、
ず、れ、け、ぬ、つ、し、じ、らむ、もがな等
◯口語体が基本の俳句
◇口語体
現代語法に基づく日常的で自然な文体
◇現代仮名遣い
現代的な仮名遣いのこと
・言う、きょう、いた、ちょうちょなど
◇現代的切れ字 の候補
よ、か、ぞ、と、に、へ、せ、で、まで、
ず、れ、け、た、が、て、は、な、こそ等
◯会話体が基本の俳句
◇会話体
話し言葉をそのままに再現した文体
◇現代仮名遣い
現代的な仮名遣いのこと
・言う、きょう、いた、ちょうちょなど
◇主な語尾の候補(要検証)
です、ます、でした、〜だ、
だった、〜ません、〜の、〜ね、〜さ等
*仮名遣いについてなど一部例外もあるようです
◯文語・口語の大まかな図
下記は、俳句における
文語・口語の大まかな図です
◇文語=文語体=古典語=古い時代の文体
◇口語=口語体=現代語=書き言葉
∟==話し言葉
◇仮名づかい 歴史的仮名遣い 現代仮名遣い
◯使用している切れ字について
下記は
現代的な切れ字の候補についての記事です
「現代切れ字 十八字(候補)」
よ・か・ぞ・と・に・へ・せ・で・まで
ず・れ・け・た・が・て・は・な・こそ
これらは「現代の言葉」で俳句を詠む際に切れ字のような役割を果たす語はないのか
「間」を生み出すために必要な「句を区切るための語」が現代の語にはないのかを探ったものです
◯一行詩的俳句の探求
俳句の「詩性」「思想性」
などについて作品を中心に探求しています
◯俳句の目標
下記について、毎日の投稿などで
月日をかけて探っていければと思っています
「表現の新と万象の真」「驚きと感動の詩」
「一新一真」「都市詠の探求」「一句新世界」
「ものごとの花」「沈黙の美」「内的宇宙」
「三物一句」「風情の継承」「平明深遠の詩」
◯現在の主な活動内容
現代語・現代仮名遣い・現代的切れ字
を基本にして俳句を詠んでいます
① 現代俳句
俳句の「現代化」「現代文学化」
について実作を通して模索しています
② 多文体俳句
俳句の「使用文体の拡張」
について実作ととに探求しています
③ 俳詩 (旧 一行詩的俳句)
俳詩として、俳句の基本を母体に
「詩性」「現代性」等も探っています
④ AI共作俳句
生成AIを「制作助手」とした
俳句集づくりについて探究しています
個人的な
俳句の探求を楽しんでいます
*解説について至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください
*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります
◇関連記事◇
















