「ごちそうさま」のあと、
もう横になりたくてたまらない。
昼休憩の後は、仕事どころか、
目を開けているのも精一杯。
「私、弱すぎ?」
「もしかして病気?」
そんなふうに自分を責めたり、
不安になったことは
ありませんか?
中には、
「あまりにも眠くなるから、
もうお昼を抜いてしまう」
という人も。
「昼食べない方が
仕事がはかどるし、動けるし
これでいいんじゃない?」
そう思って、気づけば
1日2食生活が
定着している人も少なくありません。
でも、それはまるで、
ガソリンが切れそうな車で
高速道路に突っ込むようなもの。
最初はスイスイ走れても、
やがてエンジンは息切れし、
最後は動けなくなります。
私が知っている限り、
このパターンで
「力尽きて倒れた人」は、
意外に多いんです。
食後の眠気を
根本から解決する
キーワードは、
東洋医学の言葉で
「脾(ひ)は四季の母」。
…といっても、
初めて聞く方には
「脾?四季?母?」と
意味不明かもしれませんね。
これは、東洋医学において
「脾(ひ)」という臓腑が、
体の栄養やエネルギーを
つくる場所であり
春夏秋冬いつでも
家族のために食事を
用意してくれる
「お母さん役」
であることを示しています。
つまり
「脾を大事にする
=1年中、体力と元気を養える」
ということ。
食後に眠くなる人は、
この脾の力が弱まっている
可能性が高いのですね。
東洋医学でいう「脾(ひ)」は、
西洋医学の脾臓(ひぞう)とは
少し違います。
脾は食べた物を消化し、
体に必要な「気」と「血」に
変える消化吸収の役目。
例えるなら、お母さんが、
食材を調理して
家族に出してくれてる
イメージです。
ところが、
このお母さんが疲れてしまうと
・食べ物をうまく「気」に
変えられず、ガス欠になる
・消化に余計な
エネルギーを取られ、
脳や筋肉に回す余裕がなくなる
結果、全身が「ちょっと休ませて」
とシャットダウンモードになる。
これが、食後の強烈な
眠気の正体です。
確かに、消化しなければ
脾は休めます。
昼を抜けば、
午後は意外と動けてしまうかも
しれません。
でも、それは、1日に必要な
エネルギーの補給ゼロで
動いている状態。
使える体力が
どんどん減っていき、
夜にはクタクタ。
翌朝も疲れが抜けず、
徐々に冷えや立ちくらみ、
免疫低下といったサインが
出てきます。
そして脾の力をさらに
弱めることになるため、
逆効果なのです。
脾のチカラを育てるには、
消化の負担を減らしつつ、
少しずつエネルギーを
足していくのがコツ。
以前、私が受講生さんに
提案して効果のあった方法を
紹介しますね。
1. 「おかゆタイム」を週2回
白米をやわらかく煮て、
ほんの少し塩を入れたおかゆ。
胃腸を温め、吸収しやすくし、
食べても眠くなりにくい体に
整えてくれます。
2. 温かい飲み物を食前に
冷たい水や冷たいお茶は、
脾の働きを一時的に
ストップさせます。
食事前に白湯や
温かいほうじ茶を飲むと、
消化の準備運動になり
眠気予防に。
3. 甘い物は単独で食べない
ケーキやお菓子は
実は脾に負担をかけやすい食品。
甘い物だけを単独で食べると、
血糖値が急上昇し、
脾の負担は倍増します。
デザートを食べるなら、
食事の流れの中で
最後に少量いただく方が、
脾にやさしい食べ方です。
脾の力が落ちると、
ただ眠くなるだけではなく
思考力や集中力まで低下します。
「午後はぼーっとして
ミスが増える」
「気づけば同じ書類を
何度も見ている」
こういう人は、
単なる睡眠不足ではなく
「脾の弱り」のサインかも。
食後の眠気は、
あなたが怠け者なわけでも、
根性不足でもありません。
「脾は四季の母」という
言葉どおり、
1年中あなたを支える
お母さん役が
疲れているサインです。
脾を労わる食べ方と
生活を取り入れれば、
食事を楽しめて、
1日に、緩急のついた
整った暮らし方ができて
午後も仕事に集中できる。
そんな生活が手に入ります。
今日から、むやみに
お昼を抜くのはやめて
あなたの「脾」を優しく
いたわる習慣に変えていきましょうね。