果しなき流れの果に -6ページ目

果しなき流れの果に

文筆業を生業とする1970年生まれ。好き勝手ばかりしてきた20。人生について考え始めた30代。ここから先、40代は「誰かのために」をキーワードに書き続けます。弱い自分をさらけ出せる事を目標に進化前進。仕事の依頼も随時受け付けます。

 そうそう、物件探しの合間には、ラーメン店中心にいろいろな飲食店にもお邪魔しました。やはり、現地で情報は、自分の舌で確かめなければ、です。こちらロンドンにもたくさんのラーメン店があるが、そのほとんどはチャイニーズ系。一応、日本語表記で「ラーメン」、もしくはローマ字で「Ramen」とはなっていても、経営者は中国系の人たちだったり、あるいは韓国系のひとたちばかりだった。味のほうは……。相当な数のお店をまわったが、正直、美味しいお店はなかった。味は人それぞれ感じ方が違うのでなんとも言えないが、少なくとも、日本で美味しいといわれるようなラーメンに近い味、上品さのある品を提供している店はなかった。
 ちなみに、掲載した写真のお店は、現地の人が、ロンドンでは美味しいと評判と言っていた店なので、そうした中では一番なのだが、それでも、僕自身は、そこまで美味しいとは思えなかった。まず、スープが、化学調味料の香りが強かったのと、麺に味がしない。小麦の香りだったり、自然の風味、みたいなものが感じられない、無機質なものに僕には思えた。そして何より、接客。ラーメン同様に、無機質で無愛想な店員さんのお店が多かった。逆に言うと、この土地に一風堂が出来れば、間違いなく人気点になる。一風堂のサービスを受ければ、ローカルの人たちは、きっといままでのラーメン店のイメージは変わるはず。個人的にはそう思いました。
 結局、滞在期間中、10軒近いラーメン店に入ったが、「美味しかったあ~」と味に感動し、「ありがとうございました!」と心から思えるようなお店とはめぐり合えませんでした。
 ただ、そうしたなかでも、ラーメンではななく、美味しいうどんを提供するお店を見つけました。サービスも決して悪くない。聞けば、やはり日本人の方が経営しているお店でした。こちらのリポートはまた明日以降に……。FIN
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
 いったい何軒まわっただろうか。飛び込みも含めれば、1日5~6軒。三日間で20軒近い候補地を視察した。エリアもひろさもまちまち。その場所その場所ごとに店のコンセプトは変わってくる。河原さん、店のすみずみまでチェックしつつ、やはり一番大切にしていたのは、「もしこの場所に一風堂が出来たら、この一帯の雰囲気はどう変わっていくだろうか」ということ。「この場所に一風堂を出せば儲かるか」ではなく、自分たちが、このエリアをどう変えていくか、変えられる可能性があることか否かを第一に考えていた様子が印象的だった。
 そしてもうひとつ。店舗探しをしている最中の河原さんの、キラキラとした瞳とわくわくした表情。眉間にしわをよせて「うーん」みたいな顔はしない。(例外で、いざ経費を考えて打ち合わせをしていた時だけは、たまにしていましたが)まるで自分の心の中にある夢の国でも作っているかのごとく、楽しそうだった。それなりに大きな会社の社長でありながら、未だ第一線で自ら物件探しをしている理由は、心配だから、というよりは、好きなのだ。自分で歩き、自分で感じ、そして最後は自分の感性を信じてお店を出す。そういう仕事が、好きでたまらないのだ。
 まして、いまやその主戦場は海外に変わろうとしている。未知なる世界、未知なる人々。そうした、たくさんの新たな出会い、新たな感動を得られるからこそ、歩き続けるのだ。商売、ラーメンというツールを使い、世界と向き合う。
 河原成美の果てなき旅はまだまだ続く。
 FIN

~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
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~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
 さあいよいよ視察の開始です。初日は5件ほど物件をまわりましたが、印象に残ったのは、何と言っても2012年ロンドン。オリンピックメインスタジアム横に建設中のショッピングモール。こちらはヨーロッパ最大のショッピングモールになるそうで、その大きさたるや、まるでひとつの街がすっぽり収まってしまうのではないか、というほどのものでした。施設内は残念ながら撮影禁止だったので紹介できないが、一言で言えばびっくりです。オリンピックという国の威信をかけたイベントの横に建設する施設だから当然といえば当然だが、衣食住、そしてレクリエーション含めたすべてがこの場所でまかなえるのだ。街をひとつ新しく作っている感じ。写真でいうと、線路の右側奥が建設中のモール。別の写真の遠くにクレーンやら建設機材が見えるあたりが、メインスタジアムになります。手前の白い建物は、建設作業のベース基地になります。写真には映っていないが、この奥でモールが建設中です。まあとにかくでかい!
 ここに一風堂が出来たら……。考えるだけでもわくわくする。実現するか否か。リスクも大きい話だけに簡単には決まらないだろうが、少なくとも、そういう舞台にお店を出すことを現実的に検討できるほど、力の源カンパニーという会社は成長していることだけは間違いない。FIN
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
 お腹を満たしたあとは、ちょっくらハロッズ探検。おもに洋服屋をまわりましたが、エレベーターで移動するだけでもディズニーランドにいるようで楽しめました。河原さん、ここでもメモしていました。
 30分ほど巡って表に出ました。そしていよいよ、新店舗候補の視察が始まります。FIN
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
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~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
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 食品売り場の視察が終わると、少し遅いランチ。同じフロアにある簡易レストランへと入った。
いろいろ検討した上、イギリスの伝統的な田舎を出す料理レストランへ。田舎料理……とはいえ、そこは天下のハロッズ、食材は超一級品を使用している。ちょっと庶民の……という感じとはかけ離れている。まあそこはハロッズですし……ね。
 僕らがオーダーしたのは、雉のソテー、スープ、そして炒めたものをタコスのようにサンドして食べる料理(すみません、料理名はメモりませんでした)。
 とにかく、びっくりするほど美味しかった。一品あたり日本円で2000円前後と、もちろん値段もそれなりだが、味と満足度を考えれば、円高の恩恵もありリーズナブルといえるかもしれない。おそらく日本で同じ食材を使ったそれなりに高級なレストランで食べれば、この1.5倍はとられるはず。
 河原さん、ここでもひっきりなしにメモをとっていた。食材のチェック、店舗の内装、キッチン内の構成、「あれは使えるね」とか、「うちの店でもああしてみようよ」と、松本部長や店舗コーディネーターの緒方さんと話し込んでいた。
 40分ほどで店を出ると、今度はハロッズのファッションフロアへと移動。まだロンドンに到着して3時間も経っていないのにとにかく動く、そしてメモ。
 いつも思っていることではあるが、河原さんの行動力、好奇心旺盛なスタンスには驚く。見習わなければと思うし、自分もそうでありたい。さあ、ここからが本番だ。FIN
$~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
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~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
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~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
ハロッズに入ってまず最初に向かったのは食品売り場。
食の宝庫、ヨーロッパ、いや世界随一の高級デパートの食品売り場とあって、本当、さまざまな食材、それも超一級の品が溢れんばかりに並んでいた。内装も、およそ食品売り場とは思えないほどの高級感。伝統ある一流レストランのような佇まいで、ただいるだけでも十分楽しめる。
チーズ、デザート、鮮魚……。
日本の高級と言われるデパートの、ゆうに2倍は揃っているだろう。河原さんが特に興味を示していたのは、ハムなどの肉食加工品だった。
「これ、使えるね」
「ちょっと試してみようか」
などとつぶやきながら、とにかくメモ、メモ、メモ。
気付いたこと、思いついた事はつぶさに記録していった。
こうした普段の地道な努力から、新しいアイデアは生まれてくるのだろう。
決して思い付きではないのだ。

さて。

1時間半ほど食品売り場をめぐったあとは、併設されていたレストランへと向かうことに……。

FIN
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~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記

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ヒースロー空港につくなり、河原さんの視察は早速スタートした。なにせ今回の欧州視察、ある意味では今後の一風堂、力の源カンパニーの命運の鍵を握ると言っても良い大プロジェクトに発展する可能性を秘めているからだ。詳細はまだシークレットなので詳しくは書けないが間違いなくそう言える。

~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記


というわけで、河原さん、ずんずんずんずん歩いていきます。

~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記


まず最初に訪れたのは、かの有名な老舗高級デパート、ハロッズ。

$~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記


そして入るや否や……。

FIN
おそろしくスケジュールの詰まったロンドン出張も無事終了。
ヒースロー空港にて直行便の河原さんと別れ、自分はタイ経由にて成田へと向かう。いま自分はタイの空港にてトランジット中。いまネットが繋がったので、空港内でこれを書いています。

「頑張っても人生」

「頑張らなくても人生」

「せっかく生まれてきたのならば、頑張って人生を過ごしたい」

 そんなシンプルな思いが、河原さんが仕事をする上でのベースにある事を知った。

 経営者とは、かくも孤独な生き物。

 ただ、孤独と孤立は違う。孤独であるからこそ、たくさんの仲間の力が必要だし人は一人では生きていけない事を、誰より理解している。
 
「人と人のつながりがすべて。自分ひとりでは出来ない事も、みなで力を合わせれば、かなえる事が出来る。だから自分は、人と人をつなぐ仕事がしたい」

 河原さんのそんな言葉が、胸に響きました。

FIN
 リアルタイムにロンドン出張の様子を伝えようと思いつつ、なかなか時間がとれず、三日目になりました。といっても決してさぼっているわけでもなく、ほんと、コンビニに行く時間もないほどスケジュールがびっしり詰まっている。いま2時間ほど時間が空いたので、一旦自分が泊まるホテルに戻ってきました。(まあ自分が忙しいということは、イコール、河原さんのスケジュールがびっしりという事なのだが……)
 初日、ロンドンについて早々物件探しがスタート。ロンドン都心部のナイツブリッジ、コヴェント・ガーデンからスタートし、郊外にある2012年ロンドンオリンピック会場エリアまで。途中飛び込みで視察した物件も含めれば、わずか二日間で15件前後見てまわった。
 物件はそれぞれ特徴、メリットがある一方で問題点もそれぞれ違っていたりして選択が非常に難しい。ただ、河原さんがずっと話していたのは、「この場所に一風堂を出す意味は何か。そこがぶれてはいけない」という事だった。世界に向けて一風堂をアピール、伝えるための店。純粋に、まだ一風堂、日本のラーメンを知らない人たちに喜んでもらえる場所か否か。単純に儲かる場所か否か、という価値基準では選んでいなかった。だから難しい。でもだから面白い。この場所から文化を発信出来る、メッセージを送れる。一杯のラーメン、そして「ありがとう」という言葉を、ヨーロッパ、そして世界へと伝えていく。そう話す河原さんのキラキラした瞳は、純粋で真っ直ぐで、そして熱が伝わってきた。みなこの瞳の輝きに惹かれるから、河原さんのまわりには大勢の人たちがいるに違いない。一緒にいるだけで元気が出る。なんだか自分も頑張ってみようと思える。少なくとも、自分はそう感じる。だから今日まで取材を続けてきたし、それをもっと、この純粋さと真っ直ぐさ、そして熱を大勢の人たちに伝えたい。そう思っている。
 昨晩はスイングアウトシスターのヴォーカリスト、コリーンはじめバックメンバーらと合流し楽しいひと時を共にした。コリーンの人柄と河原さんの人柄はすごく似ていた。気さくで気取らず、楽しい事、人を楽しませる事が大好き。河原さんに「ありがとう」を言う時の所作を聞き、両手を合わせてお辞儀をしながら何度も「アリガトー!」、「アリガトー!」とリアクション付きで言っていた。しかも、一般のお客さんも大勢いるなかで(笑)。音楽で万人を魅了する英国出身のアーティスト。ラーメンで万人を魅了する日本出身のアーティスト。方法は違えど、とにかく、どちらもまわりを楽しませる事、幸せな気分にさせる事に関しては超一流。そんな事を感じたロンドンの夜でした。なお写真をたくさん撮ったので、後日アップしていきます。FIN
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
$~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
 本日まもなく、欧州出張中の河原氏に会うためロンドンへと向かう。
 本格的に取材を始めて10ヶ月。最近になってようやく、河原氏の本質が見えてきたような気がする。もちろんまだほんのさわりかもしれないし、ここから先も悩んだり考えたりの繰り返しであろう。懐に飛び込んでみたり、客観的に見つめるためあえて遠くから眺めたり、いろいろな方法を試しつつ、自分なりに考えてきた。河原成美は、どこへ向かおうとしているのか。そうしていろいろと考え続け、ほんとうにようやく、氏の語る言葉の表面的な部分ではなく、その奥底にある本音、あるいは本質に触れかけている感覚を持てるようになった。

 自分にはどうしても確かめたい事がある。それはシンガポールで、氏が口を開いて途中で辞めたある言葉について、である。特段こちらから伺ったわけでもなく、何気ない会話をしている最中にふと俯き、まるで自問自答するようにして氏は話し始めた。

 誰しも心のなかには、何人もの自分がいる。
 
 良い自分、悪い自分、好きな自分、そして嫌いな自分……。

 世界有数の文化都市、ロンドン。この地で、氏はこれからあらたな事業展開を繰り広げようとしている。その大きな一歩が今回の出張だ。
 日本発のラーメン、いや、一風堂のラーメンを世界のグローバルスタンダードにするための大仕事。そのためには何が必要でここからさきどう動くべきか。間違いなく、一風堂、力の源カンパニー、そして河原成美は、新たなステージで挑戦し始めている。そして自分が取材をする上でもっとも興味を持っているのはこの点であり、来年3月刊行予定の本でも指南書であると同時にそのあたりの奮闘振りを中心に描けたらと思っている。
 
 取材もここから三ヶ月は終盤戦。
 
 自分も気合を入れて頑張ってきます。
 
 FIN