ロンドン | 果しなき流れの果に

果しなき流れの果に

文筆業を生業とする1970年生まれ。好き勝手ばかりしてきた20。人生について考え始めた30代。ここから先、40代は「誰かのために」をキーワードに書き続けます。弱い自分をさらけ出せる事を目標に進化前進。仕事の依頼も随時受け付けます。

 リアルタイムにロンドン出張の様子を伝えようと思いつつ、なかなか時間がとれず、三日目になりました。といっても決してさぼっているわけでもなく、ほんと、コンビニに行く時間もないほどスケジュールがびっしり詰まっている。いま2時間ほど時間が空いたので、一旦自分が泊まるホテルに戻ってきました。(まあ自分が忙しいということは、イコール、河原さんのスケジュールがびっしりという事なのだが……)
 初日、ロンドンについて早々物件探しがスタート。ロンドン都心部のナイツブリッジ、コヴェント・ガーデンからスタートし、郊外にある2012年ロンドンオリンピック会場エリアまで。途中飛び込みで視察した物件も含めれば、わずか二日間で15件前後見てまわった。
 物件はそれぞれ特徴、メリットがある一方で問題点もそれぞれ違っていたりして選択が非常に難しい。ただ、河原さんがずっと話していたのは、「この場所に一風堂を出す意味は何か。そこがぶれてはいけない」という事だった。世界に向けて一風堂をアピール、伝えるための店。純粋に、まだ一風堂、日本のラーメンを知らない人たちに喜んでもらえる場所か否か。単純に儲かる場所か否か、という価値基準では選んでいなかった。だから難しい。でもだから面白い。この場所から文化を発信出来る、メッセージを送れる。一杯のラーメン、そして「ありがとう」という言葉を、ヨーロッパ、そして世界へと伝えていく。そう話す河原さんのキラキラした瞳は、純粋で真っ直ぐで、そして熱が伝わってきた。みなこの瞳の輝きに惹かれるから、河原さんのまわりには大勢の人たちがいるに違いない。一緒にいるだけで元気が出る。なんだか自分も頑張ってみようと思える。少なくとも、自分はそう感じる。だから今日まで取材を続けてきたし、それをもっと、この純粋さと真っ直ぐさ、そして熱を大勢の人たちに伝えたい。そう思っている。
 昨晩はスイングアウトシスターのヴォーカリスト、コリーンはじめバックメンバーらと合流し楽しいひと時を共にした。コリーンの人柄と河原さんの人柄はすごく似ていた。気さくで気取らず、楽しい事、人を楽しませる事が大好き。河原さんに「ありがとう」を言う時の所作を聞き、両手を合わせてお辞儀をしながら何度も「アリガトー!」、「アリガトー!」とリアクション付きで言っていた。しかも、一般のお客さんも大勢いるなかで(笑)。音楽で万人を魅了する英国出身のアーティスト。ラーメンで万人を魅了する日本出身のアーティスト。方法は違えど、とにかく、どちらもまわりを楽しませる事、幸せな気分にさせる事に関しては超一流。そんな事を感じたロンドンの夜でした。なお写真をたくさん撮ったので、後日アップしていきます。FIN
~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記
$~果しなき流れの果に~ 『博多一風堂』 店主 河原成美 取材記