ハロッズに入ってまず最初に向かったのは食品売り場。
食の宝庫、ヨーロッパ、いや世界随一の高級デパートの食品売り場とあって、本当、さまざまな食材、それも超一級の品が溢れんばかりに並んでいた。内装も、およそ食品売り場とは思えないほどの高級感。伝統ある一流レストランのような佇まいで、ただいるだけでも十分楽しめる。
チーズ、デザート、鮮魚……。
日本の高級と言われるデパートの、ゆうに2倍は揃っているだろう。河原さんが特に興味を示していたのは、ハムなどの肉食加工品だった。
「これ、使えるね」
「ちょっと試してみようか」
などとつぶやきながら、とにかくメモ、メモ、メモ。
気付いたこと、思いついた事はつぶさに記録していった。
こうした普段の地道な努力から、新しいアイデアは生まれてくるのだろう。
決して思い付きではないのだ。
さて。
1時間半ほど食品売り場をめぐったあとは、併設されていたレストランへと向かうことに……。
FIN