NHKスペシャル 「人体」 第6集「”生命誕生”見えた!母と子 ミクロの会話」 3/18放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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番組紹介  

 

感想
iPS、ES細胞から様々な種類の細胞、臓器を作り出せるというが、その根源にあるのが受精卵。
驚異的なメカニズムで、今こうやって自分の体が世に送り出された。母親に感謝するしかない。
だが、その精密なシステムも、ほんの僅かな綻びで先天的な病気、奇形等の原因となる。
五体満足で生まれて来た事を、本当に感謝出来る番組。

 

子宮がなかなか人工的に作れないとは、SFの世界でも旧くから言われている事だが、今回改めてそのシステムの詳細を知り、驚異としか言いようがない。
血液を介さずに栄養と酸素を送り込む。だからこそHIV患者であっても、非感染で子供を産む事が出来る。
しかし、妊娠後期で胎児側から栄養を摂り込むために、母体へ枝を食い込ませるとは。まさに身を削って出産をする母親。

 

再放送のチャンスはあるだろうから、是非観ておくべき番組。

 

 

番組内容

司会・進行 タモリ、山中伸弥 
ゲスト:木村佳乃、パトリック・ハーラン(パックンマックン)

 

卵子と精子の模型。卵子がリンゴ大とすると精子は米粒。その時の胎児のサイズは身長500m(いかに卵子が小さな存在か)。


精巧なプログラム。胎児の成長にメッセージ物質が深く関与。

昨年一月からある夫婦(松永夫妻)を追跡。
子宮筋腫の手術をした。子宝に恵まれず、卵子の数も少ない(三年以内に作らないと、もう出来ないかも)→体外受精を決心。

 

受精のプロセス
父の核と母の核が混ざり合う。その直後に核が消える。特殊な造影でその様子を視覚化(核の集合)。


二時間後に分裂。五日で細胞100個→子宮に着床。この段階で母親の子宮に戻される。
最大の難関→受精卵が子宮の壁に根付くか。このためにメッセージ物質(hCG)が関与。
黄色い物質が増える。 10→120(hCG)。
受精卵が根付くために大切な役割り(生理が来るのを妨げる)。更に子宮の壁を厚くする(受精卵が包まれる)。
受精卵を戻してから三週間。成功の確率は1/3。

検査結果ではhCG 172.4。受精卵は根付いている。

 

受精卵から体をどう作るのか? 臓器や体内構成要素は二百種以上。元は一つの受精卵。どうやって分かれて行く?
究明の原動力がiPS、ES細胞。

受精卵に近い、枝分かれを再現出来る。
ドミノ倒し。ドミノ式全自動プログラム。

 

最初の臓器が生まれる。
ES細胞にメッセージ物質WNTを加えると、細胞の一部が動き出す。WNTは受精卵に大量に含まれている。
最初は心臓。
受精卵に対し、メッセージ物質が臓器作りを導く。
取材中に新発見。先端医科学研究センター 武部貴則。心臓細胞のすぐ横に肝臓細胞が発生。心臓が肝臓を作り出す。
次々と作られて行く臓器(単一の臓器だけを作ることは出来ない)
着床時の胎児は3mm。だがもう心臓は動き始めている。二ケ月後、心臓、肝臓、肺、腸、胃等、人体の基本が出来る。


全ての細胞がメッセージ物質を出す。奇跡のようなメカニズム。

次の難関→大きく育つこと(七ヶ月)お母さんが大活躍。

 

タモリを赤ちゃんに見立てて模型の子宮に入れる。胎盤を持たせる。胎盤は赤ちゃんの細胞で出来ている。その中には赤ちゃんの木(突起)が生えている。
子宮の壁には穴が無数に開いている。

お母さんの血管の出口(恵みの窓)


それを互いに接続する。母親の血液そのものは、胎児には入らない。胎盤こそがカギ。

三ヶ月の胎児。胎盤に栄養を頼る。赤ちゃんの木が栄養、酸素を吸収。その後母親側からメッセージ物質を送る「もっと伸びなさい」 木が森になって吸収を増す。母子間でメッセージのやりとり。

四ヶ月。つわりがひどい。安定期まであと一ケ月。

母の体に驚くべき変化。
恵みの窓は、妊娠中期で十倍の大きさになる。

 

そこに赤ちゃんの細胞が現れる。
大きくなった赤ちゃんの木の枝が黒ずんで来る(栄養不足)大ピンチ。メッセージ物質PGF。もっと大きくなりたい。
それを母体が受け取ると、恵みの窓を広げる。
それで終わりではなく、枝が子宮に届き、入り込む。

壁を突き破って割り込む。
大量の血液が枝を潤す。母親が身を切って栄養を与える。

赤ちゃんは大きく成長。

 

松永さん(妻)の心配。子宮筋腫は多発性で十数個あった。手術で全摘は免れたが子宮の壁が薄い。栄養が送れているか心配。
検査で胎盤の血流がしっかり運ばれている事を確認。
7月12日に出産(女児)。子宮が弱いため帝王切開だった。
木村が涙を流す。お疲れさま。

 

壁の突き破りは、人間にごく近い仲間だけの特徴(大きな脳を作るためか)
母体の骨がもろくなるのは、胎児がカルシウムを求めるメッセージ物質をだすから。
つわりのメカニズムは判っていない(真の意味での治療法はない)

内臓に傷害がある少女、ランドリー・マルホランド。胎児の時、メッセージ物質がうまく働かなかった可能性。

 

武部貴則氏の研究。iPS細胞から肝細胞を作って戻す。
細胞は作れても、臓器までは無理(複雑)。人の手では作れない。
母親の胎内で起きている事の再現。

メッセージ物質のコントロール→数ミリの肝臓が再生出来た。
肝機能が落ちたマウスに移植。生存率が22→94%にアップした。
人間に活かす研究を進めている。

 

iPS細胞の可能性が広がっている。
メッセージ物質が判って来たから出来る事。
現在指定難病が300種以上。

なんとかこれらをやっつけて行きたい(山中)

 

全ての母親に感謝。

生まれ変わっても女性をやりたい(木村)
オスは何をやってる・・・・(タモリ)