藤井聡と表現者と隷属日本の混沌 | 反新自由主義・反グローバリズム コテヤン基地

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書評と解説

 先日、影法師さんのコラム表現者criterion宣伝シリーズ~その1を見て、「そうか、もう発売したのか」と知り、早速購入してみたところです。表現者-クライテリオン-。

 全体的な、というか未だに読み切れていないのですけれども、何はともあれ”クライテリオン”という話については来週の進撃の庶民に寄稿しております。

 本日は私が大変に「この人、ええなぁ」と思う知識人の1人である藤井聡さんの稿のご紹介と書評、そして考察について書いてみようと思います。

 

 ちなみに書評を書くときに、このようなブックスタンドは大変に便利です。

 

 「隷属に抗う勇気、保守を超えた再生」と題された稿は以下のような項に分けられます。

  1. 「奴隷」とはクライテリオン不在のまま生きさらばえる人々
  2. 「奴隷根性」しか持たぬ大人は侮蔑され、伝統が断絶される
  3. デフレによって日本の「奴隷根性」は決定的に
  4. 我々の身の回りにはもう、保守するべきものが無い
  5. 「人殺しの息子」と呼ばれて
  6. 「人殺しの息子」は如何にして、自分の過去と世間の折り合いをつけていったのか
  7. 「保守」ならぬ、隷属からの脱却を通した「再生」を期すべし

 項目だけみても「もはや一冊の本では?」と思う重厚さなのですけれども(笑)この書き出しは1.に以下のように始まります。

 我々を含めたあらゆる生物は、クライテリオン=基準が無ければ死を迎えるほかない。何を食べるべきかどこで眠るべきか、さらには食べるべきか眠るべきか、それらの基準がなければ生命は維持できない。このシンプルな事実こそ「保守」においてクライテリオンが不可欠である根源的理由だ。つまりクライテリオン不在ならあらゆる生が死につながる危機(クライシス)を迎えるほかないのだ。

 これは例えば資本主義と食事の関係で言えばこのようになるでしょう。資本主義と自由市場にすべてを任せて、安全基準(クライテリオン)という”規制”を取り払えば、コストと効率性のみを重視して中国の下水油のごとき不健康な食料が出回り、それが当たり前の状態になれば当然ながら国民の生命、健康は脅かされるというようなイメージです。

 

 そして藤井聡さんによれば

 一方、国内問題に目を向ければ、七十年以上にもおよび我が国の他国への隷属化の継続によってあらゆる「伝統」が蒸発し続ける状況に陥っている

 のだそうであり、

 そもそも「奴隷」でいることに甘んじたものに倫理なり道徳なりを語る資格などない。

 のであります。なぜならば「奴隷」のクライテリオン=基準はただ一つ。「ご主人様がYesかNoか?」であり、どれだけ何を語っても最終的にご主人様が「No」と言えば「へい、そうでございやすか」と追従する以外にないからです。

 そして”大人”の大半が「他国への隷属化」を受け入れているとするのならば、その他国の奴隷たる大人の言うことを若者が聞くはずがない。従って伝統は継承されず、我が国固有の基準=クライテリオンはますます蒸発していくこととなる、というわけです。

 蒸発しきってしまった結果が現在であると判断され、従って4.の「我々の身の回りにはもう、保守するべきものが無い」という話ということです。

 

 さて、この恐るべき「守るべきものがない保守」「失われた基準=クライテリオン」の状況の中でいかに何をなすべきなのか?ということについて以下の例を引いてその方向性を示そうとしております。

 この課題を考えるにあたり、文字通りの「奴隷」状態が核となって進行した平成十四年に発覚した「北九州連続監禁殺人事件」は、我々に一つの洞察を与えてくれるように思う。

 ことの概要は字幅の関係上、北九州監禁殺人事件のリンクからどうぞ。要するに犯人松永がツマの家族や知人男性の家族などを監禁し、マインドコントロール下に置き、家族同士を殺し合わせるという凄惨極まりない事件であったようです。つまりはマインドコントロールの中で、様々な被害者(そして加害者でもあるかもしれない)人々が「人殺しはいけない」という基準=クライテリオンを失った事件であったのです。

 この事件当時に幼かった犯人松永の息子は激しい虐待などを受けるも生存し、2017年にフジテレビにて「人殺しの息子と呼ばれて」という番組に出演。

 事件当初、もしくはその後も笑顔すらまともに作れない状態であった「息子」は、まわりとの関わりや、そしてこの番組への出演がきっかけとなり「常識的振る舞い=基準=クライテリオン」を取り戻していった、ということなのだそうです。

 つまり基準=クライテリオンが失われた際でも、それを取り戻すことが可能であるのであり、それは上述した通り「息子」が自身の過去と真っ向から対峙したことで取り戻せた、というような話になっております。

 

 日本でいえば「敗戦」という過去に対峙する、というのを暗示しているように思えます。

考察

 論理構成、文章など一級品であり、そして大変にわかりやすい稿でもあったと思います。ここからは私自身の考察なのですけれども、藤井聡さんは「隷属、奴隷化」こそがその根源的な理由として見出しているというよりは、原因にして結果でもある循環の中でそれをことさら取り上げたと表現するほうが正しかろうと思います。

 というのも様々な糸が絡まりあい、この「奴隷循環」とでも言うべき恐ろしい状況を組み上げていると私なんかは印象を受けます。

 

 例えば日本に近代が輸入された明治維新。「文明開化の音がする」として有名な歌がありますが、日本の伝統の蒸発という話でいえばここに原因を求めることも可能ではあるわけです。それでも恐らく明治という時代は、近代と折り合いをつけながらも、そこには確固たる日本というクライテリオンが存在したはずです。

 しかしその確固たる日本という基準=クライテリオンは敗戦というショックで粉々に打ち砕かれた。ところが東西冷戦という状況になってアメリカが寛容な外交を日本に対しても積極的にしたために、日本は経済成長という果実を得てかろうじて「お金」でそのプライド、自信を保っていたが、東西冷戦が終わればアメリカに寛容な外交をする必要はなくなり、ときを同じくしてバブル崩壊と自信喪失に陥った。

 とするのならばその原因は明治に求めるのか、それとも敗戦か、それともバブル崩壊か。これらは絡まり合い「どれが原因である」とは断定しにくい。全てがつながっており、全てが結果であり原因でもあるわけです。

 このようにも表現できるでしょう。日本は近代の奴隷となり、続いて敗戦によって国際社会=アメリカの奴隷となり、さらには敗戦後には経済の奴隷となった。最後に頼みにした経済が崩れ、何もかもを失って何もかもの奴隷として生きながらえているというわけです。

 

 福沢諭吉は「一身独立して一国独立す」と論じたわけですけれども、今の状況は「一身隷属して一国隷属す」という話であるわけですね。

 「独立とは何か?」を改めて考えさせられる稿であった、という風に締めくくりたいと思います。

 

 

 

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本日の男の料理 菊菜の胡麻和え

 本日は菊菜の胡麻和え。鍋もいいのですけれども、胡麻和えもなかなか乙なものです。

材料

  • 菊菜
  • すり胡麻
  • 醤油
  • みりん

調理手順

  1. 鍋に湯を沸かして塩をひとつまみ入れて、菊菜を茹でます。茹ですぎると柔らかくなりすぎますから、少し硬めであげてください。
  2. 冷水で粗熱を取って絞り、カットしてから絞ってボールに菊菜、すり胡麻を入れます。
  3. 醤油、みりんで和えて出来上がり。みりんの分量はお好みの甘さで。

 白菜、しめじ、ほうれん草などの胡麻和えにも使えますよっと。

 

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