日本における経済リスクの考察 | 反新自由主義・反グローバリズム コテヤン基地

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景気回復という言葉の定義

 どうも言葉が軽い世の中のようでありますから逆に言葉の定義をしっかりとしなきゃ議論にならない、というわけで基本的な「景気回復」という言葉の定義から始めたいと思います。回復とは?Googleによると

かいふく

【回復・恢復】

  1. 《名・ス自他》

    もとのとおりになること。もとどおりにすること。

     「健康が―する」

 だそうでございます。「病状が回復に向かっている」とは「健康な状態に向かっている(まだ病気中)」という話でありまして、逆に「病状が回復した」とは「健康な状態に戻った」というわけです。では「景気回復している」とは「回復トレンドだがまだ好景気ではない、健全な経済状況ではない」といえますし、「景気が回復した」とは「以前のレベル以上に景気が到達した」というわけです。

 では景気をどこで測るか?名目GDPやもしくはデフレ脱却のためにGDPデフレーター、他にも個人消費や実質所得、もしくは日経平均なんて解釈もありえるでしょう。しかし経済とは「経世済民」が語源ですし、経済の英訳のエコノミーもギリシャ語で(国)家の秩序が語源です。オイコス(家)のノモス(秩序)というわけで、秩序は何のために存在するか?というと家であれば家族や一族のために、国”家”であれば国民のために存在するというのが自然でしょう。すなわちギリシャ語の語源でも「経世済民」と解することが可能です。

 従って経済とは共同体内に存在する国民のためのものであって、そこに直結しない指標が高いという理由で「景気が良い」とはいえないはずです。たとえば株高で景気が良いとはこの場合にはいい難い、解釈し難いというわけです。

 

 では国民に直結する指標は何か?というと失業率、実質所得、個人消費などになるでしょう。現在の場合は失業率は改善傾向が続いているものの、実質所得、個人消費などは減少もしくは停滞で以前のレベルとはいい難いわけですから、「景気が回復した」とはいえない。せいぜい「景気は回復途上である」「景気回復に向かっている」といった表現が正確でしょう。もっとも日本語的には「景気回復している」は必ずしも不正解とはいえないのですが、誤解を招く表現であることは間違いありません。

※「(すでに)病状回復している=健康」という意味合いもありますから、2つの意味に捉えられるわけです。「景気回復している」という表現は。

未だ回復に向かう最中であるという認識

 「景気回復している」とは2つの意味、つまり「(すでに)景気回復している」か「景気を回復途上である、回復トレンドである」ととれます。あくまで後者の意味で使用されることが多いわけですけれども、言葉上は前者とも取れるので議論がこんがらがることになるのでしょう。これ自体が日本経済における1つのリスクであると言わざるを得ません。

 病人を想像してみましょう。医者から「病状は回復に向かっている(まだ病気)」と聞いて「よし、回復したんだな。じゃあダイエットだ!筋トレだ!」とか主張したら医者からさじが飛んできます。全力で。

 通常は上記の場合は常識的には「ゆっくり養生して、しっかり食べて元気になろう!」と思うはずですが、経済ではなぜか「景気回復している!」と唱えられた瞬間に筋トレやダイエットを主張する馬鹿者が出てくる始末。

 昨年末に増税議論が政府や自民党で始まったのもまさにこれで「よし、回復しているんだったら負荷をかけよう、運動させよう!」というまことに始末の悪い議論であります。端的にいえば日本経済という病人を殺す気でかかってきてますね(笑)

 これがリスクでなくて何なのでしょうか。そらこんな国では過労死も多発するわいなヽ(`Д´)ノプンプン

株高と金融経済とミンスキー

 ハイマン・ミンスキーというケインズ派で、主流派経済学からは異端と呼ばれた経済学者が提唱した金融不安定性仮説というものがあります。これは非常に端的に要約すると「金融市場はどんどん膨らんでいって、何らかのショックで最終的にはじける」という循環を繰り返すという仮説です。リーマン・ショックのときにこのミンスキーの仮説がウォール街で思い出され、ミンスキー・モーメントだ!と囁かれたのは事実でありましょう。

 主流派経済学では通貨は金属主義に基づいて考えられ、要するに金融市場も商品市場も同一のものと見なされます。従って株高は景気の先行指標としてみなされ、株高であれば景気は良くなると市場が見込んでいると考えます。しかし金融市場というのはいわばチキンゲームやババ抜きのようなものでして、合理的理由で株価が決定されるわけではなく気分と雰囲気に依るところが非常におおきいといえます。

 合理的理由で金融市場が動いているとするのならば、そもそもリーマン・ショックなどは起こりえませんからね。

 

 では現在の日本はどうか?といいますと週刊誌などでも「2018年はもっと上がる!」などと予測されていたりします。この株高は果たして合理的理由なのか?というとどうもそうではなく、金融緩和によって溢れ出たマネーが円安を演出し、そして株高へと向かわせていると考えておいたほうが良いでしょう。

 1980年代から世界中がグローバリズムへと走り、そして金融市場の規制緩和を続けてきましたが、結果として金融市場が主、実体経済が従という構造になりました。そしてそれは何を招来したか?というと短期的に頻発する金融危機であります。面白いことに第一次グローバリズムの先駆者、イギリスでも金融危機が頻発したのだそうですし、また第二次世界大戦前のアメリカの1929年の金融危機も戦争の原因となったのは誰もが知るところでしょう。

 しかもたちの悪いことにグローバルマネーは世界中を飛び回るわけですから、どこかの国の金融危機は規模が大きければ連鎖的につながり、世界の問題へと発展する可能性が非常に高いわけです。

 

 日本に話を戻しますとファンダメンタルズが伴わない株高であるとするのならば、それ自体がすでに危険信号であるという可能性が高い。しかも金融危機とは「プライマリーバランスが黒字化ないし0になった時に起こる可能性が高い」と論理的にも歴史的にも証明されています。なぜならばプライマリーバランスが0ないし黒字化するとは政府債務の縮小といえますから、同規模の経済を維持しているとするのならば民間セクターの債務が上昇するはずです。政府より民間のほうが信用が低い(経済主体が小さい)ので、したがってちょっとしたことで金融危機を引き起こすきっかけとなりえるわけです。

 したがって現在の日本の状況を鑑みると、日本発の金融危機が起こる可能性は0ではない。

 

 また中国、アメリカ、もしくは欧州発で金融危機が起こり波及するという事態も十二分に考えられますのでリスク要因として想定しておくべきでしょう。

地政学的リスクと軍事

 これはメディア、新聞などでも書かれているので手短にしておきます。北朝鮮リスクは当然のこととして、東アジア情勢はかなり緊迫しているというのは間違いがないでしょう。もちろんながらメディアが騒ぐ軍事紛争、軍事衝突の可能性もリスク要因ですけれども、日本にとっての最大のリスクとは「アメリカが北朝鮮の現状を容認ないし黙認する」ということです。そしてその可能性は私が考える限りにおいては存外高い。

 北朝鮮のバックには望むと望まざるとにかかわらず中国が存在します。中国が望まなくても中国は北朝鮮を地政学的な意味においてアメリカの支配下にすることだけは絶対に避けます。これだけはありえません。従って現在も中国は北朝鮮に石油の輸出を止めておりませんし、今後も止めることはないだろうと思います。(これは2017年の4月くらいから言及している話です)

 そしてアメリカにはもはや中国と戦争をする国力も国勢も体力もない。すなわち北朝鮮に対して何らかの軍事アクションを起こせない、そのようなオプションは「手段としては存在するが、選択肢としては存在しない」となります。つまりアメリカは北朝鮮の現状を交渉によって容認、もしくは黙認ということになる可能性は高いと言わざるを得ません。

 

 在韓米軍や在日米軍の撤退はすぐにはありえないとしても、東アジアにおけるアメリカのプレゼンスは確実に低下の一途をたどることはもはや間違いがないとすらいえます。この軍事的、安全保障問題としてのリスクは大きく存在するわけです。

 しかし一方で日本としては「軍事ケインズ主義」と取れるという選択肢は存在します。つまり北朝鮮の脅威をダシにして軍事拡張を進め、防衛関連の予算を大幅に増加させることで国内需要を創出するという道です。

 しかし選択肢としては存在するものの、恐らく日本国民がこの道を選択することは殆どないでしょう。9条2項の議論すら逃げを打って3項追加という話にすり替わるわけですから無理に決まっております。なので残るのはリスクのみという話になろうかと思います。

「弱者の味方」というリベラル再生の道

 私は保守でもリベラルでも左翼でも右翼でも革新でもないような気がします。政治的イデオロギーとしては「共同体の再生」「ある種の社会主義とコミュタリアニズム」「国民経済の復活」「豊かな日本」などが私の主張ですが、日本において社会主義は左に分類されるようでありますし、共同体、すなわち国家はナショナリズム(国民意識)によって支えられるものですから右、「豊かな日本」とは「労働者、国民が豊かになること」でありますから左ということになるかもしれません。

 ぶっちゃけていうならば「まともな保守」には共感しますし、「まともなリベラル」にも共感するわけです。そして「まともな保守」と「まともなリベラル」というのはじつは議論が非常に噛み合う(笑)ほとんど同じ問題意識を共有している例もありますし、主張もそれぞれの立場から言い方はことなりますけれども同じことをちがう側面から主張していることが多いのです。

 

 そして1990年代以降にリベラルが掲げた「弱者の味方」という存在意義は今こそしっかりと主張しなきゃならない、と思います。我が国においての不幸は「まともな保守」「まともなリベラル」が数少ないということでしょう。似非保守と似非リベラルは数多く存在しておりますけれども(笑)

 そしてリベラルは弱者、低所得層、ワーキングプア、過労死等々の問題を「社会全体の視点、社会論」として堂々と論じるべきでしょう。逆に保守は国家、共同体という視点から現在の格差社会の到来を糾弾するべきです。なぜならばアメリカや欧州が示したように、格差社会と99%のボトムとは共同体の分断を招来するのですから。

 このように本来の立ち位置に戻れば「経済として何をするべきか?」は自ずと見えてこようというものです。我が国の経済における最大のリスクとは「まともな政治勢力が存在しない」ないし「存在したとしても極少数である」ということかもしれません。

P.S

 私は20歳から選挙を幾度か経験しておりますけれども、そういえば思い返してみると自民党か共産党にしか入れたことがないのです(笑)安倍政権が始まってからはすべて共産党に投票しているわけですが・・・。2013年は私は熱烈に安倍総理の財政出動を応援していたのですけれどもね。もしも自民党が財政出動をするのならば、安倍政権が財政出動をするのならば即座に応援するでしょうし、しないから応援できないというわけです。

 強い体、健康な体を作るためには筋トレや節制、バランスの良い食生活が欠かせませんが、日本はまだ病気中でありますので筋トレやら節制は置いておいて、とにかくしっかりと滋養のある食事をする段階でしょう。すなわち財政出動です。

 ちなみに筋トレでいいますと「トレーニング3、食事7」で大切だということだそうでして、そりゃそうでしょうね。どれだけ優れた大工でも材料がなけりゃ建物を作りようがありません。筋トレも食事が材料、そしてそれを筋肉に変えるのがトレーニングですものね。

 今の日本は財政出動という材料を提供せずに「トレーニングしたら強くなれるんだ!」と妄信的に突き進んでいるのだと思います。で、結果は失われた20年という無駄すぎる時間でしょう。筋トレでいえば「タンパク質と糖質を取らずに、ひたすらトレーニングした」というわけで、筋肥大化するわけがない。端的にいってオカルトの謎理論を盲信して、間違ったトレーニングと食事をしているといえましょう。

※ダイエットでもよく◯◯ダイエットとか◯◯サプリとか、着るだけで痩せる!とかありますよね。ダイエットは「摂取カロリー<消費カロリー」以外ではほとんど不可能です。でも世間では「これをするだけで痩せられる!」と次々と話題になります。空言、戯言、虚言の蔓延でありますね~。

 

 というわけで(どういうわけ?)P.Sでは私も少々冗談めいた提言をしてみます。

「政治家に筋トレを義務付けろ!」

 

 ええ、私は今後・・・政経マッチョ(?)ブロガーを目指すので、適当に言ってみただけです(笑)

 

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本日の男の料理 鯛の潮汁

 鯛の潮汁のレシピ。出汁のみの解説です。

材料

  • 鯛のアラ
  • 日本酒
  • 薄口醤油

調理手順

  1. 鯛のアラに塩をして30分程度、キッチンペーパーにくるんでしめます。臭みを取り除くためですね。血合い、内蔵などは全てキレイに取り除いたほうが良い味になります。
  2. 鯛のアラをグリルします。焦げない程度、少し焼き色が付く程度で結構です。
  3. 2を鍋の水に入れて沸騰してから20分、弱火で煮出します。煮出したらキッチンペーパー、ザルで濾して出汁の出来上がり。
  4. 3を鍋に入れて日本酒を少々入れてアルコールを飛ばし、塩、薄口醤油で味を整えて完成。あとは具材を別に調理してお椀にもるだけです。

 鯛に焦げ目がついてしまうと、潮汁自体に苦味が出てしまいます。じっくりと中火~弱火で焼き上げたほうが良いでしょう。また昆布を鯛のアラとともに入れるのはありです。

 味付けは出汁1Lに対して日本酒がお玉に半分、塩で当たりをつけて、薄口醤油は少々となります。お椀一杯分の出汁に対して塩は2つまみ程度が私の目安です。日本酒は多すぎるとこれまた苦味が出ます。

※1つまみ=親指、人差し指、中指の3本でつまめる分量。

 

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