2023年10月27〜11月23日 <抗がん剤治療4クール目> 手術から9ヶ月目
夫は手の力のコントロールができない時がある。
一度にぎると離せなくなったり、ものすごい力でにぎってしまったり、
軽く小突くつもりが結構な力でたたいてしまったり。
意図しない動きを、手が勝手にしてしまう場合がある。
あと、子どもの冗談に対して本気で怒ったり、子どものちょっとしたおふざけを許せなかったり
「大人気ない」態度を取るようになった。
これも脳の損傷による影響だと思う。
息子が珍しく夫のそばにやってきて、手を触ったりスキンシップをしていた。
私はそれが嬉しくて、息子と夫の様子を動画に撮っていた。
息子は、夫と話せたのが嬉しかったのか、テンションが上がって
「腕ずもうしよう!」と言って、夫の手をつかんだ。
その瞬間、、、、
夫は思いっきり、息子の腕をひねり上げる
私は慌てて携帯を置いて引き離そうとした。
夫の手はますます力が入る
息子は「痛い、痛い!!! やめてお父さん」と悲痛な声をあげている
でも、その声もどこか遠慮している。
その声によって余計に怒鳴られるんじゃないかと思っていたと思う。
大人の力で6歳の息子の小さい手をありったけの力で掴んで
細い腕をひっぱって離さない
腕が変な方向に曲がって折れるんじゃないかと本気であせって、
「ちょっと、やめて!! 離して!!!」
と私が、息子の代わりに大きな声で夫に言った。
夫はやっと離してくれて「ふんっ」とそっぽを向いて目をつむった。
さっきまでの和やか雰囲気は、終了。短かった
これでまた、息子はしばらく夫を遠ざけるだろう
無邪気な息子は、まだまだお父さんと遊びたい年頃。
夫が倒れる直前に、夫と息子の2人で行ったキャンプのことを
息子はよく覚えていて、たびたび話す。
息子はもっと夫にかまってもらいたいだろう。
でも夫は、もう息子と以前のように接することは難しい
息子と認識していない時もあって、息子を呼びつけていきなり叩いたりする時もある
夫のベッドはリビングに置いてあるので、常にみんなが同じ空間にいるが、
なるべく2人きりにならないように気をつけている。
今日の夫の異世界語録
「すきなかしゅは? いわしのやつ」
(イワシみたいな歌手?えっと誰だろ・・・
)
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重度認知症の夫が発する言葉は、いつも謎解き。それを私は「夫の異世界語」と心の中で呼んで、和ませてもらっています夫の一言一言が大切で愛おしいです。
いつか夫がいなくなって、涙が止まらなくなった時、これを見て笑顔になるきっかけにしようと思っています。
続きは4月20日(土)19時30ごろ更新します!
「はずれない柵に囲まれて」