気づいたら、2か月、更新していませんでした。

頭の中が、ずーっと宗教のことでいっぱいいっぱいで。

 

昨日、東京同宗連=同和問題に取り組む宗教教団東京地区連帯会議の総会で講演をしました。

同宗連は、40年前、日本仏教会の理事長が「日本に部落差別はない」と発言したことを機に、解放同盟の糾弾により結成されました。

その流れを受けて、各地で様々な取り組みをしているということです。

 

私の話は、ハンセン病と性暴力被害が主ですが、今なお、差別と偏見の中にあるのは、部落問題と根は同じ。経典の中の差別思想が問題だと思っています。

 

ハンセン病は、法華経の中で、「前世に法華経信者を誹ったから現世でらいになる」ということが書かれています。また、業論、三世思想では女性、被差別部落民、障害者、癩者は前世に悪いことをした結果だと教えてきました。

 

女性に関しては、「女人五障」「変成男子」つまり、女は仏になれず、仏になるためには男に生まれ変わらなければならないとしています。出産、月経の穢れだけでなく、女性そのものを穢れとしてきました。女人を「罪深き五障三従のあさましき身」(蓮如)などと、罪深い存在として排除の対象、劣った存在と規定してきました。三従とは、女は父に従え、夫に従え、老いては子に従え。儒教からきていますが、仏教も取り入れました。

 

これは、現代の人権感覚からは到底受け入れることのできない、理不尽な差別、レッテル張り、スティグマです。

 

一昨年、とんでもないことがおこりました。

 

真宗大谷派は人権週間に合わせて、部落差別と宗教との関わりをメインテーマにパネル展を開きました。その時に、経典の中の女性差別に関するパネルも準備されていましたが、土壇場で、宗務総長から待ったが入り、「女性差別と断言してはならない」と核心部分のパネルは取り下げられたというのです。

 

このことを最近知った私は、とても驚きました。なぜなら、大谷派はハンセン病国賠訴訟を支援し、責任を認めようとしない国に抗議してきたじゃないですか。さらに、国賠訴訟後は教団の教えが間違っていたと認め、謝罪声明を出し、ハンセン病問題への学びを深め、先頭に立って啓発に取り組み、家族訴訟も支えてきているではないですか。日本の宗教って、過ちを認めることができるんだ、すごい!と尊敬していました。その大谷派が、どうして女性差別を否定するのですか。それは、ダブルスタンダードというものではないですか? 

 

宗教者は、女性差別の歴史をなかったことにするつもりなのでしょうか?

 

そんな重い問いを、宗教者に投げかけるというのが今回の私のミッションです。胃が痛くもなります。

 

私に講演を依頼したのは、大谷派の人でした。ということは、大谷派の中でも、このスタンスはおかしいと思っている人がいるのだと私は解釈しました。仏教者自身は、なかなか、指摘しずらいことなのかもしれません。女性差別は、家父長制度、夫婦別姓問題などにつながっていくので、お寺さんとしては厄介な話であると思うのです。そこが崩れると、死活問題になるというか。あくまで、私の推測です。

 

でも、時代は、急速に変わってきています。仏教が時代遅れな発想をしようものなら、仏教離れがますます加速するだけのことです。

それはもったいない!

 

私は仏教嫌いではありません。むしろ、宗教に救いを求めてきました。言葉が難しいので難航していますが、親鸞を理解したいと歎異抄を読んだり、お経の意味を知ろうと努力してみたり、声明(歌のようなお経)の武道館コンサートに行ったこともありました。上智の大学院では宗教社会学を学び、アルフォンスデーケンさんの講座に足繫く通ったり。どこがしっくりくるのか、自分の所属する宗教探しを長年やってきています。納得したところがあれば、信者になりたいと思ってきたのです。

 

生きる支え、指針がほしいのです。性被害の影響なのかわかりませんが、自分を信じることが私には難しく、この先、寿命まで生き抜けるのかとても大きな不安に襲われることがあるのです。死にたくなることがまだあるのです。夫と喧嘩したりすると、生きるエネルギーが急速になくなるのを感じたりするのです。人間的に自立できていないのかもしれません。大きな永遠の存在に寄っかかってラクになりたい、そんな思いがあるのです。

 

会場は増上寺でした。

東京タワーの隣です。修繕中のようです。

法然上人を背に、講演しました。っひー。恐縮至極です。

 

同宗連は、仏教だけでなく、キリスト教や神道、新興宗教も加盟しています。せっかくのこの機会に、ハンセン病、被差別部落、女性問題への取り組みや宗教の教えの中に女性差別があると認識しているかなど、質問状を持参し、お渡ししました。

 

コロナで、出席を見合わせた方には、後日、送らせていただこうと思います。どんな回答をいただけるのか楽しみです。

 

講演は100分ぐらい、その後、質疑応答でたくさんご意見をいただき、2時間超えの長丁場でした。

 

仏教と女性差別について、さらに深く知りたい方は源淳子著『仏教における女性差別を考える』(あけび書房)を読んでみてください。源淳子さんは、大谷派のパネル展で女性差別を監修した方です。なかったことにされたお怒り心から共有しました。

もう一冊、源淳子著『いつまで続く「女人禁制」』(解放出版社)もすごいです。日本の女性ってこんなことになっていたのか、マジ?嘘でしょ?うげー、ありえん、奴隷やん、女は牛馬扱いかい、の連続です。当時の女性の無力感、自己否定感を思うと、怒りを覚え、泣けてきます。辛い気持ちになるけれど、私はもう目を背けない。

 

実のところ、私は女性問題を避けてきました。トラウマに関わることに触れそうな気がしたからだと思います。フェミニストやウーマンリブといった活動もなんかちょっと苦手で。でも、その態度が世界的にみて恥ずかしい日本女性の今の状況を温存してきた要因だと気づきました。それが、性暴力に甘い社会状況、女性ばかりが責められる状況を作ってきたことにつながっていると思いました。伝統、文化、宗教、習慣だからと無自覚に差別を受け入れてきてしまったのは間違いでした。私も今日からフェミニストを名乗ることにします。

 

差別に向き合うのはきつい作業です。自分の中にも差別思想があると気づくかもしれません。でも、まずは、そのことに気づくこと。そして、きっぱりと否定することからはじめなければ何も変わらないように思います。過去は変えられなくても、未来を変えることはできるはず。女性の人権が軽んじられている今の社会の礎を築いたのは宗教だと自覚して、アクションを起こしていただける日を待っています。もう少し、信じることを諦めずにいようと思います。

 

 

話が長くなりすぎました。

思いが溢れて止まらない。

 

ともかく、思いよ届け!!