無謀な挑戦です。

音羽亭左京として落語をはじめ、まだ1年も経ってません。ようやく、4つ、ネタを覚えたよちよち歩き。

 

それなのに、人権講演で落語をやってみようと思いました。ふざけてません。大真面目に。

 

人権講演会で話をするようになって、かれこれ20年近くなりますが、ずっと、ハンセン病問題を中心にやってきました。取材で見聞きしたこと、大学院で研究し深めていった社会的背景や差別思想。ハンセン病は本当に奥が深くて、切り口は無限にあり、あらゆる差別に通底する問題なので、興味が尽きず、面白い。社会は、ハンセン病に学んだ方が賢明だと思うところがたくさんあります。だから、ずっと続けてきたわけですが、近年、ブログ読者はご存知のように、自分の少女時代の性暴力被害が私の根っこにあることが判明してからは講演で、そのことも話すようになりました。そこに触れないというのは、嘘をついているような気分になる。講演は、全部をさらけ出さないと伝わらない。

 

しかし、とても後味が悪い。

 

講演終了後、主催の方は、どうリアクションすればいいのかわからない方も多く、腫れ物のように扱われているな、と感じることがある。また、「よくぞ、恥部をさらけ出してくださった」などと、心外な感想をもらうこともある。

 

恥ずかしいのは私ではなく、加害者の方だと言ってるだろ。性暴力にあうと「傷モノ=穢れた人」にされたと感じるということか。私が過敏なのかもしれないが、講演後は、気分が落ち込み、PTSDの症状があらわれる。もう、講演やめたい、と何度も思った。

 

しかしながら、辞められない事情もある。亡くなっていった元ハンセン病の友人たちから、後を頼んだ、と言われてきた。約束したのだから、生きてる限り、伝えなきゃ。

 

そんなわけで、「お後がよろしいようで」の形にしようと落語に行き着いたのです。

 

で、演目は?有名なのがありました。日テレは麹町番町です。番町と言えば、皿屋敷、お菊の皿です~~~。これは、奉公人のお菊が美人だったから主人に惚れられ、口説かれたけれども拒否したため逆恨みされて殺されるという、まあ、なんともひどい話なわけでございまして。でも、そのお菊さんが、幽霊になって現れて、したたかに生きる?様を描いています。

 

性暴力は「魂の殺人」なんて言われることもあります。それはその通りな面もあります。しかーし、人間はもっとしなやかで強いのだ!何歳からでも、何度でもリセットして、面白いことにチャレンジしていいんだ!人間の発展可能性は無限だ!なんてことをお菊を通じて、感じてもらえないかなあ、と思ったのであります。

 

笑うどころではない緊張した空気の中、はじめました。すると、想像以上に、ここで笑いがほしい!と思うところで笑いがおきました。あまりに広い会場、お客様は400名ぐらいはいらしたでしょうか。何だか、温かい笑いがとても心地よくて、応援されてるのをとても感じて、今までで一番のびのびとやることができたと思います。奇跡のような時間でした。

 

失敗すれば、最初で最後の人権・落語でしたが、最後にはなりません。8月23日、日田市が私の第一歩。人権講演と落語を組み合わせて、お後がよろしい講演を模索していこうと思いました。背中を押してくださった日田市の市民環境部の皆様、椋野美智子市長、懇親会までありがとうございました。「朋あり遠方より来る」ですね。同じ志をもって、差別を許さない社会にしていきましょう!!

 

歴史を感じる原次郎左衛門の醤油。袋がかっこいい。

 

日田は下駄の産地です^^桐だから軽い。

あじろ貼りに初めて出会ったので、購入!

季節を問わず出番がありそうです。