はじめに
メインの出資クラブであるシルクホースクラブの2021年度募集馬全頭診断をやっていきたいと思います。
期待値評価はS、A+、A、B+、B、C+、C、D+、D、E+、E、Fの12段階です。
評価は、事前に基準を決め、機械的に出しています。
そのため、自分の評価と齟齬が生じる場合もあり、その場合は【総評】に記載します。
管囲横の括弧内の数字は過去に記事にした標準管囲からの差です。
あくまで私個人の評価です。
『私を楽しむ。(それが競馬)』という昔のJRAのキャッチコピーのとおり、皆さんそれぞれの一番があるはずなので、皆さんの一番を大切にしていただければと思います。
評価一覧(シルク01~10)
シルク01 エディスワートンの20 牡 期待値C+
シルク02 アルビアーノの20 牝 期待値A
シルク03 ルシルクの20 牝 期待値D+
シルク04 サンドクイーンの20 牡 期待値D+
シルク05 ダストアンドダイヤモンズの20 牝 期待値C
シルク06 アーデルハイトの20 牝 期待値E+
シルク07 トレジャーステイトの20 牡 期待値A+
シルク08 ロゼリーナの20 牡 期待値B
シルク09 ヒカルアマランサスの20 牡 期待値D
シルク10 カリンバの20 牝 期待値C+
個別評価(シルク01~10)
シルク01 エディスワートンの20
牡 父ハーツクライ
予想馬体重480kg 管囲21cm(+0.93)
4000万円(一口8万円) 期待値C+
【馬格】馬体重はベストに近く、管囲も太い。
【血統・牝系】母父ドバウィはシーキングザゴールド系(ミスプロ派生)の筆頭で、産駒としてはポストポンドが最も有名。産駒にはマイラーが多く、ダートも一応こなすが、本質は欧州芝向き。ハーツクライの活躍馬は母父ミスプロ系orストームキャット系に集中しており、血統の字面だけみると悪くない気もするが、ハーツで結果を出しているミスプロ系はどちらかといえばダート主戦場のタイプで、本馬が良配合のパターンにはまるかというと違う気がする。ただ、ドバウィという世界的名血とハーツクライの組み合わせは魅力。
母は未出走。祖母はヨークシャーオークス勝ちでなかなかの牝系。
【繁殖成績】母6歳時の第2仔。初仔のFrankel産駒はオーナーズの馬なので情報なし。
【総評】母未出走引退、4年目の田中博厩舎というのはマイナス。ハーツ×母父ドバウィは今まであまり例がなく、この組み合わせにロマンは感じる。基本的に、ハーツにはアメリカのスピード血統を足した方がいいと考えているが、シュヴァルグランのような成功例もあり、爆発してもおかしくない。悪くないと思います。
シルク02 アルビアーノの20
牝 父ハーツクライ
予想馬体重494kg 管囲20.1cm(-0.3)
4000万円(一口8万円) 期待値A
【馬格】ベスト馬体重、管囲も十分。ただし、右前足が一見してわかるほどの内向。
【血統】母父は父系ストームキャット×母系ミスプロ系のゴリゴリの米国血統で、ドバウィとの組み合わせ(シルク01)よりも、こちらの方がハーツの相手としてはしっくりくる。
母は芝重賞2勝で、母の妹にも米国3歳牝馬チャンピオンがいるなど母の成績、牝系は文句なしの一流。シルク募集の母馬としては最高級レベル。
【繁殖成績】初仔はドゥラメンテ産駒ですでに2勝をあげており、好調な滑り出し。第3仔である本馬も期待十分。
【総評】高品質牝馬。人気になるのもうなずける。ただ、個人的には、厩舎が全然数を使ってくれないところなので、抽優を使いたくはないかな~。
シルク03 ルシルクの20
牝 父ハーツクライ
予想馬体重474kg 管囲19.9cm(-0.03)
3200万円(一口6.4万円) 期待値D+
【馬格】標準的な馬体重と管囲
【血統・牝系】母父はロベルト系の芝ダート兼用馬。産駒に幻の米国三冠馬バーバロがいる。ハーツ×ロベルト系だと、有名どころはタイムフライヤー。組み合わせとしてはぼちぼちといったところ。
母はルシルクお馴染みの馬で米国産の米国1勝馬。祖母も日本に輸入されており、祖母の産駒には重賞馬ブレイクランアウトがいる。なかなかの牝系。
【繁殖成績】母16歳時の仔。ここまで一度も同じ種牡馬をつけられたことがなく、SS系をたらい回しにされており、第1仔から第5仔までは3勝、0勝、5勝(グランシルク)、4勝、3勝とすさまじい繁殖成績を誇った。しかし、近年は年齢の影響か1勝、0勝、0勝と尻すぼみ。
【総評】ハーツクライで3200万円は魅力大きいが、母に往年の勢いがなくなっているのが気掛かり。もし3年前なら1番人気になっていたであろう価格設定で、そこに魅力を感じるなら買える。
シルク04 サンドクイーンの20
牡 父ロードカナロア
予想馬体重500kg 管囲20.9cm(+0.36)
5000万円(一口10万円) 期待値D+
【馬格】馬体重ベスト。管囲も十分。
【母能力】ダート1000m未勝利戦の1勝のみで、その後、1勝クラスで頭打ち。能力の裏付けは希薄。
【血統・牝系】3代母は、名牝フェアリードール。フェアリードールは、トゥザヴィクトリー、ビーポジティブ、サイレントディールという3頭の重賞馬を出し、トゥザヴィクトリーからさらにトゥザグローリー、トゥザワールド、トーセンビクトリーが出て、他にも活躍馬多数という日本有数の名牝系。しかし、母母は惨敗続きの未勝利馬で、産駒も1勝が限界の微妙な繁殖成績で牝系の活力がこの馬に伝わっているかというと微妙。
【繁殖成績】初仔。
【総評】フェアリードールからの名牝系とはいえ、母母でその活力が寸断されてしまっている感がある。5000万円は高いと思います。
シルク05 ダストアンドダイヤモンズの20
牝 父ロードカナロア
予想馬体重484kg 管囲20cm(-0.17)
4000万円(一口8万円) 期待値C
【馬格】ベストに近い馬体重。ぼちぼちの管囲。
【母能力】母は、米国の短距離ダート重賞を2勝と能力の裏付けはある。
【血統・牝系】母は、AP.Indyを経ないボールドルーラー系傍流のダート短距離馬。ロードカナロアは、短距離傾向の種牡馬だが、種付け料も高いので、距離を延ばす方向の血統につけて芝中距離を狙わないと元が取りにくい種牡馬(ここがディープやハーツと決定的に異なる)。
本馬のようにロードカナロアに短距離ダート重賞の母という組み合わせはスピードが勝ちすぎてあまり好みではない。
【繁殖成績】第7仔。これまでクズは出ておらず、米国での産駒が米国ダート短距離重賞を好走し、日本での産駒も2勝、1勝とぼちぼち走っており、それなりに優秀。ただし、勝鞍はいずれもダート。
【総評】ロードカナロアは、高くなりすぎてお得感がなく、また、血統構成もあまり好みではないのでお勧めはできない。
シルク06 アーデルハイトの20
牝 父ロードカナロア
予想馬体重502kg 管囲19.2cm(-1.39)
4500万円(一口9万円) 期待値E+
【馬格】馬体重はベストだが、管囲がかなりひどい。500キロ代で19cm前半というのはかなり厳しく、足元のリスクは明確に高い。
【母能力】1戦0勝。アグネスタキオン産駒のだめになる典型のようなパターンで順調に調教が使えず、気が付いたら3歳の7月で、1戦して引退。能力不明。
【血統・牝系】母母はビワハイジ。ブエナビスタ他6頭の重賞馬を輩出した説明不要の名牝系。
【繁殖成績】大物こそでていないものの、1勝、3勝、2勝、3勝、0勝、0勝と十分な繁殖成績。近年繁殖成績が落ちてきているのが気になるが、まだ枯れる年齢ではない。
【総評】母の繁殖能力は十分で、牝系から距離も持ちそうなので、うまくかみ合えば大成功の可能性はある。とにかく脚さえもてば、というところだが、細い管囲に母の引退経緯を加味すると脚部不安のリスクの方が高いような気がする。
シルク07 トレジャーステイトの20
牡 父ダイワメジャー
予想馬体重534kg 管囲22.5cm(+1.17)
3000万円(一口6万円) 期待値A+
【馬格】馬体重は重すぎて、喉なりリスク高め。ただし、管囲はそれを補って余りある太さで、脚部不安はそれほど心配しなくてもいいか。
【母能力】母は、地方転出後、地方で結果を出し、中央に戻り、1勝クラスを2勝、2勝クラスを1勝(いずれもダート1400m)。なかなかの競争能力で、能力の裏付けは十分。
【血統・牝系】母父オアシスドリームはダンジグ系の快速馬で、産駒も芝短距離中心だが、中距離G1馬も出すなど距離の融通は効くタイプ。ダイワメジャーとの組み合わせで短距離~マイル狙いはマッチしそう。
【繁殖成績】第2仔。第1仔はスクリーンヒーロー産駒で、既に芝1800mの新馬戦を勝利しており、絶好の滑り出しを見せた。
【総評】馬格がでかすぎるが、それ以外に欠点がない。第1仔がスクリーンヒーロー産駒で2800万円だったことを考えると、ダイワメジャー、初仔がすでに1勝の第2仔という条件で3000万円は相当お得感がある。馬体のことはよくわからないが、素人目に見ても、見映えがするいい馬体に見える。抽優最有力候補。
シルク08 ロゼリーナの20
牡 父エピファネイア
予想馬体重472kg 管囲21.2cm(+1.31)
4000万円(一口8万円) 期待値B
【馬格】標準的な馬体重、安心サイズの管囲。
【母能力】母は芝2000mを2勝。降級後の1勝クラスで頭打ちで引退。可もなく不可もなく。
【血統・牝系】ローザネイからつながるバラ一族に属する本馬。ローザネイ⇒ロゼカラー⇒ローズバドというバラ一族の中でも本流に属する。そこに今を時めくエピファネイア。血統的魅力は非常に高い。
【繁殖成績】初仔。
【総評】4000万円という価格は思ったよりも低いという印象。エピファネイア産駒はかなり高くなっており、来年はさらに上がる可能性が高い。エピファネイア産駒は当たり外れが激しく、もうすでに若干高すぎる感はあるが、もし買うなら今年がラストチャンスの感がある。シーザリオ血統×バラ一族という夢の詰まった血統で、血統的な魅力はかなり大きい。
シルク09 ヒカルアマランサスの20
牡 父エピファネイア
予想馬体重536kg 管囲22cm(+0.62)
8000万円(一口16万円) 期待値D
【馬格】馬体重は重すぎて、喉なりリスク高め。管囲は十分な大きさで足元リスクはそこまで大きくはないか。
【母能力】牝馬限定重賞を中心に好走し、G3を1勝。シルクでは文句なしトップクラスの競争能力。
【血統・牝系】近親にカレンミロティック(金鯱賞)など活躍馬がおり、勢いのある牝系。
【繁殖成績】母はやや高齢の14歳。4勝、2勝、3勝、0勝、2勝、0勝、3勝(ホウオウアマゾン、G3勝)と文句のない繁殖成績。芝のマイルから中距離を中心に走っており、エピファネイアとはめちゃくちゃ合いそう。
【総評】とにかく8000万円という値段と、芝の中距離を走るには重すぎる印象の馬体重の2点をどう考えるか次第。
この点、「芝中距離以上を走るのに、重い馬体重は本当に不利なのか」ということについては、今回、疑問に思ったので調べてみました。
左が1勝以上をあげた馬の馬体重分布で、駄馬を除いた競走馬の体重分布。
真ん中が芝2000m以上の重賞勝馬の馬体重分布
右が芝2000m以上の重賞馬/1勝以上馬で数字が大きければ大きいほど、その体重の重賞馬率が高いということになる。
データを見る限り、520kg~539kgの大型馬は、480~499kgの「ほどよい」とされる馬よりも、芝中距離以上の重賞馬率が高いということになります。
これは「故障していない馬」の分布ですから、「520kg以上の馬体をかかえながら、故障しない丈夫な体を持っている馬」というフィルターがかかっているため、額面通りは受け取れません。
ただ、重いから、芝中距離が不利であるというのは必ずしも、正しくないのかもしれません。
私は買いませんが、このデータが買う人の後押しになれば。
シルク10 カリンバの20
牝 父エピファネイア
予想馬体重458kg 管囲19.5cm(-0.06)
3000万円(一口6万円) 期待値C+
【馬格】初仔なのでやむを得ないが、やや小さい。管囲ももう少しほしい。
【母能力】芝1600と1800で2勝。2勝したところで屈腱炎で引退。成績を見るに屈腱炎がなくとも3勝目は厳しかったように思われる。それなりの能力値。
【血統・牝系】名牝マンデラ(仔にワールドエース、ワールドプレミア、ヴェルトライゼンデ)からの牝系。母母はディープ×マンデラの未出走馬で、第2仔を産んだ後に豪州に売却。日本に残していった初仔(本馬)、第2仔がどちらも2勝し、第3仔が豪州で5勝とかなりの繁殖成績。ノーザンは売却したことをさぞ残念がったことっでしょう。この母母の繁殖成績からして、マンデラから続く牝系の勢いは削がれていないと見ます。
【繁殖成績】初仔。
【総評】3000万円は絶妙な値段設定。初仔でサイズやや小さめ、母の競争能力の裏付けが強いとはいえないという点をどう見るか。
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まとめ記事
あとがき
先生!!1頭書くのに20分かかります!!笑
母が外国産馬だと調べることが増えるんですよね~。
さらに、「馬体重が重いと本当に芝の長い距離不利なのかな?」みたいな疑問が湧くとさらに時間がかかります。。。
まあ、この検討してる時間が一番楽しいんですけどね笑
連休ですし、オリンピック見ながらぼちぼちやります。
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