【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

英の小島でがん多発 チェルノブイリ原発が原因か

【ロンドン31日共同】31日付の英日曜紙インディペンデント・オン・サンデーは、スコットランドの島で過去1年半の間にがんが他の一般地域の3倍を上回る率で発生、1986年4月に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と関連がありそうだ、と報じた。
同紙によると、この島はスコットランドの北西にあるへブリディーズ諸島のベンべキューラ島。チェルノブイリ原発事故の翌月、放射性物質を含んだ雲が同島地域一帯を通過、2日間にわたって激しい雨が降った。この際、放射性物質が地中に染み込んだ可能性があるという。
同島の医師シニア博士によると、人口1800人の島で94年末以来、19人の新たながん患者が報告されており、同博士は「(同島の規模では)通常、6人程度の患者が予想されるので、3倍以上の発生率」と述べている。
患者の多くは農業に従事する40-50代の男性で、大半が消化管のがんを患い、肺腫瘍(しゅよう)の例も見られるという。
医師らは、放射性物質に汚染された野菜、羊やシカの肉、海産物を長年食べたのが原因ではないかと疑っており、本格的な調査の必要性を訴えている。

(中日新聞 1996/04/01)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

「危険な原発に“もんじゅ”とは!」 仏教徒ら改名求める

危険な原発に菩薩(ぼさつ)名を付けるのは、罰当たりだ──。ナトリウム漏れ事故を起こした動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の改名を求める署名運動に、仏教関係者が立ち上がった。
オウム真理教事件への対応が鈍かったとされる仏教界のマイナスイメージをぬぐい去りたい、という願いを込めた運動だが、思わぬ提案に動燃側も戸惑っている。
署名を始めたのは宗派を超えて布教活動に取り組んでいる「南無の会」(事務局・東京都大田区、松原泰道会長)。
同会によると、仏教を悪用したオウム真理教の一連の事件について、キリスト教などは積極的に問題点を指摘し、被害者や脱会者の支援に当たったのに対し、仏教界は動きが鈍かった。
そんな中、仏教で知恵を象徴する菩薩の名を与えられた「もんじゅ」で昨年12月、ナトリウム漏れ事故が起き、動燃の事故隠しも明らかに。「仏教は誤ったイメージを持たれ、埋もれてしまう。今こそ行動し、社会に提言していかなければ」と危機感を持ち、慈悲の菩薩名を持つ動燃の新型転換原型炉「ふげん」(敦賀市)を含め、改名を呼び掛けることにした。
同会は、機関紙を通じて署名を呼び掛け、改名を求める市民の集いを結成。集いの発起人には、作家の永六輔さん、立松和平さん、大学数授らさまざまな分野から100人以上が集まった。
地元の福井県でも、この話を知った中島弥昌県議会議長らが、同県を訪れた中川秀直科学技術庁長官に「ふさわしくない菩薩名をやめて科学的な名前に変えたら」と詰めよる場面もあったが、中川長官ははっきりと返答することは出来なかった。
動燃によると、「もんじゅ」と「ふげん」は、知恵と慈悲で巨獣を制御している両菩薩にあやかり、原子力も同様にコントロールできるようにとの願いから命名。菊池三郎・もんじゅ建設所長は「謙虚な気持ちで使っており、署名が集まっても改名の予定はない」という。
最初に改名を呼び掛けた機関紙の前田利勝編集長は「ただ、名前を変えさせればいいというのではなく、運動を通して、原発の安全性やエネルギー問題について広く考えるきっかけにしていきたい」と張り切っている。(三国通信部・沢田一朗)

(中日新聞 1996/03/24)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

もんじゅの事故原因 金属疲労と断定 科技庁調査班

高速増殖原型炉「もんじゅ」の事故原因について、科学技術庁の事故特別調査班は21日、ナトリウムの流れでできた渦による振動で、温度計のさやが金属疲労を起こして亀裂が入り、これが広がって破断したと断定した。さやが揺れやすい振動数(固有振動数)と、渦の振動数が極めて近かったため、激しく揺れる「共振現象」が起こったと推定している。こうした共振は、事前の解析では予測していなかった。温度計の構造にも揺れによる力が集中しやすい欠陥があったため、短期間で破断したとみられる。
動燃や温度計を設計した東芝、科技庁金属材料技術研究所などの実験や解析で、金属疲労が原因と結論づけた。
動燃によると、渦による振動は、ナトリウムの流れが秒速3メートルを超えると目立ち始め、同5-6メートルでは共振することがわかった。この流速は、出力60-100%での運転時に相当するという。
動燃は1992年5月から8月の間に計約720時間、出力100%を模擬して、事故のあった配管にナトリウムを流す試験をしており、同調査班はこの試験中に亀裂が入ったと断定した。

(朝日新聞 1996/03/22)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

米の核兵器施設 放射能汚染浄化に42兆円
開発費用の1.5倍以上

【ワシントン3日共同】

米国の核兵器開発に使われた施設での放射能汚染浄化に必要な費用はこれまでの試算を大幅に上回り、今後75年間に最大3900億ドル(約42兆円)に達するとの試算をホワイトハウスがまとめていることが分かった。
米エネルギー省筋が3日までに共同通信に明らかにした。米国が核兵器開発に費やした総予算は二千数百億ドルといわれるが、今回の試算額はこれを大幅に上回る。
同筋によると、3900億ドルの約半分は廃棄物の管理費用。環境回復が約3割で、ほかに技術開発費用や施設の安全維持費など。

(中日新聞 1996/02/04)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

核再処理工場・施設、建設費2兆円に 設備費高騰、原燃が修正

電力業界の委託を受け、青森県六ケ所村で日本初の民間による核燃料再処理工場の建設を進めている日本原燃(本社・青森市)は31日、工場本体と、海外から返還が始まった高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設を含めた建設費の総額は、2兆円前後にのぼる見通しだと発表した。電力会社の団体である電気事業連合会と原燃は1月下旬、約1兆7000億円とする見通しを示していたが、原燃が再度コストの内訳を洗い直して上方修正した。
再処理工場を中心とする建設費の総額は1986年に見積もられ、8400億円と公表されてきた。この時の内訳では(1)再処理工場の土木・設備費が5700億円(2)工場建設にかかわる人件費や支払い利息などが1900億円(3)高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設が800億円だった。
コストの高騰が明確になったのは(1)の部分で、5700億円から1兆6000億円と、3倍近くに跳ね上がった。増額分の半分近くが物価上昇によるというが、発表した原燃の野澤清志社長は、メーカーや建設業者への発注に競争原理を十分導入しなかったことも、高騰の原因として認めた。
合計すると2兆円を超える見込み。日本原燃は、(1)と(2)を合わせた工場本体のみの費用を4月ごろに改めて発表する。

(朝日新聞 1996/02/01)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

チェルノブイリ 30年後も汚染深刻
ベラルーシ 国土の14%と予測


【ミンスク(ベラルーシ)24日=石田勲】

地球規模の放射能汚染を引き起こしたチェルノブイリ原発事故から30年後の2016年、被災したベラルーシでは国土の約14%がなお深刻な放射能汚染にさらされている、とする予測地図を、同国の水文気象委員会がまとめた。放射性物質セシウム137によるこれまでの汚染をもとに調べた。
世代を超えて人と大地をむしばみ続ける原発事故の恐ろしさを物誇る未来像だ。
同委員会は、1986年から93年にかけて、居住地区約2万5000カ所と森林、草原の地表付近から採った土壌試料約40万点が含むセシウム137を分析、半減期(30年)などから95年と2016年の汚染状況をはじき出した。
それによると、95年では、事故前の平均放射能の約20倍に相当する、1平方キロ当たり1キュリー以上の汚染地域が約4万5500平方キロに及び、全国土の約22%を占める。この地域に現在、人口の約2割に当たる約200万人が暮らしている。日本では、同レベルの汚染の可能性があれば、「放射線管理区域」として一般の立ち入りが禁止される。
2016年を予測すると、ゴメリ市周辺やチェルノブイリ原発に近いウクライナとの国境周辺では、1平方キロ当たり15キュリー以上の地域がなお残る。この汚染レベルは同国では、原則として住民の移住対象地域になっているという。同40キュリー以上の地域もある。1キュリー以上の汚染地域は、全国土の約14%に当たる2万8300平方キロにもなる。

(朝日新聞 1996/01/25)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

核のゴミ 地下処分の研究本格化
深さ1000メートルに施設 腐食防止策など難題山積

原発などから出る高レベル放射性廃棄物を地下に埋める地層処分の研究が本格化してきた。海外からの返還が始まったが、2040年代には最終処分を始めるという国の計画は、「とても実現しそうにない」と言う専門家もいる。高速増殖原型炉「もんじゅ」の事故や再処理工場の設備縮小など、国の原子力政策の軸になる核燃料リサイクル計画の「輪」がほころぶ一方、「核のごみ」の後始末にも多くの難題が待ち構えている。
岐阜県の瑞浪市と土岐市にまたがる地区に、動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が「超深地層研究所」を建設する。地下約1000メートルと、世界で最も深いところにある研究施設という。
地元との協定で、放射性物質を使わず、高レベル廃棄物を地下に埋めたときに、周りの岩盤や地下水などとどう影響し合うかなどを調べる。
高レベル廃棄物は原発の使用済み核燃料を再処理すると出る。放射能が弱まるまでに数万年かかる物質も含まれ、それを漏らさず、長期間管理する技術開発が目的だ。同じような施設を北海道幌延町に造る計画は地元の反対で行き詰まっており、動燃は「これで欧米の研究と肩を並べられる」と期待する。
だが、地下深くで放射能が漏れないようにする技術の開発は難しい
高レベル廃棄物をガラスと溶かして固めたガラス固化体にし、緩衝材(粘土)、オーバーパック(炭素鋼)などで覆う「多重バリアシステム」という処分方法が検討されている。
が、何万年もの間、緩衝材などが腐食や地下水の侵食に耐えられるか、よくわかっていない。
放射能がどう漏れ出すか、動燃がコンピューターでシミュレーションをしたら、「1000年後には腐食でオーバーパックに穴が開き、ガラス固化体が地下水と接触することがわかった。放射性物質が漏れだし、そのピークはセシウム135なら400年後、アメリシウム243では7万年後という。
これとは別に、オーバーパックなど金属の腐食の様子を古代の銅鐸(どうたく〕を使って調ベているが、せいぜい2000年ほどたった様子しかわからない。
また茨城県東海村に、地下深くの地下水の動きなどをシミュレーションできる試験施設を造ったが、「地層の複雑な変化をつかむには、おもちゃのような施設。いまの研究ペースでは、100年かかってもわからない」と専門家は指摘する。
科学技術庁や動燃では「超深地層研究所の地下の地質は花こう岩。性質の違うたい積岩の地質でも、同じような施設を造って試験をする」と話している。幌延町の地質はたい積岩だ。

(朝日新聞 1996/01/24)



~関連記事~

いまだに高レベル放射性廃棄物の埋立地は決まらない。

仮に、地下に埋めたとして、

国は、その高レベル放射性廃棄物を100年管理、

その後は放置しようとしている

http://blog.goo.ne.jp/jpnx02/e/4b88d9fc4ce00087ee8d659228b31f36


【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

核再処理工場 建設費1兆7000億円に
当初の2倍 電事連発表 操業3年ほど遅れ

青森県六ケ所村に建設されている核燃料再処理工場の建設費は、設計変更で削減したが、それでも当初見積もりの2倍かかると、電力9社で組織する電気事業連合会(電事連)が23日、発表した。建設費削減の努力は続けるとしているが、将来の電気料金に跳ね返る恐れがある。同工場のプルトニウム生産量は減り、操業開始も2000年の予定から3年ほど遅れる見通しだ。
再処理工場の事業主体である日本原燃(青森市)の試算を了承する形で、建設費などを明らかにした。
工場本体の1兆6000億円に、高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設を含めた総建設は約1兆7000億円になる見通し。当初は8400億円とされていた。民間初の再処理施設で研究開発費が膨らんだこと、耐震性、安全性を確保するための設備の増加、人件費や資材費の上昇などが理由という。
日本原燃はプルトニウムの精製工程を2系統から1系統に減らしたり、廃液処理、貯蔵施設を統合したりしたが、「安全性にかかわる部分は削減しなかったので、建設費の高騰は避けられなかった」という。
この工場で国内の原発の使用済み核燃料を再処理すると、発電量1キロワット時当たり1円強かかる。フランスに委託すると同75銭ほどで、国内での再処理は1.4倍も割高になることも明らかにした。
電事連では「海外委託に比べて割高になった分は電気料金収入の0.5%程度。電力9社の合理化努力で電気料金への跳ね返りを防ぎたい」としている。
2000年とされていた操業開始の時期が遅れる影響について、日本原燃は「プルトニウムの生産量が従来の計画より約14ドル少なくなる」と説明。核燃料の年間処理量も800トンとしていたのを、2003-6年までの4年間で1600トンと修正したので、プルトニウムの生産量がさらに少なくなる可能性が高い。


「建設費の増加、原子力では常」 原燃専務

青森県六ケ所村の核燃料再処理工場の建設費が当初計画の約2倍になったことについて、事業主体の日本原燃の高岡敬展専務は23日、科学技術庁で記者会見し、「建設費が基本設計時より増えるのは原子力の世界では常。これを見込んで事業指定許可申請すべきかもしれないが、そんなことをしているところはない。申請も後で変更するのが常だ」と述べた。

(朝日新聞 1996/01/24)


【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

旧ソ連原発で75年 大量の放射能漏れ ロシア環境安全委員長明かす

【モスクワ19日=西村陽一】旧ソ連のレニングラード原発1号機で1975年11月30日に、推定約150万キュリーの放射性物質が外部に放出される事故が起きていたことを、ロシア安全保障会議のヤブロコフ環境安全委員長が19日までに、朝日新聞記者に明らかにした。事故翌年、周辺地域では、新生児に染色体異常の急増が見られた。事故に関する情報は当時、公開されなかった。90年になってフィンランドの放射能防御センターが旧ソ連政府に照会していた。
ロシア原子力省のカウロフ広報官は、燃料集合体の内壁が焼けて穴があく故障が発生したことは認めたが、「深刻な事故ではなかった」としている。
しかし、ヤブロコフ委員長は、公式見解では「構造上の欠陥で技術系統が破損した」となっているが、複数の発電機が何らかの理由で故障し、その結果、燃料が過熱して、いくつかの燃料棒が破損、炉心の技術チャンネルの1つも破損した、と明かした。この後、水蒸気の爆発が起き、大量の放射性物質が放出されたと説明している。
レニングラード原発は、レニングラード(現サンクトペテルブルク)市街から約100キロ離れたフィンランド湾岸の森林地帯にある。10年前に大惨事を起こしたウクライナのチェルノブイリ原発と同型同出力のRBMK-1000(黒鉛減速軽水冷却炉)で、92年3月24日にも、3号機で、調整弁の損傷により圧力管への冷却水の供給が減少し、蒸気とともに放射性物質が漏れる事故が起きている。

(朝日新聞 1996/01/20)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

もんじゅナトリウム漏れ 配管保温材は設計外
業者が変更 動燃知らず

動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、ナトリウムが漏れた温度計付近の2次冷却系配管を覆う保温材(6層構造)のうち3つの層で設計とは違う材料が使われていたことが18日、分かった。動燃は「施工業者が配管室の構造上、配管の太さを抑える必要があるとして薄い材料を使ったようだ。安全性に問題ない」としているが、科学技術庁の事故特別調査班の指摘まで知らず、メーカー任せの姿勢が改めて浮き彫りになった。
設計によると、保温材の材料は最も外側の6層目から4層目までと、配管に最も近い1層目がセラミックス質(耐熱温度1300度)で、2、3層目が岩石を溶かして繊維状にしたもの(同600度)。6層の厚さは計35センチ。
ところが、科技庁金属材料技術研究所の入江宏定室長の指摘で動燃が材料を調べたところ、6層目には設計とは異なる、2、3層目と同じ岩石の繊維状の材料が使われていた。さらに4、5層目も設計のセラミックス質とは違うガラス繊維などの布状の素材(同950度)が使われていた。
保温材はナトリウムの温度を均一に保つのと、ナトリウムが漏れた場合に大きな火災になるのを防ぐ役目がある。動燃は「設計どおりにすると、保温材が厚くなって配管を支えるつり棒と接触するため、施工業者が薄い素材に変えたようだ。これで保温材の厚さは30センチになったが、性能試験で安全性に問題のないことを確かめている」と説明した。
調査班の指摘まで知らなかった点については「この部分の工事は特殊な技術は必要ない」としている。

(朝日新聞 1996/01/19)