【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

もんじゅナトリウム漏れ 配管保温材は設計外
業者が変更 動燃知らず

動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、ナトリウムが漏れた温度計付近の2次冷却系配管を覆う保温材(6層構造)のうち3つの層で設計とは違う材料が使われていたことが18日、分かった。動燃は「施工業者が配管室の構造上、配管の太さを抑える必要があるとして薄い材料を使ったようだ。安全性に問題ない」としているが、科学技術庁の事故特別調査班の指摘まで知らず、メーカー任せの姿勢が改めて浮き彫りになった。
設計によると、保温材の材料は最も外側の6層目から4層目までと、配管に最も近い1層目がセラミックス質(耐熱温度1300度)で、2、3層目が岩石を溶かして繊維状にしたもの(同600度)。6層の厚さは計35センチ。
ところが、科技庁金属材料技術研究所の入江宏定室長の指摘で動燃が材料を調べたところ、6層目には設計とは異なる、2、3層目と同じ岩石の繊維状の材料が使われていた。さらに4、5層目も設計のセラミックス質とは違うガラス繊維などの布状の素材(同950度)が使われていた。
保温材はナトリウムの温度を均一に保つのと、ナトリウムが漏れた場合に大きな火災になるのを防ぐ役目がある。動燃は「設計どおりにすると、保温材が厚くなって配管を支えるつり棒と接触するため、施工業者が薄い素材に変えたようだ。これで保温材の厚さは30センチになったが、性能試験で安全性に問題のないことを確かめている」と説明した。
調査班の指摘まで知らなかった点については「この部分の工事は特殊な技術は必要ない」としている。

(朝日新聞 1996/01/19)