【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
核再処理工場 建設費1兆7000億円に
当初の2倍 電事連発表 操業3年ほど遅れ
青森県六ケ所村に建設されている核燃料再処理工場の建設費は、設計変更で削減したが、それでも当初見積もりの2倍かかると、電力9社で組織する電気事業連合会(電事連)が23日、発表した。建設費削減の努力は続けるとしているが、将来の電気料金に跳ね返る恐れがある。同工場のプルトニウム生産量は減り、操業開始も2000年の予定から3年ほど遅れる見通しだ。
再処理工場の事業主体である日本原燃(青森市)の試算を了承する形で、建設費などを明らかにした。
工場本体の1兆6000億円に、高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設を含めた総建設は約1兆7000億円になる見通し。当初は8400億円とされていた。民間初の再処理施設で研究開発費が膨らんだこと、耐震性、安全性を確保するための設備の増加、人件費や資材費の上昇などが理由という。
日本原燃はプルトニウムの精製工程を2系統から1系統に減らしたり、廃液処理、貯蔵施設を統合したりしたが、「安全性にかかわる部分は削減しなかったので、建設費の高騰は避けられなかった」という。
この工場で国内の原発の使用済み核燃料を再処理すると、発電量1キロワット時当たり1円強かかる。フランスに委託すると同75銭ほどで、国内での再処理は1.4倍も割高になることも明らかにした。
電事連では「海外委託に比べて割高になった分は電気料金収入の0.5%程度。電力9社の合理化努力で電気料金への跳ね返りを防ぎたい」としている。
2000年とされていた操業開始の時期が遅れる影響について、日本原燃は「プルトニウムの生産量が従来の計画より約14ドル少なくなる」と説明。核燃料の年間処理量も800トンとしていたのを、2003-6年までの4年間で1600トンと修正したので、プルトニウムの生産量がさらに少なくなる可能性が高い。
「建設費の増加、原子力では常」 原燃専務
青森県六ケ所村の核燃料再処理工場の建設費が当初計画の約2倍になったことについて、事業主体の日本原燃の高岡敬展専務は23日、科学技術庁で記者会見し、「建設費が基本設計時より増えるのは原子力の世界では常。これを見込んで事業指定許可申請すべきかもしれないが、そんなことをしているところはない。申請も後で変更するのが常だ」と述べた。
(朝日新聞 1996/01/24)