ピンク・フロイド(Pink Floyd)は,1970年1月10日英国ノッティンガムのノッティンガム大学公演を皮切りに,3月21日デンマークはコペンハーゲンのチボリコンサートホール公演まで,英国/欧州/北欧ツアーを行い,3月30日フランスはパリ郊外セーヌ=サン=ドニのル・ブルジェ空港での音楽祭(Le Festival Musique Evolution)出演後,4月9日ニューヨークのフィルモア・イースト公演を皮切りに北米ツアーを開始します.
 前年に何度か演奏されていた組曲 "The Man And The Journey" が色々な形で別の曲の一部で構成されたのに対して,1月10日から開始されたこのツアーでは "Atom Heart Mother" のプロト・タイプに当たる "The Amazing Pudding" が披露される等,時期的にもステージ自体が実験的で重要な意味を持ったツアーでした.

 本アイテムは,上述のツアー終盤に差し掛かった 3月15日ドイツはハノーヴァーのニーダーザクセンハレ公演のオーディエンス録音を収録し Sigmaレーベルより 2009年にリリースされた 『 Consequently (Sigma 47) 』 です.

 今回,再入荷に伴ってサブ・タイトル 「 Hannover 1970 」 が付与され 『 Consequently : Hannover 1970 (Sigma 47) 』 となっていますが,ジャケット含めて 2009年リリース当時のままであり,便宜上判り易くする関係で付与したものでしょう.

 この日の音源は既発で 2002年に Ayanamiレーベルから 『 Consequently(Ayanami-158) 』 としてリリースされているようですが,Sigma盤の方が世代が若く,クリアのようです.

 オーディエンス・ノイズも殆ど無く,拍手自体も少し離れたところから聴こえるので,テーパーの席位置が特別な位置なのか,テーパーのグループが周りで静かにしているのか判りませんが,非常に高音質なオーディエンス録音で楽しめます.
 それだけにオープニングで演奏された ”Astronomy Domine” が収録されていないのが非常に残念です.

 2日前の 3月13日ドイツはベルリンのベルリン工科大学(アウディマックス)公演(『 Richard, Are You Ready? (Sigma 15) 』)での ”Cymbaline" は,中間部に足音の SE(Sound Effects)を含まない,コンパクトなアレンジでしたが,この公演では中間部に足音の SEが含まれたものとなっていますし,”A Saucerful Of Secrets” の導入部~中盤部で聴くことのできる デヴィッド・ギルモア(David Gilmour)のスライド・バーと,BINSON の Echorec を使用した演奏は鳥肌もので,名演といえます.
 また公式リリースでは ”Atom Heart Mother" となりますが,この日のアナウンスでは本CDのタイトルともなっている ”Consequently” として紹介され,18分にも及ぶ演奏をしています.

 メーカー情報では
 『1970年ヨーロッパ・ツアーより、3月15日のドイツ・ハノーヴァー公演をマスター・クオリティのオーディエンス録音で収録。
 既発のAyanami盤は勿論、これまでトレーダー間で出回っていた同日の音源より、ジェネレーションが若いヴァージョンを収録しています。鮮度の高いよりクリアーなサウンドで聴けるこの日のライブ音源は間違いなくファン必携です。
 元々、オープニングのAstronomy Domineは未収で、2曲目のCareful With That Axe, Eugeneから収録されています。既発も含め、過去に出回った全てのこの日の音源は、なぜかメインセット・ラストのSet The Controls For The Heart Of The Sunから収録されていましたが、本盤では正しい位置に収録されています。
 Cymbalineの中間部には足音を録音したSEが挿入されたヴァージョン。14分に及ぶA Saucerful Of Secretsは前半の聴き所で、中盤ではギルモアのボトルネックが凄まじい効果をあげ、全編を通して鬼気迫る演奏を聞くことができます。コーダのオルガンのサウンドも非常にクリアーに捉えられています。
 ディスク2に収録された大曲4曲はその全てで圧巻の演奏とサウンドドラマを堪能できます。がっちりとしたストイックな演奏が聴けるThe Embryo、一転、スペイシーでアヴァンギャルドな演奏のInterstellar Overdrive、重厚で激しいサウンドで聴き手を圧倒するSet The Controls For The Heart Of The Sunと、それぞれの曲で、この時期のフロイドの魅力がいっぱいに詰まった魅力的な演奏をたっぷりと堪能することができます。
 ラストの4人のみで演奏するAtom Heart MotherはロジャーのMCで「Consequently」と紹介されます。ピュアで斬新な魅力に満ちたこの時期のAtom Heart Motherは全体の構成は殆ど出来上がっており、タイトでドラマチックな演奏は全編に渡って聴き応え満点です。フロイド・ファン必携の一枚がプレスCDにて登場です。

 ★beatleg誌 vol.111(2009年10月号)のレビュー要約です。ご参考まで。
 1970年春の欧州ツアーから、Hannover公演を収録。
 この音源が発掘されたのは比較的新しかったと記憶しているが、最初にブート化に成功したのはAyanamiレーベルで、今回のリリースと同じく、『Consequently』というタイトルでリリースされた。
 今回のリリースでは以前よりも世代の若い音源(1st gen.)が使用され、比較してみると音質の向上が顕著だ。この時期のFloydは、1月のParis公演で初演した新曲(後の「Atom Heart Mother」で、ここでは「Consequently」と紹介)を次のアルバム用の新曲として、ステージでの演奏を重ねることでブラッシュアップを図っていた。
 しかし、横溢する創造力を、うまく形にできないもどかしさを感じてしまう。それは、バンドは長大なブルースロックへ舵を切ったにもかかわらず、ブルース・ペンタトニックを習得しておらず、ソロをまったく弾けていないGilmourも要因の一つだろう。実際、冒頭の「Careful With That Axe, Eugene」でも、後のライブバージョンのように、音の隙間を埋め尽くすような激しさはなく、無難に音を置くだけの陳腐なソロに終始する。逆に、そこに面白さを見出すこともできるわけで、この時期、発展途上の彼らの演奏に興味が尽きることはない。ファクトリープレス仕様。』


Consequently (Sigma 47)
 
 Live At Niedersachsenhalle,Hannover,GERMANY 15th March 1970

  Disc 1
   01. Careful With That Axe, Eugene
   02. Cymbaline
   03. A Saucerful Of Secrets

  Disc 2
   01. The Embryo
   02. Interstellar Overdrive
   03. Set The Controls For The Heart Of The Sun
   04. Atom Heart Mother

 Careful With That Axe, Eugene
 
 Set The Controls For The Heart Of The Sun
 

[参考]
 Consequently(Ayanami-158)
 
















 1970 1st European Tour Dates
  January
   10 The Ballroom,University of Nottingham,Beeston,Nottingham,UK
   17 Lawns Centre,Cottingham,Hull,UK
   18 Fairfield Hall,Croydon,UK
   19 The Dome,Brighton,UK
   23 Civic Hall,Wolverhampton,UK
      [Cancelled]
   23 Theatre des Champs-Elysées,Elysée,Paris,FRANCE
      [Broadcast On Europe 1 Radio]
   24 Theatre des Champs-Elysées,Elysée,Paris,FRANCE

  February
   02 Palais des Sports,Lyon,FRANCE
   05 Cardiff Arts Centre Project Benefit Concert,Sophia Gardens Pavilion,Cardiff, UK
   07 Royal Albert Hall,Kensington,London,UK
   08 Opera House,Manchester,UK
   11 Town Hall,Birmingham,UK
   14 King's Hall,Town Hall,Stoke-On-Trent,UK
   15 Empire Theatre,Liverpool,UK
   17 City Hall,Newcastle-upon-Tyne,UK
   22 The Electric Garden,Glasgow,UK
   23 McEwan Hall,University of Edinburgh,Edinburgh,UK
   28 Endsville '70,Refectory Hall,University Union,Leeds University,Leeds,UK

  March
   05 Studio B, BBC TV Centre,White City,London,UK
      [Line Up, BBC1 TV, Broadcast 13 March]
   06 Great Hall,College Block,Imperial College,London,UK
   07 University of Bristol Arts Festival - Timespace,Colston Hall,Bristol,UK
   08 Mothers,Erdington,Birmingham,UK
   09 City (Oval) Hall,Sheffield,UK
   11 Stadthalle,Offenbach,GERMANY
   12 Kleiner Saal,Auditorium Maximum,Hamburg University,Hamburg,GERMANY
   13 Konzert Saal,Technische Universität,Berlin,GERMANY
      [Two Shows]
   14 Grosser Saal,Meistersinger Halle,Nuremberg,GERMANY
   15 Niedersachsenhalle,Hannover,GERMANY
   18 Gothenberg,SWEDEN
      [Cancelled]
   19 Stora Salen,Stockholm Konserthus,Stockholm,SWEDEN
   20 Akademiska Foreningens Stora Sal,Lund,SWEDEN
   21 Tivolis Koncertsal,Copenhagen,DENMARK
   30 Le Festival Musique Evolution,Le Bourget,Aeroport de Paris,Siene St Denis,FRANCE

[関連記事]
Hamburg University 1970 (Gift CDR)
 
Croydon 1970 (Sigma 214)
 
Nurenberg 1970 (Sigma 173)
 
Croydon 1970 (Gift CDR)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF - Croydon 1970 (Gift CDR)
BBC Archive 1967 - 1969 (Last Scream PFBBC67/6869)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - BBC Archives 1967 - 1969
Ummagumma Revisited (Embryo 01/02/03)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - Ummagumma Revisited
The Man In Paris (Sigma 89)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - The Man On Paris (Sigma 89)
Paris 23.1.1970 Original Radio BC (Bonus CDR)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - Paris 23.01.1970
Birmingham 1970 (Gift CDR)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-PF Birmingham 1970
Birmingham 70 (Sigma 90)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Pink Floyd - Birmingham 1970 (Sigma90)
In Germany 1970 - 1971 (Sigma 71)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-In Germany 1970 -1971 (2)
Richard, Are You Ready? (Sigma 15)
 
Dying Of Boredom (Sigma 8)
 





#2019-12-24 #再入荷