1970年1月10日から開始された英国・欧州ツアー.その英国・欧州ツアーから,1970年2月11日のバーミンガム・タウン・ホール公演を収録したCDRです.LIGHTHOUSEのギフトCDRで,メーカー情報にも記載されているように,以前にHarvestedレーベルが「Project Birmingham (HRV CDR 024)」として発表したものを,補正しているようです.

 LIGHTHOUSEでは,ブートを 2種類購入すると,ギフトが 1種類貰えます.何時もながら思うのですが,ブート・ファンにとっては嬉しい企画です.

 メーカー情報では
 『約1時間47分に渡って高音質オーディエンス録音で収録しています.ハーヴェステッドが発表した「PROJECT BIRMINGHAM」をピッチ修正し,適度にリストアしたヴァージョンを収録.過去よりアナログ盤としてもリリースされていたこの時期を代表する名音源であり,CD時代になってからはハイランドから「The Amazing Pudding」と言うタイトルでもリリースされていました.クラシカルな音のテイストながら,音の鮮度はぐんと高まり,ステージで試行錯誤を繰り変えてしていた時期の貴重なステージの模様を,リアルなサウンドで体感・堪能することができます.非常に重要な聴き所がいくつもあり,中間部にギルモアのボトルネック奏法が登場,強烈さを増してきた The Embryo を頭に,電子音楽の実験的要素を取りいれた「More」の主題曲(これ以降は徐々にセットから外れていく),さらに最重要トラック「Sysyphus」が高音質で収録されているのがポイントです.「Sysyphus」はステージでも数回しか演奏されておらず,オルガンではなくメロトロンによる印象的なテーマに続き、リリカルなピアノソロパート、そしてウォーターズのアジテーションと,10分の中で目まぐるしく印象が変わる非常に実験的なナンバーです(既発同様にエンド付近でカット。これ以上は存在していないようです。).ディスク2前半で25分近く演奏される,ハーヴェステッドには「Project Birmingham」と銘打たれた Heart Beat, Pig Meat / Quicksilver / Moonhead (未発表曲) / The Violent Sequence と「Zabriskie Point」「More」収録ナンバーを中心に組み立てられたインストメドレーを聴くことができます.ラストを占める「Us And Them」の原曲のピアノパートは聴きごたえ満点.この時期のUKツアーではこの構成で実験的に演奏されていた貴重なパフォーマンスをリアルかつクリアーなサウンドで楽しめます.ラストは「Atom Heart Mother」の原曲「The Amazing Pudding」の創造性に満ち溢れた演奏を25分に渡って聴くことができます.正規盤では味わうことのできない,まさに革新的な発展を遂げていた1970年代冒頭のステージ好サンプル。本来ならプレスCDが相応しい重要音源です.』
との事です.

 先ずセットリストがこの時期特有となっており,セットリストで歌があるのは,わずか2曲,他はSE含めて演奏のみという内容も非常に興味深いです.

 1969年短命に終わった,5人編成のフロイドから,シド・バレットが脱退し,4人編成になった事で,その方向性を模索している時期に組曲「The Man」および「The Journey」の演奏を試みますが,実際に披露されたのは数回程度であり,成功というには程遠い状況でしたが,本公演のセットリストでも,後半の「Heart Beat, Pig Meat」~「The Violent Sequence」までは,メドレー形式である意味組曲的な要素も強く,模索を続けている時期なのでしょう.

 公演当日は,19時45分に開演したようで,ウォーターズの "New Song It's Call The Embryo" のMCの後「The Embryo」が演奏されますが,バンド全体で音を出す局面では,レコーダーが大音量に耐えられないのか,かなり歪みます.ちなみに,この「The Embryo」は,スタジオ録音は1968年11月ですが,当時の公式アルバムでも公演でも陽の目をみずに,1970年1月18日のサリー州クロイドンのフェアフィールドホールが初演とされています.そしてこの時期しか演奏されていない「Main Theme From "More"」,「Careful With That Axe, Eugene」へと続いていきます.
 「Careful With That Axe, Eugene」は少し前まで,組曲「The Journey」中の「Beset The Creatures Of The Deep」として,演奏される時期もありましたが,ここでは単独で演奏されます.そしてアルバム「Ummagumma」の Disc2に収録された「Sysyphus」では,ライトの荘厳なキーボードを聴くことができますが,9分17秒に一瞬ですが,テーパーがマイクを触る雑音が入るのと,フェイドアウトしてしまうのが,残念です.
 後半4曲はメドレー形式で演奏され『Zabriskie Point』収録の "Heart Beat, Pig Meat",『More』収録で,組曲「The Man」中でも "Sleep" として組み込まれた "Quicksilver" ,1969年7月20日の夜にBBCテレビのアポロ月面着陸を扱ったプログラムで一部使用された "Moonhead",『Zabriskie Point』用に作曲されましたが使用されず,後の『Dark Side Of The Moon』収録の "Us And Them" の原曲となった "The Violent Sequence" と素晴らしい演奏が続きます.そして "Set The Controls For The Heart Of The Sun" と "The Amazing Pudding" (:Atom Heart Mother) のプロトタイプ)へと続き終了します.
 「The Amazing Pudding」冒頭のドラム, 4分23分からのウォーターズのベースと,リックのハモンドオルガンで奏でられる部分はベースのフレーズが新鮮で,それに続く4分54秒からのギルモアのゆったりしたスライドギターも良いです.
 「Moonhead」は,1970年11月11日スウェーデンのヨーテボリ公演でも演奏されており,中間部は後の『Dark Side Of The Moon』収録の "Money"にも使用されています.

 上述した "The Embryo" 初演と言われている,1970年1月18日のサリー州クロイドンのフェアフィールドホール公演は,少し前にネットに音源が上がっているので,もう少し経つと,プレスCDで発売されるか,ギフトCDRになるのではないでしょうか.

 何れにしても録音された年代を考えれば,素晴らしい音質でとらえられたものです.


Birmingham 1970 (Gift)
 $cinnamonの音楽ときどき競馬予想-PF Birmingham 1970
 Live At town Hall, Birmingham, UK 11th February 1970

 Disc 1
  1. The Embryo
  2. Main Theme From "More"
  3. Careful With That Axe, Eugene
  4. Sysyphus

 Disc 2
  1. Heart Beat, Pig Meat
  2. Quicksilver
  3. Moonhead
  4. The Violent Sequence
  5. Set The Controls For The Heart Of The Sun
  6. The Amazing Pudding


 The Embryo
 

 Main Theme From "More"
 
 
 The Violent Sequence
 

 The Amazing Pudding
 


[参考]
 1970
  January
   10 The Ballroom, University of Nottingham, Beeston, Nottingham, UK
   17 Lawns Centre, Cottingham, Hull, UK
   18 Fairfield Hall, Croydon, UK
   19 The Dome, Brighton, UK
   23 Civic Hall, Wolverhampton, UK (Cancelled)
   23 Theatre des Champs-Elysées, Elysée, Paris, France
              (Broadcast On Europe 1 Radio)
   24 Theatre des Champs-Elysées, Elysée, Paris, France

  February
   02 Palais des Sports, Lyon, France
   05 Cardiff Arts Centre Project Benefit Concert, Sophia Gardens Pavilion, Cardiff, UK
   07 Royal Albert Hall, Kensington, London, UK
   08 Opera House, Manchester, UK
   11 Town Hall, Birmingham, UK
   14 King's Hall, Town Hall, Stoke-On-Trent, UK
   15 Empire Theatre, Liverpool, UK
   17 City Hall, Newcastle-upon-Tyne, UK
   22 The Electric Garden, Glasgow, UK
   23 McEwan Hall, University of Edinburgh, Edinburgh, UK
   28 Endsville '70, Refectory Hall, University Union, Leeds University, Leeds, UK

  March
   05 Studio B, BBC TV Centre, White City, London, UK
            (Line Up, BBC1 TV, Broadcast 13 March)
   06 Great Hall, College Block, Imperial College, London, UK
   07 University of Bristol Arts Festival - Timespace, Colston Hall, Bristol, UK
   08 Mothers, Erdington, Birmingham, UK
   09 City (Oval) Hall, Sheffield, UK
   11 Stadthalle, Offenbach, West Germany
   12 Kleiner Saal, Auditorium Maximum, Hamburg University, Hamburg, West Germany
   13 Konzert Saal, Technische Universität, West Berlin, West Germany (Two Shows)
   14 Grosser Saal, Meistersinger Halle, Nuremberg, West Germany
   15 Niedersachsenhalle, Hannover, West Germany
   18 Gothenberg, Sweden (cancelled)
   19 Stora Salen, Stockholm Konserthus, Stockholm, Sweden
   20 Akademiska Foreningens Stora Sal, Lund, Sweden
   21 Tivolis Koncertsal, Copenhagen, Denmark
   30 Le Festival Musique Evolution, Le Bourget, Aeroport de Paris, Siene St Denis, France

 当日のチケット
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 Project Birmingham (HRV CDR 024)
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The Amazing Pudding (Highland HL208/209)
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 Zabriskie Point
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