1971年,ピンク・フロイドは10月4日~7日の 4日間に渡るイタリアのポンペイの遺跡(アンフィ・シアター/円形劇場)での撮影終了後,ニュー・アルバム 『 Meddle (おせっかい) 』 のリリースに合わせて,リリース前の 10月15日カリフォルニア州サンフランシスコのウィンターランド・オーディトリウム公演を皮切りに,11月20日オハイオ州シンシナティのタフト・オーディトリウム公演まで プロモーションの為の北米ツアー(通称 「 Meddle Tour 」)を行います.
本CDは,この北米ツアー 2公演目に当たる10月16日カリフォルニア州はサンタモニカのシビック・オーディトリウム公演の 「 PA Recorder 」 と呼ばれる録音と通常のオーディエンス録音,そして両録音のマトリックスを収録し Sigmaレーベルよりリリースされた 6枚組の 『 Santa Monica 1971 (Sigma 237) 』 で,2009年に Sigmaレーベルよりリリースされた 『 Santa Monica 1971 (Sigma 50) 』 の大幅なアップグレード盤に当たるものです.
「 PA Recorder 」 と呼ばれる録音は,PAスピーカーからの至近距離で収録された録音のようです.またネット上には今回リリースされた 3バージョン以外に Jimfisheye氏による 「 2 Recorder 5.1 master 」 なる音源もアップされていましたが,流石にブートでは5.1ch にしても余り意味は無いと思われたのか,今回のものには含まれていません.
この北米ツアーより前は ”Green Is The Colour” からシームレスに繋がるメドレー形式で ”Careful With That Axe, Eugene” が演奏されていますが,この北米ツアーでは11月19日ペンシルバニア州ピッツバーグのシリア・モスク公演でしか,このメドレー形式の演奏はなく ”Careful With That Axe, Eugene” 単独での演奏になります.また ”Echoes” は殆どの公演で本編の最終ナンバーとして演奏されていますが,この11月19日公演では ”Echoes” がオープニングとして演奏され,”A Saucerful Of Secrets” がアンコールとして演奏されるいるように,幾つかの公演ではセット・リストや演奏順番が変更になっています.
元々のオーディエンス録音も録音された年代を考えれば充分高音質でしたが,今回の Disc 1&2 に収録された 「 PA Recorder 」 と呼ばれる音源は非常に生々しい音で,Disc 5&6 に収録された 「 2 Recorders Stereo Matrix 」 は,聴きごたえ充分で非常に楽しめます.
メーカー情報では
『Turn back time, " 2010年代 "。
ピンク・フロイドの音源史にとってそれは驚異的な超高音質盤が幾つも登場した10年であり、また長年の謎が遂に姿を現した大発掘の10年でした。
中でも信じ難い程の超高音質で1970年11月21日のモントルー公演を収録したヴィクター音源、そして何と言っても71年8月6日・箱根アフロディーテ初日をノーカット完全収録した秘蔵音源の登場は、どちらも真に10年に1度と言える至高の超級音源だったと思います。しかし2020年代が間もなく訪れようとするこの時、その2010年代を締め括るに相応しい高音質・大発掘の初登場リール・ソースが登場します!!
それは1971年10月16日のサンタ・モニカ公演。
盛夏の箱根アフロディーテで至高の演奏を放ち、フロイドによる" 音楽の奉納 "を行った伝説のポンペイ・レコーディングから僅か10日後のこの公演は、当Sigmaから『SANTA MONICA 1971 (Sigma 50)』として長らく親しまれていた" オーディエンス "音源が存在していました。
ところが今年2019年の晩夏、オークションサイトeBayで" Santa Monica 1971 soundboard reel to reel "と題された未知の" サウンドボード "によるリール・テープが出品され非公式音源ファンがこれを獲得、その現物リールを精査リマスターした音源が11月にネット公開され現在大変な事になっているのです。
公開されたのはその初登場リールテープ(※ 以降" eBayリール "とします)を母体にして制作された3バージョンのリマスター・ソースなのですが、これらを並べてみますと...
1. eBayリール収録原音のリマスター・バージョン
2. Low genカセットによるオーディエンス・ソース
(※ 上記Sigma 50盤にも使用されたソース)のリマスター・バージョン
3. 上記1と2を融合させたステレオ版マトリクス・バージョン
...となっており、このどれもが驚異的なクオリティを誇っているのでした。そう、
これらを全て1音も逃さずにプレス盤6枚組(!!)で纏め上げ、音盤化したものが本最新作『SANTA MONICA 1971 (Sigma 237)』なのです!!
【PA Recorder : 史上初登場の特級サウンド】
ディスク1と2にはアップローダーによって" PA Recorder "と題された史上初登場のeBayリール・リマスター版が降臨します。
前述の通りこれはeBayに出現した" Pink Floyd Santa Monica 1971 soundboard reel to reel" と題されたリールテープの収録音をリマスターしたものですが、実際にその音を聴いてみると卓に直結したプラグ・インのサウンドボードではなく、おそらく正面またはメインPAスピーカーの非常に近い位置に配置したマイクで演奏音を直録りした録音である事が伺えるのです。
「なんだ、それならオーディエンス録音じゃないか」と思うのは早計で、卓にプラグ・インこそしていないもののメイン・スピーカーから音を超至近距離で直接キャプチャしているため解像度が異常なほど高く、そこに明瞭な" サウンドボード・クオリティ "が聴いて取れる訳です。確かに出品者がこれをサウンドボード (※ 以降SBD)と記して出品した事は厳密に正しいとは言えませんが、しかしPAスピーカーから恐らく1メートルも離れていないであろう位置に置かれたこの収録音が限りなくSBDの様に聴こえるのは紛れも無い事実で、これをSBDと勘違いするのも無理からぬほどの特級サウンドなのです。
ちなみに収録は両方のチャンネルにモノラル・プログラムを備えた1/4” 7”のオープンリールで行われており、その音像には左チャンネルに深刻な劣化が存在していました。
しかしもう一方の右チャネルには信じ難いほどに強力な(= そしてこれまで誰も知らなかった)超高解像サウンドが息衝いており、このリマスター版はその高音質・高品質を維持していた右チャンネルを元に復元されています。
このサウンドがもう本当にミラクルで、冒頭の「Careful With That Axe, Eugene」からリールテープ特有の豊かなエネルギーが漲り、演奏の表情がダイナミックに移り変わってゆく姿が驚異の鮮明さ飛び出してくるのです。
「Fat Old Sun」は所どころでサーッとヒスノイズが走る箇所があるものの、その透明感と骨太な響きはSigma 50盤とは桁違いの格差があり、役者の違いを痛感するでしょう。11:27~40で音質が急に変化するのはeBayリールの収録が「Fat Old Sun (part 1)」「(part 2)」に分割されている為で、欠落しているこの13秒間は同日のAUDテープ(※ Sigma 50でも使用されたもの)で補填しています。しかしそれ以外は眩くゆらめきながら放射される音色の深さにリール・テープならではの威力が存分に発揮されています。
「Atom Heart Mother」はギターの音色の眩さとタムの弾け具合に炸裂感があり、曲想の壮大なスケール感が圧倒的な興奮を伴いながら運ばれてきます。ハーモニーの純度も驚異的な高さで、ギルモアとロジャーのガイドボーカルで進行する区間も音域全体にエネルギーが充満し、むせかえるような音色の陶酔に充ちているのです。
「The Embryo」では演奏音は勿論のこと、子供達の声のSEがここまで高い解像度で出ている点にPAマイク直録りの効果がよく現れています。僅かな間に多様な変幻を遂げてゆく音響エネルギーの移り変わりがこれほど間近で実感出来る音像は滅多に耳に出来ないでしょう。
またこの日の「Blues」も別格の響きの浮遊感を伴って登場。僅か2分程度で録音が途切れてディスクエンドになるものの、それがここでは20分にも値する特級の音色の軌跡で捉えられており、耳にした誰もがその至高の響きにときめかれる筈です。
【Audience Recorder : Sigma 50から237への跳躍】
ディスク3と4には" Audience Recorder "と題されたLow genカセットによるAUDソースのリマスター・バージョンを収録しています。
使われている母体ソースは既発盤『SANTA MONICA 1971 (Sigma 50)』で使われていたものと同一ですが、低音域がやや強調され過ぎだったそのSigma 50盤と比べバランス重視の自然な音像にリマスターされているのが特徴です。特に中~低音域の印象がSigma 50と随分と違っているのですが、サウンドが自然な芯の強さを取り戻した事で演奏が遥かに聴き易くなっており、ソースの価値を下げないようSigma 50とは別のアプローチでリマスターした事が伺える最新ソースとなっています。
その効果が最初に感じられるのは「Careful With That Axe, Eugene」のスクリーム後の展開でしょうか。ここはAUDソースの質感を最大限活かしながら新たにスケールアップを図っている様子が垣間見え、自然でいながら迫力あるサウンドが無視出来ない聴き応えを残しています。
「Fat Old Sun」は7:30付近~9:41付近までの約2分間でベースが激しくうなり続ける展開に違いを感じるでしょう。この部分、Sigma 50では低音のブーストが効き過ぎて音の混濁が激しい印象がありましたが、ここでもまろやかなラウドさでアンサンブル全体が俯瞰し易くなっています。
更に「Set The Controls For The Heart Of The Sun」ではAUDソースならではの溶け落ちる様な残響の陶酔があり、ゆっくり漂う音の去来にリマスターの醍醐味が感じられるでしょう。
「Echoes」では相変わらずギルモアの歌声が大変良く聴こえておりますが、Sigma 50にあった低音域のブーストが無くなった事でシンプル且つストレートな音の姿で甦っているのが魅力でしょう。11:16付近からベースが存在感を現すシーンもラウドさを伴った音で出るのではなく芯の強さを持ったマッシヴな音として出ており、この印象の違いに双方のリマスターの狙いが感じられる筈です。
「A Saucerful Of Secrets」も低音の混濁感が無くなった事で4:00ジャストから突入してくるドラムの乱打や、これに絡むピアノとギターが放つ響きの交差の姿が掴み易くなりました。特にドラムは11:33から等間隔で入れられるハイハットの音色も明瞭感が挙がり、やや霞掛かった音色でこれが出ていたSigma 50とは雲泥の差があります。
【2 Recorders Stereo Matrix : そして次世代の特級サウンドへ】
SBD同等のクオリティを誇るeBayリールのディスク1と2、そして従来のサウンドが見直されたAUDソースのディスク3と4。これをマトリクスし、更にステレオ化したものが本タイトル最大の聴きどころであるこのディスク5と6です。
細かい事を言えばPAレコーダー(= eBayリールの右チャンネル)が勿論チャンネル右側、そしてセンターのすぐ左にも15%配置され、ドラムが中央に、AUD録音はおよそ65%の割合で全体をバックアップしているのですが、その響きのダイナミックさと音像の奥行きと立体感・音域の拡大はまさに桁違いの聴き応え!! 間もなく訪れる2020年から先の10年はこのマトリクス・サウンドがこの日の定番となること確実の、真に驚異的な71年サンタモニカ・ソースとなっているのです!!
ディスク冒頭から出る音像の膨らみと透明度の高さ・そして演奏音の近さとダイナミックさには、思わず身を乗り出さずにいられない筈。耳にした100人中100人が圧倒されるレベルで濃密な鮮明音が洪水の様に溢れ出し、SBD級の音とAUDそれぞれの良い部分がパーフェクトに補強し合ったサウンドに驚嘆されるに違いありません。「Fat Old Sun」も音の芯がズンと太くなり音域の拡大感が圧倒的。曲想のまろやかさを最大限発揮しながらもサウンドの輪郭はクッキリと明瞭そのもので、全ての音が細部に至るまで前に出たその音密度の濃さに仰天すると思います。尚、eBayリールがそうなっているためディスク1同様にここでも11:50~12:03の13秒間はAUDサウンドが登場しますが、しかしこれもその音像差にどれだけこのマトリクスの威力があるかが伺えるでしょう。凡庸な録音で聴くと単調に聴こえがちな「Set The Controls For The Heart Of The Sun」もここでは立体的でグラマラスな音の配列が実感出来ますし、「Atom Heart Mother」はどの音もエネルギッシュな緊張感を発揮しながら互いに溶け込み、どの小節も明瞭で眩い推進力に満ちています。スライド・ギターが縦横無尽に炸裂しまくる3:31~5:11もその音色の艶と響きの拡散が圧倒的で、格別の聴き応えと音の余韻を誇っています。
「Cymbaline」はギルモアの歌声がグッと前に出て更に聴き応えが増していますが、何より音群移動装置による効果を実感出来る点が特記されるでしょう。これが判り易いのが足音のシーンで、透明で拡がりのある音像の中で左から右、右から左へとハイヒールが移動する様子がステレオ効果で現れ、当日の会場に木霊していた生々しい音が甦っています。
「Blues」はギター単旋律の音艶と鮮明度がもはや驚異的ですが、残念ながらここでeBayソースの収録限界点を迎える為にこの至福の音色は2:06付近で終わり、その先は終曲までリマスターされたAUD録音にシフトしています。ただ興味深いのはこのAUD録音パートもマトリクス用に調整し直された音(※ 或いはeBayリールから別途トランスファーし直された音かもしれない)で出てくる事でしょう。ディスク2とは音の印象が少し変わっており、シフト後の違和感を殆ど感じない仕上がりになっている点は特筆されます。
「Echoes」と「A Saucerful Of Secrets」はeBayリールに未収録であった為にリマスターAUDソースとなっていますが、これも前述の理由によってディスク4よりも+0.5ほど明瞭で+1ほど音圧が上がっている印象があり、そのぶん聴き応えがランクアップしています。つまりどちらもディスク2のリマスター・ソースを安易にコピペ収録しているのではなく、そこに更なる仕事が重ねられている事で最後まで品質への拘りが感じられるのです。
【2010年最後の遺産、そして2030年からの回顧】
...と、実はここまで書いてもまだ足りないくらい新鮮な驚きと発見がぎっしり詰まっているこの最新作。
2010年代の最後に突如現れたこのeBayリールは次の10年間でも確実にその存在感を発揮し続ける筈ですが、こうした音質A級の秘蔵リールがこの節目の時期に登場した点に改めて2010年代の音源史が象徴されていると思います。2030年、私達フロイドの非公式音源ファンは一体どんなYEESHKUL !な驚きを携えて2020年代を振り返るのでしょう? そんな思いを未来に馳せるとこの71年サンタ・モニカの集大成は2010年代の終わりと20年代の幕開けに相応しいプレス盤6枚組だったと思う筈ですし、10年後、再び巡ってくる節目の時にこれを手にしていた事をきっと嬉しく想い出せるSigma最新作になっていると確信するのです。2020年を目前にした今この瞬間だからこそ出逢って戴きたい驚異の初登場リール・ソース、是非御体験下さい!!』
Santa Monica 1971 (Sigma 237)
Live At Santa Monica Civic Auditorium,Santa Monica,CA,USA 16th October 1971
[PA Recorder]
初登場 SBDソースの Jimfisheye氏リマスターバージョン
ebay で出現した 「 Pink Floyd Santa Monica 1971 Soundboard Reel To Reel 」 をリマスター
Disc 1
1. Careful With That Axe, Eugene
2. Fat Old Sun
3. Set The Controls For The Heart Of The Sun
TOTAL TIME (41:30)
Disc 2
1. Tuning and announcement
2. Atom Heart Mother
3. The Embryo
4. Cymbaline
5. Blues
TOTAL TIME (43:44)
[Audience Recorder]
Low genカセットのAUDソースの Jimfisheye氏リマスターバージョン
Disc 3
1. Careful With That Axe, Eugene
2. Fat Old Sun
3. Set The Controls For The Heart Of The Sun
4. Atom Heart Mother
5. The Embryo
TOTAL TIME (76:10)
Disc 4
1. Cymbaline
2. Blues
3. Echoes
4. A Saucerful Of Secrets
TOTAL TIME (67:21)
[2 Recorders Stereo Matrix]
Jimfisheye氏がSBDソースとAUDソースをマトリクスしステレオ化したバージョン
Disc 5
1. Careful With That Axe, Eugene
2. Fat Old Sun
3. Set The Controls For The Heart Of The Sun
4. Atom Heart Mother
5. The Embryo
TOTAL TIME (77:27)
Disc 6
1. Cymbaline
2. Blues
3. Echoes
4. A Saucerful Of Secrets
TOTAL TIME (67:31)
Careful With That Axe, Eugene [Disc 1, Track 1]
Fat Old Sun [Disc 3, Track 2]
Careful With That Axe, Eugene [Disc 5, Track 1]
Cymbaline
本商品のリリース初週に限り 「 PA Recorder 」 をリールからそのままデジタル化した Rawバージョン 『 Santa Monica 1971 : Raw PA Recorder Reel Transfers (Special Bonus 2CDR) 』 がボーナス・アイテムとして付属しています.
元音源をそのまま聴けるのは有難いかも.
因みに上述したように,リリース週週末のみの限定なので,このブログがアップされる頃には既に配布を終了しています.
メーカー情報では
『今週のSigma最新作『SANTA MONICA 1971 (Sigma 237)』によって頂点極まった71年サンタ・モニカ音源ですが、その現物であるeBayに突如出現した新発掘のリール・テープは最初から本編プレス盤で聴ける様な極上の状態を保っていた訳ではありませんでした。
元からステレオ形式ではあるもののカットやノイズが数箇所に散見され、何より左チャンネルに生じていた深刻な劣化は致命的とさえ言えたのです。この左チャンネル劣化の原因としては当日の現場で収録されたオリジナルのレコーディング・テープに磁気ストライプの位置ズレが生じていた可能性が考えられるのですが、一方で再生デッキのアジマス不良や誤ったイコライザー設定がある時にも起こり得る事態であり、いつどの時点でこうなってしまったのかはハッキリと断定出来ません。またテープに残っていた編集跡、例えば「Blues」が本来あるべき位置に無く、その先にテープの空きスペースがかなり残っていたなど不自然な状態も確認出来た事でこのeBayリールは大元のオリジナル・レコーディングされたテープではなく、リール・トゥ・リールによって作成された1st gen以降のソースである事も判明しています。
...とはいえ、このリールに残るありのままの姿を未処理で聴く事は、珠玉の音で残っていた右チャンネルの音像(= 本編プレス盤のディスク1と2、5と6)をより深く読み解く為の大きな手掛かりとなっているのもまた事実です。
例えば「Fat Old Sun」ですが、eBayリールの素の状態では分割収録され(part 1)と(part 2)に分けられており、しかもpart 2の終盤ではテープチェンジかポーズ押しのために録音が途切れているのが確認出来るのです。
また面白い事にこのeBayリールは「The Embryo」にだけ、他の曲ではあまり感じられない目立った音のビビリやプチノイズが数箇所に存在しています。これらは勿論リマスターの際にかなり軽減されるか除去されていますが、どちらのケースも" 音像修正される前の原音はこんな状態であった "と伺える分かり易い例と言えるでしょう。
しかし素の状態のサウンドがこの様に切り刻まれていたり左チャンネルが劣化しているにも関わらず、この日にフロイドが放った音楽的創造性の高さが微塵も失われていない事実には大変驚かされますし、シーンの欠落や音像上の難点が現代技術で完璧に修復され、音楽的に全く聴き劣りしないレベルにまで引き上げられている事にも大きな感銘も受けるでしょう。そうして難ありシーンのビフォア・アフターが見えてくるのもこのディスクの面白さですし、これは欠点が全て整えられた本編ディスクを聴くだけではなかなか気付けません。
そして音像は「Cymbaline」の2:02で遂に左チャンネルが完全復帰。あまりに遅過ぎる音像回復ですが、しかしやっと本来のサウンドを取り戻したこのeBayリールはここにきて初めて超ド級のサウンド・ポテンシャルを発揮するのです。
その驚異的な解像度と手応え満点の生々しい音圧感...これはもう実音で体験して戴くしかありませんが、本編プレス盤の様に右チャンネルの音を左にも振り分けた音像ではなく、それぞれのマイクから拾われた音が両チャンネルから正しく飛び出してくる真の衝撃と余韻が堪能出来るのは、このボーナス・ディスクを手にされた方だけの特権でしょう。 そして音像の完全回復を引き継いでの「Blues」であるからこそ、これが僅か2分程度でカットアウトしてしまうのが本当に本当に、もう本ッ当に惜しく感じられるのです。
幸いにして右チャンネルが極上の状態で残っていた事で今回、次の10年を経ても価値を見出される上位変換が施された新発掘eBayリール。
リマスターされ、更にAUD録音とマトリクスした鉄壁の最強ソースまで誕生した今、この原石サウンドを収録したディスクが音盤化される機会は今後もう二度と無くなったと言っても過言ではないでしょう。それだけにこのボーナスディスクが得られる今週は大変貴重な機会です。71年サンタ・モニカ公演の音源バリエーションをその原石も含めてパーフェクト・コンプリート出来るこのチャンス、是非御活用下さい!!』
Santa Monica 1971 : Raw PA Recorder Reel Transfers (Special Bonus 2CDR)
Live At Santa Monica Civic Auditorium,Santa Monica,CA,USA 16th October 1971
Taken From The Original Reel Tapes Titled "Santa Monica 1971 Soundboard Reel To Reel"
Disc 1
1. Careful With That Axe, Eugene
2. Fat Old Sun (part 1)
3. Fat Old Sun (part 2)
4. Set The Controls For The Heart Of The Sun
TOTAL TIME (41:15)
Disc 2
1. Tuning and announcement
2. Atom Heart Mother
3. The Embryo
4. Cymbaline
5. Blues
TOTAL TIME (43:32)
Set The Controls For The Heart Of The Sun
[参考]
1971 North American Tour Dates
October
15 Winterland Auditorium,San Francisco,CA,USA
16 Santa Monica Civic Auditorium,Santa Monica,CA,USA
17 Convention Hall,Community Concourse,San Diego,CA,USA
19 National Guard Armory,Eugene,OR,USA
21 Willamette University,Salem,OR,USA
22 Paramount Theater,Seattle,WA,USA
23 Gardens Arena,Vancouver,B.C.,CANADA
26 Eastown Theater,Detroit,MI,USA
27 Auditorium Theater,Chicago,IL,USA
28 Hill Auditorium,University Of Michigan,Ann Arbor,MI,USA
30 Taft Auditorium,Cincinnati,OH,USA
[Rescheduled To 20 November]
31 Fieldhouse,University Of Toledo,Toledo,OH,USA
November
02 McCarter Theatre,Princeton University,Princeton,NJ,USA
03 Central Theatre,Passaic,NJ,USA
04 Music Hall,Boston,MA,USA
[Rescheduled to 11 November]
04 Lowes Theatre,Providence,RI,USA
05 Lowes Theatre,Providence,RI,USA
[Rescheduled To 04 November]
05 Assembly Hall,Hunter College,Columbia University Of New York,New York City,NY,USA
06 Emerson Gymnasium,Case Western Reserve University,Cleveland,OH,USA
08 Peace Bridge Exhibition Center,Buffalo,NY,USA
09 Centre Sportif,Université de Montréal,Montréal,QC,CANADA
10 Pavillion de la Jeunesse,Québec City,QC,CANADA
11 Music Hall,Boston,MA,USA
12 Irvine Auditorium,University Of Pennsylvania,Philadelphia,PA,USA
13 Chapin Hall,Williams College,Williamstown,MA,USA
14 The Gymnasium,State University Of New York,Stony Brook,Long Island,NY,USA
15 Main Hall,Carnegie Hall,New York City,NY,USA
16 Lisner Auditorium,George Washington University,Washington D.C.,USA
19 Syria Mosque Theater,Pittsburgh,PA, USA
20 Taft Auditorium,Cincinnati,OH,USA
[関連記事]
「Toledo 1971 (Sigma 234)」
「Chicago 1971 (Sigma 217)」
「Share In A Unique Musical Experience : Washington 1971 (SPE-020)」
「Clevekand 1971 (Sigma 136)」
「University Of Toledo 1971 (Special Bonus 2CDR)」
※) 「Clevekand 1971 (Sigma 136)」の下部に記載している特典です.
「San Diego 1971 (Sigma 121)」
「Quebec City 1971 (Gift CDR)」
「The Growing Embryo (Sirene-031)」
「University Of Toledo 1971 (Gift CDR)」
「Hunter College 1971 (Special Bonus CDR)」
※) 「Unprocessed Osaka 1971 (Sigma 112)」の下部に記載している特典です.
「Chicago 1971 (Gift CDR)」
「San Diego 1971 (Gift CDR)」
「Santa Monica 1971 (Sigma 50)」
「Acute Danger (Sigma 9)」
#2019-12-10
本CDは,この北米ツアー 2公演目に当たる10月16日カリフォルニア州はサンタモニカのシビック・オーディトリウム公演の 「 PA Recorder 」 と呼ばれる録音と通常のオーディエンス録音,そして両録音のマトリックスを収録し Sigmaレーベルよりリリースされた 6枚組の 『 Santa Monica 1971 (Sigma 237) 』 で,2009年に Sigmaレーベルよりリリースされた 『 Santa Monica 1971 (Sigma 50) 』 の大幅なアップグレード盤に当たるものです.
「 PA Recorder 」 と呼ばれる録音は,PAスピーカーからの至近距離で収録された録音のようです.またネット上には今回リリースされた 3バージョン以外に Jimfisheye氏による 「 2 Recorder 5.1 master 」 なる音源もアップされていましたが,流石にブートでは5.1ch にしても余り意味は無いと思われたのか,今回のものには含まれていません.
この北米ツアーより前は ”Green Is The Colour” からシームレスに繋がるメドレー形式で ”Careful With That Axe, Eugene” が演奏されていますが,この北米ツアーでは11月19日ペンシルバニア州ピッツバーグのシリア・モスク公演でしか,このメドレー形式の演奏はなく ”Careful With That Axe, Eugene” 単独での演奏になります.また ”Echoes” は殆どの公演で本編の最終ナンバーとして演奏されていますが,この11月19日公演では ”Echoes” がオープニングとして演奏され,”A Saucerful Of Secrets” がアンコールとして演奏されるいるように,幾つかの公演ではセット・リストや演奏順番が変更になっています.
元々のオーディエンス録音も録音された年代を考えれば充分高音質でしたが,今回の Disc 1&2 に収録された 「 PA Recorder 」 と呼ばれる音源は非常に生々しい音で,Disc 5&6 に収録された 「 2 Recorders Stereo Matrix 」 は,聴きごたえ充分で非常に楽しめます.
メーカー情報では
『Turn back time, " 2010年代 "。
ピンク・フロイドの音源史にとってそれは驚異的な超高音質盤が幾つも登場した10年であり、また長年の謎が遂に姿を現した大発掘の10年でした。
中でも信じ難い程の超高音質で1970年11月21日のモントルー公演を収録したヴィクター音源、そして何と言っても71年8月6日・箱根アフロディーテ初日をノーカット完全収録した秘蔵音源の登場は、どちらも真に10年に1度と言える至高の超級音源だったと思います。しかし2020年代が間もなく訪れようとするこの時、その2010年代を締め括るに相応しい高音質・大発掘の初登場リール・ソースが登場します!!
それは1971年10月16日のサンタ・モニカ公演。
盛夏の箱根アフロディーテで至高の演奏を放ち、フロイドによる" 音楽の奉納 "を行った伝説のポンペイ・レコーディングから僅か10日後のこの公演は、当Sigmaから『SANTA MONICA 1971 (Sigma 50)』として長らく親しまれていた" オーディエンス "音源が存在していました。
ところが今年2019年の晩夏、オークションサイトeBayで" Santa Monica 1971 soundboard reel to reel "と題された未知の" サウンドボード "によるリール・テープが出品され非公式音源ファンがこれを獲得、その現物リールを精査リマスターした音源が11月にネット公開され現在大変な事になっているのです。
公開されたのはその初登場リールテープ(※ 以降" eBayリール "とします)を母体にして制作された3バージョンのリマスター・ソースなのですが、これらを並べてみますと...
1. eBayリール収録原音のリマスター・バージョン
2. Low genカセットによるオーディエンス・ソース
(※ 上記Sigma 50盤にも使用されたソース)のリマスター・バージョン
3. 上記1と2を融合させたステレオ版マトリクス・バージョン
...となっており、このどれもが驚異的なクオリティを誇っているのでした。そう、
これらを全て1音も逃さずにプレス盤6枚組(!!)で纏め上げ、音盤化したものが本最新作『SANTA MONICA 1971 (Sigma 237)』なのです!!
【PA Recorder : 史上初登場の特級サウンド】
ディスク1と2にはアップローダーによって" PA Recorder "と題された史上初登場のeBayリール・リマスター版が降臨します。
前述の通りこれはeBayに出現した" Pink Floyd Santa Monica 1971 soundboard reel to reel" と題されたリールテープの収録音をリマスターしたものですが、実際にその音を聴いてみると卓に直結したプラグ・インのサウンドボードではなく、おそらく正面またはメインPAスピーカーの非常に近い位置に配置したマイクで演奏音を直録りした録音である事が伺えるのです。
「なんだ、それならオーディエンス録音じゃないか」と思うのは早計で、卓にプラグ・インこそしていないもののメイン・スピーカーから音を超至近距離で直接キャプチャしているため解像度が異常なほど高く、そこに明瞭な" サウンドボード・クオリティ "が聴いて取れる訳です。確かに出品者がこれをサウンドボード (※ 以降SBD)と記して出品した事は厳密に正しいとは言えませんが、しかしPAスピーカーから恐らく1メートルも離れていないであろう位置に置かれたこの収録音が限りなくSBDの様に聴こえるのは紛れも無い事実で、これをSBDと勘違いするのも無理からぬほどの特級サウンドなのです。
ちなみに収録は両方のチャンネルにモノラル・プログラムを備えた1/4” 7”のオープンリールで行われており、その音像には左チャンネルに深刻な劣化が存在していました。
しかしもう一方の右チャネルには信じ難いほどに強力な(= そしてこれまで誰も知らなかった)超高解像サウンドが息衝いており、このリマスター版はその高音質・高品質を維持していた右チャンネルを元に復元されています。
このサウンドがもう本当にミラクルで、冒頭の「Careful With That Axe, Eugene」からリールテープ特有の豊かなエネルギーが漲り、演奏の表情がダイナミックに移り変わってゆく姿が驚異の鮮明さ飛び出してくるのです。
「Fat Old Sun」は所どころでサーッとヒスノイズが走る箇所があるものの、その透明感と骨太な響きはSigma 50盤とは桁違いの格差があり、役者の違いを痛感するでしょう。11:27~40で音質が急に変化するのはeBayリールの収録が「Fat Old Sun (part 1)」「(part 2)」に分割されている為で、欠落しているこの13秒間は同日のAUDテープ(※ Sigma 50でも使用されたもの)で補填しています。しかしそれ以外は眩くゆらめきながら放射される音色の深さにリール・テープならではの威力が存分に発揮されています。
「Atom Heart Mother」はギターの音色の眩さとタムの弾け具合に炸裂感があり、曲想の壮大なスケール感が圧倒的な興奮を伴いながら運ばれてきます。ハーモニーの純度も驚異的な高さで、ギルモアとロジャーのガイドボーカルで進行する区間も音域全体にエネルギーが充満し、むせかえるような音色の陶酔に充ちているのです。
「The Embryo」では演奏音は勿論のこと、子供達の声のSEがここまで高い解像度で出ている点にPAマイク直録りの効果がよく現れています。僅かな間に多様な変幻を遂げてゆく音響エネルギーの移り変わりがこれほど間近で実感出来る音像は滅多に耳に出来ないでしょう。
またこの日の「Blues」も別格の響きの浮遊感を伴って登場。僅か2分程度で録音が途切れてディスクエンドになるものの、それがここでは20分にも値する特級の音色の軌跡で捉えられており、耳にした誰もがその至高の響きにときめかれる筈です。
【Audience Recorder : Sigma 50から237への跳躍】
ディスク3と4には" Audience Recorder "と題されたLow genカセットによるAUDソースのリマスター・バージョンを収録しています。
使われている母体ソースは既発盤『SANTA MONICA 1971 (Sigma 50)』で使われていたものと同一ですが、低音域がやや強調され過ぎだったそのSigma 50盤と比べバランス重視の自然な音像にリマスターされているのが特徴です。特に中~低音域の印象がSigma 50と随分と違っているのですが、サウンドが自然な芯の強さを取り戻した事で演奏が遥かに聴き易くなっており、ソースの価値を下げないようSigma 50とは別のアプローチでリマスターした事が伺える最新ソースとなっています。
その効果が最初に感じられるのは「Careful With That Axe, Eugene」のスクリーム後の展開でしょうか。ここはAUDソースの質感を最大限活かしながら新たにスケールアップを図っている様子が垣間見え、自然でいながら迫力あるサウンドが無視出来ない聴き応えを残しています。
「Fat Old Sun」は7:30付近~9:41付近までの約2分間でベースが激しくうなり続ける展開に違いを感じるでしょう。この部分、Sigma 50では低音のブーストが効き過ぎて音の混濁が激しい印象がありましたが、ここでもまろやかなラウドさでアンサンブル全体が俯瞰し易くなっています。
更に「Set The Controls For The Heart Of The Sun」ではAUDソースならではの溶け落ちる様な残響の陶酔があり、ゆっくり漂う音の去来にリマスターの醍醐味が感じられるでしょう。
「Echoes」では相変わらずギルモアの歌声が大変良く聴こえておりますが、Sigma 50にあった低音域のブーストが無くなった事でシンプル且つストレートな音の姿で甦っているのが魅力でしょう。11:16付近からベースが存在感を現すシーンもラウドさを伴った音で出るのではなく芯の強さを持ったマッシヴな音として出ており、この印象の違いに双方のリマスターの狙いが感じられる筈です。
「A Saucerful Of Secrets」も低音の混濁感が無くなった事で4:00ジャストから突入してくるドラムの乱打や、これに絡むピアノとギターが放つ響きの交差の姿が掴み易くなりました。特にドラムは11:33から等間隔で入れられるハイハットの音色も明瞭感が挙がり、やや霞掛かった音色でこれが出ていたSigma 50とは雲泥の差があります。
【2 Recorders Stereo Matrix : そして次世代の特級サウンドへ】
SBD同等のクオリティを誇るeBayリールのディスク1と2、そして従来のサウンドが見直されたAUDソースのディスク3と4。これをマトリクスし、更にステレオ化したものが本タイトル最大の聴きどころであるこのディスク5と6です。
細かい事を言えばPAレコーダー(= eBayリールの右チャンネル)が勿論チャンネル右側、そしてセンターのすぐ左にも15%配置され、ドラムが中央に、AUD録音はおよそ65%の割合で全体をバックアップしているのですが、その響きのダイナミックさと音像の奥行きと立体感・音域の拡大はまさに桁違いの聴き応え!! 間もなく訪れる2020年から先の10年はこのマトリクス・サウンドがこの日の定番となること確実の、真に驚異的な71年サンタモニカ・ソースとなっているのです!!
ディスク冒頭から出る音像の膨らみと透明度の高さ・そして演奏音の近さとダイナミックさには、思わず身を乗り出さずにいられない筈。耳にした100人中100人が圧倒されるレベルで濃密な鮮明音が洪水の様に溢れ出し、SBD級の音とAUDそれぞれの良い部分がパーフェクトに補強し合ったサウンドに驚嘆されるに違いありません。「Fat Old Sun」も音の芯がズンと太くなり音域の拡大感が圧倒的。曲想のまろやかさを最大限発揮しながらもサウンドの輪郭はクッキリと明瞭そのもので、全ての音が細部に至るまで前に出たその音密度の濃さに仰天すると思います。尚、eBayリールがそうなっているためディスク1同様にここでも11:50~12:03の13秒間はAUDサウンドが登場しますが、しかしこれもその音像差にどれだけこのマトリクスの威力があるかが伺えるでしょう。凡庸な録音で聴くと単調に聴こえがちな「Set The Controls For The Heart Of The Sun」もここでは立体的でグラマラスな音の配列が実感出来ますし、「Atom Heart Mother」はどの音もエネルギッシュな緊張感を発揮しながら互いに溶け込み、どの小節も明瞭で眩い推進力に満ちています。スライド・ギターが縦横無尽に炸裂しまくる3:31~5:11もその音色の艶と響きの拡散が圧倒的で、格別の聴き応えと音の余韻を誇っています。
「Cymbaline」はギルモアの歌声がグッと前に出て更に聴き応えが増していますが、何より音群移動装置による効果を実感出来る点が特記されるでしょう。これが判り易いのが足音のシーンで、透明で拡がりのある音像の中で左から右、右から左へとハイヒールが移動する様子がステレオ効果で現れ、当日の会場に木霊していた生々しい音が甦っています。
「Blues」はギター単旋律の音艶と鮮明度がもはや驚異的ですが、残念ながらここでeBayソースの収録限界点を迎える為にこの至福の音色は2:06付近で終わり、その先は終曲までリマスターされたAUD録音にシフトしています。ただ興味深いのはこのAUD録音パートもマトリクス用に調整し直された音(※ 或いはeBayリールから別途トランスファーし直された音かもしれない)で出てくる事でしょう。ディスク2とは音の印象が少し変わっており、シフト後の違和感を殆ど感じない仕上がりになっている点は特筆されます。
「Echoes」と「A Saucerful Of Secrets」はeBayリールに未収録であった為にリマスターAUDソースとなっていますが、これも前述の理由によってディスク4よりも+0.5ほど明瞭で+1ほど音圧が上がっている印象があり、そのぶん聴き応えがランクアップしています。つまりどちらもディスク2のリマスター・ソースを安易にコピペ収録しているのではなく、そこに更なる仕事が重ねられている事で最後まで品質への拘りが感じられるのです。
【2010年最後の遺産、そして2030年からの回顧】
...と、実はここまで書いてもまだ足りないくらい新鮮な驚きと発見がぎっしり詰まっているこの最新作。
2010年代の最後に突如現れたこのeBayリールは次の10年間でも確実にその存在感を発揮し続ける筈ですが、こうした音質A級の秘蔵リールがこの節目の時期に登場した点に改めて2010年代の音源史が象徴されていると思います。2030年、私達フロイドの非公式音源ファンは一体どんなYEESHKUL !な驚きを携えて2020年代を振り返るのでしょう? そんな思いを未来に馳せるとこの71年サンタ・モニカの集大成は2010年代の終わりと20年代の幕開けに相応しいプレス盤6枚組だったと思う筈ですし、10年後、再び巡ってくる節目の時にこれを手にしていた事をきっと嬉しく想い出せるSigma最新作になっていると確信するのです。2020年を目前にした今この瞬間だからこそ出逢って戴きたい驚異の初登場リール・ソース、是非御体験下さい!!』
Santa Monica 1971 (Sigma 237)
Live At Santa Monica Civic Auditorium,Santa Monica,CA,USA 16th October 1971
[PA Recorder]
初登場 SBDソースの Jimfisheye氏リマスターバージョン
ebay で出現した 「 Pink Floyd Santa Monica 1971 Soundboard Reel To Reel 」 をリマスター
Disc 1
1. Careful With That Axe, Eugene
2. Fat Old Sun
3. Set The Controls For The Heart Of The Sun
TOTAL TIME (41:30)
Disc 2
1. Tuning and announcement
2. Atom Heart Mother
3. The Embryo
4. Cymbaline
5. Blues
TOTAL TIME (43:44)
[Audience Recorder]
Low genカセットのAUDソースの Jimfisheye氏リマスターバージョン
Disc 3
1. Careful With That Axe, Eugene
2. Fat Old Sun
3. Set The Controls For The Heart Of The Sun
4. Atom Heart Mother
5. The Embryo
TOTAL TIME (76:10)
Disc 4
1. Cymbaline
2. Blues
3. Echoes
4. A Saucerful Of Secrets
TOTAL TIME (67:21)
[2 Recorders Stereo Matrix]
Jimfisheye氏がSBDソースとAUDソースをマトリクスしステレオ化したバージョン
Disc 5
1. Careful With That Axe, Eugene
2. Fat Old Sun
3. Set The Controls For The Heart Of The Sun
4. Atom Heart Mother
5. The Embryo
TOTAL TIME (77:27)
Disc 6
1. Cymbaline
2. Blues
3. Echoes
4. A Saucerful Of Secrets
TOTAL TIME (67:31)
Careful With That Axe, Eugene [Disc 1, Track 1]
Fat Old Sun [Disc 3, Track 2]
Careful With That Axe, Eugene [Disc 5, Track 1]
Cymbaline
本商品のリリース初週に限り 「 PA Recorder 」 をリールからそのままデジタル化した Rawバージョン 『 Santa Monica 1971 : Raw PA Recorder Reel Transfers (Special Bonus 2CDR) 』 がボーナス・アイテムとして付属しています.
元音源をそのまま聴けるのは有難いかも.
因みに上述したように,リリース週週末のみの限定なので,このブログがアップされる頃には既に配布を終了しています.
メーカー情報では
『今週のSigma最新作『SANTA MONICA 1971 (Sigma 237)』によって頂点極まった71年サンタ・モニカ音源ですが、その現物であるeBayに突如出現した新発掘のリール・テープは最初から本編プレス盤で聴ける様な極上の状態を保っていた訳ではありませんでした。
元からステレオ形式ではあるもののカットやノイズが数箇所に散見され、何より左チャンネルに生じていた深刻な劣化は致命的とさえ言えたのです。この左チャンネル劣化の原因としては当日の現場で収録されたオリジナルのレコーディング・テープに磁気ストライプの位置ズレが生じていた可能性が考えられるのですが、一方で再生デッキのアジマス不良や誤ったイコライザー設定がある時にも起こり得る事態であり、いつどの時点でこうなってしまったのかはハッキリと断定出来ません。またテープに残っていた編集跡、例えば「Blues」が本来あるべき位置に無く、その先にテープの空きスペースがかなり残っていたなど不自然な状態も確認出来た事でこのeBayリールは大元のオリジナル・レコーディングされたテープではなく、リール・トゥ・リールによって作成された1st gen以降のソースである事も判明しています。
...とはいえ、このリールに残るありのままの姿を未処理で聴く事は、珠玉の音で残っていた右チャンネルの音像(= 本編プレス盤のディスク1と2、5と6)をより深く読み解く為の大きな手掛かりとなっているのもまた事実です。
例えば「Fat Old Sun」ですが、eBayリールの素の状態では分割収録され(part 1)と(part 2)に分けられており、しかもpart 2の終盤ではテープチェンジかポーズ押しのために録音が途切れているのが確認出来るのです。
また面白い事にこのeBayリールは「The Embryo」にだけ、他の曲ではあまり感じられない目立った音のビビリやプチノイズが数箇所に存在しています。これらは勿論リマスターの際にかなり軽減されるか除去されていますが、どちらのケースも" 音像修正される前の原音はこんな状態であった "と伺える分かり易い例と言えるでしょう。
しかし素の状態のサウンドがこの様に切り刻まれていたり左チャンネルが劣化しているにも関わらず、この日にフロイドが放った音楽的創造性の高さが微塵も失われていない事実には大変驚かされますし、シーンの欠落や音像上の難点が現代技術で完璧に修復され、音楽的に全く聴き劣りしないレベルにまで引き上げられている事にも大きな感銘も受けるでしょう。そうして難ありシーンのビフォア・アフターが見えてくるのもこのディスクの面白さですし、これは欠点が全て整えられた本編ディスクを聴くだけではなかなか気付けません。
そして音像は「Cymbaline」の2:02で遂に左チャンネルが完全復帰。あまりに遅過ぎる音像回復ですが、しかしやっと本来のサウンドを取り戻したこのeBayリールはここにきて初めて超ド級のサウンド・ポテンシャルを発揮するのです。
その驚異的な解像度と手応え満点の生々しい音圧感...これはもう実音で体験して戴くしかありませんが、本編プレス盤の様に右チャンネルの音を左にも振り分けた音像ではなく、それぞれのマイクから拾われた音が両チャンネルから正しく飛び出してくる真の衝撃と余韻が堪能出来るのは、このボーナス・ディスクを手にされた方だけの特権でしょう。 そして音像の完全回復を引き継いでの「Blues」であるからこそ、これが僅か2分程度でカットアウトしてしまうのが本当に本当に、もう本ッ当に惜しく感じられるのです。
幸いにして右チャンネルが極上の状態で残っていた事で今回、次の10年を経ても価値を見出される上位変換が施された新発掘eBayリール。
リマスターされ、更にAUD録音とマトリクスした鉄壁の最強ソースまで誕生した今、この原石サウンドを収録したディスクが音盤化される機会は今後もう二度と無くなったと言っても過言ではないでしょう。それだけにこのボーナスディスクが得られる今週は大変貴重な機会です。71年サンタ・モニカ公演の音源バリエーションをその原石も含めてパーフェクト・コンプリート出来るこのチャンス、是非御活用下さい!!』
Santa Monica 1971 : Raw PA Recorder Reel Transfers (Special Bonus 2CDR)
Live At Santa Monica Civic Auditorium,Santa Monica,CA,USA 16th October 1971
Taken From The Original Reel Tapes Titled "Santa Monica 1971 Soundboard Reel To Reel"
Disc 1
1. Careful With That Axe, Eugene
2. Fat Old Sun (part 1)
3. Fat Old Sun (part 2)
4. Set The Controls For The Heart Of The Sun
TOTAL TIME (41:15)
Disc 2
1. Tuning and announcement
2. Atom Heart Mother
3. The Embryo
4. Cymbaline
5. Blues
TOTAL TIME (43:32)
Set The Controls For The Heart Of The Sun
[参考]
1971 North American Tour Dates
October
15 Winterland Auditorium,San Francisco,CA,USA
16 Santa Monica Civic Auditorium,Santa Monica,CA,USA
17 Convention Hall,Community Concourse,San Diego,CA,USA
19 National Guard Armory,Eugene,OR,USA
21 Willamette University,Salem,OR,USA
22 Paramount Theater,Seattle,WA,USA
23 Gardens Arena,Vancouver,B.C.,CANADA
26 Eastown Theater,Detroit,MI,USA
27 Auditorium Theater,Chicago,IL,USA
28 Hill Auditorium,University Of Michigan,Ann Arbor,MI,USA
30 Taft Auditorium,Cincinnati,OH,USA
[Rescheduled To 20 November]
31 Fieldhouse,University Of Toledo,Toledo,OH,USA
November
02 McCarter Theatre,Princeton University,Princeton,NJ,USA
03 Central Theatre,Passaic,NJ,USA
04 Music Hall,Boston,MA,USA
[Rescheduled to 11 November]
04 Lowes Theatre,Providence,RI,USA
05 Lowes Theatre,Providence,RI,USA
[Rescheduled To 04 November]
05 Assembly Hall,Hunter College,Columbia University Of New York,New York City,NY,USA
06 Emerson Gymnasium,Case Western Reserve University,Cleveland,OH,USA
08 Peace Bridge Exhibition Center,Buffalo,NY,USA
09 Centre Sportif,Université de Montréal,Montréal,QC,CANADA
10 Pavillion de la Jeunesse,Québec City,QC,CANADA
11 Music Hall,Boston,MA,USA
12 Irvine Auditorium,University Of Pennsylvania,Philadelphia,PA,USA
13 Chapin Hall,Williams College,Williamstown,MA,USA
14 The Gymnasium,State University Of New York,Stony Brook,Long Island,NY,USA
15 Main Hall,Carnegie Hall,New York City,NY,USA
16 Lisner Auditorium,George Washington University,Washington D.C.,USA
19 Syria Mosque Theater,Pittsburgh,PA, USA
20 Taft Auditorium,Cincinnati,OH,USA
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「University Of Toledo 1971 (Special Bonus 2CDR)」
※) 「Clevekand 1971 (Sigma 136)」の下部に記載している特典です.
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「University Of Toledo 1971 (Gift CDR)」
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※) 「Unprocessed Osaka 1971 (Sigma 112)」の下部に記載している特典です.
「Chicago 1971 (Gift CDR)」
「San Diego 1971 (Gift CDR)」
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#2019-12-10