何時もの ダイカンプラザ 9F某店 にて,商品を 2組購入すると貰えるギフト・アイテムです.但しギフトの内容(:タイトル)は,2週間程度継続するタイトルもありますが,ほぼ毎週変わる基本期間限定なので,毎週 Web をチェックしておく必要があります.(笑)

 オフィシャル・アルバム 「Meddle (おせっかい)」 リリース に伴って,10月15日カリフォルニア州はサンフランシスコのウィンターランド・オーディトリウム公演を皮切りに行われた北米ツアーから,ツアー終盤に当たる11月10日カナダはケベック州ケベック・シティのパビリオン·ド·ラ·ジュネス公演をオーディエンス収録したものです.
 既発ではメーカー情報にもあるように,1998年に Hightlandレーベルから「Labyrinths (HL269/270)」がリリースされていますが,本音源は2013年7月にピンク・フロイド専門のサイトに,Neonknight氏がアップしたものが元になっているものと思われます.彼が,2000年にカセットの 2nd Gen から Sony製の MD にコピーしたもので,彼の持っている同日の音源の中では最長の収録時間だと言う事です.

 ケベックという土地柄もあり,フランス語でピンク・フロイド紹介のアナウンスから,サウンド・チェックに続き,この北米ツアーで殆どオープニングを飾っている "The Embryo" の演奏が始まります.この "The Embryo" は,この時期特有の中間部にジャジーな演奏を含んだものとなっており,12分にわたる興味深い演奏です.
 鳥の囀りの SE から始まる "Fat Old Sun" は,透明感のあるデヴィッド・ギルモアのギターとヴォーカルも素晴らしく,静 → 動 → 静 のメリハリがしっかり表現されています.
 銅鑼の音から始まる "Set The Controls For The Heart Of The Sun" はロジャー・ウォーターズのヴォーカルもクリアに聴こえており,中間部の 6分台では,デヴィッド・ギルモアのスライド・バーを使用したギター,リック・ライトのハモンド・オルガンとビンソン・エコーレックを使用した宇宙空間的な拡がりをみせる演奏が素晴らしいだけに,途中のテープ劣化によると思われる 4分30秒台,7分10秒等に音ゆれ,カット等が残念です.
 ロジャー・ウォーターズが珍しくフランス語で MC をした後,風の SEに続いて,ベース音の反復から始まる "One Of These Days" は,中間部に,この時期特有のシンセサイザーを用いたものです.この "One Of These Days" も 6分20秒台にテープ劣化等によるドロップアウト,音揺れがあります.
 そしてこちらもロジャーのフランス語での曲紹介に続き,エンジン音の SE と,サイレン音的な音を導入部に入れた "Atom Heart Mother" も 4分20秒台にテープ劣化の影響に伴う音ゆれ等があり,14分50秒のところでカットされてしまいます.
 "Careful With That Axe, Eugene" も全体を通して,素晴らしい演奏を繰り広げますが, 5分45秒にカット,9分44秒のマスター・テープを早送りしたかのようなキュル音が入っており,残念です,
 "Cymbaline" の,途中の足音の SE(:Sound Effect)部分では,途中のドアの開閉音部分,曲へ戻る部分での歓声と拍手は凄く,これまた熱演です.
 "Echoes" の 22分25秒他に,テープ劣化によると思われるヨレがあり,後半,音程は若干不安定な部分がありますが,26分に及ぶ,この演奏は圧巻です.
 そしてアンコールを望む観客の拍手と手拍子は凄く,直ぐにステージ上に姿を現したメンバーは,サウンド・チェックを開始します.そしてロジャーの MC の後,ロジャーのべース音からアンコールの "Saucerful Of Secvrets" が,始まります.ギルモアがビンソンのエコーレックと,スライドバーを使用して,低音部に下げていき,また逆に高音部に上げていく 8分13秒部分でも,テープのヨレ,終盤部の17分13秒にテープを早送りしたキュル音で終了部分まで飛びます.

 音像は多少遠く,若干の篭りはありますが,比較的各楽器のバランスも良く,録音された年代を考えれば,高音質に属します.曲中のオーディエンス・ノイズが無い事もあり,聴き易い音源であるのは事実.
 収録時間を気にしたのか,途中の長いサウンド・チェックを嫌ったのか不明ですが,曲間で意図的に,収録を停止している関係で,"Careful With That Axe, Eugene" の冒頭等がカットされていたり,上述したような幾つかの欠点はありますが,この日の演奏は素晴らしいものです.

 ちなみに本北米ツアーを最後に "The Embryo","Fat Old Sun","Cymbaline" の 3曲がセットリストから外されます.余談ですが,このツアーの最終公演となる11月20日オハイオ州はシンシナティのタフト・オーディトリウム公演(過去ブログ「The Growing Embryo (Sirene-031)」参照)では,オープニングの "The Embryo" では 28分に及ぶ素晴らしい演奏が繰り広げられます.
 翌年 1月からのツアーでは "The Dark Side Of The Moon" のプロトタイプを演奏し始めますので,この北米ツアーが,1970年~1971年のピンク・フロイドの完成形と言えるのはないでしょうか.

 メーカー情報では
 『フロイドは8月の日本公演後、豪州ツアーを経て、9月からヨーロッパ・ツアーを行い、勢いそのままに10月より5度目の大規模な北米ツアーを開始します。本盤は、ちょうど「Meddle」発売直後の11月10日のカナダ、ケベック公演を収録。
 昨年末にフロイド・マニアよりネットにアップされた新しいトランスファー・ヴァージョンを使用しています。
 アップした人物の説明によると、本テイクは2000年ごろ入手した2nd Genテープからの MDコピーとのこと。収録時間2時間20分。説明通り、現状出回っている同ソースの中では最長のものであり、音の鮮度も驚くほど良く、HL既発盤「Labyrinths」よりもはるかに良質な音で収録されています。
 この澄み切ったような音を聴けば、これまでの71年ケベック公演の音の印象が一変してしまうのではないでしょうか。アナログテープに起因するノイズやカットも散見されるものの、この時代のオーディエンス録音の平均レベルを遥かに上回る音の質の高さに聴き手は大いに驚かされることでしょう。
 2nd Genからの MD経由という言葉のイメージからくる音の粗さや情報量の不足と言った印象は、この音からは全く受けません。高域も低域もしっかりと過不足無く出ており、サウンドバランスも良好。この時期のフロイドのライヴの凄さを体感するには、またとないニューエディションの登場と言えるでしょう。(おそらくマスターに起因する)劣化、ノイズ、カット(曲間も全てカットされています)、テープフリップ等に目をつぶれば、これをこのままプレスCD化しても全く問題ないレベルです。当店としては高かったピッチを補整、音量を適度にレベルアップさせており、より音の迫力・魅力が増しています。ギフト盤と思って侮るなかれ。こんな凄い音源がまだまだあるんだということを再認識させてくれる最強テイク!

 ★この日の演奏に関しては beatleg vol.9の下記レビューにショウの詳細が記されていましたので、この機会に是非、ご一読下さい。
 「The Embryo」は間奏部の4ビート・シャッフル・ジャムにおいて、ウォーターズとメイソンのリズムセクションのタイトなコンビネーションをバックに、ギルモアによるフリーなコードカッティングとライトによるモード風オルガンソロが良くスイングしている。
 「Fat Old Sun」は、透明感溢れるギルモアのヴォーカルや原音にエコーを加えただけのギターソロがフォーキーな印象を与えるアレンジで、間奏部の畳みかえるような音圧との落差が面白い。
 「Set The Controls For The Heart Of The Sun」は、ウォーターズのリードヴォーカルが良く出ており、また間奏部のライトによるサウンドトラック風な即興演奏とギルモアのスライドギターによる効果的な立体的な空間を構築している。
 ウォーターズのフランス語によるMCと風の音を使用したSEに導かれて始まる「One Of These Days」。間奏部で、ウォーターズのベースとライトによるシンセサイザーを使用した4分程の即興演奏が挟まれる。
 「Echoes」はリードボーカルが不安定ながらも好演。
 「A Saucerful Of Secrets」はライトによるピアノの打楽器演奏のない通常通りの演奏である。本公演は全体的には好演と言える。』

Quebec City 1971 (Gift CDR)
 
 Live At Pavillion de la Jeunesse,Quebec City,Quebec,CANADA 10th November 1971

 Disc 1
  1. Announcement / Soundcheck
  2. The Embryo
  3. Fat Old Sun
  4. Set The Controls For The Heart Of The Sun
  5. One Of These Days
  6. Atom Heart Mother
  TOTAL TIME (67:03)

 Disc 2
  1. Careful With That Axe, Eugene
  2. Cymbaline
  3. Echoes
  4. A Saucerful Of Secrets
  TOTAL TIME (71:39)

 The Embryo
 
 Fat Old Sun
 

[参考]
 

Meddle (Remastered Discovery Edition)



 Labyrinths (Highland HL269/270)
 

1971 North American Tour Dates
 October
  15 Winterland Auditorium,San Francisco,CA,USA
  16 Civic Auditorium,Santa Monica,CA,USA
  17 Convention Hall,Community Concourse,San Diego,CA,USA
  19 National Guard Armory,Eugene,OR,USA
  21 Willamette University,Salem,OR,USA
  22 Paramount Theater,Seattle,WA,USA
  23 Gardens Arena,Vancouver,B.C.,CANADA
  26 Eastown Theater,Detroit,MI,USA
  27 Auditorium Theater,Chicago,IL,USA
  28 Hill Auditorium,University Of Michigan,Ann Arbor,MI,USA
  30 Taft Auditorium,Cincinnati,OH,USA
      [Rescheduled To 20 November]
  31 Fieldhouse,University Of Toledo,Toledo,OH,USA

 November
  02 McCarter Theatre,Princeton University,Princeton,NJ,USA
  03 Central Theatre,Passaic,NJ,USA
  04 Music Hall,Boston,MA,USA
      [Rescheduled to 11 November]
  04 Lowes Theatre,Providence,RI,USA
  05 Lowes Theatre,Providence,RI,USA
      [Rescheduled To 4 November]
  05 Assembly Hall,Hunter College,Columbia University Of New York,New York City,NY,USA
  06 Emerson Gymnasium,Case Western Reserve University,Cleveland,OH,USA
  08 Peace Bridge Exhibition Center,Buffalo,NY,USA
  09 Centre Sportif,Université de Montréal,Montréal,Québec,CANADA
  10 Pavillion de la Jeunesse,Québec City,Québec,CANADA
  11 Music Hall,Boston,MA,USA
  12 Irvine Auditorium,University Of Pennsylvania,Philadelphia,PA,USA
  13 Chapin Hall,Williams College,Williamstown,MA,USA
  14 The Gymnasium,State University Of New York,Stony Brook,Long Island,NY,USA
  15 Main Hall,Carnegie Hall,New York City,NY,USA
  16 Lisner Auditorium,George Washington University,Washington D.C.,USA
  19 Syria Mosque Theater,Pittsburgh,PA, USA  
  20 Taft Auditorium,Cincinnati,OH,USA

[関連記事]
The Growing Embryo (Sirene-031)
 
University Of Toledo 1971 (Gift CDR)
 
Hunter College 1971 (Special Bonus CDR)
 
 ※) 「Unprocessed Osaka 1971 (Sigma 112)」の下部に記載している特典です.
Chicago 1971 (Gift CDR)
 PF - Chicago 1971 (Gift)
San Diego 1971 (Gift CDR)
 Pink Floyd - San Diego 1971
Acute Danger (Sigma 9)