1971年,ピンク・フロイドは10月4日~7日の 4日間に渡るイタリアのポンペイの遺跡(アンフィ・シアター/円形劇場)での撮影終了後,ニュー・アルバム 『 Meddle (おせっかい) 』 のリリースに合わせて,リリース前の 10月15日カリフォルニア州サンフランシスコのウィンターランド・オーディトリウム公演を皮切りに,11月20日オハイオ州シンシナティのタフト・オーディトリウム公演まで プロモーションの為の北米ツアー(通称 「 Meddle Tour 」)を行います.

 本CDは,この北米ツアー中盤に当たる10月31日オハイオ州はトレドのトレド大学フィールドハウス公演のオーディエンス録音を収録し Sigmaレーベルよりリリースされた 『 Toledo 1971 (Sigma 234) 』 で,今年の 8月央に フロイド専門サイトに Neonknight氏がアップした Low Gen (Tape提供元の TrollerWes氏 曰く 1st Gen)の音源を使用したものです.

 この北米ツアーより前は ”Green Is The Colour” からシームレスに繋がるメドレー形式で ”Careful With That Axe, Eugene” が演奏されていますが,この北米ツアーでは11月19日ペンシルバニア州ピッツバーグのシリア・モスク公演でしか演奏されていません.また ”Echoes” は殆どの公演で本編の最終ナンバーとして演奏されていますが,この11月19日公演では ”Echoes” がオープニングとして演奏され,”A Saucerful Of Secrets” がアンコールとして演奏されるいるように,幾つかの公演ではセット・リストや演奏順番が変更になっています.

 因みに本公演(10月31日)でも 北米ツアーの他の公演日同様にセット・リストの最初の方で ”Fat Old Sun” や ”The Embryo” が演奏されているはずなのですが,本オーディエンス録音には収録されていないのは残念です.

 メーカー情報にもありますが,既発では2014年5月に商品を 2組購入すると希望者に配布されるギフト・アイテム 『 University Of Toledo 1971 (Gift CDR) 』 として,また 2015年8月に Sigmaレーベルからリリースされた『 Clevekand 1971 (Sigma 136) 』 に付属のボーナス・アイテム 『 University Of Toledo 1971 (Special Bonus 2CDR) 』として陽の目を見ていますが,その後は商品としてリリースされることも無く現在に至っています.

 音像は割と近く若干歪んだ部分も存在しますが臨場感があり,録音された年代を考えれば非常に高音質と言えます.
 この公演がプレスCDでリリースされたのは有難いです.

 メーカー情報では
 『1971年10月31日、米国オハイオ州・トレド。
 初来日の箱根アフロディーテと大阪公演から2ヶ月半が過ぎたハロウィンのこの日、フロイドはアルバム『おせっかい』発表後に廻っていた北米ツアーの半ばにあリましたが、その道中にあった71年・トレド公演と聞いてピンと来る方はどの程度居られるでしょうか。
 実はこの日の音源は過去に殆ど音盤公演のひとつでした。一応、音盤タイトルとしては2014年5月に『UNIVERSITY OF TOLEDO 1971 (無料2CDR)』として当店からギフト・リリースされた事もあるのですが、残念ながら基本的にはテープ・トレーダーのリストの片化された事が無く、音源ファンにもなかなか馴染みが薄い隅にある、さほど目立たない71年音源というポジションが現状でしょう。

 この2014年のギフト・タイトル(※ 以降、既発盤とします)を聴きつつ何故この音源がさほど注目されないのかについて思いを巡らせてみると、その理由がぼんやりと2つほど浮かんできます。
 まず1つは不完全収録であること。時期を考えると恐らくオープニングで演奏していた筈の「Embryo」と「Fat Old Sun」が未収で、録音は「Set The Controls For The Heart Of The Sun」の演奏開始前にあるチューニング・シーンから始まっており、その不完全さが印象を低くしているのでしょう。
 2つめの理由は音質...と言うよりも" 音像 "です。元来はモノラル録音なのですがこの既発盤はそれにアッパー感を出すためステレオ化して収録していました。それ故、その音像はワイドで独特の聴き応えが生まれていたのですが、その一方でオリジナルの音像とは違うというペナルティも背負っていた訳です。...
 とは言うものの、他に音盤化された目ぼしいタイトルが見当たらないという現状もあり、以降ファンには長年この既発盤が71年トレド公演の代表タイトルとなっていました。

 そんな夏真っ盛りの今年8月。
 久しくスポットが当たらなかったこの音源に、まるで夏の夕刻の陽射しの如く一筋の眩い光が射しました。ソースは同一ながらも衝撃のアッパー感がサウンド全体に漲る、真新しいトランスファー音源が登場して世界中のファンを驚かせたのです。これを公開したのはフロイド音源に精通したお馴染みのNeonknight氏で、彼は音源コレクターTrollerWes氏が所有する、マスター録音にかなり近いカセット・ソースを磨き上げ非常にグレードの高い音像を現代に甦らせたのです。
 この" TrollerWes版 "カセットの特徴は、当店2014年の既発盤とは別ルートを辿った同一ソースである点で、まず収録タイムが既発盤より長尺である事がアドヴァンテージとして挙げられます。しかし真に驚きなのがそのサウンド、なんとマスター録音純正の高品位なモノラル・ソースで音が残っており、圧倒的な響きの伸びと音の近さが随所で際立っているのです。収録時間の長さでもサウンドでもマスター録音オリジナルの面影を多く残すレア音源・71年トレドの衝撃...そんな2019年TrollerWes版ソースを世界最速で2枚組のプレス盤CDに完全密封したものがこの最新作『UNIVERSITY OF TOLEDO 1971』なのです!!

 既発盤の焼き直しや単なる音像調整版ではない証がトラック(1)の「Introduction」。これが既発盤より約22秒も長く収録されており、ディスク冒頭からTrollerWes版ソースのアドヴァンテージがいきなり顔を覗かせます。その興奮醒めやらぬうちに「Set The Controls For The Heart Of The Sun」が始まると、サウンド面でも既発盤とは別格のグレードを備えている事に気付かれるでしょう。
 この導入部、既発盤では今にもRECメーターを振り切りそうなノイジーな音像でしたが、本来のモノラル・サウンドに戻った事であの爆音が質感豊かなラウドさになっており、かつ音像が鋭く引き締っているのが実感出来るのです。エコーが掛かっているロジャーの声も焦点の確かさによる輪郭の浮き上がりが感じられ、中盤で徐々にテンポアップしてゆく区間でも従来の奥まっていた音像が手前に出て、音の表情を捉え切りながらこれを圧倒的なボリューム感で包み込んでゆく新音像に誰もが仰天される筈です。
 同様に「Atom Heart Mother」もサウンドの直撃感が際立ち、ぼんやりして距離を感じたあの爆音が直ぐ目の前で鋭く炸裂する興奮を備えました。中盤で入ってくるギルモアのガイドボーカルも従来より高域が明瞭でブレが無くなっており、モノラルになった事による音像のアッパー感がますます高まっているのです。曲が終わると暫く展開するチューニングも約1分45秒間ノーカットで収録していますが、ここは音が多めのチューニング・シーンですので聴く愉しみも倍増でしょう。

 「One Of These Days」も演奏の推進力の中から迸る知の放射が、質の高いモノラルの威力で耳元に届きます。特にスクリーム後の後半を聴くと判りますが中音域の明瞭感がグッと上がっており、演奏が従来よりもキリッと至近距離で現れるのです。
 「Careful With That Axe, Eugene」でも抜けの良い高音(※ ロジャーが随所で出している悲鳴やシンバルの音。オルガンの音色も量感と鋭さを増している事に驚かれるでしょう)と、重心の低い響きの対比が鮮やかで、スクリーム後に各楽器がもつれ合ってゆく様子もブレの無い鮮烈な音像に圧倒されること間違いなしです。ちなみにこの曲は収録時間が既発盤より短くなっているのですが、これは既発盤使用のテープ・ソースがシーンの一部をダブって収録している為で(※ 既発盤8:17~の37秒間)、今回はそのダブりシーンが無い、実際のオリジナル演奏の姿と尺で聴く事が出来る事もTrollerWes版ソースのトピック
となっています。

 またこれに関連する事としてもうひとつ、演奏終了後の拍手シーンがディスク2冒頭でも数秒間だけ出てきます。これはTrollerWes版ソースそのままの姿なのですが、出回っている同一ソースの中にはダビング時に使用したテープの残量切れによって終曲手前でカット・アウトしているバージョンがあり、TrollerWes版はそれとは別ソースである事を示す為です。前述した当店既発盤8:17~の37秒間が何故かダブって収録されているのは、その使用テープの持ち主がカットありのソースを使ってトランスファーする際にリペアを試みた痕跡と思われ、TrollerWes版ソースはその痕跡が無い上位ソースである事が分かる筈です

 「Cymbaline」はこれまで同様に歌が始まる少し手前からのカット・インですが、その音像は全帯域に出力の向上と演奏が前に出ている音の近さをお感じになるでしょう。特に響きの波動と余韻の拡がりはモノラルでありながらポリフォニーの魅力が感じられるほどで、これまで聴けた音像とは格段に違っている事を実感される筈です。残念ながらこのTrollerWes版も足音シークエンスの後半でカットアウト(※ 恐らくテープ・チェンジのため)してしまうのですが、既発盤では掴み辛かったこのシーンの微細な効果音のニュアンスがキリッと立った音で届く点は特筆されるでしょう。またカットアウトする7:20~の無音部分は既発盤では削除していましたが、今回はそれも全てソースに残る姿のまま残しています。大曲「Echoes」は導入部から音像が運んでくる情報量の多さにのっけから圧倒される筈です。ギルモアとライトのハーモニーもそのビブラートから放たれる息遣いの微妙な差までが鮮やかに届きますし、アンサンブルも響きのアッパー感が漲っています。アホウドリの鳴き声シーンも響きを木霊させる事によって現れるミステリアスな心象の移ろいがグッと鮮やかになり、その音色の波動が更に良い状態で聴ける喜びを満喫出来るでしょう。
 またこの日は「A Saucerful Of Secrets」の代わりに披露された(※ と思われる)「Blues」も、既発盤の混濁した音像ではなくなり、ルーズな響きが灼熱のモノラル・サウンドで届く聴き応え確かな5分40秒間となっています。

 これは何も本作だけではありませんが、使用ソースが代わる事によって得られるアッパー感は、イコライズ調整した同一ソース改善によるアッパー感とは全く違う聴き応えと興奮を伴うものです。TrollerWes版ソースで聴く71年トレドはまさにこれで、そのサウンドの近さと明瞭感、マスター録音全容に近付いた最長収録タイムは、この日のフロイドが放った音楽的な射程距離の長さ= それを聴く人の意識をより遠くへ飛ばす力 =を、より確かなものにしています。この最新作の登場を機に私達はこの公演をもう「テープ・トレーダーのリストの片隅にある、さほど目立たない71年音源」とは言えなくなるでしょう。恐らく多くのファンが初体験するであろう71年の秘宝録音、その未体験の興奮を今週末、最良のサウンドで御体験下さい!!

 ★既発より長い部分が有るのと、音質も既発よりも良い。』

Toledo 1971 (Sigma 234)
 
 Live At Fieldhouse,University Of Toledo,Toledo,OH,USA 31st October 1971
 [UPGRADE]

  Disc 1
   1. Introduction
   2. Set The Controls For The Heart Of The Sun
   3. Atom Heart Mother
   4. One Of These Days
   5. Careful With That Axe, Eugene
   TOTAL TIME (48:24)

  Disc 2
   1. Cymbaline
   2. Echose
   3. Blues
   TOTAL TIME (36:09)

 Careful With That Axe, Eugene 
 
 Cymbaline 
 
 Blues 
 

[参考]
 メーカー情報(その他)
  Disc 1
   1. Introduction
      ⇒ イントロが22秒長い
   2. Set The Controls For The Heart Of The Sun
   3. Atom Heart Mother
      ⇒ 15:47 - 15:48は既発ではカットされている。
   4. One Of These Days
   5. Careful With That Axe, Eugene
      ⇒ 0:00 - 0:01は既発ではカットされている。

  Disc 2
   1. Cymbaline
      ⇒ 7:20~の無音は既発では削除されている。
   2. Echose
      ⇒ 23:02~の1秒間は既発ではカットされている。
   3. Blues

 University Of Toledo 1971 (Gift CDR)
 
 University Of Toledo 1971 (Special Bonus 2CDR)
 

1971 North American Tour Dates
 October
  15 Winterland Auditorium,San Francisco,CA,USA
  16 Civic Auditorium,Santa Monica,CA,USA
  17 Convention Hall,Community Concourse,San Diego,CA,USA
  19 National Guard Armory,Eugene,OR,USA
  21 Willamette University,Salem,OR,USA
  22 Paramount Theater,Seattle,WA,USA
  23 Gardens Arena,Vancouver,B.C.,CANADA
  26 Eastown Theater,Detroit,MI,USA
  27 Auditorium Theater,Chicago,IL,USA
  28 Hill Auditorium,University Of Michigan,Ann Arbor,MI,USA
  30 Taft Auditorium,Cincinnati,OH,USA
      [Rescheduled To 20 November]
  31 Fieldhouse,University Of Toledo,Toledo,OH,USA

 November
  02 McCarter Theatre,Princeton University,Princeton,NJ,USA
  03 Central Theatre,Passaic,NJ,USA
  04 Music Hall,Boston,MA,USA
      [Rescheduled to 11 November]
  04 Lowes Theatre,Providence,RI,USA
  05 Lowes Theatre,Providence,RI,USA
      [Rescheduled To 04 November]
  05 Assembly Hall,Hunter College,Columbia University Of New York,New York City,NY,USA
  06 Emerson Gymnasium,Case Western Reserve University,Cleveland,OH,USA
  08 Peace Bridge Exhibition Center,Buffalo,NY,USA
  09 Centre Sportif,Université de Montréal,Montréal,QC,CANADA
  10 Pavillion de la Jeunesse,Québec City,QC,CANADA
  11 Music Hall,Boston,MA,USA
  12 Irvine Auditorium,University Of Pennsylvania,Philadelphia,PA,USA
  13 Chapin Hall,Williams College,Williamstown,MA,USA
  14 The Gymnasium,State University Of New York,Stony Brook,Long Island,NY,USA
  15 Main Hall,Carnegie Hall,New York City,NY,USA
  16 Lisner Auditorium,George Washington University,Washington D.C.,USA
  19 Syria Mosque Theater,Pittsburgh,PA, USA  
  20 Taft Auditorium,Cincinnati,OH,USA

Meddle
(おせっかい)
[完全生産限定盤]



Meddle
(おせっかい)
[完全生産限定盤]
[Analog]




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University Of Toledo 1971 (Special Bonus 2CDR)
 
 ※) 「Clevekand 1971 (Sigma 136)」の下部に記載している特典です.
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University Of Toledo 1971 (Gift CDR)
 
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 ※) 「Unprocessed Osaka 1971 (Sigma 112)」の下部に記載している特典です.
Chicago 1971 (Gift CDR)
 PF - Chicago 1971 (Gift)
San Diego 1971 (Gift CDR)
 Pink Floyd - San Diego 1971
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#2019-10-15