「ケーススタディ」で何回か取り上げている反則です。



無資格捕球者のダウンフィールドへの進入


無資格捕球者のダウンフィールドへの進入②

おさらいの意味で、アメフトの攻撃陣の役割分担を見てみましょう


pos

ルールブックからの転用ですので、体型が「ノーマルT」になっています。この図でいう前列部分が「ラインマン」です。それぞれが背番号とポジションによって役割が決まっていて、センターはラインの中心にいて、最初にボールに触り、スナップでボールを後ろに位置したクォーターバックに手渡しもしくは投げ渡しします。

ガードはセンターの隣に位置し、ボールを持ったランナーが前進しやすいように自分の前にいる守備側の選手をブロックしたり、横に動いて(プルアウトといいます)外側の守備プレイヤーをブロックしたりします。ラインの中では俊敏に動けてブロックも行うというポジションです。

タックルはガードの隣が最初の位置です。比較的前へのブロックが専門で、ラインの中では大柄なプレイヤーにこのポジションを与えられます。

エンドはラインの一番端に位置することからラインの端という意味で「エンド」という名称がついています。このポジションは前パスをキャッチすることができるだけでなく、自分の反対方向に動いてボールをもらい、逆のオープンに走るリバースプレイなどでランニングゲームにもランナーとして参加することができます。

通常のラインマンの人数はこのエンドを含めて7人。最初のセットする位置はセンターの腰よりも前でボールの一番後ろの先端より後ろにセットしなければなりません。

このラインマンのうちセンターからタックルまでの5人を「インテリア・ラインメン」と言います。インテリア・ラインメンは最初にボールを出すセンターの作業以外ではボールを直接触ったり、もって走る事ができません。(ファンブルなどを押さえるためにのみボールに触れます)

また、1回の攻撃で1回だけ許されている前パスをキャッチすることもできないうえ、前パスのプレイのときにボールがパサーの手を離れてスクリメージラインを越えるまで、スクリメージラインから3yds以上前へは進むことができません。

3yds以上前に進んでしまうと、無資格捕球者のダウンフィールドへの進入という反則に当たるわけです。




シグナルは右のようなシグナルになります。

そのダウンでボールが最初に置かれていた位置から5yds罰退し、そのダウンを繰り返します。

sig34

sig33

アメフトのパスは失敗すると、ダウンが1つ進む代わりに次のプレイのボールをセットする位置は、前の攻撃の時にセットされていたところに戻ります。つまり、一発ロングゲインを狙ったものの、失敗すれば、1回の攻撃権を失うだけで、距離的にはマイナスにならないわけです。もちろんその場合の失敗パスは自分のチームのレシーバーがいるところに投げられていなければなりません。しかしながら、守備側もパスプレイだとパサーをタックルしようとして、パサーに向かってラッシュをかけます。これを防いでパサーがパスを投げられるように守ることをラインやバックスの「パスプロテクション」(通称パスプロ)といい、それに守られている部分を「パスポケット」といいます。ところがこのパスプロは毎回完璧にパサーを守れるわけではありません。そういう時にはパサーはディフェンスを避けながらフリーになっているレシーバーを探すことになります。それでもレシーバーが見つからない、このままではディフェンスにタツクルされて大幅に後退してしまうという時にパサーはレシーバーのいないところにパスを投げたり、グランドの外にボールを投げ捨てたりします。これがインテンショナル・グランディングと言われる反則です。
この反則には例外規定があり、最初にボールがセットされた時のタックル(ラインの外から2番目のプレイヤー)の位置より外側に出るか、一度出てから中に戻った後に、レシーバーのいないところやフィールドの外にボールを投げ捨てても反則にはなりません。ただしそのボールが着地した位置がその攻撃で最初にボールが置かれていた地点より前でなくてはいけません。
この反則は距離罰則はありませんが、ボールを投げた位置で次の攻撃となります。投げた位置が自分のエンドゾーンだとセイフティとなり、相手に2点が加わることになります。


sig32
【不正な前パス】

アメフトは1回の攻撃(ダウン)で1回だけ前パスが認められています。ラグビーでは前パスは「スロー・フォワード」という反則になるのですが、アメフトはこの前パスがルールで認められているために、ラグビーのようにボールの周りでのみ反則が発生するということにはなりません。

もちろん、この前パスにも制約があり、ラインマンのうち50~79までの背番号をつけたプレイヤーはパスがスクリメージラインを越えるまで、スクリメージラインより前には進めません。また、パスを投げるパサー(QBだけとは限りません)は、このスクリメージラインより手前で前パスを投げなければなりません。一発ロングゲインの魅力を持っているパスですが、逆にパサーがスクリメージラインを越えてパスを投げてしまうと、この「不正な前パス」という反則になります。1回の攻撃で2回以上前パスをしたり、キッキングゲーム(パントやキックオフなど)でボールをキャッチしたリターナーが、自分より前のプレイヤーに前パスをすることも禁止されています。

この反則を犯すと、5yds罰退された上に、攻撃権であるダウンを1回分喪失します。

例えば第3ダウンで残り5ydsの時にこの反則を犯すと、次の攻撃は第4ダウン、10ydsになってしまいます。

【不正なボールの前渡し】

前記と同様に、キッキングゲームの時や最初のスクリメージラインより後方に位置していたバックスに向けて以外には、ボールを前渡しすることができません。

具体的なイメージとしては、ボールをもらってスクリメージラインから5yds進んだB20が前方から回り込んできたB25に自身が持っていたボールを前方で手渡しした。というプレイがこれにあたります。

この反則も5ydsの罰退と攻撃権を1回分失います。

その際の審判のシグナルは


sig8






このシグナル(ロスオブダウン)を行ってから


           ↓sig32



このシグナルを行うことで、「ダウン喪失」の反則であると場内に示すことになります。

今年のルール改定では、首から上へのタックルに対する罰則が厳しくなります。すでにNFLでは採用されている標記の「ホースカラータックル」=首付近のジャージを掴み、後ろに向かって引きずり倒すことから、馬の襟(ホースカラー)タックルと呼ばれています=がNCAAで採用になりました。日本でも今秋から適用されます。NFLであったプレイがYOU TUBEにありましたので、具体例として掲示します。



HCT1


フィラデルフィア・イーグルスの攻撃。QB#5はドロップバックしてパスターゲットを探しますが、カバーされていたため、右オープンにTE#87をリードブロッカーとしてスクランブル。ダラス・カウボーイズのDB#31が#5に追いつききれずに、上記のようにジャージの首部分に手をかけます。



HCT2


#31は自身が倒れこみながらも、この手を離さず、#5は後ろに引っ張られる形でダウンします。この直後、レフリーとフランクオフィシャルから反則のイエローフラッグが出ます。


実はこのNFLルールは、参考にしたダラスカウボーイズのDB#31ウィリアムスがひんぱんにこのタックルを行い、問題となったことから「ウィリアムス・ロー(ウィリアムスの規定)」とも呼ばれているそうです。


国内でも、たまにこのようなタックルは見かけることがあります。この判定の目安としては、

①ジャージ(ショルダーでも対象)の首の後ろ(もしくは横)部分に手がかかっている

②手がかかった後ですぐにランナーの真後ろに向かって引きずり倒す

・・・・・ことが条件になります。


上記の場合でも、#5がタックル直後に引きずられず、向きを変えるなどして倒れた場合は反則にはなりません。

一か八かのタックルでしょうし、手を伸ばすのは自然の行為なのですが、ジャージタックルは首回りへのものは要注意と言えそうです。

sig27

【ラフィング・ザ・キッカー、ホルダー キッカー、ホルダーへの走り込み】=ラフィングは15yds、自動的に1st D。走り込みは5yds、ダウンを繰り返す。

パントやFGのキッカー、ホルダーはそのプレイがキックであれば、自身の体勢が不安定な状態から元に戻るまで、チャージされないという保護ルールがあります。キックのブロックはディフェンスライン(DL)にしてみれば、一番目立つ格好のいいプレイなのですが、あくまでもボールをチャージすればいいのであって、パンターやキッカー、ホルダーにチャージする必要はありません。踏み込みの最後の一歩が、キックの後で、キッカーに当たってしまえば、この反則が適用になります。

また、キッカーなどに走り込んでしまったけれども、軽い接触しかなかった場合には、同じシグナルですが、罰退は5ydsとなり、ダウンを繰り返すことになります。


sig28
【不正なバッティング、キッキング】

=15yds罰退、ダウンを失う(ロスオブダウン)。

この行為はボールに対してのものです。相手プレイヤーに対してのバッティングやキッキングはもちろん許されていませんし、それをすればすぐ退場になります。

第4ダウンでパントが蹴られたあとなどによく見かけるケースですが、攻守ともに、アメフトではボールを自分が攻めている方向に叩いたり(バッティング)してはいけないルールになっています。逆に言うと横もしくは自分が攻めている方向に向かって後ろの方向であれば、OKということです。ただし、エンドゾーン内では、どの方向にもボールをバッティングしてはならないるーるになっています。また、キッキングはどの方向にもできません。

sig30
【パスまたはキックキャッチインターフェア】

=(パス)プレビアススポットから15yds以内のディフェンスの反則は、発生地点でオフェンスの1st D。15yds超の場合には、15yds罰退。1st Dが与えられる。オフェンスの反則はプレビアススポットから15yds罰退。ダウンを繰り返す。

(キック)15yds罰退。

前にも述べましたが、パスプレイの際には、攻守ともパスをキャッチする権利が与えられています。ボールが落下地点に着くまで、攻守のプレイヤーは、お互いを邪魔してはいけません。オフェンス側は、パスプレイであるとわかっているわけですから、ボールがスナップされてから落下地点に行くまでの間、ディフェンスに対するチャージは許されていません。ディフェンスはボールがパサーの手を離れる前であれば、レシーバーへのチャージはOKです。

キックキャッチも同様で、キャッチする地点で待っているプレイヤーにボールが落下する前にタックルなどのチャージをしてキャッチする機会を妨害すれば、この反則になります。

ディフェンスのパスインターフェア(DPI)はゴール前2ydの地点まで、ハーフディスタンスの適用除外になります。また、エンドゾーン内でDPIがあれば、ゴール前2ydからの1st Dになります。

sig31

【ラフィング・ザ・パサー】

=15yds罰退。1st Dが与えられる。

パンターやキッカーと同様、パサーがパスを投げた後の体勢は不安定なものです。この体勢を元に戻すまで、パサーはチャージを受けないという保護ルールがあり、これに違反した場合にはこの反則が適用されます。

これもチャージする側の最後の1歩がパスを投げた後かどうかが判断基準になってきます。パサーに対してはキッカーのような「走り込み」の反則がなく、軽微な接触であっても15ydsの反則となります。






審判のシグナル(1)

審判のシグナル(2)

審判のシグナル(3)

審判のシグナル(4)

審判のシグナル(5)