前回、食物アレルギーの『原因』や『治療法』が未だ正確には見つかっていないこと、先進国において食物アレルギーの患者数が急増していることを書きました。
 
※厳密にはアレルギーを起こす物質の主な成分が『タンパク質』であることはわかっていますが、なぜ特定の人だけが特定のタンパク質にのみ食物アレルギーを起こすのか、その原因が解明されていないという意味です。
 
 *
 
2018年現在、全世界の乳児(0〜3歳)の10人に1人、
日本においては約15人に1人の割合で、
何かしらのアレルギーが確認されているそうです。
 
また2013年に文部科学省委託事業として実施されたアレルギー調査によると
日本全国の公立 小・中・高等学校における児童の4.5%(約45万人)に鶏卵・牛乳・小麦などの食物アレルギーが確認されました。
これは2007年に行われた調査の約1.3倍で、その中でもアナキラフィシーショックを起こしたことがある生徒数は約2.7倍に増加していました。
 

つまり年々、食物アレルギーの子どもが増え、さらに重篤な症状に陥る子どもが増えているということです。

 
※アナフィラキシーとは、アレルゲンの侵入により、複数臓器に全身性アレルギー症状が惹起され、生命に危機を与えうる過敏反応のことです。
※アナフィラキシーショックとは、アナフィラキシーに血圧低下意識障害を伴い、生命に危険なショック状態になることです。

 

  *

 

厚生労働省が発表した「食物アレルギー」の冒頭にも

〝今から50年前には日本に「アレルギー」は、ほとんどなかったが、現在では国民の3人に1人が何らかのアレルギーを持っている。(略)工業化・文明化と「アレルギー」は密接に関係があるようだ。食物アレルギーは1才未満の乳児で最も多く発症するが、厚生労働省の調査によると小児から成人まで幅広く認められている〟

との記述があります。

 

─ 50年前の日本にはなくて、今の日本にあるもの…?

 

─ 発展途上国にはなくて、先進国にあるもの…って何だろう?

というか、どれ・・・?(たくさんあり過ぎてガーン

 

  *

 

実は私の知人に、60歳を過ぎてから

『小麦』と『酵素』のアレルギーを突然発症された方がいます。

その方はアレルギーを発症する前の半年間、

継続的に抗生物質を服用していたそうです。

 

小麦製品であるパン・うどん・ケーキなどはもちろん食べられませんが、酵素は生の魚や肉・生野菜・果物に入っていて、さらに発酵食品にも含まれるため、しょうゆ・味噌・酒類などは一切使えず、納豆・チーズ等もダメだそうです。

 

その方は自分の食生活を

「まるで原始人のような食事」と皮肉を込めて言っていました。

 

医師の1人が仮説として

「長期間 抗生物質を服用したことで腸内の共生細菌が死滅し、その結果、体内に流入した小麦や発酵食品のタンパク質をアレルゲンとして認識して免疫反応が起きるようになったのではないか」と述べたそうです。

 

… 抗生物質がアレルギーの原因に?!

 

とはいえ、アレルギーと抗生物質の因果関係は立証されていませんし、2018年現在、アレルギーと腸内細菌の関係も正確には解明されていません。

 

  *

 

昨今、果物・野菜・芋類など、以前にはみられなかった食品にもアレルギーが認められようになっています。

加工食品などに使われている人工甘味料についても、2013年に開催された日本アレルギー学会にて30人程の症例が報告されました。

調査を行った国立病院機構相模原病院の海老澤元宏医師は「甘味料がアレルギーの原因になることはあまり知られておらず、見逃されているケースも多い。低カロリー食品が増えているので注意が必要で、今後は表示についても検討すべき」とコメントしています。

ちなみに報告があった「エリスリトール」(15人)、「キシリトール」(10人)、「ステビア」(2人)は、スナック菓子やチューインガムなど様々な食品に含まれています。

 

  *

 

仮にアレルギーが、

便利快適な今の生活の代償だとしたら…

 

食物アレルギーはいずれ、癌などと同じレベルで。

私たちの人間の命を

脅かすようになるのかもしれません。