下腿のストレッチの話をしました。
今回は後方型シンスプリントに関係する筋肉、
後脛骨筋のストレッチの話です。
後脛骨筋は、
下腿の中で重要な役割を担っている筋肉です。
まずは、解剖学の話からスタートです(^_^)
後脛骨筋は、脛骨・腓骨の後面から始まり、
脛骨のキワを走行します。
後脛骨筋は停止部が多く、
舟状骨・外側/中間楔状骨・立方骨・第2/3中足骨
と、複数の腱に分かれて停止します。
内果(内くるぶし)を挟んで前側を通過するのが前脛骨筋、後方を走行するのが後脛骨筋です。
足のコンパートメント(区画)では、
深後方コンパートメントに相当します。
後脛骨筋は足底に付着するため、
大きな働きが2つあります。
①内側縦アーチの形成
②立位バランスの維持
〜①の役割〜
前脛骨筋と後脛骨筋の作用によって舟状骨が
上に引き上げられ、体重を支えようとアーチを形成します。
この内側アーチが、いわゆる土踏まずです。
内側縦アーチをバネのように使うことで、
歩行・走行の推進力を生み出したり、
衝撃吸収をする役割を担っています。
その反面、この機能がうまく働かないと、
様々な足のトラブルに繋がります。
★クロスサポートメカニズム
足部を安定させるメカニズムの一つに、
クロスサポートメカニズムがあります。
内スネの後脛骨筋は足の内側から足底へ、
外スネの長腓骨筋は足の外側から足底へ走行しています。
足首の底屈時、特に距腿関節の底屈時に回内・回外の制御、
後足部の安定、アーチの引き上げに関与します。
つまり・・・
後脛骨筋の機能低下は多くの運動に影響を及ぼし、
新たな障害を生むことに繋がる訳です。
〜②の役割〜
後脛骨筋は足首を動かすことで、
足底にかかる荷重バランスを調整しています。
主に、足底の荷重を乗せる役割を担っています。
多くの人が片脚立ちになるとグラつきます。
この時、足首の靱帯群が傾きを感知し、
反射的に下腿の筋肉が収縮します。
この役割によって、他の関節や筋肉にかかる負担を減らし、膝や腰などの正常な動きをサポートしています。
スポーツ時には、
走行動作やジャンプ動作で足首の動きを補助しています。
足首の底背屈をするスポーツでは、
ランニングの蹴り出しやジャンプの蹴り出しなどの、
地面を蹴る動作で特に作用します。
主な作用は足関節の底屈と内反です。
特に内反作用では、メイン級の強い作用をもっています。
同じ作用:長(母)趾屈筋
反対の作用:腓骨筋
〜後脛骨筋が原因のトラブル〜
ジャンプやランニングでの蹴り出しや
衝撃吸収を繰り返す事で、
後脛骨筋と骨膜が擦れて炎症を起こします。
トゥーアウトなどのアライメント異常を改善しないと、
後脛骨筋の牽引が起こりやすくなり、
痛みが取り切れないことが多いです。
・後脛骨筋炎/後脛骨筋症候群
シンスプリントは骨膜が擦れることで
痛みを発症する疾患でしたが、
後脛骨筋そのものが痛みの原因となるのがこの疾患です。
原因はシンスプリントと同様、
ジャンプやランニング動作の繰り返しや
アライメント異常です。
・後脛骨筋機能不全(PTTD)/扁平足
加齢などで後脛骨筋の作用が低下し、
扁平足を生じるのがPTTDです。
内側縦アーチの舟状骨を引き上げる作用が低下し、
扁平足になると考えられます。
シンスプリントや後脛骨筋症候群と同様に、
後脛骨筋が絡む疾患として有名です。
※後脛骨筋だけが原因では無いため、
詳しい検査が必要です。
いざ、ストレッチ!!
①.両手で足首を持ち背屈させる
②.背屈させたまま外反方向へ持っていく
★一連の動き
★ストレッチはどれくらい伸ばすのか?
筋肉の伸ばし方を知っていても、
「どの程度伸ばして良いのか?」が
分かっていないと勿体ないです。
ストレッチ全体に共通する事なので、
ポイントを載せておきます。
・ウォーミングアップの場合
→軽く反動をつけて20回×3セット
・クールダウンの場合→息を吐きながら20秒×3セット
・痛みが出るまで伸ばしきらない
急性期の肉離れなどではストレッチをしない
このストレッチのポイントは、
他のストレッチ以上に足の向きに注意することです。
コツを掴むまでは、後脛骨筋がストレッチできているか
分かりにくいと思います。
ヒラメ筋や長趾屈筋のストレッチをしていくと、
それぞれの違いが見えてきます。
筋肉の作用が違うからこそ、
ストレッチもそれぞれ取り入れることが大切です。
次回は、走行が似ている
長趾屈筋・長母趾屈筋ストレッチを紹介します。
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