エジプト旅の交差点/「ベニス細川家ホテル」スタッフ日記 -5ページ目

エジプトを覆う不穏な雲

こんにちは。
近藤です。



先回、希望に満ちたエジプトの雰囲気をお伝えしたところなのですが、残念な事に、最近のエジプト、どうも怪しい雲行きです。



まず、強盗や泥棒(車泥棒も多い)、置き引きなどが頻発しており、日本人にも被害にあった方がいるという情報を日本人会の方からいただきました。



また、治安の悪さ故なのか、新学期が始まったばかりの学校は、来週から時間短縮されることになりました。通常より早く夏休みになるらしい、という話もあります。



そして、おとといは、今回の革命の中心地といってほかならない、タハリール広場に、再び異変があったそうなのです。



仕事から帰って来た夫の目撃談によると、

タハリール広場には、ムバーラク退陣後も、そのままそこに留まり、寝泊まりしながらデモを続ける人々がおり、そこへ、ナイフなどを持った暴徒集団がどこからか現れて、投石やナイフなどで襲撃をはじめた。そのうちだんだんそれがエスカレートし、双方の激しい応酬となったため、ついには軍が動き出し、双方を次々に逮捕、そして、最終的には、人々のテントや寝袋、所持品などもことごとく排除され、どこからか突如現れた清掃会社の人間達により、タハリール広場はキレイさっぱり片 付けられてしまった(カメラ撮影していた外国人も数人連行され、「Help! Help!」と声をあげていた)



ナイフなどを持った暴徒達、といえば、ムバーラク退陣前に、馬やラクダに乗ってあらわれたという、「親ムバーラク派」を思い出します。「親ムバーラク派」の多くが、実は、秘密警察員(正式には、エジプト国家保安情報局員)だった、とききましたが、実際、今回の暴徒も、同じ種類の人間達だった、と目撃した夫は言いました。



だとすれば、これって、政府側による陰謀じゃないの?

軍が直接武力を用いて強制的にデモ隊を排除すれば、大問題となるに違いなく、だから、暴徒を使って争いを起こし、争いを口実にデモ隊を排除したというわけ?

その方が体裁が良いから?

やり方汚い。

ムバーラクが退陣したって、そういうところは結局以前と同じですよね。



ところで、この秘密警察(国家保安情報局)って一体何なのでしょう?

簡単にいうと、エジプトの内務省下にある、反体制思想を取り締まる組織のことで、約10万人いるとされる情報局員は、私服で人々の中にスパイのように潜入し、反体制的言動をする人物を容赦なく逮捕、激しい拷問を加えていたそうです。アメリカでいうFBI的なものらしい。



なお、当初から、デモ隊の要求の一つに、この秘密警察の解散、というのが含まれていたのだそうです。ムバーラク政権下では、徹底的に人々を弾圧し、苦しめて来た組織であり、独裁政権の象徴のようなものでしょうから。絶対に存続させてはいけないわけです。



もうひとつ、2日前飛び込んできた不穏なニュース。日本のメディアでも報道されていたようですので、ご存知の方も多いでしょう。



コプト教徒とイスラム教徒の衝突という、イヤな話。



でも、どうやらこれにも秘密警察がらみの陰謀の匂いがプンプン。


もともとは、カイロ郊外のある地区で、両教徒同士のごく個人的ないさかいが発端となり、教会が焼かれ、それに激怒したコプト教徒達がカイロの通称ゴミの町と呼ばれるコプト教徒が多く住む地域に集結し、そこでイスラム教徒と衝突、13人におよぶ死者を出したとの報道でした。



ところが、たまたまエジプトのニュース番組を夫と見ていたら、元政治家で、コプト教徒の著名人である男性が番組に出演して、この事について話をしいて、

「教会が焼かれたというその場所へ(今日)行ってきたが、実際にはごく一部が損傷している程度であり、対立していると伝えられている現地のコプト教徒とイスラム教徒が、むしろ連帯を強める為の会合を持つなどして、友好を深めていた。」と語ったのです。(夫の解説による)



これってどういうことなのでしょう?

怪しい。



そこで、エジプトの日刊新聞ネット版(英語版)をチェック。

あったあった、「宗教間の衝突は陰謀かもしれない」という記事が。

記事では、

一 連の事件の発端となった場所で、イスラム教徒がコプト教徒達を追い出した、と言われているが、これは事実でなく、実際には問題を起こした者たちを、コプト教のリーダー達の決定により追い出したのだ、という主旨の住民コプト教徒の話が紹介されていました。

また、コプト教徒達をイスラム教徒達が襲った、といわれていることに対しては、襲撃はイスラム教徒の住民によるものではなく、武装集団(暴徒)によるものだったとの証言。

またもや出てきた、「武装した暴徒たちが。



続けて、13人の死亡者と多数の怪我人を出したといわれる、おとといの衝突についての記事を読んだところ、やはりここでも、「組織化された暴徒達が現れ、コプト住民達に対して投石や銃撃を始めた事が、コプト教徒住民により語られていました。



これは、やっぱり「奴ら」の仕業だとしか思えない。



宗教間の対立を起こし、事態を混乱させようというのでしょうか?



治安が悪化し、人々の不安がたかまれば、デモを続ける勢力への反感が生まれ、政府側(?)に有利になるということなのでしょうか?



ムバーラクの去った今も、いまだ、亡霊のように暗躍する不気味な存在。

ゾゾっとします。



エジプトはこれからどこへ向かっていくのでしょうか?



はやく雲が晴れて、青空が広がりますように。




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I LOVE EGYPT!

こんにちは。
今日も見事な快晴のカイロより、近藤です。
今朝は、ほんとに、雲ひとつなく澄み切った空で、
すがすがしいこと、この上なく。

さて、昨日、子供達の学校が、3週間遅れでやっと再開しました。
デモのちょっと前から半期の休みに入り、2月13日から新学期が始まる予定だったのですが、今回の騒動の影響で、1週間、また1週間と延期になっていました。
ただでさえ、エジプトの学校は、夏休みなど休みがとにかく長く、実質学校に行っているのは、せいぜい6か月程度。
後期が始まっても、通常だと5月末ぐらいには、夏休みに入ってしまいます。
しかも、宿題全く無しですよ!
その約4カ月の間に、学習したことはきれいさっぱり忘れてしまうらしいです。
うちの娘の場合ですが。
そんなふうで、学習内容がきちんと蓄積されていくとはどうしても思えず、
非効率的に思えてなりませ
ん。
この際、今後、この国の教育システムについても大々的に見直し、改善をはかってほしいものです。

話がそれましたが・・・
今日は、今のエジプトの雰囲気をちょっとご紹介しようと思います。

昨日、久しぶりに、学校の幼稚園部に通う息子のお迎えに行ってみると、
おや?
息子の顔に縞模様が。
・黒エジプト国旗色!
「どうしたのー?」ときくと、みんな先生に描いてもらったのだとか。
そういわれて周囲を見回すと、確かにほとんどのこどもたちの顔にエジプト国旗があります。しかも、手作りらしい国旗を振っている子も。
いやー、なんか、皆さん、愛国心に燃えていますね。



エジプト旅の交差点/「ベニス細川家ホテル」スタッフ日記

以前はなかったことですが、
国旗を掲げている家もよく見受けられます。
(以前は、公的機関しか国旗を掲げることは許されなかったのだそうです)
車に、こんなシール↓を貼り付けている車も数多く。

エジプト旅の交差点/「ベニス細川家ホテル」スタッフ日記


ナンバープレートを模しています。1枚1ポンド。
今回のデモのはじまったのが1月25日だったので、「1月25日革命」


先週、タハリール広場を車で通りかかったのですが、
広場のロータリーをポップコーン、コシャリ、サンドイッチ、国旗などエジプトグッズを売る店などがぐるりととりかこんでおり、
大ぜいの人々が嬉々として集まっていて大騒ぎ。
ほとんど、お祭りといってよい雰囲気。
かなり楽しそうでした。
記念写真をとる人も大ぜいいて、もはや観光地といっても間違いない。

「I LOVE❤EGYPT」Tシャツを着ている人も見受けられます。
いや、Tシャツ来てなくても、その場にいるすべてのエジプト人から、
「I LOVE EGYPT!」というオーラが強く放たれていました。

↓警官にかわって、交通整理する若者達の姿もカイロのあちらこちらに。


エジプト旅の交差点/「ベニス細川家ホテル」スタッフ日記

↓友人が送ってくれた写真。すごい!壮観です。
家の主にちゃんと許可をとって塗ったのかな?

エジプト旅の交差点/「ベニス細川家ホテル」スタッフ日記


↓ホテルからほど近い場所に描かれている絵。今回のデモで犠牲になった少年ということです。ご冥福をお祈りします。


エジプト旅の交差点/「ベニス細川家ホテル」スタッフ日記

これも、エジプト国旗カラー。

なんとなく、今のエジプトの雰囲気を感じていただけたでしょうか?

人々のあふれんばかりのエジプト愛が、一時的なフィーバーで終わらずに、
確かな未来への原動力となることを願ってやみません。





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エジプト革命!ホテル営業再開しています

大変ご無沙汰しています。

ベニス細川家ホテル・自宅待機スタッフ近藤です。

日本の皆さまお元気でしょうか。

既にご存知かと思いますが、

この度、エジプトでは、反政府デモがいまだかつてない勢いで盛り上がり

ついには、ムバーラク政権が倒れるに至りました。

本当に驚くべき事です。

こんな近い未来にこんな事が起こりうるとは、おそらくほとんどのエジプト人が想像すらしていなかった筈。

お隣のチュニジアで大統領が退陣、逃亡した時に、

エジプト人に、「もしかして、エジプトもなるかもよ」と言ったら、

そうなったらいいけど、エジプトは無理だよ、と笑われました。

それまでも、反政府デモ自体は、しばしば行われていたので、

今回のデモも所詮その程度のものだろうと思っていたのですが・・・。


1月25日にデモがはじまってから、デモの中心地となったタハリール広場からほど近い場所にある当ホテルは、それでもしばらくは営業を続けていましたが、日に日に付近も緊迫感を増し、お客様・スタッフ共に外出もままならなくなっていきました。28日には、カイロ中で警察の姿が消え、更には各地の刑務所から多くの受刑者達が脱獄した為(後でわかったところによると、一部政権側の仕業だったらしい)治安が一気に悪化、略奪・強盗が相次ぎ、あちこちで銃声が響くようになりました。実際、カイロ中心地からかなり離れた自宅付近でも、28日から29日夜にかけて、何度も銃声がきかれました。車でカルフールの横を通ったオーナーは、数人の輩が店内からありとあらゆるものを次々と運び出していくのを見たそうです。真夜中、何者かが自宅に侵入してこないとも限らず、その2日間ばかりは、軽い恐怖を抱きつつ過ごしました。でも、その最悪の状況を意外と早く脱することができたのは、各地で、住民たちが結束して自警団を立ち上げ、町の警備にあたったことによるでしょう。うちのアパートも例外ではなく、日頃さほど交流のない住民たちがいつになく一致団結して、夜間交替でアパートの入口前に立ち、不審者の侵入や通行を阻みました。そして、夜通し、政権交代にむけての熱い思いを語りあったりしたそうです。

テレビのスクリーンを通して伝わってくる、タハリール広場に集結した人々の熱い思いにもうたれましたが、それ以外のエジプト人達の意外な底力にも、いい意味で驚かされました。「いいかげん・やる気がない・自分勝手」という私の中のエジプト人像が、音をたてて崩れ去った瞬間でした。

そして、今後もずっとここエジプトで生活する覚悟と勇気が湧いてきた!


しかし、タハリール広場でのデモの規模が大きくなり、ムバーラク派が広場にあらわれ、人々に攻撃をしかけはじめた2月初めごろには、ホテルを取り巻く状況は、かなり厳しいものとなっていました。特に、政権側が「外国人ジャーナリストがデモを扇動している」というようなデマを流したことにより、2日頃には、ムバーラク派や警察による外国人に対する弾劾が始まり、一時は、ホテルのすぐ階下でも大勢の外国人(主にジャーナリスト)が連行され、ホテルでは明かりを消し、息を殺して身をひそめる有様だったそうです。そんな状況であった為、4日、最後のお客様がチェックアウトされた後、やむなくホテルを一時休業することとなりました。


実は私達一家はその後ほどなくエジプト国外へ出てしまい、ムバーラク退却をエジプトで祝うことができませんでした。

その時のエジプト民衆の熱狂ぶり、見たかったなあ。

エジプト人達と共に、歴史のうねりを体感しながら、万歳してみたかったなあ。

タハリール広場では花火も上がったそうですね。

たぶん、日本の皆さんの方がその時の様子はご存知の筈。


さてさて、現在は、私達一家も再びエジプト・カイロです。

そして、ホテルも既に営業を(細々とですが)再開しています。


現在のエジプトの状況は、といえば、カイロの町中もほぼ落ち着きを取り戻し、

おおよそ普段通りの生活が送れるようになってきています。

銀行も商店も普通に営業しており、ピラミッドや考古学博物館も含め、遺跡・観光施設もほぼすべて再開しています。

旅行者も少しずつですが、戻ってきたようです。(主にヨーロッパからの観光客)

昨日、外務省の渡航情報でも、シナイ方面以外の地域については、危険度がひとつ引き下げらました。

とはいえ、まだ各地でデモは頻発しており、また刑務所からの脱獄囚も完全には検挙おらず、盗難や強盗などの報告も少なくないなど、治安は完全には回復しているとはいえないようですので、エジプトへいらっしゃるご予定の方は、くれぐれもお気をつけ下さい。

まだまだ、今後どうなるか、先が読めません。

外務省ホームページや、在エジプト日本大使館のホームページなどで、

情勢をご確認の上、ご旅行を慎重にご検討下さい。

日本大使館HP→ http://www.eg.emb-japan.go.jp/j/index.htm


なお、今回の騒動中、過去お泊りいただいたお客様から、安否をお気遣いいただくメールや、激励のメールなどを数多くいただきました。

外出もままならないつらい状況が続く中、皆さんの温かいお気持ちが心にしみました。

この場をかりて、心よりお礼申し上げます。


私達は、今後のエジプトの行方を、ここカイロでしっかりと見守っていくとしましょう。

願わくば、明るい未来がエジプトに開けますように。


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