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Walking in the Air

ファンタジーPBCサイト「鉱山都市フランネール」の登録PC、ニコルの活動日記です。



PBCをご存知でない方、当PCに興味のない方は閲覧をご遠慮下さい。

あたしはどうにも、腹の探り合いというものが苦手だ。嫌いと言ってもいい。


自分の素直な感想や感情を隠して、本音とは裏腹の事を喋るなんて器用な事は出来ない。


だから、誰でもちゃんとまっすぐ眼を見て話せば―――きっと本音で話し合えるって。そう思いたい。


勿論、それが並大抵の苦労でない事も分かっているけれど。



畑を踏み荒らしては農作物をダメにする小鬼をなんとかしてくれっていう依頼を受けて、朝からゾックの枯れた森で小鬼退治。

でも、朝から歩き回って倒せたのはたったの三匹ぽっちだった。

ベテランのハンターからすればお話にもならない戦果なんだろうけど、今のあたしにはこれが精一杯。


それでもこれで多少は農作物を荒らされる心配もなくなるかなと思って、討伐の証拠に小鬼の手首を持って帰ろうとしていたら―――いつのまにか、近くに人が立っているのが眼に入った。


口も態度もとても悪くて、正直言ってキライなタイプの彼。

けれど関与を避けようとあたしが帰ろうとすると、彼はあたしの忘れ物を指摘して、ちゃんと持って帰れって忠告してくれた。

血まみれのあたしを見て、心配もしてくれた。

彼は皮肉たっぷりの笑みを零すだけで、決して本音を明かしてはくれなかったけれど。


笑顔より泣き顔の方がいい、人を困らせるのがいいと彼は言っていた。

けれど、本当にそう思っているのなら、あたしの血をわざわざ拭ってくれたりしない。

くしゃくしゃになって酷い状況だったあたしの髪を、梳いてくれたりはしない。


だから、彼の事は天邪鬼と呼ぶ事にした。

天邪鬼なあの人がいつか、素直に笑ってくれたら嬉しい。



遭遇者:カイム

この世は広い。


この世にはあたしの知らない国、人々、モンスター、風土や食べ物―――とにかく様々なものがある。


そのうえ、この世の他にも天国と地獄なんてものまであるらしい。


あたしの知っているこの世の知識なんて、本当に本当にちっぽけなものなんだ―――つくづくそう思う。



ちょっと野暮用でフランネールから一日離れ、夜になってリトゥラ湖を経由して帰る道すがら。

フラーネ様の祠にお参りしている人影を見つけて、その方に歩いていった。

ひょっとしてヴァンパイアなのかなと思ったけれど、彼はどうやら人間のようで。

いかにも剣士然とした、鋭い気配は今まで逢った誰とも違うものだった。


彼はヴァンパイアとたくさん闘ってきたようで、あたしがヴァンパイアハンターだって名乗ると幾つか忠告をしてくれた。

曰く、ヴァンパイアの中には恐ろしい力を持つ者がいる。自分の父である死神を退けるほどの強さを持った者がいる―――。


彼が死神の知り合いを持っているというのも驚いたけれど、死神をも倒すヴァンパイアがいるという話にあたしは戦慄しない訳には行かなかった。

そんなのに遭遇したら、あたしはいったいどうなってしまうんだろう?

考えただけでも身体が震えてくる。


それから彼は、どうやらセリの知り合いらしい。

自警団に入ると言っていたから、そこでセリにも逢うことだろう。

彼はきっと、街の治安を護る頼りになる団員になってくれるはず。


彼には、もっともっと教えてほしい事がたくさんある。

彼にごはんを奢る代わりに、また会って話をしてくれるように頼んだ。


あたしには、知識も経験もなさすぎる。

彼に沢山教えてもらって、いつかきっとあたしも誰かに教えてあげられる、そんなヴァンパイアハンターになりたいな。



遭遇者:ガルーダ

あたしが知らない、家族の姿。


それを知っている人に出会って、話を聞くのはとても楽しい。


普段あたしが見ることのない―――もしくは今はもう見ようと思っても見られない姿を知っている人の話は貴重だ。


あたしも、人にいい思い出とともに語られる人間になりたいと思う。



廃屋に、前に出会ったダンピールがいた。

彼の名前はグラナ。あれからギルドに言って名簿を調べたんだけれど、あたしが彼の名前を呼ぶと彼もあたしの名前を呼んでくれた。


で、彼に前回聞きそびれたおばあちゃんの事を色々訊く。


おばあちゃんは頑なに一族の狩人としての宿命を全うしたらしい。

誰にも頼らず、独りで一族の重圧に耐えていたらしい。

おばあちゃんには、頼れる仲間はいなかったのかな。おばあちゃんに手を差し伸べてくれる人はいなかったのかな。

あたしにはきっと、おばあちゃんのような生き方は耐えられない。

あたしには、愚痴を言える友達がいる。一緒に遊んで、笑ってくれる友達がいる。

だから、独りで全て抱え込むような生き方は、とても出来ない。


グラナは、君は君であって祖母とは違うと言ってくれたけれど。

あたしに足りないのは、孤独でも闘い抜こうという意思なのかもしれない。


彼との話は、あたしに色々考える課題を与えてくれた。これから、ゆっくり考えていこう。


―――とりあえず、彼に弟子入りを却下されたのが無念。



遭遇者:グラナ

絶対に正しいことって、この世の中にあるんだろうか?


そんなものは神を信じる者の狂った妄想だって、とあるヴァンパイアが言っていた。


絶対に正しいことがただの妄想でしかないのなら、あたし達は何を寄る辺にして生きていけばいいんだろう?


正しいことを否定する彼は、何を寄る辺にして生きているんだろう。



お墓にいた彼の名前はエーリク・シュタイナー。

彼はヴァンパイア。あたしはヴァンパイアハンター。

彼とあたしの間には、闘いしかない。妥協も和解もない―――それは少なくとも、現時点では絶対に正しいこと。


彼もまた、かつて逢ったダンピールと同じくあたしのパパとママのことを知っているようだった。

それなら、あたしのとるべき道はひとつ。親の代からの因縁に決着をつける、それも絶対に正しいこと。


彼は、あたしが言葉で挑発すると烈火の如く怒った。そしてあたしに人間への罵倒をぶつけてきた。

あたしは今まで、あれほどの怒りを向けられたことはない。


白銀鴉もピエールも、人間など何するものぞというヴァンパイアらしい性根の持ち主だった。

けれど、彼からは余りそういう感情は得られなかった気がする。

彼から感じたのは憎悪、―――それから悔恨?彼の言葉にはひどい苦しみが篭っているような気がした。


望まずして不死の生命を与えられ、死ぬ事も出来ずに彷徨う。

想像を絶する苦しみじゃないかと、少し思った。


彼には、絶対にこれだけは正しいと信じられる事はないのだろうか?

彼にまた遭ったら、訊ねてみよう。―――避けられない闘いのさなかに、それが許されるのなら。



遭遇者:エーリク

ヴァンパイアは人間の宿敵。殲滅しなくてはならない仇敵。


あたし達は彼らがどんな性格であろうと、どんな主張をしようと、それを滅ぼさなくてはならない。


邪悪だろうと、―――善良だろうと。


ヴァンパイアは人間の宿敵。殲滅しなくてはならない仇敵。



モーティから貰った情報を確認する為に、ハンターギルドへ。
すると、カウンターには既にギルドマスターのおじさんと話している先客がいた。
大きな棺桶を背負った、気取り屋の彼。大道芸人かと思ったけれど、彼もハンターだと言う。


どうにも信じられないので、確認も兼ねていろいろな事を話した。
彼の言う事はなんとも頓珍漢な感じで……よく独りでやっていけてるな、というのが素直な感想。
けれど、ちょっぴり楽しかった。


でも、彼はヴァンパイアだった。しかも、あたしが情報を集めようとしていたピエール・フォン・エクセル。
彼は確かに、モーティから血を飲んだという。


彼は言った。
「一族に縛られた、劣化コピーの君に僕は倒せない」と。
「人の為に自分の命を消費する事など無意味だ」と。


……間違ってる。そんなの絶対に間違ってる。
他人の為に自らの命を消費できる、その覚悟が尊いんだ。
自分を危険に晒してもなお、護りたい人がいる。そう思う心が大切なんだ。

自分の為にしか自分の力を使えない者になんて、絶対に負けない。


今回は逃げられてしまったけれど―――今度は、絶対。



遭遇者・ピエール