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Walking in the Air

ファンタジーPBCサイト「鉱山都市フランネール」の登録PC、ニコルの活動日記です。



PBCをご存知でない方、当PCに興味のない方は閲覧をご遠慮下さい。

吸血鬼は全て倒さなければならないと、ずっと教えられてきたけれど。


それが必ずしも正しい事ではないって、フランネールに来て分かってきた。


人間に、善人と悪人がいるように。


吸血鬼にも、善人と悪人がいるんだ。



施療院から退院して、何日かぶりに自分の部屋へ帰ってきた。

暫くベッドで眠って、夕飯の買い物にでも行こうと思ったら近くの酒場で乱闘騒ぎ。

その原因になったのは、以前も会った吸血鬼・ヴァレンタインだった。


酒場から外に出る彼を待ち伏せして、彼と会話を試みた。

本当に罪もない人を襲わないのか?吸血鬼なのに、同胞である吸血鬼を本当に倒せるのか?

彼の前で指を切って見せ、血も見せた。

彼を試したのだ。―――でも、彼はあたしの誘いには応じなかった。


今でも信じられないけれど、彼はどうやら本当に人を守る吸血鬼らしい。

信じられないというのは、彼が、じゃなくて。今まで全て悪だとばかり思っていた吸血鬼たちの中に、

彼のような存在がいたという事が……という意味で。


あたしは今までの認識を改めないといけない。

けれど、急には無理だ。あたしの頭の中には、夜族必殺のヴァレンティン一族の教育が染み付いてる。

だから、彼と約束した。

彼がもし血の渇きに屈して、罪人以外の罪のない人を襲ったら―――あたしが、彼を滅ぼすと。

きっと彼はあたしとの約束を守ってくれるだろう。

飄々とはしていても、彼の瞳の奥の意志はとても強かったから。


彼に不思議なクッキーを貰った。

なんでも、食べるとそれから向こう一週間、喋ると語尾に「ござる」がついてしまうんだとか。

イタズラをする為に作って、あたしにモニターして欲しいんだって。

イタズラなら子供の頃から大得意だからね!手始めに誰を生贄にしようか……。



遭遇者:ヴァレンタイン

魔法が使えたらいいなって、子供の頃よく考えてた。


自由に空を飛んだり、透明になったり。もちろん面倒臭いことも全部魔法任せ。


―――でも、それは御伽噺の世界の話に過ぎない。


魔法って大変。魔法を志す人は、あたしなんかよりずっとずっと荊の道を歩いているんだろう。



リシュアからメッセージを貰って、会いに行く。

金色亭でフルーツサンドやパフェを食べながらお話しを。


彼女に預けていたジャケットとハンカチは、まるで新品みたいにピカピカになって返って来た。

彼女の気遣いが分かって、嬉しくなる。


彼女は凄くあたしの事を心配してくれて。

有難い反面、ちょっと気まずかった。あたしはやっぱり、色んな人に迷惑や心配をかけてるなって……

もっと強くならなきゃと、決意を新たにした。


リシュアはエルフの中でもハイエルフという種族で、森の中の風が抜きぬける谷に住んでいたという。

御伽噺の中のエルフ郷は、とても美しい場所だって言ってた。

いつか、あたしもそこに行ければいいなと思う。

彼女は治癒の魔法が使えるらしくて、それを施してもらった。

寝返りを打つだけでも辛かった傷口の痛みが、スーッと引いていく。

―――魔法ってスゴイ。


リシュアにお見舞い品としてりんごを貰って帰る。

彼女にはたくさんよくしてもらった。今度は一緒に料理の特訓しようね。



遭遇者:リシュア

優しい言葉と、暖かな手。


それがあるだけで、不思議と安心する。


一緒の時を過ごすことの安堵、幸福。


それは、まるで甘い毒。



ガルーダと教会で会う約束をした。

お腹の傷の事を気付かれないようにしっかり固定して、包帯も巻き直して。解熱薬も多めに飲んで。

でも、無駄な努力だった。

彼には最初から、全部わかっていたんだ。

あたしが後先考えずに無茶したことも、自業自得で傷を負ったことも。


彼にお姫様抱っこされて、膝の上に。

今まで生きてきてお姫様抱っこされたことなんて初めてだったから、ビックリするやら照れるやら。

けれど、そんなあたしを彼は優しく抱擁してくれた。


彼の優しい声。耳を傾けると聞こえる、彼の心臓の鼓動。香の馨り、抱いてくれる力強い腕。

そのどれもがあたしを安心させてくれる。甘えさせてくれる。―――幸せな気分にしてくれる。


頼っていい、と彼は言う。


けれど、それを怖れるあたしがいる。彼に頼ることがあたしの中で当たり前になってしまったら、

彼がいなくなった時あたしは何も出来ない人間になってしまう。

あたしのおばあちゃんはいつも独りだったって、グラナが言ってた。

あたしにはもう、おばあちゃんのような闘い方はできないけれど。


でも、だからといって、独りで闘えなくてもいいという訳じゃない。

いつか、独りで闘わなくちゃならなくなる時が来るだろう。

誰の力も借りられず、自分で何とかしなくちゃならない局面に遭遇することもあるだろう。


覚悟を決めておこう。いつか来るその時に備えて。


―――でも、やっぱり。

彼のいない独りの病室が、ちょっと淋しい。



遭遇者:ガルーダ

吸血鬼化したパパが、牙を剥いてママへ襲い掛かる。


ママの振り上げた鞭が、パパを引き裂く。灰となって滅び去るパパ。悲しげな眼があたしを見つめる。


ママの絶叫。


―――今でも夢に見る、昔の出来事。



見つけた。

パパの仇を。

パパを吸血鬼に変え、ママの心を壊した吸血鬼を。


あいつは折悪しく居合わせた女の子を人質に取った。卑劣な奴。憎悪が膨らむ。

女の子は助けたけれど、それはあいつがあたしを舐めていたから。舐められていなかったら、助けられなかった。


女の子が一緒に闘いたいと言ったので、共闘を。

でも、―――全然敵わなかった。あたしはお腹に剣を受け、そのまま昏倒した。


お腹に剣を受けてから、何が起きたのかよく覚えていない。

気が付けば、あたしは施療院のベッドの上にいた。

あの子も、そして吸血鬼も。もう、あたしの近くにはいない。


昨日の闘いで、いくつか大事なことが分かった。

ひとつ―――吸血鬼の実力は、あたしが思っていたよりも遥かに強大だということ。

ひとつ―――今のあたしの力では、どう考えたってパパの仇は取れないということ。


勇気や覚悟がいくらあったって、彼には勝てない。

昨日の彼の、あの耳まで裂けた口と牙を思い出すだけで―――今ペンを持つ手が震えるのが分かる。


どうすれば強くなれるんだろう。

どうすれば彼を倒せるんだろう。


……わからない、よ。



シメオン/クロウ

気兼ねなく接することのできるトモダチがいるのは、とってもいいこと。


嬉しい時、悲しい時、楽しい時、不機嫌な時。


一緒に共感し、時には反発し、直接間接問わずアドバイスしてくれる友達がいるのは、なんて素晴らしい事だろう。


今はあたしが頼ってばかりだけれど―――いつか、恩返しがしたいな。



川でモーティに逢った。いつも通りの落ち着いた彼女。

彼女の元気な姿を確認したくて大きな声で声を掛けたら、突然足場が崩れた。

雨のお蔭で地面が水を吸って、脆くなってたらしい。川に転落したら、カナヅチのあたしは間違いなくアウトだ。

咄嗟にあたしを助けようと走ってくる、モーティの姿が頼もしかった。


けれど。


腕を掴んでもらったまではよかったけれど、女二人分の重さを受け止められる足場はあの時のエールデ河周辺にはどこにもなかった。

結果またもや足場が崩れて、二人仲良くドボン。

鼻や口に容赦なく入ってくる水に、あたしは死を覚悟した。


危うく二人とも溺死しかけたけれど、あたしが鞭を木に括りつけて、モーティが川べりに剣を突きたてて―――なんとか、九死に一生を得る事が出来た。

思えば、これがあたしたちの初めての共同作業かも?

助かった二人の姿は見るに耐えないほどドロドロのグチャグチャで、もう笑うしかなかった。


あたしたちが着ていた服は酷い事になっちゃったので、着替えにあたしの家へ。

換えのシャツに着替え、温かなジャスミンティーを飲みながらモーティと色んな話をする。


モーティはいつも、猪みたいに突っ込んでいくあたしを嗜める。

あたしもモーティの言う事は素直に聞こうと思う。

年も背格好も殆ど同じなのに、あたしと正反対の性格のモーティ。


―――でも、だからこそ、あたしは彼女の事を大切な友達だと思うんだろう。



遭遇者:モートヘルシュ