魔法が使えたらいいなって、子供の頃よく考えてた。
自由に空を飛んだり、透明になったり。もちろん面倒臭いことも全部魔法任せ。
―――でも、それは御伽噺の世界の話に過ぎない。
魔法って大変。魔法を志す人は、あたしなんかよりずっとずっと荊の道を歩いているんだろう。
リシュアからメッセージを貰って、会いに行く。
金色亭でフルーツサンドやパフェを食べながらお話しを。
彼女に預けていたジャケットとハンカチは、まるで新品みたいにピカピカになって返って来た。
彼女の気遣いが分かって、嬉しくなる。
彼女は凄くあたしの事を心配してくれて。
有難い反面、ちょっと気まずかった。あたしはやっぱり、色んな人に迷惑や心配をかけてるなって……
もっと強くならなきゃと、決意を新たにした。
リシュアはエルフの中でもハイエルフという種族で、森の中の風が抜きぬける谷に住んでいたという。
御伽噺の中のエルフ郷は、とても美しい場所だって言ってた。
いつか、あたしもそこに行ければいいなと思う。
彼女は治癒の魔法が使えるらしくて、それを施してもらった。
寝返りを打つだけでも辛かった傷口の痛みが、スーッと引いていく。
―――魔法ってスゴイ。
リシュアにお見舞い品としてりんごを貰って帰る。
彼女にはたくさんよくしてもらった。今度は一緒に料理の特訓しようね。
遭遇者:リシュア