優しい言葉と、暖かな手。
それがあるだけで、不思議と安心する。
一緒の時を過ごすことの安堵、幸福。
それは、まるで甘い毒。
ガルーダと教会で会う約束をした。
お腹の傷の事を気付かれないようにしっかり固定して、包帯も巻き直して。解熱薬も多めに飲んで。
でも、無駄な努力だった。
彼には最初から、全部わかっていたんだ。
あたしが後先考えずに無茶したことも、自業自得で傷を負ったことも。
彼にお姫様抱っこされて、膝の上に。
今まで生きてきてお姫様抱っこされたことなんて初めてだったから、ビックリするやら照れるやら。
けれど、そんなあたしを彼は優しく抱擁してくれた。
彼の優しい声。耳を傾けると聞こえる、彼の心臓の鼓動。香の馨り、抱いてくれる力強い腕。
そのどれもがあたしを安心させてくれる。甘えさせてくれる。―――幸せな気分にしてくれる。
頼っていい、と彼は言う。
けれど、それを怖れるあたしがいる。彼に頼ることがあたしの中で当たり前になってしまったら、
彼がいなくなった時あたしは何も出来ない人間になってしまう。
あたしのおばあちゃんはいつも独りだったって、グラナが言ってた。
あたしにはもう、おばあちゃんのような闘い方はできないけれど。
でも、だからといって、独りで闘えなくてもいいという訳じゃない。
いつか、独りで闘わなくちゃならなくなる時が来るだろう。
誰の力も借りられず、自分で何とかしなくちゃならない局面に遭遇することもあるだろう。
覚悟を決めておこう。いつか来るその時に備えて。
―――でも、やっぱり。
彼のいない独りの病室が、ちょっと淋しい。
遭遇者:ガルーダ