吸血鬼化したパパが、牙を剥いてママへ襲い掛かる。
ママの振り上げた鞭が、パパを引き裂く。灰となって滅び去るパパ。悲しげな眼があたしを見つめる。
ママの絶叫。
―――今でも夢に見る、昔の出来事。
見つけた。
パパの仇を。
パパを吸血鬼に変え、ママの心を壊した吸血鬼を。
あいつは折悪しく居合わせた女の子を人質に取った。卑劣な奴。憎悪が膨らむ。
女の子は助けたけれど、それはあいつがあたしを舐めていたから。舐められていなかったら、助けられなかった。
女の子が一緒に闘いたいと言ったので、共闘を。
でも、―――全然敵わなかった。あたしはお腹に剣を受け、そのまま昏倒した。
お腹に剣を受けてから、何が起きたのかよく覚えていない。
気が付けば、あたしは施療院のベッドの上にいた。
あの子も、そして吸血鬼も。もう、あたしの近くにはいない。
昨日の闘いで、いくつか大事なことが分かった。
ひとつ―――吸血鬼の実力は、あたしが思っていたよりも遥かに強大だということ。
ひとつ―――今のあたしの力では、どう考えたってパパの仇は取れないということ。
勇気や覚悟がいくらあったって、彼には勝てない。
昨日の彼の、あの耳まで裂けた口と牙を思い出すだけで―――今ペンを持つ手が震えるのが分かる。
どうすれば強くなれるんだろう。
どうすれば彼を倒せるんだろう。
……わからない、よ。
シメオン/クロウ